
看護師のなかには「訪問看護の仕事に疲れた…」とお悩みの方もいるでしょう。本記事では、訪問看護の仕事で疲れたと感じやすい場面や今の職場で働き続ける方法、疲れがとれないときの対処法などを解説。また、ほかの訪問看護ステーションに転職する際の選び方についてもまとめました。訪問看護による疲労や負担を和らげたい方は、ぜひ参考にしてください。
「訪問看護の仕事が疲れた」と感じる場面には、「看護師1名での体制への不安」「コミュニケーションの問題」「オンコール対応の負担」「利用者の急変や看取りのストレス」などがあります。ここでは、訪問看護の仕事で疲れたと感じやすい場面を詳しくご紹介します。
訪問看護は療養の指導や医療処置、リハビリテーション、関連機関との連絡・調整、家族対応など業務の幅が広いです。また、電話によって連携がとれるものの、基本的には自分の判断で対応しなければならず、「時間内にサービスを提供し終えなければならない」というプレッシャーも生じます。緊張感や精神的な負担から疲れてしまう人は少なくありません。
訪問看護では、利用者さまやそのご家族からの緊急の呼び出しや連絡に応える「オンコール対応」があります。当番でオンコール専用の携帯を持ち歩き、緊急時に備えなければなりません。
また、利用者さまの自宅へ直行せず、電話のみで対応する場合であっても看護師の迅速な判断が求められます。退勤後も緊張感を強いられ、オンオフの切り替えが難しいと感じる方は少なくありません。
▼関連記事
オンコールとは?看護師が勤務する職場や対応頻度、手当の相場をご紹介
訪問看護では利用者さまやその家族と信頼関係を築いたり、家族の看護疲れの負担を減らしたりするために、コミュニケーションが欠かせません。ケアや日常生活の過ごし方などについて、アドバイスを求められることもあるでしょう。
病棟に比べて関係性が密になりやすいため、コミュニケーションが苦手な看護師は辛いかもしれません。利用者さまやその家族の目がある状況でのケアの提供にプレッシャーを感じる場合も多いでしょう。
訪問看護は1名で利用者の自宅に訪問することが多く、迅速かつ的確な判断が求められます。緊急事態に備えて、提携医療機関の医師との連携体制は整っていても、時間帯やタイミングによってはすぐに連絡がつくとは限りません。看護師1名で急変や看取りに対応しなければならないケースもあり、精神的な負担につながりやすいでしょう。
訪問先が利用者さまの自宅である場合、下記のようにケアを提供するのが大変な環境であることも少なくありません。
冷房が効いていなくて看護師自身が熱中症になったり、利用者さまが移動しにくい室内環境で介助をしなければならなかったりと、看護師の負担が大きくなります。
訪問看護の仕事には、毎月記録する報告書や計画書など書類作成の機会が多くあります。訪問看護師が担当する平均利用者数は20名前後のため、勤務時間だけでは書類作成が終わらないこともあるでしょう。想定通りの時間で書類作成が終わらない場合は、残業になることもあるため「疲れた」と感じる方もいるかもしれません。
訪問看護のなかでも入浴介助は、体力的に負担の大きい業務といえます。ユニフォームを着たままの浴室で介助を行っていると、熱がこもるので夏場は特に体力を奪われやすいでしょう。自分より体格の大きな相手の介助をする場合は、体力的にも辛いと感じる場合もあります。人によってはこうした体力の限界から「疲れた」と感じるでしょう。
通常、訪問看護は1日に4~6件ほどの業務を行う場合が多いようです。しかし、利用者の体調や用事による追加訪問や日程変更、担当スタッフの欠勤などの際は、訪問件数が増えることもあります。人によっては、短い移動時間のなかで効率よく休憩を取ったり、看護記録を記入したりすることが負担になる場合も。
緊急時に、利用者の情報の引継ぎが十分行われない際なども、プレッシャーに感じやすいでしょう。
訪問看護は訪問業務以外に、多職種との連携や書類作成も行わなければならず、業務量が多くなりがちです。次の訪問まで時間が迫っている場合でも、ほかの看護師に代わりに行ってもらうのが難しい場合もあります。特に、臨床経験の少ない看護師は、業務をこなそうとして業務量のキャパシティを超えてしまうことがあるかもしれません。
厚生労働省の「訪問看護ステーションの規模について(P7)」によると、訪問看護ステーションの規模別に見た1ヶ月あたりの訪問看護件数は以下のとおりです。
| 40件未満 | 40~50件未満 | 60~80件未満 | 80件以上 | |
| 2.5人以上3人未満 | 43.5% | 25.3% | 17.6% | 13.5% |
| 3人以上5人未満 | 24.6% | 30.4% | 28.9% | 16.1% |
| 5人以上7.5人未満 | 12.5% | 24.9% | 37.4% | 25.2% |
| 7.5人以上 | 10.2% | 23.2% | 46.5% | 20.1% |
引用:厚生労働省「訪問看護ステーションの規模について(P7)」
事業所の規模によって異なるものの、1ヶ月あたり40~80件未満の訪問件数をこなしている訪問看護師が多いことが分かります。また、事業所の規模が大きくなるほど、1ヶ月あたり80件以上の訪問看護をこなす看護師が増える傾向にあります。利用者宅同士の移動時間や記録する時間も必要となるため、訪問件数が多いほど看護師の疲労度につながるでしょう。
▼関連記事
訪問看護師の役割や仕事内容とは?病棟との違いや給料相場、メリットも紹介
「訪問看護で疲れた」と感じているのは、業務そのものに疲れているのではなく、今の働き方が合っていない可能性があります。ここからは、今の職場で働き続けるコツについて解説していきます。
訪問件数が多くて労働時間が長いことやオンコール当番の頻度が多いことが負担となっている場合、勤務先に相談して調整してもらうのがおすすめです。業務で負担を感じているポイントを伝えることで、自身に合った働き方に調整してもらえるかもしれません。
緊急時の対応に不安を感じる訪問看護師は少なくありません。職場側にマニュアルをしっかり用意してもらえば、比較的臨床経験が浅い看護師でも落ち着いて行動できるようになるでしょう。特に、フローチャート式のマニュアルなら、緊急搬送の不安の軽減につながります。
訪問看護の仕事をする人のなかには、書類の作成業務が負担になる場合もあります。忙しい場合には、業務の前後や移動時間で書類作成をすることもあり、訪問看護師のなかには「休憩がとれない」とストレスを感じるケースも。電子カルテやタブレット、勤怠管理システムの導入などICT化をすすめてもらえれば、作業効率が上がるため働きやすくなるかもしれません。
訪問看護ステーションでは、同期入職の看護師がいないことが多く、同じ立場で悩みや気持ちを共有できる機会が少ないこともあります。人手不足の事業所では、院内研修に時間や人員を割く余裕がない場合もあるでしょう。外部の研修やセミナーに参加し、ほかの看護師との交流を図ったり、スキルアップを目指したりすることでモチベーション維持につながります。
訪問看護では訪問先まで移動する必要があります。移動中は業務から離れられるので、気分を切り替えるのに最適です。
上記のように、自分に合った気分転換の方法を探してみるとよいでしょう。
心身のストレスが溜まっていると感じたら、休日にしっかりとリフレッシュすることが大切です。休日に下記のような楽しみの時間があることで、仕事への意欲を取り戻すのに役立つでしょう。
ただし、遠出する必要があったり、すぐに連絡がとれない状況になりやすい方法だと、オンコール当番に支障をきたすおそれがあります。タイミングや場所を選ばずに楽しめるものがおすすめです。
訪問看護師のなかには、家事や育児、介護などをしながら仕事をしている方もいるかもしれません。「訪問看護の仕事に疲れた」と感じてしまう場合は、完璧さを手放し、心身を休めることを優先させるようにしましょう。退勤後はなるべく早く入眠して、心身や脳の疲れをしっかりと癒やしてこそ、自身の力を発揮できると割り切るのがおすすめです。
訪問看護の仕事は「自分のしたことは正しかったのだろうか?」と感じやすい仕事です。利用者さまとのコミュニケーションの取り方やサービスなどに正解はありません。訪問看護は、利用者さまと近い距離で接するため、相手の態度や表情から自身の非を感じることも。そうした際は、心理学の手法である「リフレーミング」でネガティブな考えをポジティブな発想や言葉に言い換える練習をしてみましょう。
「さまざまな対処法を試したけれど、なかなか疲れがとれない」という方は多いのではないでしょうか。ここでは、どうしても訪問看護の疲れがとれない場合の対策についてご紹介していきます。
休息をとったり、労働環境を改善してもらったりしても疲れがとれない場合、そのまま仕事を続けると心身の不調が悪化するおそれがあります。特に、すでに心身の不調によって仕事や生活に支障をきたしているなら、専門的な治療を受けた方が良いでしょう。
キャパシティを超えたまま頑張りすぎると、症状が重くなってしまう可能性もあるので、無理をせず、早めの受診を検討してください。
比較的のんびりと働ける職場を選べば、心身への負担が少なく済み、無理なく続けやすいでしょう。業務量はサービス提供する訪問先によっても変わるため、訪問看護は続けてみたいと考えている方は、業務形態の異なるステーションへの転職も選択肢の一つです。転職支援サービスのレバウェル看護は、看護師に特化しているため豊富な求人からキャリアを考えることができます。
▶訪問看護の求人一覧ページはこちら
▼関連記事
のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介
転職先の事業所によっては施設にいる方にサービスを提供する場合もあります。訪問先によって業務の量や特徴が異なるため、自身に合った訪問先への転職であれば「疲れた」と感じにくいかもしれません。ここでは、訪問先ごとの業務の特徴や負担感について解説していきます。
施設への訪問看護が中心の場合、利用者さまやその家族との関わりが少なく、看護業務に集中できるという特徴があります。施設は入居者さまの快適な生活や、職員の働きやすさに配慮されており、利用者さまの自宅よりも整備されているでしょう。また、複数の利用者の自宅を移動する必要がありません。移動時間が少ないので、時間に余裕を持って行動しやすい点も魅力的です。
▼関連記事
施設内訪問看護とは?仕事内容や一般的な訪問看護との違い、メリットも解説
在宅で生活している利用者さまの自宅を1件1件訪問していく場合、移動時間が必要です。特に自転車での移動のしやすさは、外の気温や天候に左右されます。移動中は給与が発生しない事業所もあるので、勤務形態や給与に関する条件はあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
訪問看護に疲れたときによくある質問についてお答えしていきます。抱えている疑問や不安の解消にお役立てください。
訪問看護は、利用者さまの自宅を訪れて臨機応変に対応しなければなりません。そのため、自分の判断に自信を持って判断できる人が向いているでしょう。また、利用者さまとその家族、ケアマネジャー、医師などと連携できるコミュニケーションスキルも求められます。専門的な知識やスキルも磨く必要があるため、スキルアップしたい人や向上心のある人にも向いているでしょう。
▼関連記事
訪問看護師になるには?必要な資格や経験、仕事内容などを詳しく解説!
オンコール対応が必要ない訪問看護ステーションの求人はあります。ただし、その場合オンコール手当がつかないので、オンコールありの求人に比べて給与は低くなる点に注意してください。また、パートタイム勤務ならオンコール対応が不要なだけでなく、休みも取りやすいです。プライベートな時間をしっかり確保できるので、疲れた心身を休めながら働きたい方に適しているといえます。
訪問看護のオンコールに対応する看護師は、「休日でも気が休まらない」「行動範囲が制限され、遠出しにくい」といったストレスを抱える場合があります。また、人手不足の職場ではオンコール当番の頻度が多い場合も。心身の負担が大きい場合は、オンコールの量を調整してもらうよう相談しましょう。
訪問看護の仕事が合わなかったと感じる理由には、精神面のストレスと身体的な負担があります。精神面では「頼れる同僚や先輩がいない不安」「スケジュール管理が大変」、身体的負担としては「体力の限界」や「移動時の気温の変化についていけない」などがあります。
訪問看護は他職種との関わりも多いため、コミュニケーションの苦手意識が退職理由の本音であるケースもあるでしょう。
訪問看護は責任の重さや業務量の多さから「疲れた」と感じてしまいがちです。利用者さまやその家族、多職種スタッフとのコミュニケーションの難しさに悩んでしまう方もいるかもしれません。
しかし、外部のセミナーを利用したり、気分転換やリフレッシュをはかることで疲労回復に役立つ場合があります。どうしても今のステーションで働くのが難しいと感じた場合、無理せずに医療機関を受診したり、異動・転職を視野に入れましょう。
もしも「転職後に後悔したくないけれど、どのような職場を選べばいいのか分からない」とお悩みなら、ぜひレバウェル看護にご相談ください。看護師転職専門のアドバイザーが、転職先の職場に関する詳細な情報や業務内容をお伝えします。実際に働いている方のリアルな感想を聞ける求人案件もあります。登録後はLINEやメール、ショートメッセージなどで気軽に相談できるので、多忙な方でも利用しやすいのが魅力的です。納得のいく転職を進めたい方は、情報収集のためにレバウェル看護に無料登録してみましょう。
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載