
「オンコール勤務とはどんなもの?」と気になる看護師さんもいるのではないでしょうか。オンコールの待機中は自宅や職場付近で過ごし、いつでも電話を受けられる状態にしておく必要があります。
この記事では、看護師のオンコール体制がある職場や対応頻度、手当の相場などを紹介。待機中に気を付けることやオンコールを経験するメリット・デメリットも解説しているので、参考にしてみてください。
オンコールとは、医師や看護師などの医療従事者が緊急時に迅速に対応できるように待機する勤務形態です。看護師のオンコール勤務は、主に夜間や休日などに看護師の常駐体制がない職場や緊急の対応が発生する職場で導入されます。オンコールは持ち回りで担当するのが一般的です。
オンコールは、呼び出されたらすぐに対応できる人員を確保するための体制です。オンコール待機の時間は、実労働時間に含まれません。当直は職場内で待機するのに対して、オンコールは自宅で待機して呼び出しがあれば対応します。夜勤は24時間体制が必要な仕事の夜間勤務のことを指すため、オンコール勤務とは異なる勤務形態です。
日本看護協会の「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査報告書(208p)」によると、看護師が1ヵ月のうちオンコール待機を担当した平均回数は、約5~9回でした。以下は、看護師の勤務先ごとに見たオンコール待機の平均対応回数です。
| 勤務先 | オンコール待機(1ヵ月の平均回数) |
| 病院 | 4.8回 |
| 診療所 | 9.4回 |
| 訪問看護ステーション | 7.7回 |
| 介護系サービス | 9.2回 |
参照:日本看護協会「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査報告書(208p)」
看護師の職場ごとに比較すると、1ヵ月間のオンコール対応は病院が最も少なく、クリニックや介護施設が多めだ分かります。ただし、看護の対象者や診療科、看護配置によっても、オンコール体制は異なるでしょう。
▼関連記事
看護師の労働基準法に則ったオンコール勤務とは?手当や回数の相場も解説
オンコールを導入しているのは、夜間・休日に看護師が常駐していない医療機関・施設や、患者さまの急変が多い職場が中心です。以下では、看護師のオンコール体制がある職場例と対応内容の特徴を紹介します。
病院やクリニックなどの医療機関でも、診療科や診療体制によっては看護師のオンコール対応があります。1ヵ月の平均オンコール回数は、以下の通りです。
| 勤務先 | オンコール対応 | 1ヵ月の平均回数 |
| 病院 | 待機のみ | 4.8回 |
| 電話対応 | 1.5回 | |
| 緊急出動 | 0.9回 |
| 診療所 | 待機のみ | 9.4回 |
| 電話対応 | 0.9回 | |
| 緊急出動 | 0.5回 |
参照:日本看護協会「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査報告書(208p)」
医療機関で働く看護師のオンコールは、実際に電話対応や緊急出動を行う回数が少なめなのが特徴です。下記で、医療機関のうち看護師のオンコール体制を整えている傾向にある部署・診療科を紹介します。
▶総合病院の看護師求人一覧はこちら
▶クリニックの看護師求人一覧はこちら
手術室では、急変時の増員や夜間・休日の緊急手術に対応するため、オンコール体制を整えていることが多い傾向にあります。夜間や休日は病院全体のスタッフが少ないので、手術後の清掃から機器の洗浄・滅菌までを看護師が行う場合もあるようです。
▼関連記事
手術室看護師の仕事内容とは?1日スケジュール例や働くやりがいも解説
時間に関係なく急患が運び込まれる可能性がある救急科では、人手が足りない場合に夜間や休日にオンコールの看護師が呼び出されることもあります。産科でも、複数の患者さんの出産のタイミングが重なったときや、緊急帝王切開を行うときなどにオンコール当番の看護師が出勤する可能性があるでしょう。
患者さんの急変が比較的少ない慢性期病棟では、夜勤看護師を必要最小限にする代わりにオンコール体制を導入している場合もあります。夜間や休日は、オンコール当番の看護師が呼び出しを受け、ターミナルケアや看取りに携わるときもあるようです。
▼関連記事
慢性期で働く看護師の役割・仕事内容は?向いている看護師の特徴も紹介
24時間体制のオンコール体制を整えている訪問看護ステーションの看護師は、以下のように利用者さんやご家族からの相談に電話で対応する機会が多めです。電話だけでは対応しきれない場合、利用者さん宅への訪問が必要となります。
| 勤務先 | オンコール対応 | 1ヵ月の平均回数 |
| 訪問看護ステーション | 待機のみ | 7.7回 |
| 電話対応 | 5.0回 | |
| 緊急出動 | 2.3回 |
参照:日本看護協会「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査報告書(208p)」
1人暮らしの方や医療依存度の高い方が多く利用している事業所では、緊急に訪問する頻度が多いかもしれません。不測の事態に備えて、メインとサブの看護師2人体制でオンコールを担当する事業所もあります。
▼関連記事
訪問看護のオンコールとは?業務内容や対応例、ストレスの対策方法も紹介
オンコール勤務がある介護施設は、夜間看護師が常駐する必要のない入所施設が中心になります。看護師の配置人数が少ない分、オンコール待機の回数は比較的多めです。
| 勤務先 | オンコール対応 | 1ヵ月の平均回数 |
| 介護系サービス | 待機のみ | 9.2回 |
| 電話対応 | 3.7回 | |
| 緊急出動 | 1.1回 |
参照:日本看護協会「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査報告書(208p)」
入居者さんの体調不良や事故など、介護職員だけでは対応しきれないことが起きたとき、待機中の看護師に電話連絡が入ります。電話での指示出しだけでは不十分な場合は、施設への出勤が必要です。
緊急時以外にも、指示の確認や不明点の質問などで看護師に連絡が来ることもあり、電話対応だけで済むケースもあります。
▼関連記事
特養看護師の夜間オンコールとは?メリットや向いている看護師の特徴を紹介
オンコール待機中は自宅で普段通りの生活ができますが、行動範囲や過ごし方に一部制限がかかるため注意しましょう。以下では、看護師のオンコール待機中の過ごし方のポイントを詳しく解説するので、参考にしてみてください。
オンコール勤務中は、いつでも電話に出られるようにしておく必要があります。オンコール待機時の電話に関する主な注意点は以下のとおりです。
外出中はもちろんのこと、家の中でも携帯電話を手元に置いておくのが大切です。すぐに入電に気付けるように、携帯電話の電源や音量を落とさなければならない場所は避けましょう。
待機中は、自宅もしくは職場まで30分以内で移動できる場所で過ごすように求められる場合が多いようです。すぐに呼び出しに応じられる状態を保っていれば、普段と同様の生活ができます。近所に散歩や買い物に出掛けても問題はありません。
オンコール待機中は、飲酒を控えましょう。飲酒をすると、的確な判断や指示ができなくなってしまう可能性があります。普段は電話対応のみで済む職場でも、万が一呼び出しされるに備えて飲酒は避けてください。
▼関連記事
オンコール待機中の看護師の過ごし方は?ストレスに感じない対策も紹介
労働基準法上、オンコールは、実際に対応が発生した場合に時間外手当の支給が必要とされています。ただし、待機時間に対する手当の支給は義務付けられていません。
日本看護協会の「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査報告書(208p)」によると、看護師のオンコール待機手当は1回当たり1,000~3.000円が相場です。以下は、看護師の勤務先別の平均オンコール手当額をまとめた表になります。
| 勤務先 | 平均オンコール手当額(待機・1回あたり) |
| 病院 | 1,846円 |
| 診療所 | 3,644円 |
| 訪問看護ステーション | 2,233円 |
| 介護系サービス | 1,137円 |
参照:日本看護協会「2024年度看護職員の賃金に関する実態調査報告書(208p)」
オンコール待機を1回した場合の平均手当額は、診療所(クリニック)が最も高くなっています。診療所で働く看護師のオンコールは電話対応や緊急出動が少ないため、待機時間に対する手当が多めに支給される傾向にあるようです。
レバウェル看護【公式】Instagramで看護師さんを対象に実施した「オンコール勤務、待機手当もらえてる?」というアンケートでは、「もらえている」が46%でした。
| 回答 | 割合(総数:246票) |
| もらえている | 46% |
| もらえていない | 54% |
半数の看護師は、オンコール待機に対する手当をもらっていない結果になりました。オンコール待機のみだと手当が出ず、対応を行った場合にのみ手当が支給される職場もあるようです。
▼関連記事
看護師が休日に呼び出し?休日出勤やオンコール勤務のある職場について解説
看護師がオンコール対応を経験するメリットややりがいは、「スキルアップにつながる」「患者さんや利用者さんのもしもの不安に寄り添える」「夜勤より時間を自由に使える」などがあります。
オンコール勤務では、緊急対応や看取りを含む幅広い業務を行うので、看護師としての成長につながる経験を積めます。出動があった場合、スタッフが少ない状況で自分がどう動くべきか考えるため、スキルアップにつながるでしょう。
夜間や休日の急な体調不良や急変時、患者さんやご家族は不安を感じています。オンコールで電話相談や出動対応をすることで、緊急時に患者さんやご家族の力になれたり、感謝の言葉を掛けてもらえたりすることにやりがいを感じる看護師は多いようです。
オンコール当番の日は行動に制約があるものの、電話がない限り普段の生活に近い過ごし方ができるのがメリットです。出動可能な距離内であれば待機場所に制限はないため、夜勤より有意義に時間を使えると感じる看護師もいます。
▼関連記事
看護師の働き方は幅広い種類がある!職場の選択肢と転職で理想を叶える方法
看護師がオンコール勤務をするうえで、大変な点やデメリットに感じる点には、「行動が制限される」「いつ呼び出されるか分からない」「緊急対応が不安」などが挙げられます。
オンコール当番の日は休日と異なり、過ごし方に制約があります。自宅にいても完全に自由なわけではないため、不便を感じる看護師もいるかもしれません。仕事とプライベートの区別をはっきり付けたい方は注意が必要です。オンコール当番が頻回にあると、連休で旅行するのが難しい職場もあります。
オンコール待機中、いつ呼び出しの電話が鳴るか分からないことにプレッシャーを感じる場合もあります。事前に出勤が決まっている夜勤の方が、気持ちの負担が少ないと感じる看護師もいるようです。
レバウェル看護【公式】Instagramで実施した「オンコールに気付かなかった!起きられなかった!そんな経験ある?」のアンケートでは、34%の看護師さんが「オンコールに気が付かなかったことがある」と回答しました。
| 回答 | 割合(総数:679票) |
| ありません | 66% |
| あります… | 34% |
本来はリラックスできる自宅でも、オンコールがあれば仕事の対応をしなければなりません。いつ電話が鳴るか分からないと、ゆっくり仮眠もしにくく、気が休まらないという大変さはオンコール勤務にはあります。
オンコール勤務の時間帯は、対応できる看護師の数が限られています。トラブルが起きた場合にも、少人数で対処しなければならないことに負担を感じる方もいるでしょう。また、急変患者さんの対応や突発的な手術のため、手術で使う機器の準備や片付けなどを看護師だけで行わなければならない負担もあります。
▼関連記事
オンコールに気づかなかったときはどうする?対処法について解説
ここでは、オンコール勤務に向いている・向いていない看護師の特徴を紹介します。働き方や転職先に迷いがある看護師の方は参考にご覧ください。
オンコール勤務がある職場に向いている人には、次のような特徴があります。
オンコール勤務では、状況に応じて的確な指示や判断が求められます。ほかのスタッフと連携しながら責任を持って対応できる方は、力を発揮できるはずです。
向いている方がいる一方で、次のような方はオンコール勤務に向いていないといえます。
無理にオンコール勤務をすると負担になり、長く働き続けるのが難しくなってしまう可能性もあります。やりがいを持って自分らしく働くためには、自分に合う職場や働き方を選ぶのが大切です。
以下では、オンコール勤務が辛いと感じたときの対処法を紹介します。これからオンコール勤務を始める看護師さんも参考にしてみてください。
上司に辛いと感じていることを話し、オンコール勤務の担当日を減らしてもらえるかどうか相談してみましょう。人手不足で日数を減らすのが難しい場合でも、負担を感じにくくなるように当番の日程を調整してもらえる可能性があります。
職場の先輩看護師からオンコールを乗り切るコツを教えてもらうのも一つの方法です。また、オンコール当番の前にほかのスタッフと情報共有しておくと、対応が必要になりそうな利用者さんや電話がありそうな時間をある程度予測できるかもしれません。情報共有により懸念事項に早めに対処でき、オンコール勤務中の電話対応を減らせる場合もあるでしょう。
オンコール待機中は、自宅でできるリフレッシュ方法を取り入れるのもおすすめです。ストレッチ・ヨガ、ウォーキングといった軽い運動や、読書、手芸など、自分に合ったストレス解消法を探してみてください。
また、夜は、短時間でも質の良い睡眠を取れるように工夫しましょう。たとえば、カフェイン摂取を控える、ぬるめのお湯で入浴するなどの方法が考えられます。
オンコール勤務の頻度が高い場合、「プライベートに影響が出るかも」「体力面・精神面で負担になるのでは」と不安に感じる看護師もいるでしょう。心身の負担を考慮して、オンコール頻度が少ない、または発生しない職場を検討するのも良いかもしれません。
職場ごとのオンコール頻度は、自分で調べても実態が分かりにくい可能性があります。その場合は、転職エージェントに相談して詳細情報を調べてもらうのもおすすめです。
▼関連記事
オンコールをストレスに感じる理由は?看護師の対策やおすすめの求人も解説
ここでは、オンコールについて知りたい看護師によくある疑問に対して、Q&A形式で回答しています。
オンコールありの条件で働く看護師は、オンコールの電話に対応する義務があります。オンコールは緊急対応が必要な場合もあるため、当番の日は可能な限りすぐに電話に応じなくてはいけません。採用面接の際、オンコール対応について説明されるはずですので、よく確認して転職するかどうか決めましょう。
オンコール待機の時間分は、手当が支給されなくても違法になりません。オンコール待機中の呼び出しがない時間については、基本的に使用者の指揮命令下に置かれているとみなされないためです。職場によって、待機中の手当支給の有無や金額は異なります。詳しくは、記事内の「看護師のオンコール手当とは?」をご覧ください。
労働基準法上の労働時間とは、管理者の指揮命令下におかれて仕事をしている時間を指します。呼び出しや電話対応が発生しなければ、制限はあるものの自由に過ごせるオンコール待機時間は、基本的に法律上の労働時間にはあたらないでしょう。
緊急時に医療的な支援や相談を行う看護師のオンコールに対して、介護職のオンコールは緊急のショートステイを受け入れたり、夜間休日の相談対応などのためにあります。介護施設で看護師の夜勤体制がない職場は、夜間の医療的処置や看取りが必要なときのためにオンコール体制がある場合もあるようです。
看護師のオンコールとは、夜間や休日の緊急時に備えて、即座に人員を確保するための仕組みです。病院の救急科や産科、手術室などのほか、訪問看護ステーションや介護施設で導入されています。待機している間は、すぐに電話に出られるようにしておくことが必要です。普段の生活とほぼ同じように自宅で過ごせますが、遠出や飲酒は控えましょう。行動の制限に抵抗がなく、ほかのスタッフと連携しながら臨機応変な対処ができる方は、オンコール勤務に向いているかもしれません。
オンコール当番や呼び出しの頻度は、看護師の人数や施設形態によって異なります。また、待機手当の有無や金額も職場ごとに違うので、転職先を選ぶ際に確認しておきましょう。
「今までと働き方が変わるので不安が大きい」「1人ではオンコール勤務ありの職場に転職すべきか判断できない」という方は、「レバウェル看護」に相談してみませんか?「レバウェル看護」は、看護師に特化した転職支援サービスです。
キャリアアドバイザーが、経験やスキル、ライフスタイルも考慮してあなたに合った求人の提案をいたします。オンコール当番の担当回数や呼び出しの頻度といった、詳細な情報も調べて提供できるため、納得したうえで転職していただけるでしょう。
初回の電話相談後はLINEやメールでやり取り可能ですので、お気軽にお問い合わせください。にぜひご活用ください。
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載