急変対応できない…と悩む若手看護師に知ってほしい、苦手を克服するための解決策

急変対応できない看護師のイラスト

医療現場で常にリスクがあるのが、患者や利用者の急変。そしてそれに対応せねばならないのが我々、医療従事者ですよね。

文字通り「急変」、患者の体調が急に変化することってありますよね?思えば患者ですもん。何らかの疾患を抱えている人が多いんだから、そりゃ急変リスクはあるよね。

でも怖いですよね。患者側から「今から自分は急変しますよー」「呼吸が止まります」「心臓が止まりますよーお願いしまーす」なんてアナウンスはないわけで。呼吸停止や心停止、1分1秒も争えない状況。対応が早ければ早いほど、予後も良いから。

そう、その瞬間、患者が生きるか死ぬかは医療従事者次第のことが多いんです。

※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

急変対応の実際

若手看護師が抱く、急変への苦手意識

看護師を目指した時点で、救命センターに憧れることってありませんか?(私は今でも憧れてます笑)。

それで看護師になってすぐ、BLS(一次救命処置)の練習をするじゃないですか。研修でAEDを使った除細動や心肺蘇生を学んで、急変対応のスキルアップを目標に掲げるじゃないですか。

でも実際に急変を目の当たりにすると、「えっ…怖い。何したら良いの!?」と動揺することも多い。先輩が来てくれてホッとしつつも、手が震えて、記録、記録だけでも…と救急カート付近に立ってたら、「ここは良いから、ナースコール対応してて!」なんて言われちゃって。気付いたら患者は挿管されててICUへ…。

そんな経験で若手看護師の9割くらいは壁にぶち当たって苦手意識が芽生えたり、逆にやる気になったりする。

夜勤で経験した、急変の苦い思い出

私が初めて急変に当たったのは、看護師2年目のことでした。

急性期病棟勤務だったので、それまでも何度か急変はありつつも、運良く自分の勤務時間外で、朝の申し送りで「そんなことあったんだー」と聞くだけで済んでいたんです。

ある日の夜勤。その日は最高のメンバーでした。仲良しな先輩と同期が一緒で、患者も落ち着いていて「仮眠時間ガッツリ取れるね」「夜勤終わったらお茶しに行かない!?」なんて楽しい時間。

深夜帯、先輩看護師が仮眠に入り、同期と2人になって「そろそろ巡視に行こうか?」って話しているときに、私の担当患者からナースコールがありました。

部屋に行くとナースコールを鳴らしてくれた患者が言います。「前のベッドから変な声がする」って。

前のベッドの患者も私の担当で、カーテンを開けると…個人情報保護や倫理的観点から疾患や詳しい状況などは伏せますが…もう見ただけで「これはマズイ」という状況でした。

顔は土気色、もがいた形跡のある手。でも、触れるとまだ温かい。そして…この方は若年層。もちろん、DNARではありません。

DNAR
Do Not Attempt Resuscitationの略。患者本人または患者の利益にかかわる代理者の意思決定をうけて心肺蘇生法を行わないこと。

私が入院も担当して、患者家族の思いもしっかり聞いた人でした。

「私が絶対に助けなくちゃいけない。やらなきゃいけないことは分かってる。まずは…まずは…人を集めなければ。」

自然と頭に、先輩看護師たちがやってくれたACLSシチュエーションが浮かんだ。

まずスタッフコールを押し、駆けつけた同期と一緒に患者を処置室に運んだ。救急カートを準備しつつ、当直医を呼んだり先輩看護師を起こしたり。

そのとき私は初めて、生身の人間に心臓マッサージを行った。先輩看護師と医師、当直師長が駆けつけてくれて、その後はほとんど対応してくれた。すべてが目まぐるしく過ぎ去った。

そう、そのときの私は無力だった。自分の担当患者だったのに、頭ではやらなきゃいけないことや流れは想像できたのに、その場にいるのがやっとだった。

急変対応できない看護師のイラスト

10年ほど前のことだけれど、そのときの情景をはっきり思い出せる。それほど、私にとって強烈な体験だった。

ちなみに患者は助からなかった(※医療ミスではない)。

担当看護師として家族へ連絡を入れるのが、私にできる精一杯のことだった。

着の身着のまま駆けつけた家族へ主治医が状況を説明し、心臓マッサージを止めて死亡診断を行う。泣き崩れる患者家族。私はそれを眺めていた。個室の窓から見える空が少し明るくなり始めていたのを覚えている。

今なら、あの状況では助かる確率がかなり低かったと分かる。でも当時は急変対応に圧倒され、自分の無力さを痛いほど突きつけられた。生身の人間に心臓マッサージした感触が残る中、「私が…私が担当看護師じゃなかったらこの人は助かったのでは…?」そんな気持ちが拭えなかった。

フワフワした気持ちのまま死亡退院処理やほかの受け持ち患者の検温、急変対応時の記録やコストの登録、看護問題の評価をしていると昼前になった。一緒のシフトだった同期と先輩看護師が声を掛けてくれた瞬間、スイッチの切れた私は涙が出てしまった。

真っ先に出た言葉は「怖かった…」でした。そう。怖かったんです。

先輩看護師は「あの場にいてヘルプ出せただけで十分だよ。人を集める判断(スタッフコール)は基本で、それができたんだから」と言ってくれた。

看護師だし急性期病棟勤務を選んだんだし、そんな急変対応があるのは分かりきってたでしょ?って思われますよね。

そう、分かってた。分かってるし、年に一度の研修やマニュアルは読んでいてこうすれば良いんだよね、なんて思っていたのに、実際はビックリするほど動けなかったのだ。

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急変対応へのよくある悩みと解決策

初めて急変を経験してから、夜勤も日勤も怖くなった。常に気が抜けず、「この症状って大丈夫なのかな…」「次に何かあったら自分は何をしたら良いんだろう…」「医師がいない間は何ができる?」と悩みが尽きなかった。

そこで、よくある悩みと解決策を考えてみたい。

①応援を呼んで良いのか判断できない

若い頃って、スタッフコール押して良いかな…みんな忙しいのに…ってなりますよね。

応援要請するべきか判断できない看護師のイラスト

でも、基本的にどんな状況であれ、少しでもおかしいと思ったら応援を呼ぶのが基本です。

私自身悩むことはありますが、患者を見た瞬間「自分の手に負えない」「対処できない」って思ったらとりあえず人を呼ぶと決めています。

イタズラで人を集めるわけじゃないんだし、どの職場でも「何で呼んだの!?」って怒る人は少ないはず。「患者を助けねば!」って思ったら、自信を持ってスタッフコールを押して大丈夫です。

②自分が何をすれば良いかわからず慌ててしまう

急変が起きると、「一体何が起きてる!?」「どうしたら良い!?」ってパニックになりますよね。

私も、人が集まって状況が進んでいく中で、「自分は何をすれば!?」と思った経験が何度かあります。今思えば、初動としては「人を集めて状況を伝える」が一番大切なので、新人としてはそれで十分だったかも?

ただ、最初の急変では動けなかった私でも、頭ではシミュレーションが浮かんでいて、医師や先輩看護師の動きを理解できたんですよね。

新人〜3年目ぐらいまで、やたらと勉強会でBLSとかACLSのシミュレーションをやったり、日々救急カートチェックとかやらされたりするじゃないですか。

あれ、全部意味がありました。

普段から急変時のシミュレーションをして、「もしも今急変が起きたら…」そんな気持ちで仕事していると、いざというときに少しでも心構えができる気がします。

救急カートを日常的に触っておくだけで「あの薬剤はあそこだ」「あの物品はあそこだ」って分かったりします。

急変対応のシュミレーションのイラスト

正直、研修が「自己研鑽」という名目でまとめられるとモヤモヤするし、特に半強制的なものは「やりがい搾取だ」と思うこともありました(笑)。でも、いざ外部の研修とかで自分で勉強しようとすると結構お金がかかるんですよね。研修を受けられるのって本当はありがたいことなんです。興味を持って学べば必ず自分の糧になるし。

…ただ、勤務時間外に研修をやるのは止めてほしいですけどね(本音)。

③物品準備や部屋の移動がスムーズにできなくて焦る

たとえば…今の私は検査室勤務で、さまざまな物品や機械に囲まれて仕事しています。内視鏡室って、ベッドやカメラが大きくてスペースが限られます。使いたい物品を手元に置いておきたいけど、いざというときに救急カートをスムーズに持ち込めるかしら…と悩ましいんですよね。

だからこそ、今の職場でも常に気をつけているのが「環境整備」。ナイチンゲール先輩の言う通り、何事にも環境整備って大切なんだなぁ…と思うんです。急変時のためにも自分の動線確保はかなり重要です。

若手ナースへの助言

もう「先輩看護師」と言われてしまう経験年数の私ですが、今でも急変時はドキッとします。

経験がない後輩看護師と一緒に対応に当たるときは、「私が基本的に対応するよ。でも、一緒に頑張ろうね。大丈夫だよ」って気持ちでいます。

もし自分がうまく動けなくて先輩に代わってもらったとしても、「先輩の仕事を増やした」なんて思う必要はありません。後輩に対して、「あなたは何もしてないじゃない」なんて思うことはないので。逆に急変が落ち着いたあと、若手ナースたちは大丈夫かな?って心配になるくらいです(笑)。

私がちゃんと急変に対応できるようになったのは、看護師になって5年が過ぎ、急変対応を5回ほど経験してからでした。やっぱりこういうのはこなした数が物を言うんだなと。

本当に怖いし、できれば当たりたくない患者の急変。

でもさ…これ身に着けたら看護師として最強じゃないですか?自分たちの手で人の命を救えるかもしれないから。そう考えると私たち医療従事者って、なんて素晴らしい尊い仕事をしてるのかしら。基本給50万くらい貰っても良いよね笑

そんなことを思いながら働いてる私です。誰もが通るこの道。一緒に成長していきましょうね。

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プロフィール
ライター:よっしー
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福祉業界から医療業界に飛び込んだ系看護師。「人生死ぬ事以外はかすり傷さ」をモットーにしていたら、人生そのものが黒歴史になりかけたけど、紆余曲折あり今は我が子と2人で強く楽しく逞しく生きている。夢は、看護業界からパワハラ・モラハラ・マタハラフェスティバルを撲滅させること。


イラスト:香珠(こーしゅ)
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瀬戸内海の島に住むイラストレーター。のびのびあたたかなイラストで活動中。食べることが大好き。
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