
「看護過程ってどのように展開すればいいの?」「アセスメントの書き方が分からない」と戸惑っている看護師は多いのではないでしょうか。
ここでは、看護過程におけるアセスメントの書き方や構成する5つのステップなどについて詳しく紹介します。
この記事を最後まで読み終えてもらえれば、看護過程を展開し、アセスメントの書き方が分かるでしょう。
質の高いケアの提供のために、看護過程の基礎をしっかり学びたい方はぜひ参考にしてください。
看護過程とは、患者様の問題を整理し、どのような看護を提供すべきかを論理的に導き出すためのプロセスです。
看護師は看護過程を展開することで、患者様の置かれている状況や抱えている課題を把握し、患者様にとって必要なケアの提供に活かせます。
看護過程を正しく使うことで、個別性の高い看護が可能になり、根拠のあるケアにつながるでしょう。
看護過程は一つの手順で完結するわけでなく、5つのステップによって成り立つ思考プロセスです。
どれか一つだけを切り取って行うのではなく、段階を踏みながら患者様の状態を理解し、看護を展開していく視点が重要となります。
それぞれのステップについて分かりやすく解説するので確認してみましょう。
アセスメントでは患者様の状態を正確に把握するために必要な情報を収集・分析を行い、看護過程の最初のステップです。
バイタルサインや検査データといった客観的情報だけでなく、患者様が訴える症状や不安などの主観的情報も重要となります。
収集した情報を取り扱う際は、個人情報の保護や守秘義務の順守について配慮することが大切です。
看護診断は、収集した情報をもとに患者様が抱える看護上の問題を言語化します。
患者様の生活への影響や心理面、セルフケア能力の不足など、看護の視点で患者様の抱える問題を捉えましょう。
また、問題を正確に診断できれば、その後の看護計画が立てやすくなり、より個別性の富んだケアが目指せます。
抽出した看護問題に対して、問題解決の目標と共に看護計画を立案します。
具体的な看護計画は下記のとおりです。
達成可能な目標を長期的、短期的な内容でそれぞれ設定しましょう。
また、看護計画は一度立てて終わりではなく、患者様の状態に応じて柔軟に修正していく必要があります。
立案した看護計画に基づいて、バイタルチェックや処置、日常生活援助、教育など、患者様に必要な看護ケアを実行します。
ケアを提供する際は、観察項目を意識しながら、ケア中の患者様の変化を把握することが重要です。
ケアを実施する過程で得られた新しい情報は、次の評価につながる大切な判断材料となります。
看護計画はケアを提供して終結するわけではありません。
実施したケアが目標を達成できたのか評価し、目標を達成できなかった場合、問題点や改善点を客観的に分析します。
また、必要に応じて、目標の見直しやケアの追加など看護計画の修正も行いましょう。
看護過程のアセスメントでは、患者様の状態を多角的に理解するために「主観的情報」と「客観的情報」の両方を収集する必要があります。
ここでは、主観的データと客観的データについて紹介するので、それぞれの違いを比較してみましょう。
主観的情報とは、患者様が自ら話した内容や感じている症状、心理状態など、本人の言葉や表情から得られる情報のことです。
痛みの強さ、不安や恐怖、生活上の困りごと、療養への希望などはすべて主観的情報に含まれます。
ご家族の言動や訴えも主観的情報に該当し、観察やコミュニケーションが情報収集のための手段となるでしょう。
客観的情報とは、バイタルサイン値や検査データ、身体所見、画像所見、服薬状況、食事・排泄・睡眠の状態など客観的に得られる情報です。
病状の変化を見逃さないための重要な指標の一つとなります。
主観的情報と異なり、客観的な事実に基いているため、公平性を確保した情報収集が可能です。
質の高いアセスメントに仕上げるには、情報収集や患者様の状態を整理する思考が欠かせません。
看護過程におけるアセスメントの書き方は下記のとおりです。
それぞれの書き方について分かりやすくお伝えするので、アセスメントの際に参考にしてみましょう。
アセスメントを書くためには、まず必要な情報を正確かつ網羅的に集める必要があります。
具体的には下記のとおりです。
カルテから収集できない情報は、患者様とのコミュニケーションを通じて収集しましょう。
収集した情報をそのまま羅列するだけでは患者様の全体像をつかみにくいです。
そのため、看護理論の枠組みを活用して情報を整理し、患者様の抱えている問題点やリスクを抽出しやすくなります。
臨床ではヘンダーソンの14の基本的ニードや、ゴードンの11の機能的健康パターンといった看護理論が用いられることが多いです。
アセスメントを明確にするためには、主観的情報(Sデータ)と客観的情報(Oデータ)を分けて整理することが大切です。
それぞれを区別することで、「患者様がどう感じているか」と「身体がどう反応しているか」が把握しやすくなります。
また、誰が読んでも分かりやすい内容にまとまるように、それぞれの情報は正しく整理しましょう。
アセスメントに患者様の主観や推測を交えてしまうと、看護の質が低下するだけでなく、誤った看護計画の立案につながりかねません。
自分の印象だけで判断せず、患者様の言葉や観察できた具体的な行動を記述することで、客観性の高いアセスメントにつながります。
例えば、「頭が痛そうに見える」という記載は看護師の主観となってしまうため、「頭が痛い」というSデータか、「頭を抱えて苦悶様の表情が見られる」といったOデータを記載しましょう。
個別性のある看護問題を捉えるには、患者様を「疾患」だけでなく「一人の生活者」として理解する視点が欠かせません。
特に下記のポイントを意識してみましょう。
総合的に考えることで、同じ疾患でも異なる看護ニーズを見つけることができるため、看護計画の立案の際にお役立てください。
入院している患者様は、さまざまな理由によって精神的に不安定に陥りやすくなります。
具体例は下記のとおりです。
また、表情の変化や発言内容だけでなく、不眠や食欲低下といった行動の変化にも目を向けることで、患者様の心理状態を深く把握でき、適切なサポートに活かせます。
患者様には生活習慣、ご家族構成、職業、経済状況、社会的サポートといった背景があり、治療に大きく影響します。
同じ疾患を抱える患者様であっても、「一人暮らし」「子育て中」「介護者が必要」「仕事を休めない」など、背景の違いによって必要な支援は大きく変わるでしょう。
そのため、患者様の病状だけでなく、患者様の退院後の生活を見据えた看護計画の立案やケアが必要不可欠です。
病院に入院している患者様は急変しやすいため、合併症リスクを見極めることが看護の質を左右します。
しかし、合併症リスクは疾患そのものだけでなく、患者様の生活習慣や身体的特性、既往歴なども影響するでしょう。
例えば、高齢者の場合、成人に比べて廃用症候群や転倒リスクなどが挙げられます。
したがって、どのような合併症のリスクが考えられるのか、しっかりアセスメントする視点が大切です。
看護過程をより論理的に展開するためには、看護理論の活用がおすすめです。
看護過程の展開で用いられる看護理論として、下記が挙げられます。
それぞれの看護理論の特徴や強みを確認してみましょう。
ヘンダーソンの14の基本ニードは、アメリカの看護師、看護研究者、看護理論家のヴァージニア・ヘンダーソンが提唱しました。
人間の基本的な欲求を14のニード(呼吸、食事、排泄、体位、睡眠、衣服、体温、清潔、危険回避、コミュニケーション、信仰、仕事、遊び、学習)に分類した看護理論です。
これらのニードを基準に情報を整理することで、日常生活にどのような支障があるかを明確にできます。
ゴードンの11の機能的健康パターンは、アメリカの看護学者・看護理論家のマージョリ・ゴードンによって提唱されました。
11のパターン(健康知覚・健康管理、栄養・代謝、排せつ、活動・運動、睡眠・休息、認知・知覚、自己知覚・自己概念、役割・関係、性・生殖、コーピング・ストレス耐性、価値・信念)に基づいてアセスメントを実施します。
身体面・心理面・社会面をバランスよく整理できるため、より深いアセスメントが目指せるでしょう。
アメリカの看護理論家、教授、著述家であるシスター・カリスタ・ロイは、「適応理論」を提唱し、人間の適応力に着目しました。
適応の状態は、「適応様式」「自己概念様式」「役割機能様式」「相互依存様式」の4領域に基づいてアセスメントを実施します。
適応理論を用いることで、適応がうまくいっていない部分を早期に把握し、支援が必要な領域を明確にできるでしょう。
アメリカの看護師であるドロセア・オレムは、「セルフケア理論」を提唱し、患者様が自分自身で健康を管理するためのセルフケア能力に焦点を当てました。
セルフケアの要件として、「普遍的セルフケア」「発達的セルフケア要件」「健康逸脱に対するセルフケア要件」が挙げられます。
セルフケア理論を活用することで、患者様のセルフケア能力を伸ばす支援が可能となるでしょう。
看護過程に苦手意識のある看護師は、普段から看護過程を書くトレーニングを取り入れてみましょう。
看護過程に必要な思考を鍛えることで、現場でもスムーズに看護過程を展開しやすくなります。
ここでは、看護過程を書くトレーニング方法を紹介するので、ぜひお試しください。
看護過程は、実際の患者様をもとに書くのが学びになりやすいため、受け持つ機会が多い疾患を題材にするのがおすすめです。
肺炎、心不全、脳梗塞、糖尿病など、一般病棟で遭遇しやすい疾患は典型的な症状・看護問題が想定しやすく、トレーニングに向いています。
疾患の病態を簡単にまとめ、起こりやすい問題から看護計画の立案を繰り返すうちに、問題抽出の型を自然と身につけやすくなるでしょう。
看護過程を書くには、観察したフィジカルアセスメントと看護問題がしっかり結びついていることが大切です。
バイタルサイン値や検査データ、身体所見といった客観的情報から、どのような問題が推測できるのか意識しながら患者様の状態を把握しましょう。
例えば、「SpO₂低下」→「呼吸パターンの変化」→「呼吸困難感の訴え」と、観察項目からアセスメントすることで、看護問題の立案につながります。
日頃の業務で得た情報を小さくメモし、後から看護過程にまとめる習慣を付けると上達が早くなるでしょう。
先輩看護師の記録は実践的な学びが得られるため、看護過程の視点から読んでみましょう。
「なぜこの看護問題を挙げたのか」「どのような根拠でケアを選択したのか」と意識することで、看護過程の構造が理解しやすくなります。
また、不明点を先輩に質問し、思考のプロセスが理解できれば、アセスメントの幅を広げるのに役立つでしょう。
ここでは、看護過程についてよくある質問を紹介します。
看護過程の展開では個人情報を取り扱うため、AIツールの活用は避けた方が無難です。
また、業務中はスマホやパソコンでAIツールを使用した看護過程の展開は現実的ではないでしょう。
そもそも、患者様の状態を観察し、看護師自身が判断するプロセスは、AIで代替することができません。
S情報として記入するのは患者様の言動や訴えであり、看護師自身の発言や主観的な推測はS情報に含まれません。
看護師が患者様に対してかけた言葉は、S情報には記載せず、患者様の返答をS情報に記入します。
看護師が得られた情報から判断した内容を記入するのはアセスメント欄です。
看護過程は、「アセスメント→看護診断→看護計画→看護ケアの実施→看護の評価」の5つのステップで構成されており、手順を踏んで展開していく思考プロセスです。
中でもアセスメントは、患者様の情報をしっかり収集し、看護理論に基づいて情報を整理することで、質の高い看護ケアにつなげられます。
特に、個別性のある看護問題を捉えるには、患者様の生活背景にも目を向ける視点が欠かせません。
また、看護過程に苦手意識のある方は、普段から看護過程を展開するトレーニングを取り入れましょう。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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