不眠症のパターンに応じた「睡眠薬」の使い分けを薬剤師が解説!

「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。

本記事は、睡眠薬についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
笹川大介(ササガワダイスケ)
薬剤師、株式会社ゆかりファーマシー取締役

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。

各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。

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不眠症とは?

不眠症とは睡眠になんらかの問題がある状態です。

寝つきが悪い、途中で目が覚めるなどのさまざまなパターンがあります。
  • 入眠困難:床についてもなかなか(30分〜1時間以上)眠りにつけない。不眠症で最も多いパターンです。
  • 中途覚醒:夜中に何度も目が覚めて、その後なかなか眠れない。
  • 早朝覚醒:朝早く目が覚めてしまい、その後なかなか眠れない。
  • 熟眠障害:眠りが浅く、ぐっすり眠った感じがしない。

睡眠薬の使い分けのポイント

睡眠薬は上記さまざまなパターンの不眠症に対して使用され、大きく3種類に分類されます。

①メラトニン受容体作動薬

②オレキシン受容体作動薬

③GABA(ギャバ)受容体作動薬(ベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)

かつてはGABA受容体作動薬が主に使用され、作用時間(効果の持続時間)で使い分けをしていました。しかし、依存性や転倒、ふらつき、翌日への持ち越し(眠気や集中力の低下)といった副作用が懸念されていました。

そのため現在では、睡眠薬の安全性が重視されるようになり、初回の治療では新しい作用機序の睡眠薬(①、②)を用いることが推奨されています。

それでは不眠症で使用される睡眠薬について具体的な使い方をみていきましょう。

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主に使用される薬

分類名:メラトニン受容体作動薬

  • 一般名:ラメルテオン(商品名:ロゼレム)
  • 一般名:メラトニン(商品名:メラトベル)

【作用】
脳に働き、体内時計を調節するメラトニンの受容体に作用して、睡眠を誘発する薬です。

【特徴】
脳内で分泌されるホルモンであるメラトニンは、睡眠や体内時計に深く関わっています。メラトニンの分泌量は夜間に多く、日中は少ないです。生活習慣の乱れや夜勤などは夜間のメラトニンの分泌を低下させ、不眠を引き起こします。

メラトニン受容体作動薬は、脳と身体を睡眠へ誘導する働きをします。自然な睡眠を促進することから、安全性が高く、依存性や転倒のリスクが少ないです。

入眠障害に対して軽度から中等度の効果を示します。

また、せん妄の発症予防効果があるといわれています。ただし、ほかの睡眠薬と比較して不眠症状の改善が劣るのがデメリットです。

メラトベル顆粒小児用は小児期の神経発達症(発達障害)に伴う入眠困難を改善する薬です。

【副作用】
他剤より副作用は少ないですが、傾眠、頭痛、めまいに注意してください。

分類名:オレキシン受容体拮抗薬

  • 一般名:スボレキサント(商品名:ベルソムラ)
  • 一般名:レンボレキサント(商品名:デエビゴ)
 

【作用】
覚醒を促す神経伝達物質(オレキシン)の働きを抑えることにより、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させ、睡眠を誘発する薬です。

【特徴】
入眠を促進する作用、睡眠を維持する作用があるため、入眠障害と中途覚醒に対して使用されます。GABA受容体作動薬と比較して、依存性や転倒のリスクが低く、有効性と安全性のバランスが取れた睡眠薬です。

【副作用】
傾眠、頭痛、疲労、悪夢、異常な夢などがあらわれることがあります。

分類名:GABA受容体作動薬(ベンゾジアゼピン系睡眠薬・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)

ベンゾジアゼピン系睡眠薬(超短時間型)

  • 一般名:トリアゾラム(商品名:ハルシオン)

ベンゾジアゼピン系睡眠薬(短時間型)

  • 一般名:ブロチゾラム(商品名:レンドルミン)
  • 一般名:ロルメタゼパム(商品名:ロラメット・エバミール)
  • 一般名:リルマザホン(商品名:リスミー)

ベンゾジアゼピン系睡眠薬(中間型)

  • 一般名:フルニトラゼパム(商品名:サイレース)
  • 一般名:ニトラゼパム(商品名:ネルボン・ベンザリン)

ベンゾジアゼピン系睡眠薬(長時間型)

  • 一般名:クアゼパム(商品名:ドラール)

非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(超短時間型)

  • 一般名:ゾルピデム(商品名:マイスリー)
  • 一般名:エスゾピクロン(商品名:ルネスタ) 
 

【作用】
脳に働き、神経の興奮を抑える物質(GABA)の働きを強めることで、眠りやすくし、睡眠障害を改善する薬です。

【特徴】
従来から睡眠薬として広く使用されています。作用時間の長さから、超短時間型、短時間型、中間型、長時間型の4種類に分類されます。入眠障害には超短時間型もしくは短時間型、中途覚醒には短時間型や中間型、早朝覚醒には中間型や長時間型を使用します。

GABA受容体作動薬であるベンゾジアゼピン系睡眠薬は、不安を抑える作用や筋弛緩作用などがあり、それが不眠症治療においてメリットになります。

一方、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、筋弛緩作用や抗不安作用がほとんどみられません。そのため、ベンゾジアゼピン系と比較するとふらつきの副作用が少ないです。

GABA受容体作動薬は、後述する副作用の観点から使用に関して注意が必要です。しかしながら、効果面では優れており、その強い鎮静・催眠効果から効果を実感しやすいです。そのため、メラトニン受容体作動薬やオレキシン受容体拮抗薬で効果が得られない場合や重度の不眠の治療で、臨床現場ではよく使用されています。

【副作用】
筋弛緩作用によるふらつきや転倒などをおこすことがあります。筋弛緩作用がほとんどない非ベンゾジアゼピン系においても、最高血中濃度到達時間※の時刻には、ふらつき、転倒などの副作用が生じやすくなります。また長期間、日常的に使用することで依存性が引き起こされます。

※最高血中濃度到達時間
薬を服用した後、血中濃度が最も高くなる時間。

一過性前向性健忘と呼ばれる副作用があります。途中で目覚めたときに起こった出来事を覚えていない、薬を飲んでから寝るまでのことを覚えていないといった症状です。

これらの症状は睡眠薬を服用したにもかかわらず寝ないでいる場合にみられます。そのため、睡眠薬は必ず就寝直前に服用するようにしてください。睡眠の途中に一時的に起床して仕事等をする必要がある場合は服用しないようにしましょう。

「離脱症状」にも注意が必要です。これは、薬を急に中止したことで起こる症状です。不安、不眠、イライラなどの精神症状と動悸、嘔気、ふるえなどの身体症状があります。

特に高齢者ではせん妄を引き起こす原因ともなるため、注意が必要です。

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さいごに

睡眠薬について、もっと知りたいことや、困っていること、そのほかにもこんな薬剤の記事が見たいなどがあればコメントしてください!

これは役立つぞ!とか現場と違うんだけど…というコメントも大歓迎です。

今回の内容はレバウェル看護公式Instagramにてイラストで簡単に解説しています。投稿はコチラ!

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プロデュース
看護師のかげ
看護師、イラストレーター。病棟で働きながら医療・看護に関するコンテンツをさまざまな媒体で発表している。 保健師、呼吸療法認定士、終末期ケア専門士。著書に「看護が苦手なかげさんのイラスト看護帖」(永岡書店)ほか。X:@877_727、Instagram:@877_727

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