
「看護師から検疫官になれるって本当?」「検疫官はどんな仕事をするの?」と疑問に感じている看護師は多いのではないでしょうか。
ここでは、検疫官として働く看護師の役割・仕事内容や平均給与、メリットなどについて詳しく紹介します。
この記事を最後まで読み終えてもらえたら、検疫官がどのような働き方をしているのか分かり、キャリアチェンジに役立てることができるでしょう。
看護師から検疫官への転職を検討している人はぜひ参考にしてください。
検疫官とは、空港や港湾に設置されている検疫所に勤務する職員です。
看護師に比べて身近な職業ではないので、「イメージがしにくい」と感じている方もいるかもしれません。
ここでは検疫官がどのような働き方をするのか分かりやすく解説するので確認してみましょう。
検疫官の雇用形態は「一般職員」と「特定任期付職員」の2つに分かれます。
勤務場所によって異なるものの、一般職員として空港で働く場合、週38時間45分の交代制勤務です。
また、「一般職の職員の給与に関する法律」に基づき、医療職俸給表(三)が適用された給与が支給されます。
一般職員の赴任先は全国となるので、引っ越しを伴う転勤も十分あり得るでしょう。
特定任期付職員は一般職員とは異なり、任期が5年以下と制限があるのが特徴です。
5年を超えない範囲で契約を更新することができます。
特定任期付職員の俸給月額に基づいて給与が支給されますが、一般職員のように全ての手当が支給されるわけではありません。
| 支給されない手当 | 扶養手当や住居手当、超過勤務手当、勤勉手当 |
| 支給される手当 | 通勤手当や地域手当、期末賞与 |
昇給制度が適用されないので、一般職員に比べて給与は低い傾向にあります。
ただし、特定任期付職員として採用されると全国転勤がないので、「仕事を理由に引っ越したくない」という人でも安心です。
検疫官が働くのは、本所・支所・出張所からなる全国の検疫所です。
厚生労働省の「検疫所の設置状況」にも記載があるように、空港が30箇所、港湾が80箇所と港湾の方が件数が多いでしょう。
最初の勤務地が、面接を行った検疫所と同じになるとは限りません。
検疫官は看護師とは異なるさまざまな役割や業務を担います。
検疫官として働く看護師の役割・仕事内容は下記のとおりです。
それぞれの役割・仕事内容について詳しくお伝えするので確認してみましょう。
検疫とは、空港や港湾で感染症の拡大予防のために、渡航者の荷物が汚染されていないか検査することです。
検査の対象となる荷物は、持ち込まれるものだけでなく、持ち出すものも含まれます。
また、渡航者から体調不良の訴えがあったり、明らかに体調に変化が生じていたりするケースは珍しくありません。
検疫官は、入国審査場の前に設けられている「検疫ブース」で渡航者の診断を行います。
ただし、検疫にさける時間は限られており、短時間で業務を行える集中力や観察力が重要です。
もしも感染症罹患の疑いが強かったり、明確な症状が認められたりした場合、検疫官は下記のように対応します。
検疫官は海外から感染症の持ち込むのを防ぐとともに、日本から国外へ持ち出すのも防ぐ役割があります。
サーモグラフィーなどで渡航者の健康状態を確認し、異常が認められれば健康相談を行うのも検疫官の仕事です。
また、症状があらわれている渡航者についても問診するほか、周囲の渡航者にも聞き取り調査をします。
あらかじめ「機内に有症者がいる」と連絡が入った場合、機内で問診や聞き取り調査を実施し、国内への持ち込みを防がなければなりません。
海外渡航者に対して、各種予防接種を行うのも検疫官の重要な役割の一つです。
黄熱病などの予防接種は電話にて予約が入ります。
予診や予防接種の介助だけでなく、個別の電話相談にも対応することもあるでしょう。
空港で働く看護師は検疫官だけではなく、空港クリニックで働く看護師も含まれるでしょう。
空港クリニックでは一般のクリニックと同様に外来患者様の診療を行い、渡航者に医療を提供します。
特に機内での気圧の変化や揺れ、エコノミークラス症候群など、長時間の渡航で起こる症状の治療が多いです。
また、空港クリニックならではの業務として、空港職員の健康診断や空港内医療班としての活動などが挙げられます。
民間病院に雇用されるため、検疫官のように国家公務員として働くわけではありません。
人事院の「令和6年国家公務員給与等実態調査報告書」によると、医療職俸給表(三)の給与について下記のように報告しています。
| 項目 | 金額(円) |
| 平均給与月額 | 36万5,921円 |
| 俸給 | 32万5,124円 |
| 地域手当など | 22,359円 |
| 俸給の特別調整額 | 870円 |
| 扶養手当 | 8,756円 |
| 住居手当 | 5,863円 |
| そのほか | 2,949円 |
初任給は22万円ほどと、一般的な看護師に比べて高くはないものの、国家公務員は勤務年数を重ねることで号俸がアップします。
勤務年数に応じて昇給していくため、生涯年収としては期待できるでしょう。
転職を検討している方にとって、各職場におけるメリットは気になるところです。
そこで、検疫官として看護師が働くメリットについて、下記のように紹介します。
検疫官ならではの魅力もお伝えするので、キャリアチェンジを検討している方は確認してみましょう。
本来、国家公務員として働くには年齢制限があり、国家公務員試験に合格しなければなりません。
一方、検疫官は採用試験に合格することで、厚生労働省に所属する国家公務員として働くことができます。
国家公務員は民間で働く職員よりも雇用が安定しており、安心して長く働きやすいでしょう。
また、国家公務員共済への加入や公務員宿舎の利用など、さまざまな福利厚生を享受できるのも国家公務員の魅力です。
検疫官の大きな役割として、感染症の拡大予防が挙げられます。
病院に勤めている際は目にする機会が滅多にない黄熱病や狂犬病、破傷風などについて学び、実際に患者様を目にすることもあるでしょう。
「日々、日本国内だけでなく、世界中に向けて感染症拡大予防に努めている」という思いから、やりがいや達成感を感じられます。
もしも渡航者の中に重病の患者様がいても、近隣の病院へ搬送されるため、検疫官は看護師として専門性の高い知識・スキルは求められない傾向にあります。
そのため、急変や緊急対応へのプレッシャーは少ないです。
ただし、感染症に罹患した患者様が搬送前に急変した場合、検疫官が対応する可能性もゼロではないので注意してください。
空港周辺は電車やバスなどの公共交通機関が整っており、アクセスが良い場合が多いです。
また、早朝や夜遅くまで公共交通機関が動いているので、通勤しやすいと感じます。
ただし、エリアによって交通の便が異なるため、必ずしもアクセスの良い職場で働けるとは限りません。
検疫官はメリットや魅力の多い働き方ですが、人によっては「合わない」と感じる可能性があります。
そのため、転職する前にデメリットもしっかり把握しておくことが大切です。
ここでは検疫官として看護師が働くデメリットについて紹介するのでチェックしてみましょう。
検疫官は、海外からの渡航者と接する機会が多いため、特異な感染症にも遭遇しやすいです。
検疫所や相談窓口となるオフィスでは消毒を徹底しているものの、飛沫感染する危険性を伴います。
特に、港湾の船内で行う感染症検査は必ずしも清潔な環境を保てるとは限りません。
感染症対策と共に体調管理に努め、自身の健康に配慮する必要があるでしょう。
検疫官の職場は全国の空港や港湾なので、全国規模で転勤の可能性があります。
定期的に人員配置を転換するために、2~3年ほどに1回、異動となるのが一般的です。
場所によっては交通の便が悪く、自家用で通勤しなければならないエリアもあります。
既婚者や小さな子どもを育てている人は、家族間でしっかり話し合っておく必要があるでしょう。
検疫官は基本的に平日の日勤のみ働き、週末や祝日は休みです。
しかし、成田空港や関西国際空港のように、24時間体制で稼働している場合、検疫官も交代勤務で働かなくてはなりません。
「夜はしっかり休みたい」「週末は家族と過ごしたい」といった看護師は、働きにくさを感じやすいでしょう。
検疫官は特殊な職業なので、人によっては「イメージと違っていた」「思っていたとおりの働き方ができなかった」など、ミスマッチが生じるかもしれません。
ここでは検疫官として働くのに向いている看護師の特徴について下記のように紹介します。
当てはまる特徴はあるか、確認してみましょう。
空港や港湾で働く検疫官は世界各国の人と接する機会が多いので、コミュニケーション能力が必要不可欠です。
時にはボディランゲージも交えながら、必要な情報を聞き取る場面もあります。
また、海外からの渡航者にとって、慣れない日本の地での体調不良は不安を感じるものです。
問診以外にも、不安を和らげられるような関わり方も欠かせません。
積極的にコミュニケーションをとれる明るい人柄が求められる職場です。
検疫官は、重篤な感染症が疑われる患者様が発生した際、委託している感染症指定医療機関へ速やかに搬送し、隔離や停留、消毒といった措置を講じなければなりません。
もしも検疫官の判断が遅れれば、国内に感染症を持ち込んでしまうリスクがあります。
感染予防の防波堤として、いかなる状況でも冷静に判断し、臨機応変に対応できる看護師が望まれるでしょう。
福岡検疫所「検疫業務」によると、検疫所で対象となる疾患は「検疫感染症」として下記のように定められています。
| 感染症法に基づく分類 | 感染症の種類 |
| 一類感染症 | エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱、南米出血熱 |
| 二類感染症 | 鳥インフルエンザ(H5N1)、鳥インフルエンザ(H7N9)、中東呼吸器症候群 |
| 四類感染症 | デング熱、チクングニア熱、マラリア、ジカウイルス感染症 |
| 新型インフルエンザなど感染症 | 新型インフルエンザ等感染症 |
いずれも、普段から国内でよく目にする感染症ではありません。
世界各国での感染症の流行状況について、最新の情報を取り入れながらも、適切な対処法や注意したい症状などについても把握しておく必要があるでしょう。
看護師から検疫官になるには、採用試験に合格しなければなりません。
しかし、まずは応募資格を満たす必要があります。
ここでは看護師から検疫官になるにはどうすればいいのか、分かりやすく解説するので確認してみましょう。
厚生労働省の「検疫官(看護師)」によると、検疫官になるには下記の応募資格が必要であるとしています。
看護師免許は正看護師に限られ、准看護師としての経験は含まれません。
総合病院などで正職員として勤務した経験が3年以上あれば、臨床経験としては十分です。
また、自動車の運転をする可能性もあるため、普通自動車の免許も必要でしょう。
検疫官になるには、下記の書類を厚生労働省の「健康・生活衛生局感染症対策部企画・検疫課検疫所管理室人事班人事・給与係」まで提出します。
小論文のテーマは、年度によって変わるため、厚生労働省の「検疫官(看護師)」から確認しておくと良いでしょう。
検疫官の採用試験は1次試験と2次試験に分かれています。
それぞれの試験内容をチェックしてみましょう。
1次試験では、原稿用紙1~3枚ほどのレポートを提出します。
過去5年間のレポートの題材は下記の通りです。
| 2019年 | 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた感染症対策について |
| 2021年 | 感染症と水際対策について |
| 2023年 | 国民から信頼される職員とはどのような職員か。また、検疫官として国民から信頼されるためにどのように努力していくのか |
1~2カ月ほどの審査期間後、合否に関わらず連絡が来ます。
面接は厚生労働省や最寄りの検疫所で行われ、人柄や検疫官として働ける人材であるのかなど評価されます。
交通費は自分で負担しなければならないので注意が必要です。
2次試験に合格すると検疫官として採用・配属されます。
特定の資格を取得すると、検疫官に応募した際に優遇されることがあります。
看護師から検疫官への転職でおすすめの資格を紹介するので、より有利に転職を進めたい人は参考にしてみましょう。
衛生管理者とは、労働安全衛生法によって定められた国家資格です。
労働者が安全で健康的に働けるように管理する役割があるほか、労働環境の改善以外にも、感染症の予防や拡大防止などにも取り組みます。
衛生管理者の取得で身につけた知識は、検疫官としても役立てることができるでしょう。
看護師としての実務経験が1年あれば受験条件を満たせるので、取得ハードルが低いのも魅力です。
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感染管理認定看護師は日本看護協会が定める資格で、下記のような知識と技術を習得できます。
感染症の管理について専門性の高い知識やスキルを有する感染管理認定看護師は、検疫官の採用時に優遇されることがあります。
認定看護師を取得するには、5年以上の実務経験のほか、各認定分野における条件を満たし、指定の教育機関に通わなければなりません。
取得ハードルが高く、まとまった費用もかかるので、慎重に取得を検討する必要があるでしょう。
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感染管理認定看護師になるには?役割や取得までの流れ、受験資格を解説
看護師免許以外に、保健師の資格も取得していると検疫官の採用で有利にはたらきやすいでしょう。
すでに保健師の資格を取得している看護師は、積極的にアピールしたいポイントです。
ただし、これから保健師の国家資格を取得する場合、保健師養成学校に1年通学するか、大学の3年次に編入する方法があります。
ただし、取得までに最低でも1年かかるので、検疫官を目指すのに余分に1年かかってしまう点に注意してください。
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ここでは検疫官と看護師に関するよくある質問を紹介します。
検疫官として求められる臨床経験は、診療科目を問いません。
総合病院などで正職員として勤務した経験が3年以上あれば問題ないと言えます。
もしも病院で感染対策に関する委員会や係に所属していた経験があれば、アピールポイントとなるでしょう。
検疫官が働く空港や港は、多くの外国人が出入りしているので、英語力が求められる傾向にあります。
しかし、簡単な日常会話や症状を聞き出す程度の英語力であれば十分です。
近年では翻訳アプリを使ってコミュニケーションをはかることもできるので、語学力に関して気にしすぎる必要はありません。
検疫官は空港や湾口の検疫所で、検疫や衛生調査、健康相談といった業務をこなします。
採用試験に合格すれば、厚生労働省に所属する国家公務員として働けるので、安定した雇用を望む方におすすめです。
また、感染症予防の防波堤の役割も担うため、達成感ややりがいも感じられます。
積極的に採用率のアップを目指したいのであれば、保健師や感染管理認定看護師といった資格の取得も検討してみましょう。
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