
「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。
本記事は、片頭痛治療薬についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
片頭痛では、頭の片側もしくは両側のこめかみあたりにかけて強い痛みを生じます。

頭痛以外の随伴症状に、悪心や嘔吐、光過敏(光がまぶしい)および音過敏を認めることもあります。
脳の血管を取り巻く三叉神経に何らかの刺激が加わると、三叉神経から神経伝達物質のセロトニンやCGRP※と呼ばれる物質などが放出され、血管の拡張や血管周囲の炎症が起こります。その刺激が脳に伝わることで片頭痛が起こると考えられています。

急性期治療では、軽症の場合はアセトアミノフェン、NSAIDsといった鎮痛薬を、中等症や重症の場合はトリプタン製剤やジタン製剤と呼ばれる薬を頭痛時に使用します。
予防療法では、片頭痛発作の発症を抑制するために日常的に薬を使用します。
以前から、経験的に片頭痛の予防効果が認められる抗てんかん薬(バルプロ酸)や降圧薬の一部などが使用されてきましたが、2021年に片頭痛発作予防に対してCGRP関連抗体薬の使用が可能になりました。
今回は片頭痛に特化した薬であるトリプタン製剤やジタン製剤、CGRP関連抗体薬に関して詳しく使い分けをみていきましょう。



【作用】
脳血管と三叉神経にあるセロトニン受容体(5-HT1B/1D受容体)を刺激します。これにより、拡張した脳血管を収縮させたり、三叉神経からの血管作動性物質(CGRPなど)の放出を抑制することで、片頭痛発作を改善します。
【特徴】
中等度以上の片頭痛の急性期治療における第一選択薬です。トリプタン製剤の登場で、片頭痛治療は大きく進歩しました。
トリプタン製剤は服用するタイミングが重要で、頭痛が重度になってからの服用では効果が落ちます。そのため、片頭痛が起きてすぐ、痛みが軽度のうちに服用すると、効果が得やすいです。
また、トリプタン製剤のスマトリプタンは錠剤だけでなく、点鼻や皮下注射といった剤形があります。点鼻や皮下注射は、悪心・嘔吐を伴う片頭痛患者、重度の頭痛が起こっている患者や内服薬で十分な効果が得られない場合には有用です。
効果が不十分な場合には、投与量を増やす、もしくはほかのトリプタン製剤への変更を行います。
トリプタン製剤は、あくまで片頭痛発作の治療薬です。予防目的での使用はできません。
【副作用】
眠気が起こることがあります。自動車の運転など、危険を伴う機械の操作をしないでください。喉や胸に圧迫感や締め付け感があらわれたり、めまいなども起こることがあります。
【禁忌】
血管収縮作用により虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管障害(脳梗塞)がある人は、病状が悪化する可能性があるため禁忌です。
一般名:ラスミジタン(商品名:レイボー)
【作用】
セロトニン受容体(5-HT1F受容体)を刺激し、三叉神経からCGRPなどの神経伝達物質の放出を抑制することで、片頭痛発作を改善します。
【特徴】
2022年4月に販売された新しい作用機序の片頭痛治療薬です。トリプタン製剤に比べ血管収縮作用が少ないため、トリプタン製剤を導入できない心血管リスクの高い患者にも使用しやすい薬です。
現時点でトリプタン製剤より有効性が高いというデータはないため、トリプタン製剤で効果が見られなかった、もしくは副作用や禁忌で使用できなかった場合に選択されます。
【副作用】
めまい感や眠気があらわれることがあります。そのため、ラスミジタン服用後は自動車の運転など危険を伴う機械の操作をしないでください。
めまい感や眠気は、服薬後1時間以内に起こることが多く、数時間でおさまると報告されています。また、初めての服用時に最も起こりやすいです。
抗CGRP抗体薬

【作用】
神経伝達物質であるCGRPに結合して、その働きを抑えることで、片頭痛の原因となる血管の拡張や血管周囲の炎症を抑制します。
抗CGRP受容体抗体薬
一般名:エレヌマブ(商品名:アイモビーグ)
【作用】
CGRPの代わりにCGRP受容体に結合することでCGRPの働きを抑え、片頭痛の原因となる血管の拡張や血管周囲の炎症を抑制します。
【特徴】※抗CGRP抗体薬と抗CGRP受容体抗体薬に共通する特徴です。
CGRP関連抗体薬は注射薬であり、片頭痛の予防で使用されます。使用に関しては厳しい条件があります。
具体的には、片頭痛日数が1ヵ月に平均4日以上、既存の治療で効果不十分、副作用などで継続できないなど、患者の適応条件が設けられています。処方医の要件も、頭痛診療の経験が5年以上で、日本頭痛学会などの専門医であることが必要です。そのほか費用が高い問題があります。
原則すべての薬剤で4週に1回の皮下注射が必要ですが、自己注射も認められています。
効果については、反復性片頭痛で50%の反応率、つまり約半数の患者で頭痛回数が半分以下になり、約10人に1人で頭痛が消失するという臨床試験の結果があります。
一般的に最低3か月間(できれば6か月間)ほど継続投与して、そこで一度、効果判定します。効果に乏しい場合には、他剤への切り替えを検討します。
【副作用】※抗CGRP抗体薬と抗CGRP受容体抗体薬に共通する副作用です。
最も多い副作用は注射部位反応です。注射をした部位に痛みや発赤、かゆみ、腫れなどが生じます。多くは数日以内に消失しますが、治らないようなら受診をしてください。
片頭痛治療薬について、もっと知りたいことや、困っていること、そのほかにもこんな薬剤の記事が見たいなどがあればコメントしてください!
これは役立つぞ!とか現場と違うんだけど…というコメントも大歓迎です。
今回の内容はレバウェル看護公式Instagramにてイラストで簡単に解説しています。投稿はコチラ!
▼連載はバナーをTAP!
熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載
コメントはありません