
入院時に看護師が行う重要な業務である「アナムネ」。
初対面の患者さんに行うため、苦手にしていたりうまく話を聞けずに悩んだりする看護師も多いでしょう。
この記事ではアナムネの流れやうまくいくコツを解説します。
アナムネで患者さんの話をうまく聞きたい看護師や、ほかの業務に支障をきたさないようにスムーズにアナムネを進めたい看護師は、ぜひ参考にしてください。

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている
X(Twitter):@shota_papa37
アナムネとは、アナムネ―ゼの略称であり、ドイツ語で既往歴を意味するAnamneseが由来とされています。
アナムネでは、治療や手術などを予定している患者さんや家族に、病気の経過や既往歴のほかに、家族構成や仕事などの社会的背景を尋ねて情報収集します。
臨床の場では「アナムネを聴取する」「アナムネを取る」などと言います。
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アナムネとは?役割・目的・取り扱い時の注意点まとめ
アナムネは、患者さんが入院した当日に30分程度で行われます。アナムネを行う目的は、主に以下の4つです。

アナムネは入院してすぐ行われることが多いため、患者さんとの信頼関係を築ける第一歩として重要です。うまく話を進められると、緊張している患者さんに安心感を与えられるでしょう。
アナムネでは患者さんの状態や生活環境を把握するために、患者さんや家族からさまざまなことを聞きます。具体的に聴取する内容と目的は以下のとおりです。
| 内容 | 聴取する目的 |
| 既往歴 | 患者さんの状態の把握。 |
| 現病歴 | 患者さんの状態の把握。 |
| 緊急連絡先 | ・患者さんの容態が急変した際にすぐに連絡できるように把握。 ・連絡先は2件以上は確認(電話がつながらないときがあるため) |
| 家族構成 | ・患者さんの生活歴の把握。 ・キーパーソンの把握。 |
| アレルギー情報 | 薬や食べ物などのアレルギーの有無を確認。 |
| ADL | ・患者さんの状態の把握。 ・入院中の生活援助の検討。 |
| 介護度 | 退院後の支援の検討。 |
| 職業 | ・退院後の社会復帰の検討。 ・リハビリテーションの目標を設定。 |
| 嗜好品 | ・飲酒や喫煙などを確認。 ・退院時の生活指導を行う際の指導の強化。 |
上記の内容以外にも、患者さんが退院後に生活する場の希望も確認します。
近年では、退院後の生活の場が問題となりやすいためです。具体的には、以下のケースが考えられます。
特に、厚生労働省の「令和4年度入院・外来医療等における実態調査」によると、急性期の病院では平均の入院期間が11.7日と短縮傾向です。そのため、入院した時点から退院後の生活を見据えた介入をするケースが増えています。
患者さんが退院後は自宅に帰りたいのか、施設で過ごしたいのかなどを入院時に確認します。経過により患者さんの状態は変化するため、患者さんの希望を何度か確認しながら調整を進めることが大切です。
院内の退院支援室や地域医療連携室などとも情報共有を行い、退院時に患者さんが困らないように支援しましょう。
参照元
令和4年度入院・外来医療等における実態調査|厚生労働省(2024年2月15日参照)
看護師は、複数の患者さんを受け持っているなかでアナムネを聴取します。そのため、アナムネに時間をかけ過ぎると、ほかの患者さんのケアが滞る可能性があります。「アナムネに時間がかかって、患者さんのケアに回れない」といった声はよく聞きます。ここで、アナムネの聴取をスムーズに進めるポイントを把握しましょう。
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アナムネ聴取のコツが知りたい
アナムネを聴取する前に主に以下3つを準備します。
スムーズにアナムネを聴取するためには事前の準備が欠かせません。
あらかじめカルテから情報収集を行い、検査や手術、経過観察など入院する目的を把握することが重要です。
予定入院や転院の場合は、患者さんが入院してくる前に、通院歴や前医からの紹介状、看護サマリなど患者さんの情報がわかる書類があります。
ただし、緊急入院となるケースでは、情報提供の書類がない場合が多く、患者さんの情報が得られません。
そのため、入院後に患者さんから話を聞いたり、バイタルサインや検査結果などから情報を得たりするなど、患者さんの情報収集を少しずつ進め、必要なケアや処置を検討します。
さらに、患者さんの意識レベルが低下していたり、発語できなかったりする場合は家族からアナムネ聴取することもあります。
アナムネを聴取する際に必要な物品には、以下のものが挙げられます。
アナムネを聴取するときに、バイタルサインを測定し血圧や脈拍などの情報も得ます。そのため上記の物品を正確に準備することが、スムーズなアナムネの聴取につながります。
アナムネの聴取が終わったあと、そのまま病室に案内できるように、患者さんが入る病室を準備しましょう。
個室であれば病室でアナムネを聴取する場合がありますが、大部屋の場合は、別の部屋でアナムネを取りましょう。患者さんのプライベートな情報ばかりを聞くためです。
アナムネを聴取する際には、患者さんのプライバシー保護が重要です。
「アナムネ用紙」に沿って患者さんから話を聞くのが一般的です。このアナムネ用紙の形式は、病院によって異なります。
アナムネの聴取前に薬剤師が患者さんに話を聞く場合があります。その際には、アレルギーの情報や副作用歴などを薬剤師に確認するとアナムネの時間短縮につながります

アナムネを聴取するとき、看護師が一方的に話してばかりだと、患者さんは看護師に不信感を抱いたり、話したいことを話せなかったりする恐れがあるため注意してください。患者さんが話しやすい雰囲気を作りましょう。
アナムネで聴取した内容をカルテに記載します。聴取した内容は正確に記載してください。
というのも、記載の間違いがあれば事故やヒヤリハットにつながりかねないためです。具体的には、以下のケースが考えられるでしょう。
アナムネで聴取する情報のうちアレルギー情報は、特に事故につながりやすいと言えます。
看護師がアナムネで聴取した情報をもとに、他職種のスタッフが患者さんに介入する場合もあるため、カルテに誤りがないように記載しましょう。
アナムネの聴取に時間がかかり過ぎたり、話をうまく聞き出せなかったりすると患者さんが看護師に不信感を抱く恐れがあります。ここでは、アナムネがうまくいく4つのコツを解説します。
患者さんが来院する前の情報収集の段階で、患者さんに確認すべきことをまとめておくことが大切です。
たとえば、心不全の患者さんであれば呼吸状態や体重の増減、下肢浮腫の有無、認知症の患者さんであればADLや睡眠の状況、内服の管理方法についてなど、患者さんが来院する前に確認してください。
事前に観察項目をまとめておくと、患者さんに聞く情報を最小限にしてアナムネ聴取ができるため、患者さんがストレスを感じづらいでしょう。
アナムネを聴取する際には、家族にも同席してもらいましょう。
患者さんが症状でつらい場合は、家族から話を聞けると患者さんの負担を軽減できるためです。

また、患者さんが高齢の場合は、患者さん自身が覚えていないことやわからないことが多くなる傾向があるためです。家族に同席してもらうと、患者さんの情報を漏れなく聞けるでしょう。
患者さんが話しやすい雰囲気を作ることが大切です。
患者さんは入院という状況に緊張しており、思っていることが話せない恐れがあります。たとえば、以下のことが話せないかもしれません。
話しやすい環境を作り患者さんとの信頼関係を築けると、患者さんの本心を聞ける場合もあります。必要なケアを提供できるため、患者さんはより良い入院生活を送れるでしょう。
アナムネを聴取する際には、第一印象を良くするように努めましょう。
アナムネを聴取した看護師の印象が悪いと、患者さんの病院自体や他の看護師に対する印象も悪くなる恐れがあるためです。
具体的には、話のトーンや言葉遣いを始め、ドアの開け閉めや足音などにも注意してください。患者さんは、看護師の細かいところまで見ている場合があります。

患者さんの病院や看護師に対する印象が悪いと、治療やケアの拒否につながる恐れがあります。さらには「あの看護師が……」とクレームになるケースもあるため注意しましょう。
アナムネの聴取は、看護師が入院時に行う重要な業務の1つです。患者さんや家族から病気の経過や既往歴だけではなく、ADLの自立度やケアの要望などを確認し、必要なケアを提供したり、退院後の援助に役立てたりします。
ただし、アナムネの聴取がうまくいかなければ患者さんは不信感を抱いてしまい、看護師や病院への印象が悪くなる恐れがあります。
そのため、事前準備を行い、患者さんが話を聞きやすい雰囲気を作ってアナムネの聴取をスムーズに進めましょう。病院によってアナムネを聴取する方法は異なるため、先輩看護師のアナムネ聴取の様子からスキルを学ぶことも大切です。この記事を参考に、アナムネの理解を深めましょう。

大学卒業後、集中治療室や心臓血管病棟、循環器内科などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。現在は、3人の子育てをしながら、医療・看護・育児にまつわる記事の執筆や監修に力を入れている
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記事の制作について
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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