
ネフローゼ症候群は、腎臓の糸球体の機能が障害され蛋白の再吸収が上手くできなくなることによって、蛋白尿とそれに伴う低蛋白血症、浮腫を呈する腎臓の状態を指します。
慢性的な疾患であり、長期的な治療・生活上の制限も必要であるため、患者さんの負担も大きいと言えるでしょう。
本記事では、ネフローゼ症候群とその看護についてわかりやすい言葉で解説します。

はじめに、ネフローゼ症候群の概要について解説します。

ネフローゼ症候群は、腎臓のなかにある糸球体基底膜の障害によって発生し、高度蛋白尿・低蛋白血症・浮腫を呈する疾患の総称です。
糸球体基底膜は血液を濾過するフィルターの役割を担い、本来は蛋白をほとんど通しません。しかし、何らかの原因で蛋白の濾過が上手くできなくなり膠質浸透圧が低下すると、血漿から大量の蛋白が血管外へ漏れ出し(=低蛋白血症)、漏れ出た蛋白が尿中に排泄されます(=高度蛋白尿)。
また、低蛋白血症により血管内の水分が減り、血管の外に水分と塩分が増加し浮腫が発生します。
ネフローゼ症候群は、原発性(一次性)と続発性(二次性)の2種類に大別されます。
原発性は腎臓そのものの疾患が原因ですが、続発性はSLE(全身性エリテマトーデス)の合併症であるループス腎炎などによって引き起こされます。
原発性ネフローゼ症候群についてもう少し詳しく解説します。
原発性ネフローゼ症候群のうち85%程度を占める「微小変化型」では好発年齢は3~6歳、男児に多く8~9割の症例で再発を認めるものの、一般的に予後は良好です。
しかし、残りの25%である巣状糸球体硬化症や膜性増殖性腎炎では、主な治療であるステロイドに抵抗性を示すことが多く、慢性腎不全に移行し、血液透析や腎移植を要することもあり予後不良です。
ネフローゼ症候群の主な症状は以下の2つです。
蛋白尿が高度になればなるほど、尿に泡立ちが見られるようになり肉眼でも異常を自覚できます。
また病状が悪いケースでは、血管外から漏れ出した水分により胸水や腹水が生じることがあり、呼吸障害や腹痛、腹部膨満感が出現します。
ネフローゼ症候群の診断は、尿検査と血液検査によって行います。加えて、浮腫の有無も重要な所見です。
小児でも成人でも主な検査項目は同じですが、血液データの数値などが若干異なります。
| 小児 | 成人 | |
| 蛋白尿 | 3.5g/日あるいは0.1g/体重(kg)/日 | 3.5g/日以上が持続する |
| 低アルブミン血症 | 血清アルブミン値学童・幼児:3.0g/100ml以下乳児:2.5g/100ml以下 | 血清アルブミン値3.0g/100ml以下 |
ここからはネフローゼ症候群の治療について解説します。
急性期の治療の基本は、ステロイドを中心とした薬物療法と、塩分制限(必要に応じて水分制限)、安静の3本柱です。

乏尿期には利尿剤を、また浮腫が強い場合にはアルブミン製剤を投与することもあります。
ステロイド抵抗例や頻回な再発には、免疫抑制剤の併用やステロイドパルス療法などが行われます。
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急性期を脱したら、安静や塩分(水分)制限は徐々に解除され、病気の経過を見ます。
しかしステロイドの投薬は続くため、引き続き全身状態の観察とステロイドによる副作用の出現に注意が必要です。
ネフローゼ症候群の合併症にはさまざまなものがあります。
ネフローゼ症候群では、蛋白成分の血管外漏出により血管内脱水となり、循環血液量が減少します。また浮腫が腸管にまで及ぶと、嘔吐や下痢の症状が出現し、脱水の進行に拍車がかかります。
この状態を食い止められなければ循環血液量減少性ショックに陥ることがあり、血圧低下や心拍数増加といったショック症状がみられます。
適切な輸液管理とこまめなバイタルサインチェック、モニターの観察による早期発見が重要です。
ネフローゼ症候群の重症例では、急性腎不全に陥ることがあります。
ネフローゼ症候群では治療開始後ただちに病状が良くなることは少なく、多くの例で治療に時間を要し、治療開始後も病状が悪化します。改善には週単位での期間を要するため、急性腎不全となってしまった場合で投薬による治療効果の出現を待てない状態では、一時的に人工透析が必要となることもあります。
低アルブミン血症を呈すると、肝臓は頑張ってアルブミンを生産しようとします。しかしアルブミンを作る際にはLDLコレステロールや凝固因子、フィブリノーゲンなども一緒に作られてしまいます。
血管内脱水と代償的肝機能亢進作用により、血管内には水分が少ないのにも関わらず凝固因子などの物質が血管内に留まり濃縮されるため、血栓のリスクが高まります。
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ここからは、看護のポイントについて解説します。
まず、急性期の看護についてです。
急性期では、倦怠感や腹痛、胸水による呼吸障害などさまざまな症状が出現します。
患者さんの症状をヒアリングし、ベッド上で安楽に過ごせるよう、体位調整の工夫やクーリングなどを実施しましょう。
急性期では塩分制限、また必要に応じて水分制限が必要です。医師の指示を守れないと病状の悪化に直結する可能性があるため、患者さんに協力してもらう必要があります。
食事や水分が制限されるのは、患者さんにとって精神的にも苦痛が強いでしょう。また、小児の場合は活動制限へのストレスも計り知れません。それでも、早く回復しそれらの制限を解除するためにも、患者さん自身や家族の理解と協力が必要であることを伝えましょう。
ネフローゼ症候群の治療には、点滴ルートからのステロイド剤や利尿剤などの投薬が必要です。しかし、浮腫が強く血管内脱水が起こっている状態では血管がもろくなっており、薬液の血管外漏出が起こりやすいです。逆血の有無や点滴刺入部の観察、疼痛の有無など念入りに確認しながら薬剤を投与しましょう。
ネフローゼ症候群の進行や改善は、尿量や尿蛋白の程度によって確認します。尿量測定や蓄尿が必要になることも多いため、正しく測定できるよう患者さんへ協力を依頼しましょう。
より厳密な測定が必要な場合は、膀胱留置カテーテルを用いることもあります。膀胱留置カテーテルの操作方法や管理上の注意点についても学習しておきましょう。
ステロイドの投与が長期化すると、副作用が出現しやすくなります。特に注意したいのは、食欲亢進と易感染性です。小児の場合は、成長障害も生じやすくなります。
食欲亢進はステロイド投与開始後1週間後程度から出現することが多く、大幅な体重増加は全身状態が悪化する可能性があるため、食事摂取量の確認と体重測定を行います。
また、免疫抑制作用による易感染性にも注意が必要です。ネフローゼ症候群は感染により病状が悪化しやすいため、患者さんへの感染予防行動の指導や、看護師自身の手指衛生・スタンダードプリコーションを徹底しましょう。
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ステロイドの副作用であるムーンフェイス(満月様顔貌)について|レバウェル看護 技術Q&A(旧ハテナース) (kango-oshigoto.jp)
急性期を脱しても、すぐに治療が終わるわけではありません。病状の悪化や再発を防ぐために必要な看護について理解しておきましょう。
急性期を脱すると、薬剤は点滴投与ではなく内服へ切り替わります。ステロイド剤は苦く飲みにくいため、小児の患者さんでは内服へ抵抗を示すことも少なくありません。
しかし全量を正しく内服しないと病状が悪化してしまうことがあるため、患者さんや家族にその点をよく理解してもらう必要があります。内服専用ゼリーの使用など、嗜好も確認しながら苦みを和らげる内服方法を探しましょう。
小児の場合は、内服が出来たらご褒美シールを貼るなど、モチベーションを高める工夫ができるとなお良いです。

また、思春期以降の患者さんでは、回復期~寛解期には自覚症状が乏しいこと、またステロイドの副作用であるムーンフェイスを恐れることから、怠薬してしまうことがあります。この場合も、いかにこの時期に服薬を続けるのが重要なのかを繰り返し指導します。単に内服を忘れてしまう場合には、服薬カレンダーを作るのも良いかもしれません。
ステロイドの副作用の1つが易感染性。患者さん自身による日頃からの感染予防行動が何よりも大切であるため、患者さんの理解力に合わせた指導を行いましょう。

入院期間が短くないこと、また退院後に日常生活に戻ったあとにも再発の可能性があることにより、患者さんや家族の不安や精神的な負担が大きいことが考えられます。
自覚症状に乏しいなど、病状の変化がわかりにくいことも不安の一因となるため、検査結果や尿量などを元に、医師からその都度わかりやすく病状説明してもらえると良いでしょう。
今回は、ネフローゼ症候群とその看護について解説しました。
急性期は特に全身状態を注意深く観察し、何か異常を感じたらすぐにほかの看護師や医師へ報告しましょう。患者の苦痛を取り除きながら治療を確実に進めるのがポイントとなります。
またネフローゼ症候群は慢性的な疾患であり、患者さんの治療や制限への理解が欠かせません。疾患理解への支援や精神的なケアにも力を入れましょう。
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Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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