ナース人生が一転、「加害者」と呼ばれる人生に。マリアンナが贈る最近の医療事故ファイルと日々忘れちゃいけないこと【第8回】

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キャリアが長ければ、それだけ医療事故のリスクに晒されている


恐らく経験が長い看護師であればあるほど、経験する可能性が高い医療事故。


大なり小なり医療従事者はヒューマンエラー(人為的失敗)を起こすことがあり得るんですよね。

最近も大阪の寝屋川で、患者の体内にワイヤーを放置し、結果的に死亡させたとして、医師二人が書類送検になっていました。

わたしも看護師になってから、ちょいちょい医療事故になり得たインシデント、ヒヤリハットを経験してきました。今思えば大きな事故になりかねない怖いことも起こしたなぁ。


看護師って一歩間違えれば人を殺してしまいまねない職業だから、怖いですよね。


この記事では、
過去に起こった大きな医療事故や、
わたしが起こした「あわや医療事故」というインシデント、
医療事故を起こさないようにするためのコツなどを紹介していきます。


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ニュースから見る「看護師が起こした医療事故」の事例集


過去に起こった医療事故のニュースを見ていると、普通に看護師として働いていたら、誰でも起こし得る事故がたくさん。


他人事じゃないなーって痛感します。

看護師が関係する有名な医療事故のなかから、一部抜粋して紹介。



2012年4月:看護師の蘇生用具使用ミス(大阪市立大学医学部附属病院)
白血病患者の女性が、末梢血幹細胞の移植手術を受けたが、合併症によって呼吸困難になるなどしたため、同病院は肺に酸素を送り込むための蘇生用具を使用することになった。しかし、この用具の組立方法を担当の看護師が誤ったため、肺に十分に酸素が送られなくなり、患者は意識不明の重体となり2週後に死亡した。

2013年6月:抗生剤投与による指壊死と切断(兵庫県立こども病院)
心臓疾患で同病院に入院していた生後1か月の女児が、28日に発熱を起こしたため、抗生物質『バンコマイシン』の点滴による投与を行った。点滴開始から約1時間40分後に詰まって入らなくなり、その後、右足指3本が壊死していることが確認された。この女児は8月になって、壊死した指を切除した。規定より10倍近い濃度で投与したため、血管が詰まったことが原因とされる

引用元
ウィキペディア:医療事故「事故事例の一覧」

看護師だったら、日常的に触るような医療機器や医薬品も、一歩間違えれば大きな事故につながってる。こういうの見たら、身がひきしまる思い。


わたしが知っている医療事故のなかでもひときわ「怖い」と思ったのは、

京都大学付属病院の「エタノール中毒死事件」です。


この事件は、京都大学医学部付属病院で起きた事故。

人工呼吸器の加湿のために入れる「精製水」。
これを新人看護師が間違えて「エタノール」を入れてしまった。
53時間継続してエタノールを吸い続けた患者はアルコール中毒にて死亡。

この医療事故では、
事故の原因になった看護師個人にも賠償金が請求され、
看護師が禁固刑となりました。


倉庫にエタノール容器と精製水容器を管理していたが、容器がほぼ同じ形状で、よく見ないとエタノールと判断できないような管理状態だったようです。

参考:京都地方裁判所資料



新人看護師もたしかに精製水の名前を確認すべきだった。

ですがこの新人看護師だけに原因があるのではなく、また同じ形状の容器を、同じ倉庫で管理していた病院の体制もリスクある状況にあったと思います。

看護師がどれだけ神経をとがらせていても、医療事故っていろんな原因が相まって起きる。
一瞬の判断の違いで、ときに大きな損害賠償請求や禁固刑を受けることさえ有り得る。

人生が大きく変わってしまいますよね。

看護師にとって医療事故は他人事じゃないんです。



わたしが起こした「あわや大きな事故になり得た」インシデント集


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とか言いつつ、わたしもひとつ間違えれば大きな事故につながるような経験をたくさんしてきました。ヒヤリハットを書く能力はプロ級です。

よく起こした記憶がある事故はこんな感じ。


・転倒転落・事故

・ 血糖測定ミス

・ 点滴つなぎ間違い

・ 誤薬


特に血糖系と転倒転落が多かった。

わたしの確認不足アセスメント能力の低さ優先順位の間違いなどから起こした医療事故がほとんどです。

でも、一口に医療事故と言っても、看護師であるわたしだけに要因があるものじゃない事故も多いんです。

例えば

・ 薬剤師がカートに薬を配薬し間違えたのを、そのまま投薬した

・家族が拘束を外したり、ゆるめて帰ってしまいベッドから転落した

・ 血糖測定する患者リストがそもそも間違っていて、血糖測定する患者を間違えた

とか。

誰かが医療事故の要因を作ってしまい、それに気づかず、看護師が事故を起こす、みたいなことも少なくありません。


あとね、他にも
尿カテーテルのルートに間違えてブドウ糖投与したり、ショットでいっちゃいけない薬剤をショットでいったり、もう、ほんと今思えばよくそんなミスしたな、っていうような失敗をいっぱいしました。

すぐに気づいて対処したとはいえ患者さん方に本当に申し訳なかった。


看護師って患者と一番近い存在で、
なおかついろんな業種と連携して看護を提供するので、ほんと神経とがらして観察しながら仕事しないといけない。

ある意味、看護師は医療業界のなかで一番医療事故を起こしやすい立場ともいえるのかもしれない。

新人を見ていても、たいてい

・誤薬

・点滴間違い

・転倒転落とかの事故

・血糖とインスリン



は事故が多かった。

気を付けないと。



医療事故の責任と保険



過去の事例を見ていても、看護師個人が訴訟の対象になることは十分ありえます。
故意に起こした事故でなくても、賠償金や禁固刑など、個人に責任を問われる時代です。

医療事故には気を付けた方がいいとは言っても、これって防ぎきることはできない永遠のテーマだとも思います。

看護師として働いている以上、医療事故に関わるリスクはゼロにはならない

だからこそ、しっかり自分も守ることも大事。

もしこれを読んでいる看護師さんで看護師として働いているのに

「看護職賠償責任保険」に入っていないなら、しっかり加入しておきましょう。

わたしは看護協会が提供しているこの賠償責任保険に加入しています。他にも看護師用の保険を提供している保険会社がたくさんあります。
自分に合う保険を探してみましょう。

患者さんに障害を負わせてしまったとか、名誉棄損で訴えられたとか、そういったときに生じる「賠償」を保障してくれます。


医療事故を起こさないために守ること



医療事故を起こさないようにするためにはどうしたらいいか。
結局基本に振り返るしかないんですよね。

薬や点滴に関しては、国家試験でも出る「6つのR」を守る。

どんだけ忙しくても守る!これに尽きる!!!

正しい患者…Right Patient
正しい薬剤…Right Drug
正しい目的…Right Purpose
正しい用量…Right Dose
正しい用法…Right Route
正しい時間…Right Time


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これ国家試験にでるやつです。

6つのRは忙しかったり、仕事に慣れてくるとつい手を抜いてしまいそうなチェック事項。

だけど、医師指示に基づいて必ずこの6つのRを守っていれば、そうそう事故にはつながらないはず。

このひとつひとつがすごい大事なので。


あと、医師が時々間違ってオーダーすることがあるので、本当にその医師指示が、その患者に応じているかをしっかりアセスメントできるように、
薬の薬理や作用もしっかり理解しておくこと!


あとは、治療やケアについて、かならず最新の「根拠」を知っておくことが大事です。

医療の常識は3年もあれば新しいものに変わっていくし、10年たてばまったく違うものになります。
医療事故がどこかで起こるたび、新しい医療事故予防の常識が増えたりします。


数年前の古い知識をベースに看護するのは事故のもと

これは常に勉強し続けるしかない。
勉強会とかセミナーとか、本とか看護系雑誌でもいいから、新しい医療の常識を取り入れられる環境を作っておきましょう。



患者のためにも、自分のためにも、医療事故を起こさない!


医療事故を起こさないためには、

・6Rを何度も確認!
・医師指示に間違いないか確認!
・新しい医療知識の習得!



の3つは必ず徹底しましょう。




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