
パーキンソン病の患者さんは、運動機能障害や精神症状がゆっくり進行していきます。看護師は、患者さんができるだけ長く社会生活を継続できるように支援していくことが重要です。
この記事では、パーキンソン病の基礎知識から退院後を見据えた看護を解説していきます。臨床で役立つ具体的なケアや看護計画も紹介していますので、パーキンソン病の患者さんと関わる方はぜひ参考にしてください。

パーキンソン病の患者さんを看護するためには、パーキンソン病について正しく理解することが大切です。この章ではパーキンソン病の病態生理や治療法など基礎知識を解説します。
パーキンソン病は、ドパミンが減少することで運動機能障害や精神症状がゆっくりと進行していく神経変性疾患です。神経変性疾患とは、脳や脊髄における特定の神経細胞が徐々に障害を受け、脱落してしまう疾患群のことをいいます。難治性疾患に指定されていることが多く、パーキンソン病も根治的な治療がない疾患の1つです。

パーキンソン病の原因は明らかではありませんが、中脳の黒質から産生されるドパミンの減少が関与しています。ドパミンは、情緒や運動機能の調整を行っている神経細胞であり、減少することで運動症状や自律神経症状、精神症状が出現することが特徴的です。パーキンソン病のうち、40歳以下で発症するものを若年性パーキンソン病といいます。
パーキンソン病は、日本において高齢化に伴う患者数の増加が懸念されている疾患です。パーキンソン病の特徴を以下に示します。
パーキンソン病は、発症から約10年間は介助なしの生活ができると言われています。生命予後は、寝たきりの状態になってからの全身状態や肺炎・感染症などの合併症によって決まってきます。
パーキンソン病の重要な治療方針は、持続的にドパミン刺激を与え続けることです。
治療のメインとなるのが薬物療法です。どの薬にもメリットとデメリットがあり、特徴とアプローチの方法が異なります。臨床において使用頻度の高い3種類を解説します。
薬物療法のみでは、症状のコントロールが難しい患者さんもいます。以前は選択できるのが定位脳手術のみでしたが、近年ではレボドパ・カルビドパ水和物配合剤経腸用液療法も認可されました。
パーキンソン病は、「4つの診断基準」と「Hoehn-Yahr重症度分類Ⅲ度以上かつ生活機能障害度Ⅱ度以上」を満たした上で診断されます。
難病情報センターによると、パーキンソン病の4つの診断基準は以下のとおりです。
なお、1,2,3は満たすが、薬物反応を未検討の症例は、パーキンソン病疑い症例(Probablre)となります。
臨床でよく使用されるHoehn-Yahr重症度分類は、症状を重症度で示したものです。パーキンソン病は、身体の片側から症状が出現し、病状の進行とともに両側に症状が広がります。Hoehn-Yahr重症度分類は、症状の進行度に合わせた指標です。

Ⅰ度:身体の片側のみパーキンソニズムが出現
(片側の手足に振戦や筋拘縮が出現。日常生活は問題なく可能)
Ⅱ度:身体の両側にパーキンソニズムが出現
(両手や両足に振戦や拘縮が出現。日常生活に少しの不便が出現)
Ⅲ度:身体の両側にパーキンソニズムが出現+姿勢反射障害が出現
(小刻み歩行やすくみ足が出現。方向転換の際に転びやすくなる)
Ⅳ度:重度のパーキンソニズムが出現、歩行は可能だが介助が必要
(立ち上がる動作や歩行が難しくなる。日常生活に介助が必要となってくる)
Ⅴ度:ベッドまたは車椅子生活、介助が必要
(車いすが必要となり、ベッドで過ごす時間が長くなる)
症状や生活レベルを評価する指標です。
Ⅰ度:日常生活や通院にほぼ介助を要しない
Ⅱ度:日常生活や通院に一部の介助を要する
Ⅲ度:日常生活に介助を要し、一人での起立や歩行が困難
パーキンソン病は、「無動・寡動」「筋固縮」「安静時振戦」「姿勢反射障害」の4大症状を示すことが特徴です。パーキンソン病をはじめとする要因によって生じる症状をパーキンソンニズムと呼び、薬剤性や神経性変性疾患によっても同様の症状が見られることがあります。その他に、歩行障害や自律神経障害、精神症状などの症状も出現します。

| 無動・寡動 | 動作が緩慢になり、小さくなる。すくみ足が特徴。 |
| 筋固縮 | 筋肉がこわばり動かしにくくなる。仮面様顔貌など無表情になる。 |
| 安静時振戦 | 動いてないときにも手足に振戦が出現。1秒間に4~6回ほど。 |
| 姿勢反射障害 | 身体のバランスを崩しやすくなる。方向転換が難しくなる。 |
パーキンソン病の薬物療法での治療は、合併症も出現します。
パーキンソンは、完治する方法が解明されておらず病気を抱えた中での生活が続きます。患者さんの社会背景や生活背景を踏まえたうえで、それぞれの患者さんに合わせた看護が必要です。自宅療養を見据えた看護のポイントと看護計画について紹介します。

以下の項目に絞って看護のポイントを解説します。
| 情報収集・観察 | ・発症年齢や症状の進行状況、社会背景、家族背景の情報を収集 ・運動障害や自律神経障害、精神症状など、症状を観察 |
| アセスメント | ・重症度は、Hoehn-Yahr重症度分類・生活機能障害度を使用 ・症状の進行を予測するのではなく、現状をアセスメントする ・状態に合わせた生活の工夫をする |
| 薬物療法 | ・少量からスタートし、量を調節 ・副作用や合併症も考慮 ・患者さんが飲み続けられるように工夫をする |
| 日常生活 | ・病状の進行に合わせ、日常生活の介助を実施 ・社会生活に消極的になる患者さんに対しての精神的な支援 ・生活リズムや生活習慣を見直し ・運動機能障害に伴う、外傷や転倒リスクの危険性 ・家庭内での工夫や状態に合わせたリハビリテーション |
パーキンソン病の患者さんに特徴的な看護問題・看護目標・看護計画を紹介します。
看護目標:リハビリテーションを行うことでADLを維持し転倒・転落を予防できる
OP(観察)
TP(援助)
EP(教育)
看護目標:病気について理解し、治療や日常生活における自己管理ができる
OP(観察)
TP(援助)
EP(教育)
看護目標:身体的変化を受け止め、肯定的な言動の表現や行動ができる
OP(観察)
TP(援助)
EP(教育)
パーキンソン病は現在、完治する治療法はないため、自宅での生活を想定して看護する必要があります。家の中では、動線を確認し動線上の整理整頓を行い転倒予防に努めましょう。
また患者さんが疾患を受け止め向き合えるよう、精神面の支援も必要です。たとえば趣味を見つけることで抑うつ状態を減らすきっかけになります。
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Q. お礼奉公中でも転職は可能?
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