
「訪問看護のオンコールについて知りたい」「転職を考えているけど不安」だと感じている看護師もいるでしょう。オンコールとは、夜間に利用者さんから相談があった場合、対応する勤務形態のことで、訪問看護の9割が導入しています。本記事では、業務内容や対応例についてまとめました。きつい理由やストレス対策についても紹介しているので、ぜひご一読いただき参考にしてください。
訪問看護のオンコール勤務とは、夜間や休日に利用者さんやその家族からの急な相談に対応するため、看護師が自宅待機する勤務形態のことです。オンコール担当の看護師は、モバイル端末や業務に必要な物品を自宅に持ち帰り、転倒や体調不良などの緊急時に電話で状況を確認し、口頭で指示を出すか必要に応じて訪問対応します。今後、要介護認定者や医療ケアを必要とする方の増加、自宅療養を希望する方の増加、国の在宅医療の推進政策などの背景により、オンコール勤務が求められる現場は拡大するでしょう。
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厚生労働省の「訪問看護(p38)」によると、訪問看護における24時間対応体制をとっている事業所は約9割でした。
| 加算届出の有無(事業所数) | 1人あたりの緊急訪問回数 | |
| 緊急時訪問看護加算(介護保険) | 87.8% | 3.5回/月 |
| 24時間対応体制加算 (医療保険) | 88.5% | 3.1回/月 |
引用:厚生労働省「訪問看護(p38)」
介護保険と医療保険で加算の内容は異なりますが、届出の有無に大きな差異はありませんでした。また、緊急訪問の回数は月に3~4回程度だとわかります。
訪問看護のオンコール中の相談例には以下の例が挙げられます。
訪問対応が必要な場合もあれば、電話対応のみで解決する事例もあります。焦らず落ち着いて対応することが大切です。
全国訪問看護事業協会の「訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業(p54)」によると、一回の待機手当は「1,000~2,000円未満」の事業所が34.2%で最も多いです。「2,000~3,000円未満」の事業所は31.0%で、「5,000円以上」と回答している事業所は4.1%でした。このことからも、事業所ごとに手当にも差があることがわかります。
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訪問看護のオンコールの業務内容には、大きく分けて「電話対応」「訪問対応」「救急要請」の3つがあります。具体的に何をするのかをまとめました。
オンコール中、利用者さんから電話があった場合、まずは迅速に下記の情報収集を行いましょう。
状況に応じ、対処法やリスク、再連絡の必要性を説明し、主治医への報告や後日確認の連絡を実施します。
電話での判断にもとづき、緊急訪問が必要と判断された場合、看護師は迅速に訪問準備を進めます。電話の際に利用者さんや家族へ以下を伝えましょう。
移動中は安全運転を徹底し、焦らず冷静に対応することで、現場での迅速かつ適切な医療処置を提供できます。
緊急性が認められた場合は迅速に救急要請を行います。救急要請を行う際は以下を把握しておきましょう。
必要に応じて、主治医へ連絡し救急車の手配や医療機関への連絡を実施します。利用者さんと家族へ説明し、必要な書類があれば記入しておきましょう。安全確保と迅速な対応が必要となるため、主治医や救急隊員の指示に従い適切な対応を行うことが求められます。
ここでは、訪問看護のオンコールの対応について、3つに分けて例を紹介します。
85歳女性の利用者さん。心不全の既往があります。夜間に家族から「軽い息切れをしている」と連絡がありました。看護師は電話で症状、意識状態、経緯などを確認し、臥床安静と時間経過後の評価を指示します。症状が軽微と判断したため、電話相談のみでアドバイスを提供し、必要時再連絡を促すことで対応しました。
70歳男性の利用者さんが夜間に発熱と激しい咳の訴えがあり、家族から緊急の連絡がありました。体温や経緯など情報収集後、自宅へ向かい、呼吸状態や酸素飽和度などバイタルサイン測定を実施します。酸素飽和度の低下が見られたため、酸素投与と体温管理を実施し、担当医へ連絡、処置の指示を仰ぎました。迅速な対応により、利用者さんの状態は安定したため、状況を見て看護師は帰宅しました。
90歳女性の利用者さん。夜間家族から「突然、会話がうまくできなくなった。呂律が回っておらず、顔の片側が垂れている」と連絡がありました。状況を確認後、看護師は急ぎ現場へ向かい、脳血管障害の兆候を確認します。担当医へ連絡し、直ちに救急車を要請しました。利用者さんの安全確保と迅速な医療介入を図るため、適切な判断と連絡を実施しました。
訪問看護のオンコールがきついといわれる理由には、夜間に緊張状態が続くことや遠出の制限があること、飲酒ができないことが挙げられます。ここでは4つまとめました。
オンコール中は、常に利用者さんからの連絡が来る可能性があるため、緊張状態が続きます。緊張状態は、心拍数や血圧が上昇し交感神経が常に刺激されることで、十分な休息が取れず睡眠の妨げとなるでしょう。体力・精神的にリラックスできず、結果的に翌日の業務に支障が出るなど、健康面にも悪影響を及ぼす可能性があります。
オンコール担当時は、自宅待機が基本となるため、外出や遠出が制限されるでしょう。万が一、遠方にいると、緊急時に迅速に利用者さんのもとへ向かうことが困難になります。施設によっては、利用者さんのもとまで30分以内に到着できる距離にいることが求められるなど、待機中は行動範囲が制限されるかもしれません。
飲酒してしまうと、緊急訪問が必要な場合、車で移動しなければならないため飲酒運転となります。そのため待機中は飲酒ができません。また、飲酒により判断力が低下すると緊急対応に支障をきたす可能性もあります。
オンコール後の翌日も通常業務が続く場合、夜間の緊急対応で蓄積した疲労が十分に回復できず、体力的・精神的な負担が残る可能性があります。特に訪問対応を行った場合、長時間利用者さんの対応をしなければならず、十分な休息が取れません。睡眠不足により、翌日の業務に悪影響を及ぼす可能性があります。
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訪問看護はきつい仕事?理由と対策、転職の失敗を防ぐ職場の選び方も解説
訪問看護のオンコールに対してストレスを溜めないようにするには、ゆとりを持った生活を心掛けたり、通知音を設定したりすると良いです。ここではストレス対策について紹介します。
オンコール日は、自宅でゆっくりとリラックスできる環境を整えることが大切です。普段の生活リズムを崩さず、睡眠や休息をしっかり確保し、無理な予定を入れず余裕を持った行動を心掛けましょう。過ごし方を考えることで緊張状態が緩和されストレス軽減につながります。
通知音はインパクトが強過ぎると毎回着信で過剰に驚いてしまい、緊張感が高まる原因になります。優しい音色や落ち着いたメロディーに設定することで、オンコール中のストレスを抑え、冷静に対応できる環境を作れるでしょう。
オンコールの不安を和らげるため、事前に緊急時の流れや注意点を明確にしておくことが重要です。事業所内でマニュアルを整備し、確認すべき項目や対応フロー、管理者への連絡体制を共有すると良いでしょう。万一の歳にも、迅速かつ落ち着いた行動が取れるように備えることで、ストレスが軽減できます。
日勤中の訪問ケアを充実させたり、オンコールの内容をアセスメントしてオンコールを減らす取り組みをしたりすることで、負担軽減につながります。オンコール自体の回数や緊急訪問の回数が減ることで、十分な休息を取れるようになり、ストレス軽減に寄与できるでしょう。
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訪問看護が疲れたと感じる理由とは?負担の対処法やほか職場の選び方も解説
オンコールの負担を軽減するための要素として、訪問看護ステーション選びが重要です。求人票を確認する際に、緊急訪問や電話の回数を確認しましょう。また、事業所の選び方は以下を参考にすると良いです。
オンコール担当の頻度は、所属看護師の人数に大きく左右されます。看護師が充足しているステーションでは、シフトの柔軟な調整が可能となり、個々のオンコール回数が抑えられるでしょう。転職先を検討する際は、事業所の規模や看護師の人数などを事前に確認し、環境を選ぶことが重要です。
精神科訪問看護では、急変リスクが低く、オンコール体制を設けていない事業所があります。急な緊急対応の必要が比較的少ないため、オンコール業務が発生しにくく、精神的・身体的負担が軽減されるでしょう。求人の幅は狭まる可能性がありますが、オンコールなしの働き方を重視するなら検討する価値はあります。
オンコールの負担を軽減するために、翌日の勤務体制の調整やICTツールの活用、オンコール代行など、具体的な対策を実施しているステーションを選ぶことも1つの手段です。一般社団法人全国訪問看護事業協会によると、約6割の施設が24時間対応体制に関する負担軽減の取り組みを実施していることがわかりました。
| 勤務観インターバルがある | 21.7% |
| 夜間対応した翌日の勤務体制の調整 | 65.7% |
| オンコール対応車のフォロー体制をとっている | 52.5% |
| 2名体制で訪問している | 6.6% |
| タブレット・スマートフォンなどICTの活用 | 65.2% |
引用:一般社団法人全国訪問看護事業協会「訪問看護および療養通所介護における医療と介護の一体的なサービス提供についての調査研究事業報告書(p33)」
こうした取り組みにより、看護師個々の業務負荷が均等化され、ストレスも軽減できます。転職先の採用情報や現場の口コミなどで、負担軽減策の有無を確認しましょう。
子育てや妊娠中など、オンコール対応が難しい事情がある場合、採用面接時にその旨を明確に伝えることが重要です。オンコール免除や回数の調整が可能な職場もあるでしょう。また、オンコールなしの働き方を希望するなら、非常勤やパートとしての応募も検討すると良いです。希望条件は入職前にしっかり伝え、後からの交渉リスクは避けるようにしましょう。
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訪問看護への転職に失敗する理由は?後悔しない求人選びのコツを解説
ここでは、訪問看護師として希望条件を叶えた転職体験談を2つ紹介します。転職を希望している方は参考にしましょう。
訪問看護ステーションに10年間勤めているYさんは、総合病院の勤務経験もあり、ケアを手際よくこなせる看護師さんです。仕事内容に不満はありませんでしたが、職員を増員せずに利用者を増やし続ける勤務先で強い疲れを感じていました。オンコール対応の増加もあり、自身の健康面を懸念したYさんはキャリアアドバイザーへ相談することに。その結果、現在の勤務先よりも、より良い条件で転職することに成功。今ではほかのスタッフと楽しく働けているそうです。
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看護師のSさんは、飲食店を営む旦那さんをサポートするため、扶養内のパート勤務で求人を探していました。看護師長の経験もあるSさんですが、結婚・転居を機に、現在は看護師から離職中。希望条件が限定的なこともあり、マッチする求人がなかなか見つからなかったSさんは、キャリアアドバイザーに相談することに。その結果、Sさんの希望通りの勤務時間に調整をしてもらえる訪問看護ステーションに転職することができました。
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そもそも訪問看護師のオンコールが苦手な方は、別の職場を検討することもおすすめです。以下の職場は、オンコール制度がない可能性があります。
病院の外来は日勤勤務のみなので、夜勤がありません。病院から訪問看護への転職を考えている場合、外来へ異動することは手段の1つです。子育てや妊娠中など、育児により働き方を考えたい方は、まずは上司に相談し異動が可能か確認してみましょう。
入院の受け入れをしていないクリニックであれば、夜勤がないためオンコール勤務もありません。仕事とプライベートの切り替えも行いやすく、子どもや友人との休みの予定も合わせやすいでしょう。皮膚科や美容外科など看護内容がある程度定められていたり、緊急性が低いクリニックを選ぶことで残業も少ない可能性があります。
通所型のデイサービスは日中のみの勤務となるため、夜勤がなくオンコールもありません。また、介護施設によって夜勤専従看護師を雇っていたり、オンコール代行を導入している施設もあるため、日勤のみで働くことも可能な場合があります。介護施設は、病気や怪我の治療を目的としているわけではないので、急変が少なく病院ほどの忙しさはないでしょう。
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検診センターは、病気の早期発見を含めた検査を目的としており、1日の予約数が決まっているため、残業も少ないでしょう。また、仕事も日勤のみであるため、オンコールはありません。基本的に健康な方が検査を受けに来るため、急変やイレギュラーが起こる可能性は低いと言えます。
ここでは、訪問看護のオンコールに関してよくある質問をQ&A方式で回答します。
訪問看護ステーションでは、オンコール対応時の行動指針や連絡方法、緊急時の対応手順が記されたマニュアルが整備されていることがあります。これにより、担当看護師が統一された対応を取れるようになり、急な連絡にも落ち着いて対処できる環境が整えられ、業務の質と安全性が向上するでしょう。
オンコール中の電話対応の頻度は、事業所の利用者さんの状況によって異なるため一概に言えません。重症度の高い利用者さんが多い事業所では、オンコール中の電話対応の数も増える傾向にあります。
オンコールなしの訪問看護も求人もあります。しかし、求人の選択肢は狭まる可能性を考慮しましょう。精神科の訪問看護ステーションはオンコール制度を導入していないことも多いようです。子育てや妊娠中により、オンコールができない・少ない回数で働きたいという場合は、応募時に希望を伝えることで免除や回数を減らしてもらえるかもしれません。
事業所によって異なる可能性がありますが、子育て中でもオンコール勤務は可能です。応募時に事前に伝えることで、子育て状況を配慮してもらえることもあります。子どもの預け先を確保できるかも大切な要素でしょう。詳しくは「訪問看護のオンコールは子育て中でも可能?仕事と両立するコツや働き方も」をご覧ください。
「訪問看護のオンコールについて知りたい」「転職を考えているけど悩んでいる」という方もいるかもしれません。訪問看護ステーションのうち約9割はオンコール制を導入しており、手当は事業所によっても金額が異なります。仕事内容には、「電話対応」「緊急訪問」「救急要請」があり、それぞれどのような対応を行うかは把握しておかなければなりません。また、オンコールに対してきついと思う人もいるため、ストレスを軽減できる方法についても知っておくことで対策ができます。別の働き方も含めてさらに詳しく情報が欲しいというかたは、レバウェル看護がおすすめです。専門のキャリアアドバイザーが希望や要望を丁寧にヒアリングするため、訪問看護のオンコールを含めた働き方や、転職について相談ができます。プロと一緒に求人を探すことで、一人で情報収集するよりも詳細な情報が得られるためミスマッチが起こりにくいでしょう。相談のみでも可能なため気軽に聞けます。
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