
ホスピスケアに関心がある看護師もいるのではないでしょうか?ホスピスとは、終末期の患者さんを対象に、最期までの時間を自分らしく穏やかに過ごせるようケアする施設です。この記事では、ホスピスで働く看護師の役割・仕事内容や職場を解説します。ホスピス看護師のやりがいや向いている人の特徴も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ホスピスとは、これ以上の治療方法がない場合や、治療を望まない選択をされたがん患者さんを中心に、最期まで自分らしい生活を送れるようケアを行う施設です。類似している言葉に、「ターミナルケア」がありますが、ホスピスケアとは対象が異なります。ここでは、ホスピスケアの特徴やターミナルケア・緩和ケアとの違いを解説しますので、確認してみてください。
初めてのホスピスは、中世の初頭にヨーロッパで誕生したといわれています。日本では、1980年代に初めてホスピスが開設されました。ホスピスケアでは身体的・精神的な苦痛を取り除くことでQOLを保ち、主にがん患者さんが人生の最終段階を穏やかに迎えるためのサポートを行います。
ホスピスと似ているものに、「ターミナルケア」と「緩和ケア」があります。それぞれの違いを以下の表にまとめてみました。
| 対象者 | 対象時期 | 目的 | |
| 緩和ケア | がん患者さんが中心 | がんと診断を受けたときから | 症状や治療に伴う苦痛を緩和し、生活の質を保つためのケア |
| ホスピスケア | これ以上治療が望めない、本人の意志で治療を望まないと決めたきから | 最期まで自分らしく、穏やかに過ごせるよう全人的なケアを提供する | |
| ターミナルケア | 疾患は限定しない |
緩和ケア病棟が「ホスピス」と呼ばれる場合もあり、基本的に明確な使い分けはされていません。しいて違いを挙げるならば、ケアの対象時期です。ホスピスケアは「これ以上治療が望めない時期」から開始されますが、緩和ケアは「がんと診断を受けたときから」で治療開始前からでも受けられます。
「ターミナルケア」との違いも混同しやすいですが、主にがん患者さんを対象としているホスピスに対し、ターミナルケアは疾患に関わらず終末期を迎えたすべての患者さんが対象です。
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ホスピスで働く看護師は、終末期患者さんの心身の苦痛を緩和するケアのほかに、ご遺族のグリーフケアなども大切な仕事です。ここでは、ホスピスで働く看護師の役割や仕事内容を解説します。
残された余命が少ない患者さんは、呼吸苦や疼痛、倦怠感などの症状がある方も多いです。苦痛な症状を緩和し、事前にコントロールできるようなアセスメントや医師への相談など、適切なケアに繋げることが、ホスピスの看護師の大切な役割だといえます。
また、吐き気や食欲不振などの症状があっても、「最期まで自分の口からご飯を食べたい」という患者さんもいるでしょう。食事内容や形態を変更するなど、最期まで患者さんの要望に添ったケアが求められます。
日常生活の支援も、ホスピスで働く看護師の仕事内容です。疼痛や意識レベルの低下により、身の回りのことをするのが難しくなった患者さんへ身体的なケアを行います。保清や食事介助、排泄介助など、患者さんの自尊心に配慮しながら実施することが必要です。
余命が限られていることを受け入れている患者さんも、死への恐怖を感じ受容できなくなる場合があるかもしれません。ホスピスの看護師は、患者さんの気持ちの変化に対応したケアが求められます。うつ状態やせん妄に陥ってしまうケースもあるため、ご本人や周りへ危険が及ばないよう、患者さんの変化に注意することが大切です。
経済的な不安や社会的役割を失うことで生じる苦痛へのケアも、ホスピスで働く看護師の仕事です。社会的な苦痛とは、たとえば子どもと妻がいる患者さんの場合、今まで「父親」「夫」として担っていた役割が、病気で果たせなくなることから生じる苦痛を指します。看護師だけではなく、医師や家族、ソーシャルワーカーなどの他職種とも連携した包括的なケアが必要です。
「スピリチュアルペイン」は、終末期の患者さんが「もうすぐ死ぬのに今生きているのは無意味なのではないか」など、自分の価値や人生の意味を考える際の精神的な苦痛のことです。スピリチュアルペインへのケアは、気持ちを受け止める共感や傾聴の姿勢が重要になります。
ホスピスの看護師は、患者さんが亡くなった後、保清や化粧などでご遺体をきれいに整えるエンゼルケアを実施します。最期まで人生をまっとうされた患者さんに敬意を持ち、看護にあたる姿勢が大切です。ご遺族と一緒に思い出話をしながら行うこともあり、ご遺族の精神的なケアにも繋がるといわれています。
「グリーフケア」とは、死別を経験するご家族への悲嘆ケアを指します。患者さんの死に対し、ご遺族が死を受け止めたり、気持ちを吐き出したりできるようなサポートをするのもホスピス看護師の役割です。グリーフケアは、患者さんの生前から始めることで、受容を促しやすいと考えられています。
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緩和ケア看護師の役割や仕事内容とは?向いている人の特徴や転職事例も紹介
ホスピスケアは、病棟以外に、患者さんの自宅や住宅型の施設でも提供されています。ここでは、ホスピスケアに携わる看護師の職場を解説しますので、転職の参考にしてみてください。
ホスピス・緩和ケア病棟は、がん患者さんや後天性免疫不全症候群(エイズ)の患者さんを対象に、緩和ケアを目的とする方やホスピスケアを受ける患者さんが入院します。病院によって異なりますが、入院基準の例は以下の通りです。
なかには、患者さんが在宅療養中のご家族のために、レスパイト目的で入院できる病院もあるようです。ホスピス・緩和ケアの看護師は、一般病棟と同様に夜勤のある働き方が多い傾向にあります。
訪問型ホスピスは、患者さんが自宅療養をしながらホスピスケアが受けられるサービスです。最期は自宅で過ごしたいという患者さんの意思に応えるため、医師や看護師が訪問して診察を行います。訪問型ホスピスを提供するのは、往診を行っているクリニックや緩和ケアに特化した訪問看護ステーションなどです。
看護師がホスピスケアに携わる職場には、ホスピスケアに特化したサービス付き高齢者住宅や有料老人ホームなども挙げられます。ホスピス・緩和ケア病棟と異なり、がん以外に難病などの患者さんも利用できるのがホスピス型住宅の特徴です。看護師や介護士が常駐していることが多く、医師のオンコール体制も整っている施設になっています。
小児がんや難病のお子さんなどが利用できる「こどもホスピス」という施設もあります。看護師や保育士、教師などが在籍しており、家族と一緒に勉強や遊んで時間を過ごす場所です。日本には、まだ数カ所しかこどもホスピスはありません。そのため、看護師の求人数も少なめで、タイミングや居住地の関係からすぐに転職するのは難しい可能性があります。
ホスピスで働く病棟看護師の場合、一般病棟の看護師と給与の差はほとんどないようです。
ホスピスケアに関連する領域の認定看護師や専門看護師の資格があると、資格手当が加算される病院もあります。日本看護協会の「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する 評価・処遇に関する調査(p.26)」によると、資格手当が支給されている看護師の割合は以下の通りです。
| 資格手当なし | 資格手当あり | 資格手当の平均(月) | |
| 専門看護師 | 65.9% | 34.1% | 11,279円 |
| 認定看護師 | 58.8% | 41.2% | 8,530円 |
参照:日本看護協会「2022 年度 専門看護師・認定看護師に対する 評価・処遇に関する調査(p.26)」
ホスピスケアを提供する訪問看護ステーションの場合は、オンコールの有無によっても年収に差が出てくるかもしれません。ホスピス型の有料法人ホームで働く看護師の場合は、地域や施設にもよりますが、時給は約1,500円〜2,500円が相場のようです。夜勤専従の求人もあるため、自分の希望にあった働き方がしやすいといえます。
ここでは、看護師がホスピスで働くために必要な資格や求人の特徴などを解説します。転職を考えている看護師は、採用の傾向を知っておくことも大切です。
基本的に、看護師免許があればホスピスで勤務が可能です。以下のような関連した資格を持っていると、より専門的で質の高い看護師が提供できます。
緩和ケア認定看護師のほか、がん性疼痛の緩和照射目的で放射線療法が行われる場合もあるため、がん放射線療法認定看護師もホスピスケアで重宝されるようです。認定看護師や専門看護師のような上位資格を保有していると、転職で有利になる可能性もあります。どの分野の看護を深めていきたいか、自分が目指したい看護師像に合わせて、資格を取ることがおすすめです。
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ホスピスの看護師は、実務経験3年以上が条件の求人が多い傾向にあるのが特徴です。高い専門性が求められる職場のため、豊富な経験とスキルが必要といえます。臨床経験が浅い看護師が求人に応募する場合は、ホスピスを併設している病院の一般病棟で経験を積んでから、異動願いを出すのも方法の1つです。
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ホスピスの看護師は、患者さんとの関わりに難しさや看取りの機会が多いことに辛さを感じる人もいるようです。ホスピスで働く看護師が辛いと感じることを、以下にまとめました。
常に患者さんの死と向き合うホスピスでは、看護師自身の気持ちも落ち込んでしまうことがあります。知識を増やすだけでは乗り越えられない苦しさもあるでしょう。経験や時間が解決してくれる場合もありますが、辛い気持ちに耐えられず、辞めたいと思う人もいるかもしれません。
ホスピスでケアを受ける方は、全員が安らかな看取りをできるわけではありません。苦しみながら亡くなる患者さんがいるのも事実です。また、延命しない方針の場合、急変が起きても治療が行われないため、ホスピス看護師が無力さを感じてしまう場合もあります。
患者さんやご家族との関わりに悩むホスピス看護師もいます。患者さんの症状や意識レベルが低下すれば、ご本人との意思疎通が難しい状況になることも少なくありません。そうなれば、ご家族と医療チームでケアの方向性を相談していくことになります。看護師は、悲しみや動揺を抱えるご家族への関わり方の難しさを感じることもあるようです。
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ホスピスは治療や検査などがない分、患者さん1人ひとりとじっくり関われるのが看護師の大きなやりがいに繋がるといえます。ホスピスケアでは「自分の住み慣れた自宅で、家族に囲まれて看取られたい」「苦しまずに最期を迎えたい」など、患者さんの意志を尊重した支援が大切です。最期まで患者さんに寄り添い、希望に応えるという、ホスピスの看護師にしかできない経験もできます。
穏やかな雰囲気を作れる人や患者さんの気持ちに寄り添える人などが、ホスピスに向いている看護師の特徴です。自分が向いているかどうか、以下の特徴を参考にチェックしてみましょう。
ホスピスの看護師は、患者さんが話しやすいよう穏やかな雰囲気を作れる人が向いています。業務で忙しく、ゆっくり座って患者さんと話をする時間がないときもあるかもしれません。しかし、常に忙しそうにしていては、話しかけにくい空気が患者さんに伝わってしまいます。患者さんが落ち着いて気持ちを吐き出せる環境づくりも大切です。
患者さんやご家族の気持ちに寄り添える人も、ホスピスの看護師に向いているといえます。看護師が傾聴を意識して関わることで、患者さんやご家族の「自分の辛い気持ちを分かってもらえた」という安心感や信頼に繋がるはずです。
自分の気持ちをコントロールする力も、ホスピスで働く看護師に必要です。看取りやご家族が悲しんでいる場面に立ち会うのは、精神的に大きなストレスがかかります。落ち込んでしまうときがあっても、自分で気持ちを切り替えられる人が向いているでしょう。
「レバウェル看護」では、総合病院からホスピス住宅(医療特化型有料老人ホーム)へ転職された看護師さんにインタビューを実施し、働き方の変化について詳しく伺いました。ここでは、インタビュー記事より一部抜粋して体験談をお伝えします。ホスピスでの働き方や病棟との違いが気になる方は参考にしてみてください。

まず、仕事が圧倒的に少なくなりました!
ホスピス住宅では、安静度の制限がなく部屋内を自由に過ごせるため、ナースコールが少ないです。呼吸器が付いていても、症状が落ち着いているから頻繁な痰の吸引は必要ないし、点滴が繋がっている患者さんも少ない。
引用:「残業ナシで年収500万キープ!ホスピス住宅なら、看護師だってゆるく働ける」
日勤帯で言うと、病棟では看護師5人で40床を見るところ、ホスピス住宅ではだいたい看護師3人で10床を見ているから余裕がありますね。

看護ケアを行う「目的」が違います。
病棟で大事なのは「病気の治療」。
一方で、介護施設では「患者さんの“理想の日常”を実現すること」を目的としています。たとえば転倒リスクのある患者さんが歩きたいと言ったら、病棟は「NO」。でも、ホスピス住宅だと「患者さんがやりたいならOK」という判断になるんですよ。
引用:「残業ナシで年収500万キープ!ホスピス住宅なら、看護師だってゆるく働ける」
インタビュー記事では「総合病院から転職した理由」「ホスピスで良かった点や不満」についてもお話いただいています。全文はこちらからご覧ください。
▶「残業ナシで年収500万キープ!ホスピス住宅なら、看護師だってゆるく働ける」
ここでは、ホスピスで働きたい看護師によくある質問をQ&A形式で回答していきます。
ホスピス看護師の志望動機は、対象となる患者さんやケアの特性、施設が求めている看護師像をしっかりと踏まえた内容にすることが大切です。また、「ホスピスで働く看護師の役割や仕事内容」のなかで経験したことのある業務があれば、積極的にアピールするのも良いかもしれません。
不可能ではありませんが、十分なスキルがないと柔軟な対応は難しいと考えられているため、臨床経験に条件を設けているホスピスが多いのが現状です。新卒看護師の場合、患者さんを看取る悲しさや無力感から、経験を積む前に「辞めたい」と悩む可能性もあります。不安な方は、一般病棟で基本的な看護スキルや知識を積んでからホスピスを目指すのがおすすめです。
ホスピスは、終末期の患者さんが、最期まで自分らしく穏やかに過ごすための施設です。心身のケア以外にも、社会的なケアやグリーフケアなど、全人的な苦痛に対しての看護を行います。ホスピスに携わる看護師の職場は、病棟や訪問看護の事業所、住宅型の施設などです。死と向き合う辛さを感じることもあるかもしれませんが、患者さんとじっくり関われるやりがいがある仕事だといえます。
「自分がホスピスの看護師に向いているか判断できない」とお悩みの方は、「レバウェル看護」に相談してみませんか?「レバウェル看護」は看護師に特化した転職支援サービスです。
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