
「乳がん看護認定看護師とは?」「どんな人が向いているの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。この記事では、乳がん看護認定看護師になるまでの流れや向いている人の特徴などについて、詳しく紹介します。資格取得を目指す際に確認が必要な注意点にも触れていますので、乳がん看護認定看護師になりたい方は参考にしてみてください。
乳がん看護認定看護師とは、乳がんを抱える患者さんやそのご家族に対して、専門性の高いケアを行えると認められた看護師です。ここでは、乳がん看護認定看護師の役割や専門性を発揮できる職場を紹介します。
乳がん看護認定看護師の役割は、乳がん患者さんに対する周手術期ケアや合併症の予防、相談支援などを行うことです。患者さんがさまざまな検査や治療に取り組んでいく中での、意思決定サポートも実施します。
乳がんは早期発見によって根治が見込みやすいと言われており、国立がん研究センターの調査によると、乳がん患者さんの5年相対生存率は92.3%(2009年〜2011年)です。その一方で、乳がんの治療は長期化する傾向にあるため、チーム医療による包括的・長期的なケアが必要になります。チームの中心的存在として指導・相談・調整を担うのも、乳がん認定看護師の役割の1つです。
乳がん看護認定看護師は、がん診療連携拠点病院が主な活躍の場です。乳腺外科病棟や外科病棟を中心に、遺伝性乳がんカウンセリング外来で医師や認定遺伝カウンセラーと連携しながら専門性を発揮している看護師もいます。
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乳がん看護認定看護師になるには、乳がん看護の実績条件を満たし、教育カリキュラムを修了した後、認定審査に合格することが必要です。ここでは乳がん看護認定看護師になるにはどうすればいいのか、資格取得の方法を解説します。
日本看護協会の「認定看護師」によると、乳がん看護認定看護師の受験条件は下記のとおりです。
看護師としての実務経験だけでなく、通算3年以上乳がん看護に携わり、5例以上の症例を受け持った実績が求められます。これまでに休職や部署異動、転職の経験がある看護師は、条件を満たしているかどうか確認しておきましょう。
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認定看護師になるには、教育機関に入学してカリキュラムを修了することが必要です。指定の教育機関は認定看護分野ごとに異なります。認定看護師A課程は2026年度で教育が終了する予定です。これから乳がん看護認定看護師を目指す場合、特定行為研修を含むB課程の教育機関に通う必要があります。
乳がん認定看護師の教育を実施している機関は、日本看護協会の教育機関検索で確認してみてください。
日本看護協会の「認定看護師教育基準カリキュラム(B課程認定看護師教育機関)」によると、乳がん看護認定看護師のB課程の教育カリキュラム(2026年1月時点)は下記のとおりです。
<共通科目:380時間>
| 教科名 | 時間数 |
| 臨床病態生理学 | 40時間 |
| 臨床推論 | 45時間 |
| 臨床推論:医療面接 | 15時間 |
| フィジカルアセスメント:基礎・応用 | 各30時間 |
| 臨床薬理学:薬物動態・薬理作用 | 各15時間 |
| 臨床薬理学:薬物治療・管理 | 30時間 |
| 疾病・臨床病態概論 | 40時間 |
| 疾病・臨床病態概論:状況別 | 15時間 |
| 医療安全学:医療倫理・医療安全管理 | 各15時間 |
| チーム医療論(特定行為実践) | 15時間 |
| 特定行為実践 | 15時間 |
| 指導・相談・看護管理 | 各15時間 |
<専門科目・認定看護分野専門科目:225時間>
| 教科名 | 時間数 |
| がん看護学総論* | 30時間 |
| 腫瘍学概論* | 15時間 |
| がんの医療サービスと社会資源* | 15時間 |
| 乳腺腫瘍学概論 | 45時間 |
| 乳がん看護概論 | 15時間 |
| 集学的治療を受ける乳がん患者の看護 | 45時間 |
| 乳がんサバイバーとその家族への支援 | 15時間 |
| 乳がん患者の意思決定を支える看護技術 | 15時間 |
| 乳がん患者のボディイメージ変容への援助技術 | 15時間 |
| 乳がん患者のリンパ浮腫の看護技術 | 15時間 |
※がん領域共通学習内容
<専門科目・特定行為研修区分別科目:29時間>
| 教科名 | 時間数 |
| 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 22時間 |
| 創部ドレーン管理関連 | 7時間 |
<演習・実践:165時間>
| 教科名 | 時間数 |
| 総合演習 | 15時間 |
| 臨地実習 | 150時間 |
参照:日本看護協会「認定看護師教育基準カリキュラム(B課程認定看護師教育機関)」
合計時間数は799時間であり、専門科目の中に「がん領域共通学習内容」を含むのが特徴です。教育カリキュラムで学んだ内容は認定審査の筆記試験の出題範囲なので、しっかり学んでおく必要があります。
認定看護師の認定審査は、1年に1回実施されています。認定審査を受ける流れは以下のとおりです。
認定審査の筆記試験は、100分間で行われ、マークシート方式・四肢択一で出題されます。申請の際は、書類の提出漏れがないようにあらかじめ手続きの内容をしっかり確認しておくと安心です。
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乳がん看護認定看護師は乳がん看護のスペシャリストを目指せる一方、専門に特化した領域でもあります。目指したいキャリアパスや看護師像と異なっていると、取得後にミスマッチが生じるかもしれないため、向いているかどうかの確認が重要です。
専門的な知識・技術を身に付けることで、乳がん患者さんのQOL向上に寄与したいという人は乳がん看護認定看護師に向いているでしょう。乳がん看護の認定カリキュラムを通じて、検診や遺伝カウンセリング、症状や副作用を緩和するための看護、セルフケア指導などのスキルを身に付けられます。積極的にスキルアップを目指したい看護師におすすめの資格です。
乳がん患者さんとご家族は「がんと診断された」という事実を受け入れられず、心理的サポートを必要としている人もいます。患者さんとご家族へ自信をもって適切な支援を提供できるようになりたい人に、乳がん看護認定看護師の資格取得はおすすめです。高い専門性から、ほかの看護師への指導や教育を担うこともあります。
乳がん看護認定看護師の専門性は、患者さんが納得して検査・治療を受けられるよう選択支援する際にも発揮されます。乳がんの検査・治療は複雑化しており、情報量の多さに戸惑う患者さんも少なくありません。「専門性を発揮しながら乳がん患者さんの意思決定をサポートしたい」と考えている看護師に、認定看護師の資格はおすすめです。
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この項では、乳がん看護認定看護師の資格取得を目指す前に確認すべき点を紹介します。乳がん看護認定看護師の資格取得を検討している方は、チェックしてみてください。
乳がん看護認定看護師になるには、120万円ほどの費用が必要だといわれています。資格取得までにかかる主な費用は以下のとおりです。
| 内訳 | 費用 |
| 入学検定料 | 約5万円 |
| 入学金 | 約5万円 |
| 授業料 | 約100万円 |
| 認定審査料 | 約5万円 |
| 登録料 | 約5万円 |
また、5年ごとの資格更新時にも、合計5万円ほどの審査料・登録料がかかります。資格を検討している方は、計画的に準備を進めましょう。
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認定看護師の資格を取得すると待遇・収入アップも期待できますが、職場によって差があります。日本看護協会の「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する 評価・処遇に関する調査(P25)」によると、認定看護師の資格取得に伴う処遇改善状況は下記のとおりです。
| 評価の内容 | 調査数 | 割合 |
| 基本給が上がる/昇給(給料が上がる) | 380件 | 10.0% |
| 昇格する(等級が上がる) | 179件 | 4.7% |
| 昇進する(職位が上がる) | 194件 | 5.1% |
| 特にない | 3,146件 | 82.7% |
参照:日本看護協会「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する 評価・処遇に関する調査(P25)」
認定看護師になったことが、待遇・収入アップにつながった人は約2割にとどまり、約8割の人は待遇や収入が変わっていません。認定看護師の資格取得によって待遇や収入のアップも目指したいなら、専門性を評価してもらいやすい職場への転職も視野に入れてみてください。
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「乳がん看護認定看護師は取得のハードルが高い」「准看護師もスキルアップに役立つ資格はある?」と悩んでしまう方は少なくありません。ここでは、乳がん看護認定看護師以外におすすめの資格を紹介します。
乳房エキスパート看護職は、乳房に関する専門的知識や乳房の健康を判断する知識・技術を持つスペシャリストです。日本産婦人科乳腺医学会によって認められた資格であり、認定を受けるには学会員歴や研修実績、講習の受講などを満たすことが条件になります。
ピンクリボンアドバイザーは、乳がんの正しい知識を持ち、検診や健康管理の啓発を担うものです。認定NPO法人乳房健康研究会によって認定された資格で、初級・中級・上級に分かれています。
| 級 | 取得後の目標 | 受験資格 |
| 初級 | 乳がんの基本知識が身につく | 制限なし |
| 中級 | 乳がんに関するさまざまな問題を理解・解決できる | 初級認定者 |
| 上級 | 乳がん健診や環境改善のための教育、指導、社会活動を主導できる | 中級認定者 必須単位を取得している |
取得条件に学歴や年齢・性別・国籍などの制限がありません。指定テキストの内容から問題が出題される筆記試験に合格すれば、資格を取得できます。乳がん看護のスキルアップを目指したい方におすすめです。
ここでは、「乳がん看護認定看護師になるには?」と気になっている人によくある質問を、Q&A形式で紹介します。
乳がん看護認定看護師の実務研修基準では、現在も乳がん患者さんに対する看護に携わっていることが望ましいとされています。しかし、資格を目指す時点で、必ずしも乳がん看護に携わっていなければならないわけではありません。離職していても臨床経験や症例数の条件を満たしていれば、乳がん看護認定看護師を目指せるといえます。
がん看護分野の認定看護師は、乳がん看護認定看護師だけではありません。がん看護分野における認定看護師の種類は下記のとおりです。
| がん看護分野の認定領域 | 特徴 |
| 緩和ケア | がんを始めとした痛みや身体的・心理社会的な問題をアセスメントする |
| がん薬物療法看護 | がん薬物療法の適切な投与管理やリスクマネジメント、暴露の対策を行う |
| がん放射線療法看護 | 放射線を受ける患者さんの身体的・心理的・社会的アセスメントを実施する |
参照:日本看護協会「認定看護師」
同じがん看護の認定分野でも、それぞれ専門性が異なるため、キャリアプランや実務経験に合った認定領域を選ぶことが大切です。
乳がん看護認定看護師は、がん診療拠点病院を中心に、遺伝性乳がんカウンセリング外来にも活躍の場を広げています。乳がん看護では、治療を受ける患者さんの自己決定をサポートできるように関わっていくことも大切です。
乳がん看護認定看護師は。乳がんに特化した専門領域のため、長期的に患者さんのケアに携わりたいと考えている方に向いているといえます。スキルアップによるモチベーション維持にも役立つので、専門性を発揮して患者さんを支援したい方は、乳がん看護認定看護師の取得を検討してみましょう。
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