
「地域包括ケア病棟が気になる」「どんな役割を担うの?」と興味を持っている看護師は多いのではないでしょうか。
ここでは、地域包括ケア病棟で働く看護師の役割・仕事内容や期待できるメリット・魅力、求められるスキルなどについて詳しく紹介します。
この記事を最後まで読むことで、地域包括ケア病棟で働く看護師の役割や仕事内容が分かり、転職活動に役立てることができるでしょう。
地域包括ケア病棟への転職を視野に入れている方は、ぜひ参考にしてください。
地域包括ケア病棟とは、2014年の診療報酬改定で新設された比較的新しい病床機能です。
ここでは、地域包括ケア病棟の目的・役割や回復期リハビリテーション病棟との違いについて、分かりやすく解説するのでご覧ください。
地域包括ケア病棟の主な目的は、急性期治療を終えた患者様が住み慣れた地域や自宅へ安心して退院できるよう支援することです。
患者様の病状管理を行いながら、リハビリテーションや退院支援を進め、在宅復帰を目指します。
また、在宅療養中の患者様が一時的に入院する「レスパイト入院」や、病状が悪化した患者様の受け入れを行うケースもあるでしょう。
医師やリハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカーなど多職種と連携し、患者様一人ひとりに合わせた退院支援を行うことが、地域包括ケア病棟の役割と言えます。
地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟は、いずれも在宅復帰を支援する病棟ですが、入院期間や対象となる患者様、役割が異なります。
回復期リハビリテーション病棟の対象疾患と最大入院期間は下記のとおりです。
| 対象疾患 | 最大入院期間 |
| 脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳症、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷などの発症後もしくは手術後、または義肢装着訓練を要する状態 | 150日 |
| 高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷および頭部外傷を含む多部位外傷の場合 | 180日 |
| 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節もしくは膝関節の骨折、または2 肢以上の多発骨折の発症後、または手術後の状態 | 90日 |
| 外科手術または肺炎などの治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後または発症後の状態 | 90日 |
| 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節または膝関節の神経、筋または靭帯損傷後の状態 | 60日 |
| 股関節または膝関節の置換術後の状態 | 90日 |
| 急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患または手術後の状態 | 90日 |
地域包括ケア病棟では疾患を限定せず、急性期治療後の患者様やレスパイト入院、在宅療養中の患者様など幅広い対象を受け入れているのが特徴です。
また、原則として入院期間は最大で60日までとされています。
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地域包括ケア病棟でも一般病棟と同じく、日々の健康管理を中心としたケアを提供する一方で、在宅復帰を支えるうえで求められる役割や仕事内容もあります。
地域包括ケア病棟で働く看護師の役割・仕事内容は下記のとおりです。
それぞれの内容について詳しく紹介するので、どのような役割や仕事内容を担うのか確認してみましょう。
地域包括ケア病棟では一般病棟と同様に、患者様のバイタルサイン測定や全身状態の観察、服薬管理などを行います。
患者様の病状が安定しているとはいえ、急な体調変化が起こる可能性もあるため、異常の早期発見に努めることが大切です。
また、高齢の患者様が多いことから、転倒や誤嚥、褥瘡などのリスク管理も欠かせません。
地域包括ケア病棟では、患者様が退院後も自宅で生活できるよう、日常生活動作(ADL)の維持・向上を目的とした援助を行います。
そのため、看護師が食事や排泄、入浴、更衣などの介助を行うのではなく、「患者様自身ができること」を増やせるよう自立支援を意識した看護が求められるでしょう。
また、リハビリスタッフと連携しながら患者様の回復状況を共有し、退院後の生活を見据えた支援を行うことも地域包括ケア病棟の看護師の役割の一つです。
地域包括ケア病棟でも、点滴や採血、創傷処置、服薬管理など、医師の指示に基づく医療ケアを提供します。
急性期病棟に比べると高度な医療処置の頻度は少ないものの、患者様の状態に応じた適切な対応が必要です。
また、さまざまな慢性疾患を抱える患者様も多いため、症状の悪化を予防しながら安全に療養生活を送れるよう支援します。
地域包括ケア病棟で働く看護師のケアの対象者は、患者様だけでなくご家族も含まれます。
そこで、退院後に介護を担うご家族に対して、介助方法や服薬管理、生活上の注意点などを分かりやすく説明します。
また、患者様とご家族が安心して在宅生活を送れるように、介護に対する不安や悩みを聞き取り、必要に応じて医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーにつなぐこともあるでしょう。
患者様が安心して地域で生活を続けられるようサポートすることは、地域包括ケア病棟の看護師の役割であり、退院調整・退院支援は特に重要な業務の一つです。
患者様やご家族の希望を確認しながら、医師やリハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなど多職種と連携し、退院後の生活環境を整えていきます。
また、必要に応じて訪問看護や介護サービスの利用を調整することもあるでしょう。
地域包括ケア病棟で働く日勤帯看護師の1日のスケジュール例を紹介します。
| 時間 | スケジュール |
| 8:30 | ・出勤後、情報収集を行う ・夜勤看護師から申し送りを受ける |
| 9:00 | ・おむつ交換や清潔援助を行う |
| 9:30 | ・バイタルサイン測定や点滴の交換、処置を実施する |
| 11:30 | ・昼食を配膳し、必要に応じて食事介助を行う ・配薬・与薬を実施する |
| 12:00 | ・交代で休憩に入る |
| 13:30 | ・カンファレンスに参加し、他職種と情報共有する |
| 15:00 | ・患者様・ご家族との面談や退院調整を行う |
| 15:30 | ・看護記録を作成する |
| 16:30 | ・夜勤看護師に申し送りをする |
| 17:30 | ・退勤する |
地域包括ケア病棟では、急性期病棟と比べて急変対応や緊急入院は少ない傾向にあります。
残業が少なく、定時で退勤しやすいため、プライベートな時間を重視したい方にとって働きやすい職場と言えるでしょう。
地域包括ケア病棟は、急性期病棟のようなスピード感を重視した治療が提供されません。
そのため、地域包括ケア病棟で働く看護師は、下記のようなメリットや魅力が期待できます。
具体的にどのようなメリット・魅力が期待できるのか詳しく紹介するので確認してみましょう。
地域包括ケア病棟では、急性期病棟のように治療や処置が中心ではないため、患者様とコミュニケーションを取る時間を確保しやすいです。
また、日常生活動作(ADL)が改善し、自分でできることが増えていく様子を間近で見られるため、看護師として大きなやりがいを感じられます。
日常生活援助や退院支援を通して、患者様の価値観や生活背景を理解しながら、個別性のある看護の提供を目指せるでしょう。
また、患者様だけでなくご家族と関わる機会も多く、信頼関係を築きながら支援できる点も地域包括ケア病棟ならではの魅力と言えます。
地域包括ケア病棟は、急性期病棟と比較すると急変対応や緊急入院が少ないため、定時で退勤しやすい傾向にあります。
体力的・精神的な負担を軽減しながら、長く看護師として働き続けたい人にも適しているでしょう。
比較的落ち着いた環境で働ける病院が多いことから、仕事と家庭を両立したい看護師や、夜勤や残業の負担を減らしたい看護師にとって働きやすい職場です。
ただし、退院調整やカンファレンスが長引いたり、急性期からの転床受け入れなどが重なったりすると忙しくなるケースもあり得ます。
高齢化が進む日本では、地域包括ケアシステムの推進にともない、地域包括ケア病棟の役割は今後さらに重要になると考えられます。
在宅医療や退院支援へのニーズが高まる中で、地域包括ケア病棟での経験は今後のキャリアにも活かしやすいです。
また、退院支援や多職種連携の経験は、訪問看護や地域医療など幅広い分野でも評価されるため、将来的なキャリアの選択肢を広げることにもつながります。
「地域包括ケア病棟は自分に向いている?」「どのようなスキルが求められるの?」と気になっている方は少なくありません。
地域包括ケア病棟の看護師は、一般的に下記のようなスキルが求められます。
それぞれのスキルについて詳しく紹介するので、当てはまるものがあるかチェックしてみましょう。
地域包括ケア病棟では、高齢者を中心にさまざまな疾患を抱える患者様を受け持つこととなります。
整形外科や内科、脳血管疾患など幅広い症例に対応するため、それぞれの疾患や治療、リハビリテーションに関する知識が必要です。
また、慢性疾患を抱える患者様も多く、病状悪化を予防するための観察やアセスメント能力も欠かせません。
患者様の体調変化や退院後の生活課題を把握するためには、バイタルサインだけでなく、表情や食欲、歩行状況、生活動作の変化など、わずかな変化にも気づく力が求められます。
そのため、一方的に説明するのではなく、患者様やご家族の思いに耳を傾ける傾聴スキルが大切です。
「どのような生活を送りたいのか」「何に困っているのか」を丁寧に聞き取ることで、患者様に合った支援につなげられます。
また、退院調整において、患者様の自宅環境に関する情報は必要不可欠です。
特に患者様との会話を通して、生活背景や退院後の生活への不安を聞き出すことで、より適切な退院支援につなげられるでしょう。
地域包括ケア病棟では、医師やリハビリスタッフ、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャーなど、多職種と協力しながら患者様を支援していきます。
そのため、自分の考えを分かりやすく伝える力だけでなく、相手の意見を尊重しながら情報共有する姿勢が必要不可欠です。
円滑なコミュニケーションが取れることで、チーム全体が同じ目標に向かって支援を進めやすくなります。
地域包括ケア病棟は比較的落ち着いた環境で働ける一方で、一般病棟とは異なる難しさがあります。
ここでは、看護師が地域包括ケア病棟で働く際の注意点を紹介するので、前述したメリットと比較してみましょう。
地域包括ケア病棟では、特定の診療科に限定されず、内科や整形外科、脳血管疾患、呼吸器疾患などさまざまな患者様を受け入れています。
そのため、幅広い疾患に関する知識や看護技術が求められ、一つの専門分野だけでは対応できない場面も少なくありません。
また、高齢の患者様は複数の疾患を併せ持つことも多く、全身状態を総合的にアセスメントする力も必要です。
地域包括ケア病棟では、急性期治療を終えた患者様が中心となるため、高度な医療処置や急変対応を経験する機会は急性期病棟ほど多くありません。
そのため、人工呼吸器管理や救急対応などの専門的なスキルをさらに磨きたい人にとっては、物足りなさを感じる可能性があります。
一方で、退院支援や生活支援、多職種連携など、急性期病棟では経験しにくいスキルを身につけやすいです。
地域包括ケア病棟には認知症を合併している高齢の患者様も多く入院しています。
認知機能の低下により意思疎通が難しかったり、不穏や徘徊などの症状が見られたりすることもあり、一人ひとりに合わせた対応が求められるでしょう。
また、認知症の周辺症状の一つとして、暴言や暴力がみられる方もおり、認知症看護の知識や経験が少ない看護師は戸惑ってしまうこともあります。
地域包括ケア病棟で働くうえで、特定の資格を取得することで専門性が高まり、業務に役立てられます。
また、キャリアアップにもつながるため、現場で活躍したいと考えている方にもおすすめです。
そこで、地域包括ケア病棟の看護師におすすめの資格を紹介するので、どのような資格があるのか確認してみましょう。
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険サービスを利用する人のケアプランを作成し、多職種との連携を図る専門職です。
看護師が資格を取得することで、介護保険制度や在宅サービスについての理解が深まり、退院支援をより円滑に進められるようになります。
また、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などへのキャリアチェンジも視野に入れられるため、将来的な選択肢を広げたい人にもおすすめの資格です。
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認知症ケア専門士は、認知症に関する専門的な知識やスキルを証明する資格です。
地域包括ケア病棟では認知症を抱える高齢の患者様と関わる機会も多く、症状への理解や適切な対応方法を学ぶことで、質の高い看護を提供しやすくなります。
認知症看護のスキルを高めたい看護師に適した資格と言えるでしょう。
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社会福祉士は福祉に関する相談援助の国家資格であり、医療・介護・福祉をつなぐ役割を担います。
退院後の生活支援や社会資源の活用について理解を深められるため、地域包括ケア病棟での退院支援にも役立つでしょう。
ただし、社会福祉士になるには指定された養成課程を修了するなど受験資格を満たし、国家試験に合格しなければなりません。
取得までのハードルは高いものの、地域医療や福祉分野で長く活躍したい人にとっては大きな強みとなる資格でしょう。
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ここでは、地域包括ケア病棟の看護師についてよくある質問を紹介します。
地域包括ケア病棟に入院している患者様の中には、在宅ではなく施設入所のために退院される方も珍しくありません。
入所する施設の選択肢として、リハビリ目的で原則3カ月入所する介護老人保健施設や、要介護3以上の方を対象とした特別養護老人ホームなどが挙げられます。
インターネットや書籍を参考にし、介護施設の役割や入居対象者の特徴、費用相場などについて学ぶと良いでしょう。
地域包括ケア病棟は准看護師でも働くことが可能です。
准看護師も看護師と同様に、患者様の健康管理や日常生活援助、医療処置といった看護業務を担うことができます。
ただし、採用条件は病院によって異なり、正看護師のみを募集している施設もあるため注意が必要です。
地域包括ケア病棟は急性期治療を終え、容体が落ち着いた患者様が住み慣れた地域や自宅に安心して退院できるように、在宅復帰を支援する病棟です。
そのため、地域包括ケア病棟で働く看護師は、患者様の健康管理や在宅復帰に向けた日常生活援助、退院支援・退院調整などを担います 。
患者様とコミュニケーションを取る時間を確保しやすいことから、患者様に寄り添った看護の提供が目指せるでしょう。
また、急変対応や緊急入院が少ないため、心身への負担を軽減しやすく、看護師として長く働きたい方にぴったりの職場です。
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