
クリニックへの転職を検討している、もしくは現在クリニックで働いている看護師の中には、退職金の相場について知りたい人もいるでしょう。老後の生活資金を考える上で、退職金制度の有無や金額は重要なポイントですよね。本記事では、クリニックに勤務する看護師の退職金事情を詳しく解説。受給条件や制度の種類はもとより、職場ごとの考え方の違いや高い退職金を受給する看護師の特徴にも触れますので、ぜひご覧ください。
クリニックに勤務する看護師の退職金の相場は、規模や経営状況によって異なるため、一概にはいえません。厚生労働省「モデル就業規則(令和5年7月版)(p74)」にもあるとおり、退職金制度は必ず設けなければならないものではないため、クリニックによっては退職金制度自体がないこともあります。これは、看護師に限った話ではなく、他業界でもいえることです。
なお、東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(p126)」によると、医療・福祉業界のモデル退職金は以下のとおりとなっています。モデル退職金とは、学校卒業後すぐの入職者が一般的な能力と成績で勤務した場合に、退職金規定において想定される支給額のことを指します。
| 学歴 | 勤続年数 | 退職金支給額 【自己都合退職】 | 退職金支給額 【会社都合退職】 |
| 高専・短大卒 | 3年 | 14万7,000円 | 19万1,000円 |
| 5年 | 24万6,000円 | 26万2,000円 | |
| 10年 | 58万5,000円 | 66万6,000円 | |
| 15年 | 86万7,000円 | 98万7,000円 | |
| 30年 | 238万6,000円 | 267万5,000円 | |
| 定年 | ー | 312万1,000円 | |
| 大学卒 | 3年 | 15万円 | 20万2,000円 |
| 5年 | 26万3,000円 | 29万円 | |
| 10年 | 65万1,000円 | 72万5,000円 | |
| 15年 | 98万5,000円 | 107万2,000円 | |
| 30年 | 262万6,000円 | 279万4,000円 | |
| 定年 | ー | 342万4,000円 |
参照:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(p126)」
※医療・福祉分野の調査先は従業員数10~99人
※定年退職時の退職金支給額は、作表の都合上、会社都合退職の欄に記載
本データは、都内中小企業を対象としており、かつ看護師やクリニックに特化した内容ではありませんが、一つの目安として参考にしてみてください。
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前述にて「退職金の制度自体がないこともある」とお伝えしましたが、どのくらいの職場が退職金制度を設けているのでしょうか。厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、医療・福祉業界において、退職給付(一時金・年金)制度がある企業の割合は75.5%となっています。
なお、データを遡り、厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」を確認してみると、平成30年時点では、87.3%の企業が退職給付(一時金・年金)制度を導入しています。つまり、ここ数年の間に、退職金制度を採用している職場は減少しており、退職金制度のあり方自体が見直されているということが見て取れるでしょう。
本データは先ほどと同様に、看護師やクリニックに特化したものではありませんが、老後資金を確保する方法が多様化しているという現状は、医療・福祉業界全体の共通事項として認識しておいたほうが良いといえます。
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看護師の雇用形態には、正職員(常勤)やアルバイト・パート(非常勤)、派遣社員などがありますが、非正規雇用の場合は、退職金の支給がない可能性があります。この背景には、クリニックの経営状況が影響している場合もあれば、法的手続きに必要な手間を削減したいといった考えもあるようです。特に、短期のアルバイトや派遣社員には支払われないことが多いため、念頭に置いておいたほうが良いといえます。
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冒頭でもお伝えしたとおり、退職金制度を導入するか否かは、クリニックの判断に委ねられます。そのため「退職金制度以外の手段を用いたほうが効果的」と考えるクリニックもあれば「退職金制度=人材募集時のメリット」と捉えて、導入しているクリニックもあるようです。なお、前者の具体例としては「貢献度を重視して昇給制度を設ける」といった方法が挙げられます。
このように、クリニックにおける退職金制度の導入の有無は、経営状況はもとより、個々の考え方によっても異なるため、求人を確認する際は「自身のモチベーションに繋がる待遇があるか」という観点を持つことも大切だといえるでしょう。
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看護師が退職金を受給するためには、主に2つの条件をクリアしておく必要があります。下記の内容を参考に、現在の職場の条件を満たしているかチェックしてみてください。
1つ目は「退職金制度が導入されている職場に勤務している」ことです。勤務先の退職金制度を詳しく知らない場合は、可能な限り早く内容を確認するようにしましょう。「退職金制度がなかった」もしくは「想定よりも金額が少なかった」という事態を招かないためにも、調べておいて損はありません。
退職金制度の詳細は、就業規則で確認することが可能です。クリニックで働く看護師であれば、誰でも閲覧することができるため、遠慮をすることはありません。就業規則には、対象者や支払日、算出方法などについても明記されています。
なお、就業規則の作成は「労働基準法」によって、常時10人以上の労働者がいる場合にのみ義務付けられているため、クリニックによっては就業規則がない可能性もあります。その際は、院長に確認するのが確実だといえるでしょう。
2つ目は「勤続年数が規定年数を超えている」ことです。クリニックの中には「勤続3年以上」を退職金の支給条件にしている場合も少なくないため、早期離職を考えている場合は注意が必要です。規定年数も同様に、前述の就業規則で確認するようにしてください。
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ここでは、高い退職金を受給する看護師の特徴を3点紹介します。「今から取り組んでおいたほうが良いことはある?」と疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。
クリニックの看護師が、退職金の受給額を上げるために欠かせないのが、長く勤めることです。退職金は長年の勤労に対する感謝の意味合いも強いため、同じ職場で勤続年数を重ねたほうが金額は増えていきます。それゆえに、たとえ退職金の水準が高いクリニックに勤めていたとしても、短期間で離職を繰り返すと少額になるため注意が必要です。
役職制度が導入されているクリニックの看護師の場合は、勤続年数だけではなく、役職や階級によっても金額が変わります。特に美容クリニックでは、昇進して役職者になると、役職手当がついたりと、収入アップも期待できるでしょう。責任は大きくなりますが、上昇志向が強い看護師の場合は、新たなやりがいや面白さを感じることができるはずです。
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クリニックの中には、資格取得の有無が退職金の受給額に反映される場合もあります。代表的な資格としては、認定看護師や専門看護師が挙げられるでしょう。上記同様、基本給が上がることで、収入アップにも繋がるといえます。どのような資格が優遇されるのかは職場によって異なるため、資格取得を検討している場合はチェックするのも手です。
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一口に退職金といっても、クリニックによって採用している制度は異なります。退職金制度には複数の種類があるため、下記にて詳しく見ていきましょう。
「退職一時金制度」とは、退職時にクリニックからまとめて支払われる制度のことを指します。世間一般の退職金というと、この制度を指すことが多いため、イメージをしやすいでしょう。現に、厚生労働省「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職給付制度がある医療・福祉業界の企業のうち、「退職一時金制度のみ」と回答した企業は86.9%にのぼっており、医療・福祉業界においても、主流の制度であることがわかります。
「企業年金制度」とは、一定の年齢に達した後に分割払いや一時金として給付を受ける制度のことを指します。企業年金制度には、大きく分けて、確定給付企業年金制度(DB)と確定拠出年金制度(DC)の2種類があります。確定給付型とは、給付金額が予め保障されている制度です。その一方で、確定拠出型とは、職場が毎月掛け金を拠出し、加入者自らが運用する制度です。そのため、運用結果が悪い場合でも、職場側の補てんはありません。
「前払い制度」とは、退職時に支払われる金額を在職中に受け取る制度のことを指します。前払い制度が設けられた背景には、働き方の多様化が進み、終身雇用以外の選択肢も増えたことが理由として挙げられます。給与や賞与に分散して支払われるため、計画的な貯蓄や管理が必要になるという側面もありますが、自分で運用しながら資産形成をしたい人には向いている制度といえるでしょう。
なお、前払い制度を導入している職場では、提示されている給与が相場よりも高いケースがあるため、クリニックの求人を探す際は注意しておきましょう。
退職金の計算方法は、主に下記の4つが挙げられます。
上から順に「基本給ベース」とは最も一般的な計算方法で、「基本給×勤続年数」で算出されます。次の「固定金ベース」とは、職場が設定した固定金額に勤続年数を乗じて算出する方法です。
また、「勤続年数ベース」とは勤続年数に沿って支給金額を一律で定める形式で、「功績倍率ベース」とは「基本給ベース」に功績倍率を乗じる形式です。「功績倍率ベース」は、職場からの評価で退職金の額が左右されるという点が特徴といえます。
いずれの計算方法においても勤続年数が基準となるため、前述のとおり、長く勤めたほうが退職金は増えるということがわかるでしょう。
クリニックの退職金に関心がある看護師の中には、ほかの医療機関との違いを知りたいという人もいるでしょう。下記にて「私立病院」と「公立病院・国立病院」をピックアップして解説しますので、病棟看護師以外の人も、現在の状況と照らし合わせてみてください。
私立病院は、クリニックと同様に規模や経営状況で退職金の額が変わるのが特徴です。そのため、制度自体が設けられていない小規模病院もあれば、充実した退職金制度によって、高い金額が期待できる大規模病院もあります。基本的には規模が大きい私立病院のほうが、退職金制度が整備されている傾向にあるといえるでしょう。
公立病院は、地方公務員としての扱いになるため、国家公務員の退職金制度に準じて退職金が支給されます。自治体によって金額は異なり、政令指定都市のほうが高い点が特徴です。定年退職時の退職金は1,400万円~2,000万円程度が相場といわれています。
国立病院も、独立行政法人化はされたものの、公務員と同程度の水準となるため、定年退職時の退職金は1,800万円程度が相場となります。なお、役職に就いている場合は、2,000万円以上になることもあるようです。
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前述のとおり、退職金の額は勤続年数によって左右されます。そのため、将来的に転職を検討している人は、早めに動いたほうが良い場合もあるでしょう。ここでは、退職金相場の高いクリニックに転職する際の注意点をまとめましたので、転職活動時の参考にしてみてください。
転職活動では入職時期はもとより、退職時期を考慮することも大切です。なぜなら、退職時期によって支給される退職金の額に差が生じるからです。特に現在の職場に勤めて9年目の看護師の場合は、勤続年数が10年を超えると支給率や金額が大きく変化する場合もあるため、事前に調べておいたほうが確実でしょう。また、「勤続3年以上」が退職金の支給条件となっている場合も同様に、然るべきタイミングかどうかを熟考するようにしてください。
退職金相場の高いクリニックを探す際は、財務状況を確認することが大切です。気になる職場に知人が働いている場合は、実情を聞くのも一つの手でしょう。また、求人票に退職金に関する記載がなくとも、実際は制度が設けられていることもあります。そのため、疑問点がある場合は、転職エージェント経由で確認したほうが安心です。
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ここでは、クリニックに勤務する看護師の退職金に関して、よくある質問を紹介します。
退職金の額は勤続年数によって左右されるため、増額が見込めない場合は早い段階で転職をするのも一つの手です。ただし「医療・福祉業界で退職金制度がある職場の割合は約76%」のとおり、退職金制度を採用している職場は減少傾向にあります。そのため、退職金制度以外の方法も総合的に検討した上で、自分に適した資金計画を考えることが大切です。
退職金制度の導入は義務ではないため、規模や経営状況によってはないこともあるでしょう。基本的には大規模病院のほうが退職金制度が整備されている傾向にあります。退職金制度に対する考え方はクリニックごとに異なるため、中には「退職金制度以外の手段を用いたほうが効果的」と考える職場もあるようです。
退職金制度がない施設の特徴としては「経営規模が小さいため余裕がない」「人材の流動性が高い」「退職金よりも在職中の処遇を重視している」などの理由が一例として挙げられます。個人経営のクリニックや訪問看護では退職金制度がないことも珍しくはないため、求人を探す際は事前のリサーチを念入りに行うようにしてください。
個人病院の退職金の相場は職場によって異なるため、一概にはいえません。また、退職金制度が導入されていないケースも少なくないでしょう。退職金を確実に受け取りたい場合は、公立病院や国立病院、規模が大きい私立病院なども視野に入れることをおすすめします。
本記事では、クリニックで働く看護師の退職金について解説しました。退職金制度は、基本的に規模が大きい職場のほうが整備されている傾向にあるため、クリニックによっては、退職金制度自体がないこともあります。退職金の相場が高いクリニックへの転職を希望する際は、財務状況や求人票の内容にしっかりと目を通した上で、求人を取捨選択するようにしてください。今日、退職金制度のあり方は、クリニックを問わず見直されている傾向にあります。そのため、退職金制度以外の老後資金の作り方にも目を向けて、準備をしておくと安心といえるでしょう。
なお「通勤範囲内で退職金が高いクリニックが知りたい」「働く上で退職金をどこまで重視すべきかわからない」とお悩みの方は、レバウェル看護に相談してみませんか?レバウェル看護は看護師専門の転職支援サービス。転職のプロから客観的かつ的確なアドバイスを受けられるほか、職場の内部事情も聞けるため、1人で転職活動を進める余裕がない方も安心です。サービスはすべて無料のため、まずはお気軽にお問い合わせください。
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