
「夜勤の72時間ルールってどのようなもの?」「聞いたことはあるけれどよく分からない」と疑問に感じている看護師は多いのではないでしょうか。
ここでは、看護師の夜勤における72時間ルールの概要やメリット・デメリットなどについて詳しく紹介します。
この記事を最後まで読み終えてもらえれば、72時間ルールがどのような仕組みなのか分かり、自分に合った働き方に役立てられるでしょう。
夜勤の72時間ルールについて知り、働き方を調整したい方はぜひ参考にしてください。
72時間ルールとは、看護師1名あたりの平均夜勤時間を72時間以内にすることです。
平均夜勤時間が72時間を超えた場合、病院に支払われる報酬(入院基本料)が減らされます。
ここでは、看護師の夜勤における72時間ルールの背景や必要なルールなどについて、分かりやすく解説するので確認してみましょう。
2006年度の診療報酬改定では「7対1入院基本料」が導入され、患者様7名に対して看護師1名を配置することで、診療報酬が多く支払われる仕組みです。
7対1入院基本料を満たす条件の一つとして、「72時間ルール」が定められました。
平均夜勤時間のルールを定めるにあたって、日本看護協会は64時間を主張していたものの、病院団体の反発があり、72時間で合意にいたった経緯があります。
日本医療労働組合連合会の「2024年度 夜勤実態調査結果(P8)」によると、長時間夜勤の健康リスクとして下記を挙げています。
| 期間 | 健康リスク |
| 短期 | 慢性疲労や感情障害 |
| 中期 | 循環器疾患や糖尿病 |
| 長期 | 発がん性(乳がん、前立腺がん) |
また、夜勤や長時間労働の業務は、酒気帯び運転と同等以上のリスクがあることも指摘されています。
72時間ルールは、こうした健康被害を防ぎ、安全に働ける環境を保つために重要な役割を果たすでしょう。
日勤と同程度の夜勤看護師が必要とされる下記のような病棟は、72時間ルールが適用されません。
救命救急センターやICU、HCU、NICUといった高度急性期病棟です。
ただし適用外であっても、看護師の健康管理や安全な夜勤体制が求められるのは同じです。
厚生労働省の「疑義解釈資料の送付について」によると、夜勤時間帯を「午後10時から翌朝5時までの時間帯を含む連続した16時間」と定義しています。
看護師が72時間ルールを順守した場合の夜勤回数について、勤務体制ごとに紹介するので確認してみましょう。
2交代制の場合、、夜勤は1回あたり16時間前後となるのが一般的です。
72時間ルールを適用すると、1カ月に入れる夜勤の回数は4回が目安となります。
3回で約48時間、4回で64時間となり、5回にすると80時間を超え、72時間ルールの範囲外となるためです。
3交代制では、準夜勤(16:00〜0:00)と深夜勤(0:00〜9:00)に分かれ、1回あたりの夜勤時間は8時間前後です。
そのため、1カ月当たり9回まで夜勤に入ることができます。
ただし、準夜勤と深夜勤が交互に続くと生活リズムが大きく乱れ、疲労が蓄積しやすくなるため、多くの現場では4〜6回程度に調整されていることが多いでしょう。
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夜勤専従の場合、72時間ルールが適用されず、労働基準法上の制限もありません。
しかし、日本看護協会では「夜勤専従者の夜勤時間数の上限(月144時間程度)が必要である」としています。
月144時間は2交代制の夜勤9回分に相当し、1カ月あたり9回程度が夜勤回数の目安となるでしょう。
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72時間ルールが設けられているのは、単に夜勤回数を制限するためではなく、看護師が安心して働き続けられる環境を整えることを目的としています。
看護師の夜勤における72時間ルールのメリットは下記のとおりです。
それぞれのメリットについて詳しく紹介するので、どのようなメリットが期待できるのか確認してみましょう。
夜勤の回数が多いと疲労やストレスによって心身への負担が増え、さまざまな不調が生じやすくなります。
また、過度な疲労感は仕事への集中力が欠け、ミスにつながるケースも少なくありません。
72時間ルールによって、夜勤の回数が減れば、看護師の心身への負担軽減により、仕事に集中できる環境が整います。
夜勤は体内時計の乱れや疲労蓄積を引き起こしやすくなり、無理な働き方が続くと体調を崩して離職につながるかもしれません。
72時間ルールは看護師の健康リスクを減らすため、現場の看護師として長く働き続けることができます。
また、適切な休息は身体的・精神的負担が軽減し、仕事とプライベートの両立を目指せ、長期的な働き方に良い影響をもたらすでしょう。
72時間ルールは夜勤回数を適正化することで、看護師が自分に合った働き方を選びやすくなるでしょう。
近年では休日にほかの職場でアルバイトをしたり、在宅で働いたりと、副業に挑戦する看護師が増えています。
また、規則的に休息が取れるため、スキルアップの時間も確保しやすくなり、キャリアの選択肢を広げることも可能です。
72時間ルールには、看護師の健康を守るという大きなメリットがある一方で、現場にとっては課題となる部分もあります。
看護師の夜勤における72時間ルールのデメリットは下記のとおりです。
各デメリットについてお伝えするので、前述したメリットと比較してみましょう。
72時間ルールが導入され、夜勤回数が制限されると、これまで72時間以上夜勤に入っていた看護師は、夜勤手当を含む総収入が下がりかねません。
「積極的に夜勤の回数を増やして収入をアップしたい」と考える看護師にとって、72時間ルールは収入アップの妨げになります。
また、下がった収入は副業で補う方法もあるものの、Wワークによる過重労働がかえって看護師の負担につながる場合もあるでしょう。
72時間ルールによって看護師1名あたりの夜勤回数を減らすと、夜勤に入れる看護師の人数が不足します。
夜勤ができる看護師の人数が限られ、人員が足りないまま夜勤を回した結果、現場の負担が増えることとなるでしょう。
病院によっては夜勤専従の看護師を採用したり、夜勤手当を増額したりといった対策を行っているものの、看護師の離職につながる可能性もあります。
72時間ルールを満たして働くには、正確にルールの内容を把握する必要があります。
ここでは、夜勤看護師の72時間ルールに関する注意点を紹介するので、どのような点に注意した方が良いか確認してみましょう。
72時間ルールは、実際に働いた時間ではなく「病院が定める所定労働時間」を基準に計算されます。
そのため、残業時間は除外して計算しなければなりません。
その一方で通常の休憩時間は勤務時間に含まれ、除外せずに月平均夜勤時間を計算します。
勤務する看護師の月平均夜勤時間が72時間ルールを超えた場合、ペナルティとして入院基本料が減算となります。
ただし、72時間ルールはあくまで診療報酬によって定められたルールであり、法的な規制ではありません。
全ての病院で72時間ルールに従って、看護師の夜勤回数が組まれているとは限らない点に注意してください。
72時間ルールは、あくまで病棟看護師全体の平均夜勤時間を対象としています。
そのため、看護師一人一人の夜勤の上限を定めているわけではなく、一部の看護師の夜勤の負担が集中する現状に対する根本的な解決策とは言いにくいです。
しかし、看護師の働き方の改善についてさまざまな議論がされており、将来的に看護師の負担軽減が目指せる法規制が取り入れられる可能性があります。
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看護師の夜勤はきつい?その理由や対処法、日勤で活躍できる職場も紹介!
ここでは、夜勤看護師の72時間ルールについてよくある質問を紹介します。
夜勤専従とは夜勤のみの勤務形態を指し、原則として日勤は行いません。
ただし、日勤看護師の急病などやむを得ない場合に限り、日勤を行った程度であれば、夜勤専従者とみなされ、差し支えないとされます。
頻繁な日勤は想定されておらず、月に1回程度の頻度にとどまるでしょう。
夜勤回数を増やして収入を上げたい場合、72時間ルールが適用されない病棟への部署異動や転職がおすすめです。
また、効率よく夜勤で稼げる勤務形態として、夜勤専従も選択肢に入ります。
単発で夜勤バイトを掛け持ちするという方法もあるものの、雇用先の規定や労働基準法に抵触しないように注意が必要です。
72時間ルールは、看護師1名あたりの平均夜勤時間を72時間以内に定めることで、看護師の心身の負担に配慮した診療報酬上の仕組みです。
夜勤回数が制限されるため、1か月あたりの夜勤回数は2交代制であれば4回前後、3交代制なら9回前後になります。
また、夜勤専従の場合は72時間ルールが適用されませんが、日本看護協会によって月144時間程度の上限を求めており、2交代制であれば9回程度が目安です。
夜勤回数が制限されることで、健康リスクが軽減し、看護師として長く働けるほか、自分に合った働き方を選びやすくなるでしょう。
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