
恐らく保育士さんや助産師さんも同じだろうが、妊娠中、私たち看護師がよく言われる言葉がこれだ。
「看護師さんだから、出産後も安心だね!」
確かに私自身、産科医や婦人科医と一緒に仕事をすることがあったり、助産師の友達もいたりと、赤ちゃんに関しては必要最低限の知識を持っていたと思う。
お腹に生命が宿ってからも、「妊娠◯週かぁ…。今は赤ちゃんこのくらいかな?」「どんな臓器が作られたかなぁ」なんて、妊娠週数と胎児の発育を医学的に結びつけたものだ。ここら辺の感覚は看護師ママあるあるではないだろうか。
でも…いざ出産してみると、知識があっても戸惑いと失敗の連続だった。
本記事では、看護師としてプライドを持って育児に取り組むと、自分を追い詰めることになるかもしれないという点を伝えたい。
産後、私はさまざまな壁にぶち当たった。
えっ、新生児って、目を離したら死ぬ…?2時間泣いてないけど息してるよね?ってか…時空どうなってるの?昼夜逆転とかじゃなくて、もはや朝昼晩関係なく起きてるじゃん!?
って感じで、「知識がある=実際に子育てに活かせる」ではないと知った。
実際にあった失敗を3つ挙げてみよう。
私は母乳育児に強いこだわりがあった。誤解しないでほしいのだが、粉ミルク反対派だったのではなくて、最初で最後になるだろう子育てを母乳でやりたかったのだ。
出産後は、入院中に助産師さんから「粉ミルクを足したほうがいいよ」と言われるたびに断った。
新生児期には適度に体重が増えるのが望ましいとされており、粉ミルクには成長に必要な栄養素がたっぷり含まれている。なのに、母乳育児へのこだわりが原因で、息子の体重は基準に達しなかった。

そんな状況が続いたせいで、産院から訪問看護の導入を勧められ、結局生後半年まで助産師さんが定期的に我が家を訪れることになった。振り返ってみると、私は要注意人物だったんだろうな…と思う。
世間的には「看護師さん=人体や病気に詳しい」なんてイメージがあるはずだ。でも実際は、深夜に何度も助産師さんへ連絡してしまうくらい、不安だらけだった(笑)。
ある深夜のこと。授乳中の息子が息苦しそうに見えた。「何か息苦しそう…大丈夫かな!?」と不安になって、その様子を動画にして訪問看護の助産師さんに送ったところ、すぐに返信が来た。
「新生児の通常の呼吸なので安心してくださいね。でも、赤ちゃんの鼻がおっぱいに埋もれると息がしづらくなるので注意が必要です。」
回答をもらって、「相談して良かった!」と心から安心した。呼吸が正常か、異常かなんて基本的なことだけど、それでも聞いて良かったなと。
これをきっかけに、育児に対して吹っ切れたのだと思う。それから、私は助産師さんにさまざまな質問をするようになった。1つが今思えば笑える話なんだけど…助産師さんに「息子の歯磨きって、した方が良いですか?」なんて聞いたこともある。
まだ歯も生えていない新生児期、母乳以外は口にしていない新生児期にね(笑)。今振り返れば、「何なんだその質問!」と突っ込みたくなるけれど、当時は本当に何も分からなかったのだ。
一度、息子が憤怒けいれん(泣き入り痙攣とも呼ばれる)を起こしたことがある。
痙攣を起こした患者の対応なんて、仕事では何度も経験している。なのに、いざ息子が痙攣を起こすと冷静ではいられなかった。
「死んじゃうかも」とパニックになって、動画撮影をしながら、大声で名前を呼びながら息子を揺すった。すると、息子の痙攣のような動きが止まって寝始めた。

呼吸していることに安堵しつつも、その場でかかりつけ病院へ電話をして状況を説明した。真っ先に「熱はありますか?」と聞かれ、ないと伝えると「救急車を…」と言われたが、「直接行く方が早いです!」と伝えて、息子を抱っこして病院へ走った(今思えばこれも良くない…)。
たまたま、小児科医が夜間救急当番の日だったのが幸い、動画を見せると、「お母さん、このときは揺さぶっては駄目です」とお叱りを受けました…。
目覚めた息子を見て「恐らく泣き入り痙攣だと思うけど、後日脳波を撮りましょう」と言われて再受診。結局大丈夫だったのだけど、こういう緊急事態のときって、焦って行動してしまうものだなと反省した。
自分の失敗から、事故予防としてやっておきたいことをママさんの参考になるようにまとめてみる。
私のママ友のお子さんは、身体的、情緒的にも発達に遅れがあった。それについてネットで検索し「◯歳までは気にしないで良い」という情報を鵜吞みにしていた。
その後、1歳半健診で実際に発達の遅れを指摘をされたものの、それまでネットの情報を信じていたため受け入れられず、その後の3歳児検診にも行ってないらしい。保健師訪問も断ったみたい。
ネット検索はとっても便利だけど、怖いのが情報過多であること。そして…その情報が正しいのか間違っているのか、自分で判断するのがとても難しいこと。人間って、自分に都合の良い情報を信じがちだからね。
何でもネットで検索できちゃう世の中だけど、「ネットで検索したら◯◯だったんだけどどう思う?」みたいな感じで第三者にも意見を聞いて、大事なことは自分だけでは判断しないことが大事だと思う。
新生児に限らず、赤ちゃんを育てているときって誰しもまともな精神状態じゃない。
だからこそ、「気軽に相談できる場所」を確保しておくのが大事だと思う。
「子育て中、絶対に「孤独」な環境は作らないでね。」
これは助産師さんに何度も言われた言葉だ。どんな社会背景があったとしても、「孤独な環境」は精神状態を確実に悪化させるから。
担当助産師さんの1人は、昔、“産後の孤独”が原因の、とても悲しいケースに直面した経験があったそうだ。その経験から、新生児訪問を行う訪問看護ステーションで働き始めたんだと話してくれた。
私は産後に離婚を経験した。「もう1人で生きていく!1人でも子育てに困らないでしょ」って、覚悟を決めたタイプだ。でも、今こうして何も困らず辛くない毎日を送れているのは、決してあの頃の自分が孤独じゃなかったからだろう。話せる人がいて、それだけで心がどれほど救われたか。
地域の子育て支援センターや親子で参加できる地域のイベント、SNSでもいいので、相談できる場所や自分の居場所を作るのがいい。

絶対にYouTubeで見ておいてほしい動画がある。それは小児BLSと熱性痙攣時の対応方法だ。
小児BLSでは、窒息や誤嚥時の背部叩打法や新生児の心臓マッサージ方法とかね。これに関しては消防庁とか信頼できる団体が発信しているので、定期的に見るようにしてほしい。知ってると知らないとじゃ、いざというときの対応がかなり変わってくると思うから。
あとは…すっごく怖いかもしれないけど小児で起きた誤飲事故もね。たとえばコアラ小児科チャンネルさんのこの動画とかをチェックしておくと良いと思う。
突発的な出来事って冷静に対処できないもの。普段からそういう動画でインプットしておいて、子どもに関する怖いニュースも見ておくといい。すべて、明日が我が身だと思うので。
実際に起きたときは、一呼吸置いて、焦らずによく観察するようにしてほしい。
昔は「看護師なんだからハイレベルな育児を…」なんて馬鹿みたいに思っていたが…無理だった。いや、無理で良いのだ。
だって、子育ては仕事じゃないから。自分の子どものことなんだから、神経質にもなるし、必死になるのも当然である。
分からないことは何でも聞いていい。それで不安が解消されたら、安心して育児に取り組めるんだから。
あと、「今日あっという間に終わっちゃった…私、何もしてないんだけど…」って散らかった部屋を見て思ったり鏡に映る自分を見てため息ついたりすることってありませんか?
でも…何もしてない日なんて、子どもを産んでから1日もない。
子どもを1日生かした、何て大仕事なんでしょうか。人の命を毎日救ってるんですよ。それだけでも凄いことではないですか?
子どもってそんなことをするの?赤ちゃんってそんなことで死んじゃうの?ってことは本当に沢山ある。だからこそ、守りましょう大切な小さな命を。大切な我が子を。
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さえ
2025年1月27日 12:07
看護師です。私も子どもが熱性けいれんを起こした時に短時間だったのに焦ってパニックになり救急車呼びました。対処法を予めみておけばよかったと反省しました。冷静になることも大事だと痛感しました。