【脂質異常症】LDLコレステロールと中性脂肪、下げたい方に応じた治療薬の使い分けを解説

「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。

本記事は、脂質異常症治療薬についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
笹川大介(ササガワダイスケ)
薬剤師、株式会社ゆかりファーマシー取締役

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。

各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。

※1※2 調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s(※1)、20~34歳 175s(※2)/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

脂質異常症とは

脂質異常症とは、血液中の脂質量に異常が生じている状態です。

具体的には、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールまたは中性脂肪(トリグリセライド)が基準値より高い、もしくは善玉と呼ばれるHDLコレステロールが基準より低いケースです。

脂質異常症の診断基準は以下の図のとおりです。

▼脂質異常症診断基準

LDLコレステロール140mg/dL以上
HDLコレステロール40mg/dL未満
中性脂肪150mg/dL以上(空腹時採血)
175mg/dL以上(随時採血)

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脂質異常症では、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしやすくなります。

脂質異常症治療薬の使い分けのポイント

脂質異常症の治療薬は、主にLDLコレステロールを下げるものと、中性脂肪を下げるものに大別できます。

治療の優先順位は、LDLコレステロール→中性脂肪です。

そのためLDLコレステロールも中性脂肪も高い場合には、LDLコレステロールを下げる薬が優先して使われます。

ここから、LDLコレステロールを下げる薬と、中性脂肪を下げる薬についてそれぞれ解説します。

脂質異常症で主に使用される薬

LDLコレステロールを下げる薬

分類名:スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)

スタンダードスタチン

  • 一般名:プラバスタチン(商品名:メバロチン)
  • 一般名:シンバスタチン(商品名:リポバス)
  • 一般名:フルバスタチン(商品名:ローコール)

ストロングスタチン

  • 一般名:アトルバスタチン(商品名:リピトール)
  • 一般名:ピタバスタチン(商品名:リバロ)
  • 一般名:ロスバスタチン(商品名:クレストール)

【作用】
肝臓でコレステロールの合成に必要な酵素(HMG-CoA還元酵素)の働きを抑えて、血液中のLDLコレステロールを低下させる薬です。

【特徴】

スタチンは、LDLコレステロールが高い場合の第一選択薬です。

狭心症や心筋梗塞、アテローム血栓性脳梗塞など、動脈硬化が原因となる病気の予防に欠かせない薬です。

スタチンの強さは、LDLコレステロールの低下率によって以下2つに分けられます。

  • スタンダードスタチン
  • ストロングスタチン

一般的にスタンダードスタチンでは15%程度、ストロングスタチンでは30%程度のLDLコレステロールの低下が期待できます。

【副作用】
注意すべき重い副作用に横紋筋融解症※があります。

※横紋筋融解症

筋肉の細胞が壊れ、筋肉の成分(ミオグロビン)が血液中に出てしまう状態。

重症になると、腎機能が低下し命に関わることもあります。筋肉痛や手足に力が入らない、赤褐色の尿などの症状が出たときは、すぐに医師や薬剤師に連絡してください。

分類名:小腸コレステロールトランスポーター阻害薬

一般名:エゼチミブ(商品名:ゼチーア)

【作用】
小腸からのコレステロールの吸収を阻害し、肝臓に取り込まれるコレステロール量を減少させることで、血液中のLDLコレステロールを低下させる薬です。

【特徴】
第一選択薬のスタチンが副作用などで使用できない場合に用います。また、スタチンで脂質管理目標値に到達しないときに、スタチンと併用します。

エゼチミブ単独でのコレステロール低下作用はスタチンと比較すると弱いですが、スタチンとの併用による相加作用があり、より強力にLDLコレステロールを低下させます。

【副作用】
便秘、下痢、腹痛、腹部膨満感、悪心・嘔吐など、消化器系の副作用が起こることがあります。

分類名:PCSK9阻害薬

一般名:エボロクマブ(商品名:レパーサ)

【作用】
LDLコレステロールの肝臓への取り込みを促進することにより、血液中のLDLコレステロールを低下させる薬です。

【特徴】
主に家族性高コレステロール血症※の治療で使用する注射薬です。

※家族性高コレステロール血症
遺伝子が原因でLDLコレステロールの値が特別に高くなる病気。

PCSK9阻害薬は、きわめて強いLDLコレステロール低下作用を持つ薬です。

しかし薬価が高いため、スタチンを最大用量まで増量するかつエゼチミブを併用しても効果が不十分の場合に追加を考慮します。

家族性高コレステロール血症以外の患者でも、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管系の病気の発症リスクが高い患者においてスタチンで効果が不十分な場合には使用可能です。

【副作用】
注射部位反応といって、注射をした部位に紅斑、発赤、腫脹、痛み、痒みなどがあらわれる場合があります。

中性脂肪を下げる薬

分類名:フィブラート系薬

  • 一般名:ベザフィブラート(商品名:ベザトール)
  • 一般名:フェノフィブラート(商品名:リピディル)
  • 一般名:ペマフィブラート(商品名:パルモディア)

【作用】
肝臓での中性脂肪の合成を抑えたり、中性脂肪の分解を促進する酵素の働きを活発にすることで、血液中の中性脂肪を減らす薬です。

HDLコレステロールを増やす作用もあります。

【特徴】

脂質異常症の中でも中性脂肪が高い場合の第一選択薬です。

食事・運動療法、飲酒制限で改善しない脂質異常症(特に空腹時中性脂肪500mg/dL以上)に対して投与が勧められます。

【副作用】
横紋筋融解症、肝機能障害、消化器症状(嘔気・下痢)が認められることがあります。特に腎機能が悪い患者やスタチンとの併用で横紋筋融解症の頻度が高くなるため、注意が必要です。

分類名:多価不飽和脂肪酸

  • 一般名:イコサペント酸エチル(商品名:エパデール)
  • 一般名:オメガ-3脂肪酸エチル(商品名:ロトリガ)
 

【作用】
肝臓での中性脂肪の合成を抑えたり、血液中の中性脂肪の分解を促したりすることにより、血液中の中性脂肪を低下させる薬です。

魚の油(不飽和脂肪酸)が主成分で、血液を固まりにくくする作用や血管の弾力性を保つなどの作用もあります。

【特徴】
フィブラート系薬に比べて中性脂肪の低下作用は弱いですが、横紋筋融解症の副作用がありません。くわえて、フィブラート系薬(ペマフィブラート以外)が禁忌となる腎機能が低下している患者でも、この薬は使用可能です。

【副作用】
悪心や胃部不快感、胸やけなどの症状が現れる場合があります。

【禁忌】
出血している患者には使用できません。

【注意事項】
抗凝固薬や抗血小板薬との併用には注意が必要です。また、手術前には休薬が必要になります。

さいごに

脂質異常症治療薬について、もっと知りたいことや、困っていること、そのほかにもこんな薬剤の記事が見たいなどがあればコメントしてください!

これは役立つぞ!ここをもう少し知りたいんだけど…というコメントも大歓迎です。

今回の内容はレバウェル看護公式Instagramにてイラストで簡単に解説しています。投稿はコチラ

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プロデュース
看護師のかげ
看護師、イラストレーター。病棟で働きながら医療・看護に関するコンテンツをさまざまな媒体で発表している。 保健師、呼吸療法認定士、終末期ケア専門士。著書に「看護が苦手なかげさんのイラスト看護帖」(永岡書店)ほか。X:@877_727、Instagram:@877_727
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