
看護師は年齢による資格の有効期限がないため、60歳以降でも看護師として働くことができます。
この記事では、看護師が定年後のキャリア選択をするうえで大切なポイントを解説します。
看護師は60歳を過ぎても、資格を活かして働ける職種です。定年後も勤務を続けている人は増えており、これまでの経験を活かせる職場も多くあります。ここでは、看護師資格の年齢制限や60歳以上の看護師の割合、年金、報酬改定について説明します。
看護師免許には年齢による有効期限がないため、60歳以上でも資格を活かして働くことができます。定年を迎えた後も、勤務先を変えたり、勤務日数を減らしたりしながら看護師を続けることが可能です。これまでの病院や訪問看護などで積み重ねた経験を活かし、自分の体力や生活状況に合わせて働き方を選べる点は、長く看護師を続けるうえで大きな特徴です。
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平成25年4月1日から、高齢者が年齢を重ねても働き続けられるよう、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の一部が改正されています。厚生労働省の「リーフレット」によると、主な措置は次の3つです。
これらの措置によって、60歳で定年を迎えた後も勤務を続けられる仕組みが整えられています。ただし、実際の制度や勤務条件は職場によって異なるため、定年後の勤務を考える際は、自分の勤務先がどの制度を採用しているか確認しておきましょう。
60歳以上で働く看護師は、以前と比べて増えています。日本看護協会の「(7)看護職員の年齢階層別百分率(平成30年末、令和6年末)」では、どちらの割合も上昇しています。
| 看護師の年齢層 | 平成30年末 | 令和6年末 |
| 60~64歳の割合 | 4.7% | 6.2% |
| 65歳以上の割合 | 2.7% | 4.4% |
参照:日本看護協会「(7)看護職員の年齢階層別百分率(平成30年末、令和6年末)」
定年を迎えた後も資格を活かして働く人は珍しくありません。定年70歳を設ける職場もあるため、60歳以降も看護師として勤務を続ける選択肢が広がっていることが分かります。
年金の受給開始は基本的に65歳からです。日本年金機構の「主要統計令和7年度3月」によると、老齢給付金の平均年金月額は5万9,657円、厚生年金保険(第1号)老齢給付の平均月額は15万4,747円でした。定年後にゆとりのある暮らしをしたい場合は、年金だけで生活するのではなく、再雇用で勤務を続けたり、パート・アルバイトとして働いたりして給料を得る方法もあります。
総務省統計局の「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要(p20)」によると、65歳以上の無職世帯では、世帯人数によって毎月の生活費に違いがあります。主な生活費は以下のとおりです。
65歳以上の一人暮らしにかかる1ヶ月分の生活費はおよそ15万円であることがわかります。定年後の生活に必要な金額を考える際は、自分が一人暮らしか夫婦世帯かによって必要な資金を分けて考えることが大切です。定年後の生活費を準備する際は、年金や勤務による収入だけでなく、貯蓄からどの程度補う必要があるのかも確認しておくと安心です。
令和6年度の報酬改定では、看護職員の処遇改善に加えて、在宅医療や訪問看護、入退院支援など、地域で患者さんを支える取り組みも進められています。こうした地域医療の充実によって、病院だけでなく訪問看護や在宅医療を支える職場でも看護師の経験が求められます。長年の勤務で培った知識を地域医療に活かす働き方も選択肢の1つです。
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介護施設では、主に支援を必要とする高齢者の方に対して、日常生活のケアを行います。医師の診療補助がある施設もありますが、基本的に急患対応はなく、勤務先によっては夜勤のない働き方も可能です。そのため、病院に比べて看護業務の予定を立てやすく、利用者さんにじっくり向き合った看護を提供できる施設が多い傾向にあります。
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訪問看護では、利用者さんのご自宅に訪問し、療養の支援を中心に行います。特定の診療科に限定されないのはもとより、基本的には1人で業務を行うので、幅広い看護技術や知識が求められます。長期間にわたって利用者さんやそのご家族の人生に寄り添うため、これまでに培ってきた臨床経験を活かすことができます。夜勤がない職場が多いため、体力的にも無理のない範囲で働くことが可能です。
クリニックは基本的に夜勤がなく、日勤メインで働けます。そのため、夜勤がある病院で働くのは体力的に厳しいという看護師にもおすすめの職場といえます。なお、診療科の中でも、内科や産婦人科、皮膚科などは定年を迎えた看護師が働きやすく、これまで培った知識や経験を存分に活かせます。パート求人も多数あるため、仕事を見つけやすいのも特徴です。
健診(検診)センターは健康診断を行う施設です。業務内容は、採血や身長・体重・腹囲測定などの一般的な健康診断だけではなく、人間ドックのような胃・大腸内視鏡検査の介助やCT・MRI補助など、多岐にわたります。専門スキルを求められることもありますが、病棟看護師としての経験があれば基本的に働けます。
病棟看護師と比較すると給与は少なめかもしれませんが、繁忙期のみの勤務や1日からの就業などもあるため、定年後も働きやすい職場だといえます。
保育園・幼稚園で働く看護師は、園児・職員の健康管理や健康診断を主に行います。また、体調不良や怪我の対応、感染症の予防対策なども看護師の仕事です。小児科での勤務経験がある場合は、今までの臨床経験や知識を活かせる場面もあります。保育サポートを行う場合もあるため、子どもが好きな方は視野に入れてみてください。
一般企業の産業看護師は、社員の健康管理や保健指導、メンタルヘルス管理などを中心に行います。また、健康診断や産業医との連携も重要な業務です。平日かつ日勤の勤務がほとんどで、医療行為を行う機会も少ないため、精神的・体力的にも余裕を持って働けるといえます。
地域包括センターでは、高齢者やその家族から健康や介護に関する相談を受け、必要な支援につなげます。看護師として培った地域医療や高齢者への対応経験を活かせる仕事です。地域の医療機関や介護サービスと連携しながら地域住民を支える一方、自治体や運営法人によっては正社員ではなく、契約社員やパートなどの非正社員として募集される場合もあります。
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60歳以降も看護師として働くためには、これまでの経験だけでなく、収入や健康面、生活とのバランスも考えておく必要があります。ここでは、定年前から取り組んでおきたいキャリア形成や資金計画、健康管理などについて紹介します。
60歳以降にどのような生活を送りたいのかを考え、その希望から逆算してキャリアを組み立てることが大切です。定年後も常勤を続けるのか、勤務日数を減らすのか、訪問看護など別の分野へ移るのかによって、必要な経験や準備も変わります。今後の生活に必要な収入や働く時間を整理し、自分に合う方向性を考えておくのがおすすめです。
60歳以降の生活では、給料や年金だけでなく、退職金や貯蓄も含めて収入と支出を考える必要があります。年金の受給開始まで勤務を続けるのか、年金受給後も仕事をするのかによっても資金計画は変わります。毎月どの程度の生活費が必要になるのかを把握し、退職金や年金だけに頼らない資金計画を早めに立てておくことが重要です。
60歳以降の勤務では、自分より年齢が若い看護師が上司や同僚になることもあります。これまでの経験や立場にとらわれず、相手の意見を聞きながら関係を築くコミュニケーション力を身につけておくことが大切です。日頃から看護師同士だけでなく、医師や介護職などさまざまな立場の人と関わり、人脈を広げておくと、新しい職場でも年齢差を意識しすぎず円滑に仕事を進めやすくなります。
長年の勤務で身につけた看護技術や知識を後輩に分かりやすく伝える力も高めておきたい能力の1つです。新人看護師への指導や後輩の相談対応などを経験しておくと、これまでの知識を周囲に伝える機会が増えるかもしれません。自分で業務を行うだけでなく、相手の理解度に合わせて教える経験を重ねることで、指導力や育成力を身につけられます。
60歳以降も看護師として勤務を続けるには、自分自身の健康状態を把握しておくことが大切です。長時間の立ち仕事や夜勤など、勤務による身体への負担も考えながら、無理なく続けられる体力維持の方法を見つけておきましょう。自分の体調に合わせて継続できる健康管理の方法を考えることがポイントです。
勤務日数や時間、仕事内容、通勤距離など、自分が大切にしたい条件を整理しておくと判断しやすくなります。たとえば「収入を優先する」「体への負担を減らす」「看護師として働き続ける」など、希望する条件を書き出して優先順をつけるのもおすすめです。条件に優先順位をつけることで、求人を比較する際にも自分に合う職場を選びやすくなります。一人で考えることが難しい場合は、転職エージェントを活用し、相談してみるのも1つの方法です。
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60歳以降の勤務先を探す際は、年齢だけでなく、雇用条件や仕事量などを確認することが重要です。これまでの経験を活かしながら無理なく働ける求人を選ぶために、応募前に確認しておきたいポイントを紹介します。
60歳以上の看護師求人では、正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトなどの雇用形態や、准看護師を対象とした求人もあります。定年後の再雇用では、定年前と比べて給料や手当が変わり、年収が下がる可能性もあります。契約期間や更新の有無、勤務日数、勤務時間、休日などを確認し、自分が希望する働き方と合っているかを調べておきましょう。
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60歳以降も看護師として勤務を続けるなら、担当する患者さんの人数や業務内容、夜勤の有無など、仕事量を確認しておくことが大切です。これまでの経験を活かせる仕事でも、身体的な負担が大きければ長く続けるのは難しくなります。勤務時間や休憩時間も含めて、自分の体力や健康状態に無理のない業務量かを考えながら求人を選ぶのがおすすめです。
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ここでは、60歳からの働き方に迷う看護師によくある質問を、Q&A形式で紹介します。
看護師免許には年齢による上限がないため、60歳や65歳を過ぎても働くことができますが、実際の勤務可能な年齢は、職場の定年や雇用契約によって異なります。定年制を設けている職場では、定年後に再雇用制度を利用できる場合もあります。長く働きたい場合は、勤務先の制度を確認しておきましょう。
65歳からも看護師として働く場合は、仕事内容だけでなく、勤務時間や夜勤の有無、業務量などにも注意が必要です。長年の経験を活かせる仕事でも、身体的な負担が大きければ勤務を続けることが難しくなる場合があります。また、年齢を理由に周囲とのコミュニケーションを避けるのではなく、若い看護師や上司とも協力しながら働く姿勢が大切です。
定年後に転職先を探す場合は、求人サイトで条件を指定して検索する方法に加え、転職エージェントを利用する方法があります。転職エージェントでは、一般に公開されていない求人を紹介してもらえる場合があり、60歳以上でも応募できる求人を探す際にも活用できます。これまでの経験や希望する勤務日数、仕事内容を伝え、自分に合う求人を紹介してもらいましょう。
60歳以降も看護師免許を活かして働くことは可能です。介護施設や訪問看護、クリニックといった、働き方の選択肢も多くあります。定年前からもらえる年金や必要な生活費、健康状態を踏まえて人生設計を考え、自分に合う勤務条件を整理しておくことが大切です。これまでの経験を活かしながら、無理なく続けられる働き方を探しましょう。
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