
「薬の使い分けBOOK」では、看護師さんが気になる薬の使い分け方法について、薬剤師の笹川大介が解説します。
本記事は、降圧薬についてまとめました。作用・副作用に加えて特徴も記載していますので、ぜひ参考にしてください。

熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管を通る際に、血管にかかる圧力のことをいいます。

日本高血圧学会による『高血圧治療ガイドライン2019』では、診療所や病院で測定した「診察室血圧」について、収縮期血圧140mmHg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上は高血圧とされています。
そのほかの基準値は以下のとおりです。
| 分類 | 診察室血圧(㎜Hg) | 家庭血圧(㎜Hg) |
| 正常血圧 | 120未満かつ80未満 | 115未満かつ75未満 |
| 正常高値血圧 | 120~129かつ80未満 | 115~124かつ75未満 |
| 高値血圧 | 130~139かつ/または80~89 | 125~134かつ/または75~84 |
高血圧は、本態性高血圧と二次性高血圧に分類され、高血圧の約90%が本態性高血圧です。
本態性高血圧は、血圧上昇の原因が特定できない高血圧です。
二次性高血圧は、腎臓やホルモンなどの異常や、ほかの病気の薬が原因で引き起こされる高血圧です。原疾患の治療や薬の中止が必要です。
高血圧を放置すると、血管に常に高い圧力がかかり続け、動脈硬化が進行します。動脈硬化が進行すると、脳卒中、心筋梗塞、腎不全などの病気を引き起こす可能性が高まります。
血圧を下げる薬を降圧薬といいます。
降圧薬にはさまざまな種類があります。比較的軽症の高血圧では1種類の薬を少量から、中等度以上の高血圧では1種類を通常量あるいは2種類を少量ずつの併用から使い始めます。
高血圧のほかに持病がない場合には、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬の4種類の中から選択します。基本的にこのうち、どれを用いて治療を開始しても問題ありません。

ではここからは、それらをふまえて、降圧薬の使い分けについてみていきましょう。

【作用】
血管を収縮させるカルシウムの働きを抑えることにより、末梢の血管を広げて血圧を下げる薬です。
【特徴】
Ca拮抗薬は、高血圧治療における第一選択薬の1つです。確実な降圧効果があり、日本の高血圧治療でよく使用されています。
血管を広げる作用により臓器の血流を増やすため、高齢者や臓器障害を合併している患者でも使用しやすいです。一部のCa拮抗薬には狭心症の治療効果もあります。また、副作用の発生頻度が少ないことも特徴の1つです。
飲み合わせに注意するものにグレープフルーツジュースがあります。グレープフルーツジュースには、Ca拮抗薬の分解を抑制する成分を含んでいます。併用することでCa拮抗薬の分解が抑制され、降圧作用が増強する場合があります。そのため、薬が効き過ぎてふらつくことなどもあります。ただし、影響を受ける度合いは、薬によって違います。
【副作用】
強力な血管拡張作用により、低血圧、動悸、頭痛、ほてり感、顔面紅潮、浮腫などが起こることがあります。

【作用】
血管を収縮させて血圧を上げる物質(アンジオテンシンⅡ)の生成を抑えることで、血管を広げて血圧を下げる薬です。
【特徴】
本態性高血圧の第一選択薬の1つです。
ACE阻害薬の降圧作用は、Ca拮抗薬やARBよりやや劣ります。ただし、ACE阻害薬は血圧を下げるだけではなく、心臓や腎臓を保護する効果があるため、心不全や糖尿病、慢性腎臓病などの合併症のある患者に対して積極的に使用することが推奨されています。
【副作用】
最も多い副作用として、空咳と呼ばれる痰の絡まない咳が出ることがあります。服薬を続けると徐々に咳が落ち着いてくる場合もありますが、改善しない場合には、ARBに変更することがあります。
高カリウム血症にも注意が必要です。脱力感、不整脈、吐き気、嘔吐などがみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡してください。
【禁忌】
催奇形性のため、妊婦への投与は禁忌です。

【作用】
血管を収縮させて血圧を上げる物質(アンジオテンシンⅡ)の受容体を遮断することで、血管を広げて血圧を下げます。
【特徴】
本態性高血圧の第一選択薬の1つです。ACE阻害薬よりも血圧を下げる効果が高く、ACE阻害薬でみられる空咳がなく、副作用の発生頻度も少ないことから、日本ではACE阻害薬よりも使用頻度が高いです。
ARBはACE阻害薬と同じく、降圧薬であると同時に心臓や腎臓などの臓器を保護する作用が認められます。
【副作用】
ACE阻害薬と同じく、高カリウム血症に注意が必要です。
【禁忌】
催奇形性のため、妊婦への投与は禁忌です。
【作用】
体内の水分やナトリウム(塩分)を尿の中に多く排出して血液の量を減らし、血圧を下げる薬です。
【特徴】
本態性高血圧の第一選択薬の1つです。サイアザイド系利尿薬はその働きから、食塩感受性高血圧(塩分摂取によって血圧が上昇しやすいタイプの高血圧)に効果が期待できます。
また、減塩が困難な患者に使用されるケースもあります。利尿薬は浮腫を有するなど体液過剰を合併した高血圧に有効で、心不全の予防効果もあるといわれています。
【副作用】
低ナトリウム血症や低カリウム血症といった電解質異常に注意が必要です。倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状がみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡してください。
降圧薬について、もっと知りたいことや、困っていること、そのほかにもこんな薬剤の記事が見たいなどがあればコメントしてください!
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熊本大学薬学部を卒業後、2003年より地元・鹿児島県種子島の薬局に就職。その後、2009年より現職。
各地での講演会やセミナーを多数行っており、最近はYouTubeでオリジナル講義「かんたん薬理学」を精力的に配信している。日経DIクイズの執筆者、薬剤師教育動画「描いてつかむ! 副作用の薬理学」出演などの経験を持つ。
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1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
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