
「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。
本記事は、脂質異常症治療薬についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
脂質異常症とは、血液中の脂質量に異常が生じている状態です。
具体的には、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールまたは中性脂肪(トリグリセライド)が基準値より高い、もしくは善玉と呼ばれるHDLコレステロールが基準より低いケースです。
脂質異常症の診断基準は以下の図のとおりです。
▼脂質異常症診断基準
| LDLコレステロール | 140mg/dL以上 |
| HDLコレステロール | 40mg/dL未満 |
| 中性脂肪 | 150mg/dL以上(空腹時採血) 175mg/dL以上(随時採血) |
脂質異常症では、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすくなります。
脂質異常症の治療薬は、主にLDLコレステロールを下げるものと、中性脂肪を下げるものに大別できます。
治療の優先順位は、LDLコレステロール→中性脂肪です。

ここから、LDLコレステロールを下げる薬と、中性脂肪を下げる薬についてそれぞれ解説します。
スタンダードスタチン
ストロングスタチン
【作用】
肝臓でコレステロールの合成に必要な酵素(HMG-CoA還元酵素)の働きを抑えて、血液中のLDLコレステロールを低下させる薬です。
【特徴】

狭心症や心筋梗塞、アテローム血栓性脳梗塞など、動脈硬化が原因となる病気の予防に欠かせない薬です。
スタチンの強さは、LDLコレステロールの低下率によって以下2つに分けられます。
一般的にスタンダードスタチンでは15%程度、ストロングスタチンでは30%程度のLDLコレステロールの低下が期待できます。
【副作用】
注意すべき重い副作用に横紋筋融解症※があります。
筋肉の細胞が壊れ、筋肉の成分(ミオグロビン)が血液中に出てしまう状態。
重症になると、腎機能が低下し命に関わることもあります。筋肉痛や手足に力が入らない、赤褐色の尿などの症状が出たときは、すぐに医師や薬剤師に連絡してください。
一般名:エゼチミブ(商品名:ゼチーア)
【作用】
小腸からのコレステロールの吸収を阻害し、肝臓に取り込まれるコレステロール量を減少させることで、血液中のLDLコレステロールを低下させる薬です。
【特徴】
第一選択薬のスタチンが副作用などで使用できない場合に用います。また、スタチンで脂質管理目標値に到達しないときに、スタチンと併用します。
エゼチミブ単独でのコレステロール低下作用はスタチンと比較すると弱いですが、スタチンとの併用による相加作用があり、より強力にLDLコレステロールを低下させます。
【副作用】
便秘、下痢、腹痛、腹部膨満感、悪心・嘔吐など、消化器系の副作用が起こることがあります。
一般名:エボロクマブ(商品名:レパーサ)
【作用】
LDLコレステロールの肝臓への取り込みを促進することにより、血液中のLDLコレステロールを低下させる薬です。
【特徴】
主に家族性高コレステロール血症※の治療で使用する注射薬です。
PCSK9阻害薬は、きわめて強いLDLコレステロール低下作用を持つ薬です。
しかし薬価が高いため、スタチンを最大用量まで増量するかつエゼチミブを併用しても効果が不十分の場合に追加を考慮します。
家族性高コレステロール血症以外の患者でも、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管系の病気の発症リスクが高い患者においてスタチンで効果が不十分な場合には使用可能です。
【副作用】
注射部位反応といって、注射をした部位に紅斑、発赤、腫脹、痛み、痒みなどがあらわれる場合があります。
【作用】
肝臓での中性脂肪の合成を抑えたり、中性脂肪の分解を促進する酵素の働きを活発にすることで、血液中の中性脂肪を減らす薬です。
HDLコレステロールを増やす作用もあります。
【特徴】

食事・運動療法、飲酒制限で改善しない脂質異常症(特に空腹時中性脂肪500mg/dL以上)に対して投与が勧められます。
【副作用】
横紋筋融解症、肝機能障害、消化器症状(嘔気・下痢)が認められることがあります。特に腎機能が悪い患者やスタチンとの併用で横紋筋融解症の頻度が高くなるため、注意が必要です。
【作用】
肝臓での中性脂肪の合成を抑えたり、血液中の中性脂肪の分解を促したりすることにより、血液中の中性脂肪を低下させる薬です。
魚の油(不飽和脂肪酸)が主成分で、血液を固まりにくくする作用や血管の弾力性を保つなどの作用もあります。
【特徴】
フィブラート系薬に比べて中性脂肪の低下作用は弱いですが、横紋筋融解症の副作用がありません。くわえて、フィブラート系薬(ペマフィブラート以外)が禁忌となる腎機能が低下している患者でも、この薬は使用可能です。
【副作用】
悪心や胃部不快感、胸やけなどの症状が現れる場合があります。
【禁忌】
出血している患者には使用できません。
【注意事項】
抗凝固薬や抗血小板薬との併用には注意が必要です。また、手術前には休薬が必要になります。
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熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
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看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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