
「看護計画はどうやって立てればいいの?」と困っている看護師は多いのではないでしょうか。ここでは、看護計画の項目や立て方、症例別の立案例などについて詳しく紹介します。
この記事を最後まで読み終えてもらえれば、看護計画の立案方法について分かるでしょう。
業務で看護計画の立案が必要な方はぜひ参考にしてください。
看護計画とは、患者が抱える看護の問題点を抽出し、解決を目指すのに必要な行動を計画化したものです。
ここでは看護計画の目的や必要な職場について解説します。
患者は何かしらの問題を抱えているため、医療を必要としています。
看護分野における問題点も多く、看護計画として挙げることで、今後の看護方針を明確にできるでしょう。
また、看護師はシフト勤務制なので、複数の看護師が患者のケアにあたるのが一般的です。
看護計画として患者の情報を共有すれば、一貫した看護の提供が目指せます。
看護計画は、病院に入院している患者を対象に用いられるものです。
治療・検査を目的とした短期の予定入院であっても、患者の状態に応じて「転倒転落リスク」や「術後疼痛」といった看護問題を抽出し、看護計画を立案します。
ただし、介護施設ではケアマネによるケアプラン、訪問看護では訪問看護計画に基づいて、ケアを提供します。
また、クリニック・外来に通院する患者には看護計画は立てません。
看護計画の軸となるのは看護問題であり、看護問題は「看護診断」とも呼ばれます。
患者に当てはまる問題であるか確認するには、NANDA-Iにおける「定義」「診断指標」「関連因子」と患者の状態を照らし合わせることが重要です。
ここでは看護問題の種類や優先順位の決め方について、分かりやすく解説します。
看護問題は大きく3つに分けることができますが、看護問題名(看護診断名)は数百種類もあります。
それぞれの種類の違いをお伝えするので比較してみましょう。
問題焦点型看護診断とは、「患者が現在抱えている問題点」に焦点を当てたものです。
すでに生じている問題なので、ほかの看護問題に比べて優先順位が高いと言えます。
看護診断に「症状・兆候」が記載されており、患者の状態に合うか確認しましょう。
リスク型看護診断は、「現在はまだ問題は起きていないものの、今後起こり得る可能性が高い問題点」に関するものです。
問題が生じていないため、「症状・兆候」はみられていない状態となります。
ただし、問題を引き起こす可能性がある「危険因子」が存在しているでしょう。
ヘルスプロモーション型看護診断は、「解決することで、現在よりも良好な状態につながる問題点」です。
すでに何らかの問題が起きているため、問題焦点型看護診断と同様に「症状・兆候」を確認できます。
問題解決の緊急度が低いことから、ほかの看護問題に比べて優先順位は高くありません。
複数の看護問題を抱える患者は多く、看護計画を立てるには優先順位を決める必要があります。
看護診断における優先順位は、下記の順で高くなるでしょう。
マズローの基本的欲求階層における生理的ニードに関連した問題は、生命に直結するため優先順位が高いです。
看護計画を立てるには、まず看護計画の項目について把握することが大切です。
看護計画で必要な各項目と書き方について詳しく解説するのでチェックしてみましょう。
看護問題は看護診断名と優先順位について把握しておくことが重要です。
多くの施設において、看護問題には「NANDA-I」によって承認された看護診断名が用いられます。
NANDA-Iとは、北米看護診断協会が提唱する看護診断で、13の領域に分類されるものです。
定期的に改訂され。2024年12月時点での最新版は「2024‐2026」となります。
ただし、電子カルテの更新状況によっては、最新版が導入されていないこともあり、使用する版は施設ごとに異なるでしょう。
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各看護問題は診断名に「#(ナンバー)」を用いて、優先順位の高いものを上から記載します。
例えば、最も優先順位の高い看護問題は「#1」として、リストの一番上に記載しましょう。
#1の下には#2、#2の下には#3と、優先順位に合わせて看護問題が続きます。
看護目標とは看護問題に基づいて計画的に看護を提供し、期待する患者の状態を表す項目です。
「1日30分は車椅子に乗車して過ごせる」といったように、具体的な数値を用いて設定します。
「ある程度」「一定期間」といった曖昧な表現は避けましょう。
また、無理な設定をすると目標を達成できないため、看護計画の立案も難しくなります。
看護師が業務内で対応でき、なおかつ達成可能な目標を設定することが重要です。
観察計画とは、「Observation Plan」のことを指し、「O-P」とも呼ばれます。
看護業務や検査などを通じて得た、下記のような情報を記入しましょう。
中には、患者とのコミュニケーションを通じて得られる情報も含まれています。
立案する看護問題と直結していなくても、今後新たな看護問題となる可能性があるため、詳細に記載してください。
援助計画は「Treatment Plan」のことで、「T-P」とも略されるものです。
看護問題を解決するために行う看護・ケアに関する計画をまとめたもので、看護師が業務内で行えることを挙げます。
看護業務にも直結する項目なので、ほかの看護師が見ても分かりやすく、具体的な内容を心がける必要があるでしょう。
教育計画(E-P)とは、看護師が患者に対して指導・教育を行う項目について記載します。
例えば糖尿病患者の場合、退院後も継続して血糖測定やインスリン注射、食事療法などが必要となるでしょう。
そこで、血糖測定・インスリン注射の手技や血糖コントロールの必要性などについて教育・指導します。
本来、教育・指導は患者の理解力や認知機能が保たれている場合、患者本人に行うものです。
ただし、患者の認知機能や意識レベルが低下している場合、患者の家族に指導を行うこともあります。
看護計画の立て方に悩む看護師は多いですが、順序立てて進めていくことでスムーズに立案できます。
看護計画の立て方は下記のとおりです。
それぞれの手順について詳しく解説するので、看護計画を立案する際に取り入れてみましょう。
まずは患者の状態から、看護問題を抽出・アセスメントします。
患者によっては複数の看護問題が挙げられますが、全てに対応するのは難しいです。
そのため、重要な看護問題を2~3つほどに絞って立案します。
看護目標は長期目標だけでなく、達成しやすい短期の看護目標も決めます。
長期的な目標のみしか立てていないと、達成までに時間がかかり、適切な看護計画であるのか評価するのが難しいです。
また、患者の状況が変われば新たな看護問題が発生し、作成し直す必要が出てくるでしょう。
患者の看護問題を抽出したら、問題解決のために具体的な計画を立てます。
観察計画(O-P)、援助計画(T-P)、教育計画(E-P)を記載しましょう。
また、実際に立てた看護計画に従って、ケアや観察、口頭で説明を行います。
看護計画は入院から24時間以内に立案するのが一般的です。
しかし、入院当初は患者情報が少ないため、適切な看護計画を立てられていないこともあるでしょう。
看護問題は定期的に評価し、必要があれば修正や追加を行っていきます。
看護計画は退院時に評価し、終了させる必要があります。
看護計画終了時の記載例は下記のとおりです。
| 看護計画終了のケース | 記載例 |
| 自宅退院した場合 | 症状軽快し、自宅退院のため計画終了とする |
| 転院した場合 | ○○(理由・目的)で××病院へ転院したため計画終了とする |
| 死亡退院した場合 | ○○により死亡退院したため計画終了とする |
予定退院であればプライマリーナースが事前に入力しておくが、急な退院であれば退院処理をした看護師が担当します。
ただし、記載方法は病院によって異なる可能性があるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
患者の状態に合った看護計画を立てるには、いくつかの点に注意する必要があります。
看護計画における注意点は下記のとおりです。
どのような点に注意すれば良いのか確認してみましょう。
診療方針は医師によって決定され、ケアプランはケアマネジャーが作成するものです。
患者の看護は診療方針やケアプランに従って進められていきます。
そのため、診療方針やケアプランに合わせた看護計画を作成しなければなりません。
また、患者にとって看護師は最も身近な医療従事者の一人です。
患者とのコミュニケーションや観察の際、気になる点や数値が見つかることは多いでしょう。
看護計画から診療方針やケアプランが変更となる可能性もあるため、医師やケアマネジャーに報告します。
看護計画は医師やほかの看護師、患者・家族など、さまざまな人が目にする可能性があります。
特に、医療従事者であれば医療用語や略語を知っているが、第三者には分かりにくいでしょう。
誰が読んでも分かりやすい表現で記載することが大切です。
患者が抱える看護問題は、1つのみではない場合も少なくありません。
現時点で抱えている看護問題のほか、将来的なリスクも含まれていることもあるでしょう。
同時に複数の看護問題を抱えている場合、優先順位を決めたうえで看護計画を進めていきます。
また、同じ疾患の患者だからといって、抱えている問題点や重要性が同じとは限りません。
患者の年齢や性別、家族構成など、さまざまな要素を考慮したうえで、柔軟に優先順位を決定する必要があります。
そもそも、看護問題は最終的に看護目標の達成を目指すが、目標の達成にこだわりすぎても、患者の抱える問題が根本的に解決したとは限りません。
例えば、患者の転倒・転落リスクを問題に挙げ、転倒しないことを目標にして患者の行動を制限してしまえば、筋力の低下を招いて結果的に転倒・転落リスクは高まります。
そのため、患者が抱える問題解決にも目を向け、両方が達成されるような看護計画の立案が求められるでしょう。
看護計画を立てる際は患者のできないことに着目しがちだが、ネガティブな方向に進んでしまう場合もあります。
一方、患者のできることや残存能力にも目を向ければ、ポジティブな援助計画を立てやすいです。
例えば、食事摂取量が少ない患者の場合、高カロリー食を検討することとなります。
また、なかなか食事摂取量が増えなければ、経管栄養や高カロリー輸液なども選択肢に入るでしょう。
しかし、「甘いものであれば食思が進みやすい」と分かっている場合、本人の好みに合った食事内容に調整すれば、自然食事摂取量を増やすことができます。
看護計画は「1度立ててしまえば終わり」というわけではありません。
日々の看護計画は、患者に合わせて修正や再作成を繰り返すものです。
患者の容態や状況が変化することで、新たな看護問題が生じたり、看護問題の優先順位が変わったりするケースは珍しくありません。
また、看護計画が患者に合っておらず、看護目標や援助計画を見直さなければならないこともあるでしょう。
看護計画の立案例について、症例別に紹介します。
高齢者や歩行介助が必要な状態の患者、転倒エピソードのある患者は、転倒転落リスクを看護問題に挙げることが多いです。
| 看護問題 | 高齢で身体機能が低下しており、直近で転倒エピソードがある |
| 看護目標 | 〇月〇日まで転倒や転落を起こさない |
| 観察計画(O‐P) | ・歩行状態(姿勢やふらつきの有無など) ・筋力の評価 ・生活環境(ベッド周囲の環境や履物、衣類、点滴など) ・認知機能 ・自覚症状(倦怠感やめまい、息切れなど) ・日中の活動状況 ・排泄状況(尿器やポータブルトイレの使用など) ・睡眠状況 ・服用している薬剤(睡眠導入剤や抗不安薬、利尿薬など) ・検査データ |
| 援助計画(T‐P) | ・状態に合った歩行介助を行う ・安全に歩行できる履物や衣類を選択する ・生活環境を整える ・薬剤服用後は適切な援助を行う |
| 教育計画(E‐P) | ・転倒転落リスクがあることを患者・家族に説明する ・歩行介助に必要性を患者・家族に説明する ・生活環境を整えることの必要性を患者・家族に説明する ・歩行時は看護者が付き添うためナースコールを押すように説明する |
患者の転倒転落を防ぐ目的で、日中の活動を下げてしまうと、筋力やADLの低下を招きます。
そのため、安全に歩行できるような看護計画を立てる必要があるでしょう。
また、認知力が低下しており、本人のみでは理解を得るのが難しいようであれば、家族にも説明します。
寝たきりの患者や低栄養状態の患者などは褥瘡リスクが高いため、褥瘡リスク状態を挙げます。
| 看護問題 | 寝たきりで過ごしており、褥瘡の発生リスクが高い |
| 看護目標 | 〇月〇日までに褥瘡を起こさない |
| 観察計画(O‐P) | ・ADLや安静度 ・日中の活動状況 ・皮膚の状態(乾燥や浮腫、脆弱性など) ・褥瘡好発部位の確認 ・排泄状況(失禁や下痢の有無・程度など) ・認知機能 ・嚥下機能 ・食事摂取量 ・静脈栄養や経管栄養の有無・投与量 ・IN‐OUTバランス ・検査データ |
| 援助計画(T‐P) | ・3時間ごとに体位変換や除圧を行う ・毎日清潔援助を行い、皮膚の清潔を保つ ・医師の指示に基づいて栄養管理を行う |
| 教育計画(E‐P) | ・体位変換や除圧の必要性について、患者・家族に説明する ・適切なポジショニングについて、患者・家族に説明する ・栄養摂取の重要性について、患者・家族に説明する |
褥瘡のリスクが高い場合、好発部位の皮膚の観察や予防的スキンケアなどが重要となります。
また、退院後も家族が適切なポジショニングや除圧を継続できるような教育計画も欠かせません。
ここでは、看護計画についてよくある質問を紹介します。
准看護師は看護計画を立案や評価を行うことができません。教育課程において、看護計画に関する教育を受けていないためです。
したがって、准看護師の業務範囲は、看護師が立案した看護計画の内容を理解したうえでの看護・ケアの実践にとどまります。
短期間の入院であっても、看護やケアを提供するため、看護計画の立案は必要です。
予定入院で短期間入院することが分かっている場合は、看護計画は1~2つほどしか挙げないことが多いです。ただし、なんらかの理由によってもしも入院期間が延びたり、患者の容態が変わったりした場合は、都度看護計画を見直し、修正・追加していきます。
看護問題は患者の看護方針を明確にし、複数の看護師が一貫した看護を提供するのに役立ちます。
そのため、患者の状態に合わせて抽出し、看護計画を立案しなければなりません。
患者によっては複数の看護問題が挙がる場合、すべての看護問題に重要な看護問題を2~3つほどに絞ることも大切です。
また、患者に合った看護計画を進められるように、看護計画は定期的に見直し、修正や再作成を取り入れましょう。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
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Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
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Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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