アナムネとは?実際に聴取する流れやうまくいく4つのコツを解説

入院時に看護師が行う重要な業務である「アナムネ」。

初対面の患者さんに行うため、苦手にしていたりうまく話を聞けずに悩んだりする看護師も多いでしょう。

この記事ではアナムネの流れやうまくいくコツを解説します。
アナムネで患者さんの話をうまく聞きたい看護師や、ほかの業務に支障をきたさないようにスムーズにアナムネを進めたい看護師は、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
西川正太
看護師/保健師/保育士

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている

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アナムネとは

アナムネとは、アナムネ―ゼの略称であり、ドイツ語で既往歴を意味するAnamneseが由来とされています。

アナムネでは、治療や手術などを予定している患者さんや家族に、病気の経過や既往歴のほかに、家族構成や仕事などの社会的背景を尋ねて情報収集します。

臨床の場では「アナムネを聴取する」「アナムネを取る」などと言います。

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アナムネの目的

アナムネは、患者さんが入院した当日に30分程度で行われます。アナムネを行う目的は、主に以下の4つです。

  • 情報収集を行い、患者さんの状態を把握する
  • 生活環境や日常生活動作などを聴取し、入院中のケアに役立てる
  • 検査や手術、入院中の予定などの理解を促す
  • 社会的背景を把握して、個別性のある退院指導に役立てる
アナムネを行う目的についての図解イラスト

アナムネは入院してすぐ行われることが多いため、患者さんとの信頼関係を築ける第一歩として重要です。うまく話を進められると、緊張している患者さんに安心感を与えられるでしょう。

アナムネで聴取する内容

アナムネでは患者さんの状態や生活環境を把握するために、患者さんや家族からさまざまなことを聞きます。具体的に聴取する内容と目的は以下のとおりです。

内容聴取する目的
既往歴患者さんの状態の把握。
現病歴患者さんの状態の把握。
緊急連絡先・患者さんの容態が急変した際にすぐに連絡できるように把握。
・連絡先は2件以上は確認(電話がつながらないときがあるため)
家族構成・患者さんの生活歴の把握。
・キーパーソンの把握。
アレルギー情報薬や食べ物などのアレルギーの有無を確認。
ADL・患者さんの状態の把握。
・入院中の生活援助の検討。
介護度退院後の支援の検討。
職業・退院後の社会復帰の検討。
・リハビリテーションの目標を設定。
嗜好品・飲酒や喫煙などを確認。
・退院時の生活指導を行う際の指導の強化。

上記の内容以外にも、患者さんが退院後に生活する場の希望も確認します

近年では、退院後の生活の場が問題となりやすいためです。具体的には、以下のケースが考えられます。

  • 患者さんが高齢で治療後は自宅での生活が難しくなる
  • 家族が遠方に住んでいるため、術後1人での生活は患者さん自身が不安
  • 入院したことで施設を退所しなければならず、新たな施設探しが難しい

特に、厚生労働省の「令和4年度入院・外来医療等における実態調査」によると、急性期の病院では平均の入院期間が11.7日と短縮傾向です。そのため、入院した時点から退院後の生活を見据えた介入をするケースが増えています。

患者さんが退院後は自宅に帰りたいのか、施設で過ごしたいのかなどを入院時に確認します。経過により患者さんの状態は変化するため、患者さんの希望を何度か確認しながら調整を進めることが大切です。

院内の退院支援室や地域医療連携室などとも情報共有を行い、退院時に患者さんが困らないように支援しましょう。

参照元
令和4年度入院・外来医療等における実態調査|厚生労働省(2024年2月15日参照)

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アナムネの流れと看護上の注意点

看護師は、複数の患者さんを受け持っているなかでアナムネを聴取します。そのため、アナムネに時間をかけ過ぎると、ほかの患者さんのケアが滞る可能性があります。「アナムネに時間がかかって、患者さんのケアに回れない」といった声はよく聞きます。ここで、アナムネの聴取をスムーズに進めるポイントを把握しましょう。

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アナムネ聴取のコツが知りたい

1.アナムネの事前準備をする

アナムネを聴取する前に主に以下3つを準備します。

  • カルテから情報収集
  • 必要物品の準備
  • 病室の準備

スムーズにアナムネを聴取するためには事前の準備が欠かせません。

カルテからの情報収集

あらかじめカルテから情報収集を行い、検査や手術、経過観察など入院する目的を把握することが重要です。

予定入院や転院の場合は、患者さんが入院してくる前に、通院歴や前医からの紹介状、看護サマリなど患者さんの情報がわかる書類があります。

ただし、緊急入院となるケースでは、情報提供の書類がない場合が多く、患者さんの情報が得られません。

そのため、入院後に患者さんから話を聞いたり、バイタルサインや検査結果などから情報を得たりするなど、患者さんの情報収集を少しずつ進め、必要なケアや処置を検討します。

さらに、患者さんの意識レベルが低下していたり、発語できなかったりする場合は家族からアナムネ聴取することもあります。

必要物品の準備

アナムネを聴取する際に必要な物品には、以下のものが挙げられます。

  • アナムネ用紙
  • 入院生活の注意点をまとめた書類
  • バイタルサイン測定に必要な物品(血圧計、体温計、聴診器、SpO2モニターなど)
  • ネームバンド(患者さんの名前の確認に使用)

アナムネを聴取するときに、バイタルサインを測定し血圧や脈拍などの情報も得ます。そのため上記の物品を正確に準備することが、スムーズなアナムネの聴取につながります。

病室の準備

アナムネの聴取が終わったあと、そのまま病室に案内できるように、患者さんが入る病室を準備しましょう。

個室であれば病室でアナムネを聴取する場合がありますが、大部屋の場合は、別の部屋でアナムネを取りましょう。患者さんのプライベートな情報ばかりを聞くためです。

アナムネを聴取する際には、患者さんのプライバシー保護が重要です。

2.アナムネを実施

「アナムネ用紙」に沿って患者さんから話を聞くのが一般的です。このアナムネ用紙の形式は、病院によって異なります。

アナムネの聴取前に薬剤師が患者さんに話を聞く場合があります。その際には、アレルギーの情報や副作用歴などを薬剤師に確認するとアナムネの時間短縮につながります

患者さんにアナムネを実施する看護師のイラスト

アナムネを聴取するとき、看護師が一方的に話してばかりだと、患者さんは看護師に不信感を抱いたり、話したいことを話せなかったりする恐れがあるため注意してください。患者さんが話しやすい雰囲気を作りましょう。

3.記録を記載

アナムネで聴取した内容をカルテに記載します。聴取した内容は正確に記載してください。

というのも、記載の間違いがあれば事故やヒヤリハットにつながりかねないためです。具体的には、以下のケースが考えられるでしょう。

  • アレルギー情報を間違え、アレルギーを引き起こす薬を使用
  • 認知症の患者さんのベッドに離床センサーを設置せず転倒
  • 家族の連絡先を間違え、患者さんが急変した際に家族に連絡できない
  • ADLの確認ミスであらかじめ除圧マットを準備できなかった

アナムネで聴取する情報のうちアレルギー情報は、特に事故につながりやすいと言えます。

看護師がアナムネで聴取した情報をもとに、他職種のスタッフが患者さんに介入する場合もあるため、カルテに誤りがないように記載しましょう。

アナムネがうまくいく4つのコツ

アナムネの聴取に時間がかかり過ぎたり、話をうまく聞き出せなかったりすると患者さんが看護師に不信感を抱く恐れがあります。ここでは、アナムネがうまくいく4つのコツを解説します。

事前にアナムネで確認する内容を把握しておく

患者さんが来院する前の情報収集の段階で、患者さんに確認すべきことをまとめておくことが大切です。

たとえば、心不全の患者さんであれば呼吸状態や体重の増減、下肢浮腫の有無、認知症の患者さんであればADLや睡眠の状況、内服の管理方法についてなど、患者さんが来院する前に確認してください。

事前に観察項目をまとめておくと、患者さんに聞く情報を最小限にしてアナムネ聴取ができるため、患者さんがストレスを感じづらいでしょう。

患者さんと家族からアナムネを聴取する

アナムネを聴取する際には、家族にも同席してもらいましょう

患者さんが症状でつらい場合は、家族から話を聞けると患者さんの負担を軽減できるためです。

家族からアナムネを聴取する看護師のイラスト

また、患者さんが高齢の場合は、患者さん自身が覚えていないことやわからないことが多くなる傾向があるためです。家族に同席してもらうと、患者さんの情報を漏れなく聞けるでしょう。

患者さんが話しやすいように問いかける

患者さんが話しやすい雰囲気を作ることが大切です。

患者さんは入院という状況に緊張しており、思っていることが話せない恐れがあります。たとえば、以下のことが話せないかもしれません。

  • 入院生活で援助してもらいたいこと
  • 病気についての不安
  • ケアへの要望

話しやすい環境を作り患者さんとの信頼関係を築けると、患者さんの本心を聞ける場合もあります。必要なケアを提供できるため、患者さんはより良い入院生活を送れるでしょう。

第一印象をよくするように努める

アナムネを聴取する際には、第一印象を良くするように努めましょう。

アナムネを聴取した看護師の印象が悪いと、患者さんの病院自体や他の看護師に対する印象も悪くなる恐れがあるためです。

具体的には、話のトーンや言葉遣いを始め、ドアの開け閉めや足音などにも注意してください。患者さんは、看護師の細かいところまで見ている場合があります。

アナムネを聴取する際の第一印象に気を付ける看護師

患者さんの病院や看護師に対する印象が悪いと、治療やケアの拒否につながる恐れがあります。さらには「あの看護師が……」とクレームになるケースもあるため注意しましょう。

まとめ

アナムネの聴取は、看護師が入院時に行う重要な業務の1つです。患者さんや家族から病気の経過や既往歴だけではなく、ADLの自立度やケアの要望などを確認し、必要なケアを提供したり、退院後の援助に役立てたりします

ただし、アナムネの聴取がうまくいかなければ患者さんは不信感を抱いてしまい、看護師や病院への印象が悪くなる恐れがあります。

そのため、事前準備を行い、患者さんが話を聞きやすい雰囲気を作ってアナムネの聴取をスムーズに進めましょう。病院によってアナムネを聴取する方法は異なるため、先輩看護師のアナムネ聴取の様子からスキルを学ぶことも大切です。この記事を参考に、アナムネの理解を深めましょう。

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