
スペシャリストとして活躍したい看護師さんもいるでしょう。看護におけるスペシャリストとは、特定の分野で高い専門性を発揮し、質の高い看護を実践する人のことをいいます。
この記事では、スペシャリスト看護師になる方法や求められる能力、向いている人の特徴を解説。ジェネラリストとの違いや必要な資格の取り方も紹介しますので、参考にしてみてください。
日本看護協会「看護にかかわる主要な用語の解説(26p)」によると、看護におけるスペシャリストとは、「ある学問分野や知識体系に精通している」看護師を指すといいます。
スペシャリストと呼ばれる看護師は、特定の分野で磨いた専門性を発揮し、質の高い看護を実践できる人だといえるでしょう。
多様化する患者さまやご家族の看護ニーズに対応するため、看護師にはスペシャリストのほかに、ジェネラリストの役割を担う方もいます。
日本看護協会「改訂版 看護にかかわる主要な用語の解説(P20)」によると、ジェネラリストの定義は「特定の看護分野や専門に限らず、その場に応じた知識や技能を発揮できる人」といったものです。ジェネラリストになるには、幅広い視野と患者さまへの支援経験が必要なため、さまざまな科や部門で看護経験を積むことが大切といえます。
▼関連記事
ジェネラリストとして活躍する看護師とは?働き方やキャリアについて解説!
スペシャリストとして働くことには、興味がある分野で高度な医療に携われたり、より専門性を発揮して患者さまに看護を提供できるメリットがあります。
専門職として信頼性が増し、部署内や病院内での裁量権が大きくなるかもしれません。職場によっては昇進・昇格や年収アップにつながることもあるでしょう。患者さま・ご家族への対応実績や資格があることで、希望の職場への転職が有利になることも期待できます。
患者さまやご家族への対応力に加え、専門資格は特定分野での高いレベルの看護スキルを有する証明になるため、資格取得をスペシャリストになる際の最初の目標にするのも一つです。ここでは、代表的な「専門看護師」と「認定看護師」について解説します。
「専門看護師」と「認定看護師」は、日本看護協会が認定する資格制度です。以下に、それぞれの資格が持つ特徴や役割、登録者数をまとめました。
| 専門看護師(CNS) | 認定看護師(CN) | |
| 概要 | 専門看護分野において質の高い技術と知識を持ち、卓越した看護を実践できると認められた看護師 | 認定看護分野における熟練した看護技術・知識を用いて、水準の高い看護を実践できると認められた看護師 |
| 役割 | 「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」 | 「実践」「指導」「相談」 |
| 登録者数 | 3,644名(2025年12月時点) | 6,539名(B課程:2025年12月時点) |
両資格の取得には、一定の看護経験と教育課程の修了・認定審査の合格が必要です。資格を保有することで、患者さまやご家族などに豊富な経験と専門的な知識・技術を提供できる証明になります。
▼関連記事
専門看護師とは?役割と資格の取得方法を解説!認定看護師との違いも
認定看護師と専門看護師の違いって?役割や資格取得の条件を比較して解説
専門看護分野と認定看護分野とは、独立した看護の専門分野としてそれぞれ認められたものです。現在、専門看護分野は14種類、認定看護分野は19種類です。それぞれの看護分野を一覧にまとめました。
| 専門看護分野(14種類) | 認定看護分野(B課程:19種類) |
| がん看護 | 感染管理 |
| 精神看護 | がん放射線療法看護 |
| 地域看護 | がん薬物療法看護 |
| 老人看護 | 緩和ケア |
| 小児看護 | クリティカルケア |
| 母性看護 | 呼吸器疾患看護 |
| 慢性疾患看護 | 在宅ケア |
| 急性・重症看護 | 手術看護 |
| 感染症看護 | 小児プライマリケア |
| 家族支援 | 新生児集中ケア |
| 在宅看護 | 心不全看護 |
| 遺伝看護 | 腎不全看護 |
| 災害看護 | 生殖看護 |
| 放射線看護 | 摂食嚥下障害看護 |
| ー | 糖尿病看護 |
| ー | 乳がん看護 |
| ー | 認知症看護 |
| ー | 脳卒中看護 |
| ー | 皮膚・排泄ケア |
専門看護分野よりも、認定看護分野の方が種類が多く、細分化されています。上記の認定看護分野は、新制度により始まった認定看護師B課程のものです。資格取得時は、「がん治療を支援したい」「介護職とも連携しながら緩和ケアに携わりたい」「透析治療を支援するために腎不全看護を学ぶ」など、目的を描いてみましょう。
▼関連記事
認定看護師の種類一覧!分野別の内容の違いや難易度、資格取得の方法を解説
専門看護師や認定看護師になるには、一定の実務研修を積んで教育課程を修了後、認定審査に合格する必要があります。以下に、それぞれの資格の取得の必要条件・カリキュラム・取得にかかる年数・費用・審査の内容などをまとめました。
| 専門看護師 | 認定看護師 | |
| 必要条件 | 看護師の実務経験が通算5年以上(うち3年以上は専門看護分野における実務研修) | 看護師の実務経験が通算5年以上(うち3年以上は認定看護分野における実務研修) |
| カリキュラム | 大学院修士課程(専門看護師養成課程) | 認定看護師教育基準カリキュラム(開講している教育機関へ入学) |
| 取得にかかる年数 | 最低でも2年(修士課程が2年間のため) | およそ6ヶ月~1年 |
| 費用 | 約150~300万円 | 約100~150万円 |
| 認定審査の内容 | 書類審査、筆記試験(マークシート方式、四肢択一)100分 | |
| 取得後の更新 | 5年ごとに更新の必要あり | |
専門看護師と認定看護師は上位資格であるため、取得までに時間も費用も少なからずかかります。目指す方は、現在の職場に資格取得支援制度があるか確認しましょう。資格取得を見据えた転職をするのも1つの手です。経済的な不安がある方は給付型の奨学金もありますので、活用を検討してみてください。
ここでは、スペシャリストに向いている看護師の特徴を紹介します。ぜひ、自身と照らし合わせてみてください。
「小児看護」「がん看護」といった特定の看護分野に高い関心があり、専門性を突き詰めていきたい看護師は、スペシャリストに向いているといえます。
進化し続ける医療業界のなかでも、自分が究めたい分野が明確にある人は、知識を更新しながら前向きに学び続けられるでしょう。
看護の技術を磨く向上心がある方は、スペシャリストに向いているでしょう。
スペシャリスト看護師は、専門看護師・認定看護師の資格取得や院内外の研修などをとおして、難易度の高いケア技術を習得します。経験則だけでなく、エビデンスや専門的な知識を根拠に患者さまやご家族の治療を支援したいという意欲を持つ方は、やりがいを感じるはずです。
スペシャリスト看護師に向いているのは、専門知識をかみ砕いて伝えられるような、柔軟なコミュニケーションを実践できる方といえます。
看護師はチーム医療の現場です。自身が身につけた知識・スキルをほかの職種や同僚看護師に伝える場面もあります。専門看護師や認定看護師の資格に「教育」「指導」といった役割があることからも分かるように、周囲への働きかけを行える方は活躍できるでしょう。
ICUや救急外来、オペ室などは、特にスペシャリストの専門性が求められる部門です。勤務する看護師それぞれが専門性を高めたスペシャリストだといえます。スペシャリストとしてキャリアアップを目指したい人は、このような専門性の高い部門で働く看護師のリーダーになる道もあるでしょう。
スペシャリスト看護師は、部門や職種を横断した医療チームや地域医療で、修めた看護分野の専門性を発揮して活躍することもできるでしょう。チーム医療において、看護師は他職種連携の要となるため、スペシャリストとして質の高い医療の提供に貢献できるかもしれません。
▼関連記事
チーム医療とは?看護師の役割や実践例、他職種間の連携で大切なことも解説
専門分野に精通したスペシャリストとして、各病院の教育部門や看護師教育機関で活躍する人もいます。専門看護師の役割には「教育」と「研究」との明記も。教育や研究で成果を出し、看護の質の向上に努めたい看護師は、このような選択肢も視野に入れてみてください。
▼関連記事
看護師のキャリアアップ方法とは?実現する選択肢や役立つ資格を解説!
看護師でスペシャリストを目指す人向けに、おさえておきたい転職のポイントを紹介します。大切な点は、キャリアプランをしっかりと立てることです。
スペシャリストになりたい看護師は、転職する際にキャリアプランを意識して求人を選ぶことが大切です。積める経験や身に付けられる知識・スキルは、職場によって異なります。特に、専門看護師・認定看護師の資格を取得する予定の場合は、該当分野におけるフィールドで3年以上の実務研修を行う必要があるため注意しましょう。
▼関連記事
看護師がキャリアプランを立てるには?主な方向性や面接での回答例
専門性の高い部署は、求人がなかなか見つからないケースもあります。自分で希望の求人を探すのが難しいと感じる人は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。看護師に特化した転職エージェントに相談すれば、非公開のものや幅広い求人から探してもらえます。
ここでは、スペシャリストとして活躍するという目標を持ち、キャリアプランを実現するために転職した看護師の体験談を紹介します。
Tさんは、地元の産科クリニックで6年間勤務した看護師です。ハードワークな職場でも、出産を支え、誕生の喜びを共有できることにやりがいを感じていたといいます。しかし、災害で友人を亡くしたことをきっかけに、「赤ちゃんの命を一人でも多く救える看護師になりたい」と考えるようになったTさん。新生児集中ケア認定看護師を目指すために、NICUへの転職を希望して「レバウェル看護」に相談しました。しかし、NICUの求人は少なく、Tさんの希望に合う職場はなかなかありません。Tさんの決意を応援したいと考えたキャリアアドバイザーは、社内の各地域担当と連携を取り、全国からNICUの求人情報を集めました。
▼詳しくはこちらから
「新生児集中ケアの認定看護師になりたい!」求人の少ないNICUへの転職
Kさんは、回復期リハビリで10年勤務し、現在は老健施設の看護師として働いています。今の仕事を辞めるつもりはないものの、病院の情報を知りたいと「レバウェル看護」に相談しました。もしも転職するなら大きな病院で、整形外科の高度な勉強をしたいと話すKさんに、キャリアアドバイザーは無理に転職を勧めず、条件に合う病院の説明をします。するとKさんは紹介した病院が気になる様子。転職を迷い始めて悩むKさんに、キャリアアドバイザーは病院を実際に見学してみることを提案します。
▼詳しくはこちらから
本当は整形外科で高度医療をしたい…背中を押してもらって向き合えた気持ち
ここでは、スペシャリストになりたい看護師によくある疑問について、Q&A形式でお答えします。
厚生労働省が定める「看護師の特定行為研修」の研修を受けるのも一つです。研修の修了者は、厚生労働省「特定行為とは」に基づく特定の医療行為(38行為)を、医師の指示を待たずに手順書に沿って実施できます。また、「診療看護師(NP)」を取得する道もあります。診療看護師は5年の実務経験がある看護師が目指せる資格で、大学院の修士課程を修了したうえで特定行為研修を修了する必要があります。
自分が突き詰めたい分野と、転職を希望している職場における看護業務の関連性を絡めて伝えられると良いでしょう。老人看護分野における脱水時の身体管理といった、スペシャリストとして身につけていきたいスキルを具体的に考えておくのがおすすめです。
看護師をまとめるリーダーとして、マネジメントの役割を担うというキャリアもあります。マネジメントを行う看護師は、多くのスタッフが働く医療機関で、安全かつ効率的な看護を行うために欠かせない存在です。一般的に、看護部長や看護師長の役職に就くことになります。
スペシャリストとして活躍する看護師は、特定の分野で専門性を身に付け、卓越した技術や知識を発揮して質の高い看護を行います。看護のスペシャリストを目指す際の代表的な資格は、認定看護師や専門看護師です。これらの資格は看護分野ごとのカリキュラムを修了するため、取得によってスペシャリストを目指す第一歩になるでしょう。
看護師がスペシャリストとして働くメリットには、興味がある分野で高度な医療に携われたり、専門性を発揮して活躍できたりすることが挙げられます。スペシャリストになることで仕事の裁量権が大きくなったり、昇進・昇格につながったりすることもあるでしょう。スペシャリストに向く看護師には、「特定の分野への興味・関心が強い」「看護の技術を磨く向上心がある」「知識・スキルをかみ砕いて伝えられる」などの特徴が挙げられます。
スペシャリストとして働く看護師は、「専門性が求められる部門の看護リーダーになる」「チーム医療の一員として活躍する」といったキャリアが考えられるでしょう。スペシャリストになりたい看護師の転職ポイントには、「キャリアプランを見据えて転職する分野を選ぶ」「転職エージェントを活用して求人を探す」といったことが挙げられます。
「転職先を含め、スペシャリストを目指すための具体的なキャリアを描けない」とお悩みの方は、「レバウェル看護」にご相談ください。「レバウェル看護」では、キャリアアドバイザーが一人ひとりに合わせたキャリアの構築方法や転職活動のアドバイスをいたします。視野が広がることで、条件に合った職場やキャリアプランの軸が見つかるかもしれません。求人情報の取得はLINEやメールで進められますので、この機会にぜひご活用ください。
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載
「レバウェル看護」転職サポート
Q.現状はどちらに近いですか?