
看護師の中には「退職金はいくらもらえる?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。退職金は法律で義務付けられていないため、支給条件は職場によって異なります。本記事では、看護師の退職金制度の特徴や退職金の平均相場について詳しく解説します。退職金の算出方法や退職金制度の注意点、退職金をアップさせるポイントなども紹介しますので、ぜひ今後の参考にしてみてください。
看護師の退職金制度とは、職員が退職する際に勤務先がまとまった金銭を支給する仕組みを指します。看護師の退職金は、すべての職場で支給されているわけではありません。勤務先によって、制度の有無や支給条件、受給額などは異なります。ここでは、看護師の退職金制度について概要をまとめました。
退職金制度の導入状況は職場ごとに異なります。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は全体で74.9%でした。医療・福祉業界は75.5%なので、平均とそこまで乖離がないことが分かるでしょう。また、「勤続年数3年以上」というように、退職金の支給に条件を設けている医療機関もあります。
退職金制度の導入は法律で義務付けられているものではなく、勤務先ごとの判断に委ねられています。自分が退職金を受け取れる対象かどうかを知るには、勤務先の就業規則を確認しましょう。就業規則には、支給対象の条件や金額の算出方法、支払日などの詳細が明記されています。これから看護師として就職・転職を検討している方は、求人票の項目に退職金制度の記載があるか、事前によく調べることをおすすめします。
看護師の退職金制度は3種類あります。どの制度を採用しているかによって、受け取り方や将来受け取れる金額が変わるケースもあります。退職後のライフプランを考えるうえでも、制度の違いを把握しておくと安心です。
退職一時金制度は、退職時に退職金を一括で受け取る制度です。一般的には、勤続年数や役職などに応じて金額が決定される仕組みとなっています。退職後に手続きが行われ、退職日から1~2ヶ月程度で退職金が支払われるのが基本です。手続きの際は必要書類の提出を求められる場合もあるため、前もって確認しておきましょう。
退職年金制度とは、退職後に年金形式で受け取れる制度を指します。まとまった資金ではなく、長期間にわたって給付される点が特徴です。退職年金制度には、将来あらかじめ受け取れる金額が決まっている「確定給付企業年金(DB)」と、病院側の積立金を従業員が運用する「企業型確定拠出年金(企業DC)」の2種類があります。
確定給付企業年金は、勤続年数や給与水準をもとに給付額が算出されるケースが一般的です。一方で、企業型確定拠出年金は、運用の実績に応じて受給額が変動します。転職先で企業型拠出年金が導入されていれば、積み立てた資産を持ち運べる場合もあるでしょう。
前払い制度とは、毎月の給与や賞与に退職金相当額を上乗せして支給する制度です。給与水準の高い職場に導入されている傾向があります。前払い制度は手取りが増える反面、給与所得としての扱いになるため、税金や社会保険料が多くなりがちな点に注意が必要です。
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退職金の金額は勤務先や勤続年数によって大きく異なります。ここでは、勤続年数別の相場や医療機関別の相場を紹介します。
看護師の退職金は勤続年数によって大きく異なります。具体的な相場を以下の表にまとめました。なお、退職金の目安は看護師の平均的な基本給をベースに算出しています。
| 勤続年数 | 退職金相場 |
| 勤続3年未満 | もらえないケースが一般的 |
| 勤続3~5年 | 30万円~50万円程度 |
| 勤続10年 | 250~300万円程度 |
| 勤続15年 | 300~450万程度 |
| 勤続20年 | 450~600万円程度 |
参照:政府統計の総合窓口(e-Stat)「賃金構造基本統計調査 / 令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
勤続年数が3年に満たない場合は、退職金がもらえないケースが一般的です。退職金は勤続年数の長さに比例し、10年以上の勤務で受給額が増える傾向がみられます。
多くの事業所では「勤続3年以上」が退職金をもらえる条件になっているため、勤続年数が3年程度の場合は退職金の支給対象外となる可能性があります。支給されても数万円から数十万円程度となるケースが一般的です。
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勤続年数が5年になると退職金制度の対象となるケースが増えますが、金額は50万円程度とあまり高くありません。規模が大きい病院の方が、貢献度を加味して高い金額を支給する傾向にあるようです。
勤続年数が10年になると退職金が大きく増えてきます。役職や基本給によって差はありますが、100万円程度の支給額が相場です。結婚や出産を理由に退職する方もいるため、その後の生活費としても役立つでしょう。
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勤続20年を超えると退職金が大幅に増額されるケースが一般的です。病院によっては数百万円単位となり、老後資金の一部としても活用できる水準になります。キャリアの折り返しを迎え、退職金を人生設計の予算に充てることも可能でしょう。
退職金の水準は勤続年数だけでなく、勤めている医療機関によっても異なります。下記では、職場ごとの相場を詳しく説明します。
民間病院やクリニックの退職金相場は、約800万円〜2,000万円が目安になります。大規模な医療法人では退職金制度が整備されている一方で、小規模なクリニックでは退職金制度そのものがないケースもみられます。また、同じ勤続年数であっても、法人の規模や給与体系によって金額に差が生じやすいのも特徴です。
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公立病院の看護師は地方公務員として勤務するため、比較的安定した退職金制度が整備されています。退職金の相場は、都道府県立で約1,400万円、政令指定都市で約1,900万円、政令指定都市以外の市町村立で約1,800万円が目安です。なお、「地方公務員法」の適用で自治体ごとに金額は異なりますので、あくまで参考程度にとどめてください。
国立病院でみなし公務員として働く看護師の退職金相場は、役職の有無にもよりますが約1,800万円が目安です。現在は、国立病院機構が独立行政法人に移行しましたが、みなし公務員として公務員と同等の待遇を受けられます。
宮内庁などで勤務する公務員看護師は、国家公務員に該当します。国家公務員としての退職金制度が適用されるため、ほかの医療機関よりも高水準かつ、勤続年数が長いほど手厚い退職金を受け取れるでしょう。
退職金の計算方法は、基本給や勤続年数、評価制度などが影響するため、状況によって異なります。この項では、退職金の代表的な算出方法をまとめました。
看護師の退職金の計算方法には、毎月の基本給に勤続年数を掛ける方法が挙げられます。計算式は「基本給×勤続年数=退職金」です。たとえば、退職時の基本給が25万円で10年間勤務していた看護師の場合は、「25万円×10年=250万円」が退職金となります。
定額制は、基本給や役職による影響を受けず、勤続年数ごとに退職金額が決められている方式です。たとえば、毎年の固定額の規定が12万円で、10年間勤務した場合の退職金は、「12万円×10年=120万円」となります。計算自体はシンプルですが、勤続年数の区切りによっては受給額に大きな差が生じる可能性もあるでしょう。
ポイント制は、勤続年数や役職、人事評価などをポイント化して退職金を算出する方式です。たとえば、看護師として10年間勤務して勤続ポイントが5、職能ポイントが15と評価された場合は、「10年×5ポイント+10年×15ポイント=200万円」が退職金になります(1ポイント=1万円を想定して算出)。ポイントの数値化は職場によって異なりますが、高い評価を得られるほど退職金の受給額が高くなるのがメリットです。
退職金制度の内容は、今後のライフプランや仕事探しにも影響します。就職・転職を決める前の段階で、制度の詳細を理解しておくことが重要です。
退職金を前提に老後資金や住宅購入資金を計画している場合、制度がなかったり想定より少なかったりするとライフプランに影響する可能性があります。一つの職場で長く勤務したいと考えている看護師の方は、月給や賞与だけでなく、退職金制度の有無についても確認しておくことが大切です。
退職金は、退職理由によって受給額に違いが発生します。定年退職や病院都合退職なら100%、自己都合退職なら80%というように、支給率の計算が行われるのが一般的です。勤続年数が20年の場合であっても、定年退職なら満額支給され、自己都合退職なら減額されると考えられるでしょう。看護師としてのキャリアを見つめ直す際は、退職金の規定も考慮して行動することが必要です。
退職金の金額は勤務先の制度によって決まりますが、働き方やキャリアの積み重ねによって将来的な受給額を増やせる可能性もあります。ここでは、退職金をアップするための取り組みを紹介します。
退職金の支給額は勤続年数と関連するため、辞めるタイミングを慎重に検討することが必要です。たとえば、勤続10年や20年といった節目を目前に退職すると、受け取れる退職金が想定より下回る可能性があります。
病院によっては勤続年数に応じて算定係数を引き上げる仕組みを採用している場合もあるようです。退職を数ヶ月調整するだけで受給額が大幅に変わることもあるので、就業規則や退職金規定を確認して辞める時期を見極めましょう。
基本給アップに繋がる資格としては、「認定看護師」や「専門看護師」などです。資格取得により基本給が上がった場合は、退職金アップにも期待ができるでしょう。また、「助産師」や「保健師」の資格があると活躍の場が広がり、退職金も増える可能性があります。特に保健師は、地方公務員も視野に入るため、充実した退職金制度が期待できます。
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看護師長や看護部長といった管理職に就けば、昇給によって基本給が底上げされるため、退職金の増額に直結しやすいといえます。ポイント制を採用している職場なら、役職経験が評価の対象となり、退職金のポイント加算に期待できるでしょう。役職の枠には限りがあるため、普段から看護業務にしっかりと向き合い、周囲から頼られる存在となれば、キャリアアップに近づけるかもしれません。
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厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、1,000人以上の企業の給付割合は90.1%となっています。こちらのデータは全体を指していますが、医療業界においても規模が大きい病院ほど制度が充実している傾向にあると考えられるでしょう。また、大規模病院であれば給与水準も高いことから、民間の医療機関よりも高い退職金を受け取れる可能性があります。
ここでは、看護師の退職金に関してよくある質問を、Q&A形式で回答します。
退職金制度がある職場の場合、将来の資産形成をしやすいメリットがあります。老後に必要な出費へ備えやすくなるほか、職場側が給与の一部を積み立ててくれるため、自分だけで貯蓄する負担を軽減できます。長期的な勤続を考えている看護師にとっては、魅力的な制度といえるでしょう。
転職回数が多いと1カ所あたりの勤続年数が短くなるため、退職金が少なくなる傾向にあります。特に、一定の勤続年数を満たさないと支給対象にならない場合は注意が必要です。
退職年金制度を導入している転職先なら、資産を移管できる仕組みがあるため、一概に不利とは限りません。職場ごとの退職金規定を確認しながら、キャリアプランを描くことが大切といえます。
看護師の退職金制度は、導入の有無や支給条件が職場によって異なります。採用している種類や計算方法にも違いがあるので、退職金制度についてしっかりと理解したうえでライフプランを設計することが大切です。これから就職・転職活動を行う際は、求人票に退職金の項目があるかどうかを確認しましょう。
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