看護師が管理職になるには?必要な条件と身につけたいスキルを解説

2022.9.5

ko_1409.jpg

 

「入職して10年経つので、そろそろ管理職昇進を目指したい」と考える方は少なくありません。
ここでは、管理職になるために必要な条件や、身に着けたいスキルなどについて詳しくご紹介します。

この記事を最後まで読み終えていただければ、管理職になる方法が分かり、今後のキャリアプランの形成に役立ちます。管理職を目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。

管理職になるために必要な条件

管理職を目指す方にとって、管理職になるための条件は気になるポイントです。

管理職になるために決まった条件はありませんが、経験年数や資格の有無が影響します。そこで、役職ごとに求められる経験年数や、管理職昇進で有利になる資格について、解説していくので確認してみましょう。

看護師としての経験年数

管理職になるには、看護師として経験を積む必要があります。
役職ごとに求められる経験年数は以下の通りです。

  • 看護主任:10年以上の臨床経験
  • 看護師長:10年~20年の臨床経験+管理職経験
  • 看護部長:30年以上の臨床経験+管理職経験

規模の小さい医療施設では、経験年数が10年未満でも主任に任命される場合があります。

しかし、10~13年ほどの臨床経験が求められるのが一般的です。また、経験年数さえ積んでいれば、管理職に任命されるとは限りません。経験年数だけでなく、管理職として充分なスキルを身に着けることも大切です。

取得しておくと有利な資格

日本看護協会の資格「認定看護管理者」の取得が必要な病院もあります。
認定看護管理者の資格を習得する場合、以下の条件を満たしましょう。

  • 看護師として通算5年以上の実務経験
  • 認定看護管理者教育課程180時間履修
  • 看護系大学院で看護管理を専攻
  • 3年以上看護師長以上の役職に就き、看護管理分野で修士号取得
  • 3年以上看護師長以上の役職に就き、管理に関する学問分野で修士号取得

ただし、管理職に就くための条件は、病院ごとに細かく異なります。管理職を目指す方は、必要な資格や条件を職場に確認しておくのがおすすめです。

今の病院で満足していますか?

管理職になるために身に付けたいスキル

管理職を目指すのに必要なのは、経験年数だけではありません。そこで、管理職になるために身に付けたいスキルをチェックしてみましょう。

リーダーシップ

管理職には、リーダーとしてチームをまとめ、率いていく力が必要不可欠です。自分の仕事だけでなく、チームに対する強い責任感を持って、現場の問題点の改善に取り組んでいけるリーダーシップが求められます。

勤務経験以上に重要視されるので、普段からリーダーシップを意識して業務にあたりましょう。

コミュニケーション能力

管理職の看護師は、上司と現場の看護師の間に立って、関係性を調整する役割を担っています。

特に現場で働く看護師の声は、上司の看護師に届きにくいものです。どちらか一方を優先するのではなく、どちらの話も傾聴し、コミュニケーションをとれる脳力が求められます。

マネジメント能力

管理職の看護師は、現場をよりよく改善していくために、チーム全体の看護師と関わります。目先の仕事にばかりとらわれるのではなく、視野を広く保ち、常に現場やチームの問題点・改善点を見つけ出していく能力が大切です。

今の病院で満足していますか?

役職別 管理職の役割・仕事内容

管理職の看護師は、役職別に役割・仕事内容が異なります。目指したいキャリアの参考にしてみてください。

看護主任

看護主任は、看護師長と現場の看護師をつなぎます。
役割・仕事内容は以下の通りです。

役割経験の浅い看護師に直接的な指導も行う病棟の運営や問題点などを見つけ、具体的な改善点と共に看護師長に伝える。
仕事内容一般看護業務病棟の運営状況の把握、問題点の把握新人スタッフの教育看護師長の補佐


看護主任は、いわゆる「中間管理職」にあたります。
管理職として、現場の看護師の指導・サポートも行いますが、通常の看護業務も行うため、仕事内容は多岐にわたり、業務量が多くなりがちです。

▼関連記事
主任看護師の役割とは?給与や目標設定時の注意点について解説

看護師長

看護師長は、各病棟の看護師を統率します。
役割・仕事内容は以下の通りです。

役割指導プランを作成し、看護師の育成にも携わる患者のクレーム対応や、看護師がトラブルを回避できるようにリスクマネジメントも行う。
仕事内容病棟内の看護目標の設定や達成病棟内での問題解決現場の看護師が働きやすい環境を調整看護師の育成や支援患者のクレーム対応や危機管理


病棟では、看護師長が中心となって組織を運営します。
看護師長の大切な役割・仕事内容は、主に病棟のマネジメントです。病棟内の看護の質の向上を図るために、目標を設定し、達成を目指します。また、現場の看護師が働きやすい環境調整や、円滑な業務に向けた問題解決も大切な仕事です。

▼関連記事
看護師長の役割とは?平均の年収や年齢もあわせて解説!

看護部長

看護部長は、看護師全員のリーダーとなり、運営にも携わります。
役割・仕事内容は以下の通りです。

役割病院長や事務長に業務計画を提出して承認を受け、現場の看護師に仕事を割り振る施設運営にも携わり、医師や薬剤師など多職種と連携・調整しながら、現場の看護師が働きやすい環境を目指す。
仕事内容看護部業務計画の作成施設運営の参画病院長や事務長、現場看護師との交渉・調整


看護部長は、各病棟の看護師長や一般看護師を総括してまとめます。
看護師長や一般看護師の意見や計画をまとめ、施設運営にも反映させるのが看護部長の役割です。

▼関連記事
看護師長の役割とは?仕事内容や他の管理職との違いをご紹介

今の病院で満足していますか?

管理職の看護師の割合

看護師は、看護職以外の法人と比べて、管理職員の割合が少ないことが統計データから分かります。内閣府の「独立行政法人等女性参画状況調査(P.3)」によると、看護職とその他の職業の管理職員の人数について、以下の通りに比較しています。

<職員に占める管理職の割合>

独立行政法人など看護職員
人数割合人数割合
常勤職員453,598人106,957人
中間管理職63,821人14%5,123人4.7%
管理職12,739人2.8%384人0.3%

出典
内閣府「独立行政法人等女性参画状況調査(P.3)」(2022年7月22日)

看護職以外の独立法人では、中間管理職が14%、管理職が2.8%と、看護職よりも多いです。管理職を目指すためにフォローアップ制度が整っている企業では、一般社員が積極的に研修を受けることができます。事業の拡大に伴い、新たに管理職が必要となるケースも少なくありません。

一方、看護師の管理職員の割合は、主任では4.7%、師長以上の役職者はわずか0.3%でした。臨床での経験やスキルを積み、管理職に任命されるまで待たなければなりません。

ただし、医療機関や介護施設での管理職のポスト数には限りがあります。したがって、勤続年数を重ねながらポストの空きを待っていても、管理職に任命されにくいのが実情です。

今の病院で満足していますか?

管理職の看護師の年収

「管理職を目指すからには、年収アップを目指したい」という看護師は多いです。そこで、役職に就くと実際にどのくらい年収に差が出るのか、統計データをご紹介します。

日本看護協会の「病院勤務の看護職の賃金に関する調査(P.154)」では、一般看護職と中間管理職、管理職の平均年収について、以下のように報告しています。

一般看護職5,356,158円
中間管理職6,438,178円
管理職7,193,631円

出典
日本看護協会「病院勤務の看護職の賃金に関する調査(P.154)」(2022年7月22日)

管理職になり、役職が上がると平均年収のアップが見込めることが分かります。ただし、平均年収が上がっても、給与の満足度には直結していません。

同じく、日本看護協会の「病院勤務の看護職の賃金に関する調査(P.162)」で報告されている、役職ごとの給与の満足度は以下の通りです。

満足やや満足どちらともいえないやや不満不満
一般看護職4.4%21.2%3.8%31.9%3.8%
中間管理職5.1%22.7%2.5%29.2%4.1%
管理職14.7%19.1%5.9%27.9%7.4%

出典
日本看護協会「病院勤務の看護職の賃金に関する調査(P.162)」(2022年7月22日)

給与の満足度は、中間管理職ではほぼ横ばい、管理職では満足度が上がることが分かりました。年収が上がっているにも関わらず、中間管理職員は給与の満足度が大きく上がっていません。大きく満足度が上がらないのは、仕事の多忙さや難しさに起因している可能性があります。

現在の職場で管理職に就き、給与が上がっても、満足度が高い働き方ができるとは限りません。満足度の高い働き方ができる管理職員になるためには、仕事内容や役割が希望通りである職場への転職も視野に入れると良いでしょう。

今の病院で満足していますか?

 転職して管理職になる方法

管理職になる方法は、現在の職場で管理職のポストの空きを待つだけではありません。新しい職場に転職し、管理職に就くことも可能です。医療機関や施設によっては、経験年数やスキルが豊富な看護師を管理職として募集している場合があります。

役職ごとの求人の傾向をチェックしてみましょう。

看護主任の求人の傾向主任看護師候補者としての採用が多い看護師としての経験や実績(特に診療科目の実績や専門技術)が評価される
看護師長の求人の傾向一般病院では少ない小規模の病院、老人ホーム、新規開業のクリニックでの募集が多い看護師長候補者としての採用が多い管理職としての経験や実績、看護師としての経験や実績が評価される
看護部長の求人の傾向看護部を一新したい場合変更することがある基本的には内部昇進が多い


これまでに管理職の経験がない方は、主任看護師候補として入職し、キャリアを積んでいくと良いでしょう。

また、看護管理職の求人の多くは非公開求人です。非公開求人を多く取り扱っている看護師求人サイトを利用することで、看護管理職の求人を探せます。
看護管理職を目指したい方は、現在の職場でポストが空くのを待つのではなく、積極的に看護管理職の求人を探すことも大切です。

今の病院で満足していますか?

まとめ

臨床での経験年数を重ねると、今後のキャリアプランについて考え始める方は少なくありません。しかし、管理職を目指す場合、経験年数やスキルを積んでもなかなか管理職に任命されず、思う通りにキャリアを積めずに悩んでしまうことも。

「現在の職場で管理職を目指すのは難しそう」という方は、管理職候補の看護師を募集している求人に応募する方法がおすすめです。看護師転職サイトなら、管理職を募集している非公開求人を多数取り扱っているので、積極的に登録してみましょう。

レバウェル看護」でも、より好条件で働ける非公開求人を豊富に用意しています。担当アドバイザーが希望内容に沿った転職をサポートするので、忙しい方や転職への不安がある方でも安心です。転職先のご紹介だけでなく、内部情報の提供や、面接の対策など、幅広く転職を支援します。

また、全てのサービスを無料で利用できるのも、「レバウェル看護」の魅力のひとつです。ぜひこの機会に「レバウェル看護」を利用し、思い描いているキャリアプランの実現にお役立てください!

今の病院で満足していますか?

この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。

この情報はお役に立ちましたか?

無料でさらに聞いてみる

「レバウェル看護」を使うと、より詳しく話を聞くことができます。どんな転職先があるのか等も事前に知ることができます。

インタビュー参加者全員にギフト券3,000円分プレゼント!