
「大卒看護師の平均年収ってどれくらい?」と疑問に思うこともあるでしょう。大卒看護師の初任給は、高卒・専門卒よりもわずかに高くなっています。
この記事では、大卒看護師の初任給と条件別の平均年収、高卒・専門卒との比較を解説しています。大卒看護師として働くメリット・大変な点や求められることも紹介していますので、ご一読ください。
日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書(37p)」によると、大卒看護師の初任給における平均給与額は27万4,752円です。平均給与×12ヶ月分で計算すると、平均年収はおよそ329万7,024円になります。
※上記の「平均給与」は、参照元データの「平均税込給与額」の定義に従い「通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当、看護職員処遇改善等事業に基づく手当等」として計上しました。
上記の平均給与データから、大卒看護師の初任給時の手取りは、およそ21万9,801円になります。(手取りは平均給与×0.8で算出)
ここでいう「手取り」とは、手当等を含む給与から健康保険料・厚生年金・雇用保険料などの「社会保険料」や「所得税」が引かれて実際に支払われる額のことです。なお、就職して2年目からはこれに加えて「住民税」も、基本的に給与から天引きされることになります。
日本看護協会「同調査(37p)」をもとに、大卒と高卒・専門卒の看護師の給料を比較しました。以下の表は、両者の初任給における平均給与額と、そこから算出した平均年収をまとめたものです。
| 平均給与(初任給) | 平均年収 | |
| 大卒看護師 | 27万4,752円 | 329万7,024円 |
| 高卒・専門卒看護師 | 26万6,558円 | 319万8,696円 |
参考:日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書」
高卒+専門卒看護師の初任給における平均給与額は、26万6,558円。そこから平均年収を計算すると、319万8,696円です。(年収は平均給与×12ヶ月分で算出)上の表を見ると、大卒と専門卒・高卒看護師の初任給を比較したときの、1年目の年収の差は大体10万円ほどだとわかります。
1年目はそこまで大きな差はありませんが、経験やキャリアを積んでいくなかで、大卒と専門卒・高卒看護師の生涯賃金に差がついていく可能性はあるでしょう。
※上記の「平均給与」は、参照元データの「平均税込給与額」の定義に従い「通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当、看護職員処遇改善等事業に基づく手当等」として計上しました。
この項では、近年の初任給の推移や看護師と全産業の給料比較から、大卒看護師の給料事情について紹介していきます。
「大卒看護師の初任給は増えてきている?」と気になる方もいるかもしれません。そこで、日本看護協会の調査に基づいて、以下の表に2020~2023年度の大卒看護師の初任給をまとめました。
| 年度 | 大卒看護師の初任給(平均税込給与額) |
| 2023年度 | 27万4,752円 |
| 2022年度 | 27万1,730円 |
| 2021年度 | 26万7,440円 |
| 2020年度 | 27万292円 |
参考:日本看護協会
「2023年病院看護実態調査報告書」
直近4年分の大卒看護師の初任給を見ると27万円前後で推移中です。一度減額したものの、2021年からは右肩上がりに少しずつ増えていっているのがわかります。その年の状況によって増減する可能性はありますが、看護師全体で賃上げの動きがあるため、初任給もこれから更に増えていくかもしれません。
日本看護協会
「2023年病院看護実態調査報告書(37p)」(2024年8月26日参照)
ここで、大卒看護師と全産業の大卒労働者の年収を比較して見ていきます。大卒看護師の給料相場を把握する参考にしてみてください。
以下の表は、厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査(一般労働者、新規学卒者)」をもとに、全産業と看護師が属する「医療,福祉」分野における、大卒労働者(新卒)の所定内給与と年収をまとめました。(年収は、給与×12ヶ月分で算出)
| 所定内給与 | 平均年収 | |
| 全産業の新規学卒者(大卒) | 23万7,300円 | 284万7,600円 |
| 「医療,福祉」の新規学卒者(大卒) | 25万1,400円 | 301万6,800円 |
参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査(一般労働者、新規学卒者)」
全産業よりも大卒看護師の属する医療福祉分野の方が、所定内給与はわずかに高く、年間にすると約17万円もの差があります。上記の「所定内給与」は、夜勤や残業手当等は含まれないため、実際に看護師が受け取る金額はもう少し高いかもしれません。
ただしこのデータは、医療福祉分野全体のもので、看護師に限定した調査結果ではなく、明確な差でないことに留意が必要です。
※上記の「所定内給与」は、参照元データの定義に従い、「きまって支給される現金給与額のうち、超過労働給与額(時間外・深夜勤務・宿日直手当等)を差し引いた額」として計上しました。
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厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査(職種・性・年齢階級別)」をもとに、年代ごとの看護師の平均年収を性別で分けてまとめました。(平均年収は月給×12ヶ月分+ボーナスで算出)
なお、このデータは学歴で分かれているものではないため、大卒・専門卒・高卒看護師全体の金額になります。
| 年齢 | 女性 | 男性 |
| 20~24歳 | 402万900円 | 396万2,400円 |
| 25~29歳 | 472万円 | 490万8,100円 |
| 30~34歳 | 481万6,200円 | 515万8,500円 |
| 35~39歳 | 476万9,100円 | 544万3,400円 |
| 40~44歳 | 514万9,500円 | 555万4,800円 |
| 45~49歳 | 547万1,800円 | 591万1,700円 |
| 50~54歳 | 566万8,600円 | 562万2,300円 |
| 55~59歳 | 585万6,000円 | 595万3,000円 |
| 60~64歳 | 477万400円 | 492万2,600円 |
参考:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査(職種・性・年齢階級別)」
経験年数を積んでいくと、基本給はそれほど大きくは上がりませんが、ボーナスが増えていく傾向にあるため、平均年収も年齢が上がるごとに増えているようです。
女性看護師は、妊娠・出産や育児に関わる雇用形態の変化がある場合もあるためか、20~30代での年収の上がり方が男性よりも少ないことがわかります。
上記のとおり、このデータは専門卒・高卒を含めたものであるため、大卒看護師の年収は男性・女性ともに、これよりも少し多い可能性があるでしょう。
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大卒看護師の年収は、勤務先の病院の特徴や所在地によっても差があります。以下に、病院の「設置主体別」「病床規模別」「都道府県別」の大卒看護師(新卒)の平均年収を紹介していきます。
※「給与」は、参照元データの「初任給平均税込給与額」の定義に従い「通勤手当、住宅手当、家族手当、夜勤手当、当直手当、看護職員処遇改善等事業に基づく手当等」として計上しました。
以下の表は、「2023年病院看護実態調査報告書(124p)」をもとに、設置主体別に大卒看護師(新卒)の平均年収をまとめたものです。(年収は、給与×12ヶ月分で算出)
| 設置主体 | 大卒看護師の平均年収 |
| 国立 | 339万6,780円 |
| 公立 | 332万4,804円 |
| 日本赤十字社 | 342万1,248円 |
| 済生会 | 338万0,400円 |
| 厚生連 | 320万1,612円 |
| その他の公的医療機関 | 335万5,392円 |
| 社会保険関係団体 | 339万4,488円 |
| 公益法人 | 328万4,328円 |
| 私立学校法人 | 351万8,916円 |
| 医療法人 | 326万1,000円 |
| 社会福祉法人 | 336万2,760円 |
| 医療生協 | 305万5,572円 |
| 会社 | 331万8,600円 |
| その他の法人 | 332万1,984円 |
| 個人 | 324万2,652円 |
| 無回答・不明 | 339万8,748円 |
参考:日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書(124p)」
設置主体別で大卒看護師(新卒)の平均年収を見ていくと、「私立学校法人」の病院がもっとも高くなっています。もっとも低い「医療生協」主体の病院で働く大卒看護師とは、約45万円くらいの差があるようです。
日本看護協会「同調査(124p)」によると、病床規模別の大卒看護師(新卒)年収は以下のとおりです。(年収は、給与×12ヶ月分で算出)
| 病床規模 | 大卒看護師の平均年収 |
| 99床以下 | 321万9,180円 |
| 100~199床 | 326万7,840円 |
| 200~299床 | 329万4,792円 |
| 300~399床 | 338万9,640円 |
| 400~499床 | 341万7,816円 |
| 500床以上 | 342万6,336円 |
参考:日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書(124p)」
病床規模が大きい病院ほど、大卒看護師の初任給は高くなっています。そのため、より規模の大きな病院に勤める大卒看護師ほど、年収も高くなりやすいでしょう。
また、規模の大きな病院は各種手当や福利厚生なども充実していることが多いため、就職・転職の際は病院の規模にも注目すべきといえます。
日本看護協会「同調査(125p)」をもとに、都道府県別の大卒看護師(新卒)の平均年収をまとめました。なお、ここでは大卒看護師(新卒)の平均年収が、高い順から5県と低い順から5県を抜粋して紹介します。(年収は、給与×12ヶ月分で算出)
| 高い順 | 都道府県 | 大卒看護師の平均年収 |
| 1 | 千葉県 | 359万7,384円 |
| 2 | 神奈川県 | 356万5,104円 |
| 3 | 東京都 | 356万3,268円 |
| 4 | 静岡県 | 350万3,688円 |
| 5 | 奈良県 | 346万7,868円 |
参考:日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書(125p)」
| 低い順 | 都道府県 | 大卒看護師の平均年収 |
| 1 | 宮崎県 | 297万4,560円 |
| 2 | 鳥取県 | 298万9,992円 |
| 3 | 愛媛県 | 301万5,372円 |
| 4 | 長崎県 | 304万5,828円 |
| 5 | 高知県 | 305万5,440円 |
参考:日本看護協会「2023年病院看護実態調査報告書(125p)」
大卒看護師(新卒)の平均年収が高い都道府県は、上から千葉県・神奈川県・東京都・静岡県・奈良県でした。一番高い千葉県ともっとも低い宮崎県では、年収が約60万円も差があることから、地域による幅が大きいといえます。
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この項では、大卒看護師が働くうえでのメリットを紹介します。給料面のほかにも有利に働くと考えられる点があるため、把握しておきましょう。
大卒看護師は高卒・専門卒の看護師より給与が高めです。同期入社で同じ仕事をこなしていても、大卒看護師の方が先に昇給した・昇給額が多かったというケースは少なくありません。
また、勤続年数が長くなるほど年収の差は開いていくでしょう。大卒看護師はキャリアアップのチャンスがより多い傾向にあるため、役職手当がつけば、年収も高くなっていく可能性があります。
大卒看護師は、学歴による求人の応募制限がないこともメリットの一つです。基礎的な専門知識が身についている必要がある研究機関や学校・法人などの求人では、看護師免許に加えて「大卒以上」であることが応募資格として記載されていることもあります。
大卒以上という条件がクリアできることで、就職先・転職先の幅が広くなり、より多くの選択肢から選べることになるでしょう。
大卒看護師は専門卒の看護師よりも幅広い知識やスキルを学んでいると認められやすく、キャリアアップにつながるチャンスが多いのもメリットといえます。また、大学で行っていた研究や活動が職場で評価されれば、新たな仕事に携わる機会を得られることもあるでしょう。
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平均年収が高めな傾向にあることから、「看護師は大卒の方がいい」というイメージをもたれるかもしれません。しかし、大卒看護師ならではの大変なこともあります。
大卒看護師は給与が多めだったり年収アップがしやすかったりする一方、周りから「大卒なだけで給与に差があるなんて不公平だ」と思われてしまうことも。
仕事が同じであるにもかかわらず、給与に差があれば不満が出るのは当然かもしれません。しかし、そのせいで嫌味を言われる、職場に居づらいといった問題が出てしまうと、仕事に支障をきたす可能性があります。
看護師本人の特性や向き不向きにもよりますが、大卒看護師は実務が苦手なイメージを持たれることもあるようです。
その理由の一つとして、大学は座学も多くなっている一方、専門学校は即戦力を育てるカリキュラムとして大学よりも実習の授業を多く組まれていることがあります。実際に働き始めれば日々の仕事を通じて実務経験の差は埋まるものの、一部の職場では先入観を持たれる恐れがあることは認識しておきましょう。
大卒看護師が仕事をするなかで、大切なこと・求められる力は以下のとおりです。
大学でしっかりと看護を学んできた人も、就職すれば看護師1年目です。就職後も意欲的に学ぼうとし、わからないことはきちんと質問するように心がけることが大切になります。
また、患者さんはもちろん、ほかの看護師や他職種のスタッフとコミュニケーションをとりながら、協力して働いていくことが求められます。
自分の理想の看護を実現することも重要ですが、病院が求める看護師像や理念を意識して行動することで、頑張りも認められやすくなるかもしれません。
この項では、大卒看護師が年収をアップさせるために役立つ4つの方法を紹介していきます。年収アップを目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
資格手当のある職場では、資格を取得することで給与に手当分の金額が上乗せされるようになります。専門看護師や認定看護師以外にも、介護施設の場合介護に関わる資格を取得することで手当が支給されることもあるようです。
また、年収アップにつながるだけでなく、自身の看護師としてのスキルアップにもなるので、同時に仕事の幅を広げることもできるでしょう。
管理職にキャリアアップすれば、昇給に加えて役職手当がつくため、大幅な年収アップが狙える場合があります。管理職への昇格は、普段の勤務態度や看護技術などに加え、学歴も評価対象になるケースが多いため、大卒という肩書を活かすことができるでしょう。
夜勤を多くこなせば、その分手当が支給され、年収を増やせます。より多くの給与が欲しい方は、上司に夜勤の回数を増やせないか相談してみましょう。ただし、夜勤は日勤より体力的に厳しく体調を崩しやすい面もあるため、自身の健康を損なわないよう注意が必要です。
現在の職場で待遇や年収に不満がある場合、基本給の高い病院に転職するのも方法の一つです。求人を探す際は、基本給に加えて賞与や手当の額も確認するようにしましょう。
転職サイトを活用して、条件を絞り込んで検索するのも良いかもしれません。転職サイトを利用する場合は、複数登録するのがおすすめです。転職サイトごとに掲載情報は異なるため、幅広い求人から比較検討してください。
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ここでは、大卒看護師の年収に関する疑問について、Q&A形式でお答えします。
短大卒看護師の給与は、専門卒と同じくらいだといわれています。そのため、初任給は大卒看護師よりも少し低い傾向にあるでしょう。しかし、働く場所や職場によっても給料相場は変わると考えられます。
就職して2年目からは、1年目は引かれない「住民税」が給与から引かれるようになるためです。住民税は前年の所得に対して課税されます。2年目になって昇給しても、引かれる税金が増えた分、手取りが少なくなったというケースもあるようです。
日本看護協会の調査によると、大卒看護師の初任給における平均給与額は27万4,752円、そこから算出した平均年収はおよそ329万7,024円です。大卒と高卒・専門卒看護師の初任給の平均給与額を比較するとほとんど差はありません。年間で考えると、大卒看護師は10万円ほど高くなるようです。また、全産業の大卒労働者と比べると、大卒看護師の給料相場は高めな傾向も。大卒看護師は、給与面のほかにも幅広い求人に応募が可能なことや、キャリアアップできるチャンスが得られやすいというメリットがあります。一方で、大学のカリキュラムの特徴から「実務が苦手そう」というイメージをもたれることもあるようです。
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