
「摂食嚥下障害看護認定看護師になるには?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。この記事では、摂食嚥下障害看護の認定看護師になるのに必要な条件や教育カリキュラムの内容、認定審査の流れについて解説します。活躍の場や資格を取得するメリットも紹介していますので、摂食嚥下障害看護認定看護師になりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
摂食嚥下障害看護認定看護師とは、摂食嚥下機能と関連する障害がある方を対象に、専門性の高い看護を行えると日本看護協会に認定された看護師を指します。ここでは摂食嚥下障害看護認定看護師の役割や活躍の場を紹介しますので、取得後の働き方をイメージするのにお役立てください。
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摂食嚥下障害看護認定看護師は、乳幼児から高齢者まで幅広い世代を対象に、個々の摂食嚥下機能の評価と援助・訓練方法の選択を行います。誤嚥性肺炎や窒息、脱水の悪化のリスク管理も重要な役割です。脳血管疾患や敗血症の発症、糖尿病の悪化などの予防につながる口腔ケアのサポートにも努めます。
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日本看護協会の「認定看護師」によると、2024年12月末時点における摂食嚥下障害看護認定看護師の所属先は下記のとおりです。
| 勤務先 | A課程 | B課程 |
| 病院 | 889名 | 261名 |
| 訪問看護ステーション | 40名 | 4名 |
| クリニック・診療所 | 6名 | 0名 |
| 介護保険施設など | 16名 | 1名 |
| 学校・大学 | 15名 | 2名 |
| 認定看護師教育機関 | 0名 | 1名 |
| 会社 | 2名 | 0名 |
| 看護協会 | 1名 | 1名 |
| その他 | 10名 | 0名 |
| 離職中 | 33名 | 2名 |
| 人数合計 | 1,012名 | 272名 |
参照:日本看護協会「認定看護師(分野別所属先種別登録者数一覧)」
摂食嚥下障害看護認定看護師の多くが病院に勤務していますが、訪問看護ステーションや介護保険施設でも活躍しています。患者さんの生活の場で行う支援にも積極的に携わりたい看護師におすすめの資格です。
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摂食嚥下障害看護認定看護師になるには、実務研修の基準を満たして指定の教育機関で教育カリキュラムを受講したあと、認定審査に合格する必要があります。下記では、認定看護師になるための条件や認定審査の難易度について確認してみましょう。
摂食嚥下障害看護認定看護師になるには、看護師免許取得後、通算5年以上の実務経験が求められます。また、そのほかにも下記の基準を満たさなければなりません。
摂食嚥下認定看護師を目指す前に、基準を満たしているか確認しておきましょう。現在の勤務先によっては、実務研修の基準を満たせる職場への転職が必要な場合もあります。
指定の教育機関は、認定看護分野ごとに異なります。摂食嚥下障害看護認定看護師の課程を受講できる教育機関は数が限られているため、あらかじめ確認しておくことが重要です。募集要項や入学試験についても最新の情報をチェックするようにしましょう。
日本看護協会の「認定看護師教育基準カリキュラム(B課程認定看護師教育機関)」では、摂食嚥下障害看護認定看護師の教育カリキュラムについて下記のように記載されています(2026年1月時点)。なお、カリキュラムの内容は変更される可能性もあるため、最新の情報を確認するようにしましょう。
<共通科目:380時間>
| 教科名 | 時間数 |
| 臨床病態生理学 | 40時間 |
| 臨床推論 | 45時間 |
| 臨床推論:医療面接 | 15時間 |
| フィジカルアセスメント:基礎・応用 | 各30時間 |
| 臨床薬理学:薬物動態・薬理作用 | 各15時間 |
| 臨床薬理学:薬物治療・管理 | 30時間 |
| 疾病・臨床病態概論 | 40時間 |
| 疾病・臨床病態概論:状況別 | 15時間 |
| 医療安全学:医療倫理・医療安全管理 | 各15時間 |
| チーム医療論(特定行為実践) | 15時間 |
| 特定行為実践 | 15時間 |
| 指導 | 15時間 |
| 相談 | 15時間 |
| 看護管理 | 15時間 |
<専門科目・認定看護分専門科目:225時間>
| 教科名 | 時間数 |
| リハビリテーション総論 | 15時間 |
| 摂食嚥下障害病態論 | 30時間 |
| 摂食嚥下機能評価論 | 30時間 |
| 摂食嚥下障害看護技術論 | 30時間 |
| リスクマネジメント論 | 30時間 |
| 摂食嚥下障害援助論Ⅰ・Ⅲ | 各30時間 |
| 摂食嚥下障害援助論Ⅱ・Ⅳ | 各15時間 |
<専門科目・特定行為研修区分別科目:22時間>
| 教科名 | 時間数 |
| 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 22時間 |
<演習・実習:165時間>
| 科目 | 時間数 |
| 総合演習 | 15時間 |
| 臨地実習 | 150時間 |
参照:日本看護協会「認定看護師教育基準カリキュラム(B課程認定看護師教育機関)」
e-ラーニングを導入している教育機関の場合、一部科目を自宅や職場で受講することも可能です。そのため、働きながら摂食嚥下障害看護認定看護師の資格を取得する人もいます。
教育カリキュラムを修了したあと、日本看護協会が主催する認定審査を受験します。認定審査の受験から合格までの流れは以下のとおりです。
合否発表後、合格者は登録の手続きと登録料の振り込みを行います。所属先のホームページや学会・研修会の資料などに認定看護師である旨を記載できるのは、登録手続きが完了してからになるため注意が必要です。
認定審査の筆記試験は、マークシート方式の四肢択一です。試験時間は100分で、下記のような方式で出題されます。
| 出題方式 | 出題数 | 配点 |
| 一般問題 | 20問 | 50点 |
| 客観式状況設定問題 | 20問 | 100点 |
| 計 | 40問 | 150点 |
参照:日本看護協会「認定看護師」
問題は、共通科目を含めた各認定看護分野から出題されます。試験の合格率は公的に発表されていません。専門性の高い分野のため決して簡単ではないものの、カリキュラムで学んだ内容をしっかり学習して対策しておけば、合格できる可能性は十分あるでしょう。
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摂食嚥下障害看護認定看護師になるまでにかかる費用は、100万円ほどだといわれています。下記に、認定看護師の資格取得までにかかる費用の内訳をまとめました。
| 教育機関の入試検定料 | 約5万円 |
| 入学金 | 約5万円 |
| 授業料 | 約70万円 |
| 実習費 | 約10万円 |
| 認定審査料 | 約5万円 |
| 合格後の登録料 | 約5万円 |
上記のほかに、教材やPC購入といった準備にかかる費用もあります。教育機関へ通うために転居が必要な際は、引っ越し費用や新居の家賃も必要となるでしょう。その場合は合わせて150万ほどかかることもあります。決して少なくない額のため、認定看護師資格の取得支援制度を活用することも検討してみてください。
職場で学費の免除や生活費の補助、給与・賞与の支給といったフォロー体制が整っていなければ、日本看護協会の奨学金制度の活用もおすすめです。また、支援制度が整っている職場への転職も選択肢の1つとして考えましょう。
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摂食嚥下障害看護認定看護師になることで、資格取得前とは異なるメリットが期待できます。摂食嚥下障害看護認定看護師になるメリット・魅力は下記のとおりです。どのようなメリットが期待できるのか、今の働き方と比較してみましょう。
認定看護師を目指すなかで、摂食嚥下に関する専門性の高い知識や技術を身に付けられます。スキルに自信が持てることは、資格を取得するメリットの1つです。
また、質の高いケアを提供できるため、患者さんのQOL向上や全身状態の改善に役立ち、看護師としての達成感ややりがいにもつながるかもしれません。「専門性を磨いてスキルアップしたい」と考えている看護師にぴったりの資格です。
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摂食嚥下障害看護認定看護師は、患者さん一人ひとりに合った食事形態を見極め、むせこみや誤嚥のない食事摂取を目指します。「食べる」という楽しみや喜びが生まれることで、食事への意欲が増すものです。患者さんの変化を見守りながら寄り添う看護ができることは、摂食嚥下障害看護認定看護師ならではの魅力だといえます。
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日本看護協会の「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査報告書(26p)」によると、認定看護師に対する資格手当の平均支給額は8,530円です。資格手当の金額によっては、収入アップが目指せるかもしれません。
ただし、同資料では、認定看護師に資格手当が支給される病院は4割弱にとどまるとされています。現在の勤務先で資格手当が支給されない場合は、好待遇な職場への転職も視野に入れてみてください。
少子高齢化に伴い、今後は病院中心の医療から施設・在宅中心の医療へ移行していくと見込まれています。個人の摂食嚥下機能に応じて適切な援助や訓練を実施し、高齢者の健康をサポートする摂食嚥下障害看護認定看護師の需要は高まっていくでしょう。将来的に需要の高い分野を選びたい方におすすめです。
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認定看護師の資格を取得するにあたって、いくつか注意すべきポイントがあります。摂食嚥下障害看護認定看護師になる場合の注意点は下記のとおりです。
摂食嚥下障害看護を始めとした全ての分野において、認定看護師は5年ごとの更新が必要です。更新費用には約5万円がかかります。更新時には更新審査も行われ、過去5年間に一定以上の看護実践及び自己研鑽の実績があることが必要です。更新しなければ資格は失効してしまいますが、再認定審査を受けると再び認定看護師として働けます。
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認定看護師制度は、A課程の教育が2026年度・認定審査が2029年度に終了予定で、2020年度から開始したB課程へ段階的に切り替わっています。そのため、これから摂食嚥下障害看護認定看護師を目指す場合は、基本的にB課程認定看護師を育成する教育カリキュラムを受講することになるでしょう。
すでにA課程認定看護師の資格を持っている方は、いずれかの指定研修機関で特定行為区分を受講することで、B課程認定看護師に移行できます。
摂食や嚥下に関する看護師向けの資格は、摂食嚥下障害看護認定看護師だけではありません。この項では、摂食嚥下障害分野に興味がある方におすすめの資格を紹介するので、チェックしてみてください。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会によって認められた資格です。摂食嚥下リハビリテーション計画に従って摂食嚥下訓練を実施し、リスク回避に必要な知識・技能があると認められた医療従事者が対象となります。
取得するには、摂食嚥下に関わる臨床経験や研究歴が3年以上で、学会に2年以上在籍していることが必要です。eラーニングで学習プログラムを受講できるため、働きながらでも取得しやすいといえます。
嚥下トレーナーは、規定の講座を受講・修了し、摂食嚥下に関する優れた知識と技能があると認められた歯科医師・看護師・准看護師を対象とした資格です。
研修には講義と実習があります。講座の内容はテーマごとに分かれており、間接訓練・直接訓練・嚥下観察・食事介助の4つです。オンライン受講に対応していないため、会場に出向いて受講する必要があります。
ここでは、「摂食嚥下障害看護認定看護師になるには?」と気になっている方によくある質問をQ&A形式で紹介します。
認定看護師になるのに年齢制限はありません。日本看護協会が実施した「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査報告書(3p)」にて、調査に回答した認定看護師の年齢層は下記のとおりです。
| 20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60歳以上 |
| 0.1% | 15.2% | 49.1% | 32.3% | 3.3% |
参照:日本看護協会「2022年度専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査報告書(3p)」
平均年齢は46.6歳であり、認定看護師の年齢層はベテラン看護師が多いです。ただ、20~30代で資格を取得して認定看護師として活躍している人もいます。キャリアアップのために認定看護師を目指したいのであれば、年齢を気にせず挑戦するのがおすすめです。
認定分野の職場を退職していても、5年以上の実務経験や実務研修の基準を満たしていれば認定看護師を目指すことは可能です。しかし、以前の勤務先に勤務証明書を発行してもらわなければなりません。当時の上司と連絡を取りにくい場合、病院や法人の総務課に連絡して発行を申請する方法もあります。
摂食嚥下障害看護認定看護師になるには、5年以上の実務経験や認定領域での看護実績が求められます。また、教育機関での教育カリキュラム修了後、認定審査に合格しなければなりません。摂食嚥下障害看護認定看護師になると、ハイレベルな知識・技術を身に付けられて、やりがいやモチベーションの維持につながります。摂食・嚥下のスペシャリストを目指したいなら、摂食嚥下障害看護認定看護師の取得を検討してみましょう。
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