看護師でも起業はできるの?資格を活かして独立するコツを紹介

2020.3.21

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看護師として経験を積んだ人のなかには、起業を考える方もいるでしょう。また、独立したい気持ちがある一方、上手く事業を回せるか不安な方も少なくないはずです。
このコラムでは、看護師資格を活かせる起業の方法や、開業までの流れを解説します。起業する際に受けられる支援についてもまとめているので、独立を目指す看護師の方は参考にしてみてください。

看護師ができる起業の種類

看護師が起業する方法は、個人事業主か法人経営者になる2種類が挙げられます。ここでは、それぞれの特徴を紹介するので、自分はどちらに向いているのかや、挑戦したいのかを考えてみましょう。

個人事業主

個人事業主は、税務署に開業届を提出し、何らかの事業を運営している人を指します。「法人ではない個人が独立して仕事を反復継続している」ことが定義とされており、たとえば、家族経営の飲食店の事業主や、取引先企業の会計業務を代行している税理士などが該当するでしょう。
個人事業主とフリーランスを混同する人も多いですが、この両者は別物です。

フリーランス

フリーランスとは、企業や団体に属さず、個人で仕事を請け負う人のことを指します。個人事業主とは異なり、単発の仕事ごとに契約を結ぶのが特徴です。案件ごとに業務を行うため、個人事業主の「仕事を反復継続している」という定義には当てはまりません。

法人経営者

会社を立ち上げ、法人経営者となるのも起業の方法の一つです。個人事業主とは異なり、法人は商号や住所、資本金などが登記されます。看護師が法人を立ち上げた場合は「開業看護師」と呼ばれることも多いようです。

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看護師資格を活かせる起業

看護師資格を活かせる事業には以下のようなものが挙げられます。どのような事業を立ち上げるか迷っている看護師の方は参考にしてみてください。

訪問看護ステーション

看護師ならではの起業といえば、訪問看護ステーションを思い浮かべる人も多いでしょう。近年、入院期間の短縮化や在宅療養の推進により、訪問看護のニーズは急速に高まってきています。今後さらに需要が見込まれるため、訪問看護ステーションを開業すれば地域医療に大いに貢献できるでしょう。
乳幼児専門の訪問看護ステーションやリハビリに特化した訪問看護ステーションなど、得意分野や交友関係を活かして、差別化を図った施設を立ち上げる看護師も多いようです。

デイサービス

介護分野を経験したことがある看護師は、デイサービス(通所介護)施設を開設することもあるようです。日中だけのサービスであるため、夜勤を行いたくない人に向いているでしょう。
看護資格がなくても起業できますが、デイサービスの開業には看護師の従事が必須です。そのため、人員基準を満たすために自らデイサービスを立ち上げる看護師も少なくありません。高齢化社会において介護施設のニーズは高まり続けているため、デイサービスを開設すれば地域の福祉を支えられるでしょう。

フリーランスの看護師

看護師としての経験と技術があれば、フリーランスで活躍することもできます。フリーランスであれば、働く時間や場所にとらわれず、好きな働き方が可能でしょう。たとえば、夜勤専属の看護師として複数の病院で働いたり、旅行やイベントの救護としてツアーナースやイベントナースとして働いたりできます。看護師学校養成所では、実習指導時のみの臨時教員となることもできるでしょう。
在宅で看護師相談を受けるほか、看護師の知識を生かして文章を書いて収入を得る人もいます。安定した仕事量を確保するには、自身で営業しなければなりませんが、スケジュール管理を徹底すれば通常の看護師業務以上の報酬を得られる可能性もあるでしょう。

助産院

助産師免許を持っていれば、助産院を開業できます。地域に密着して妊婦や赤ちゃんに携わっていけるので、長く地域に根差した看護を提供できるでしょう。

アロママッサージサロン

患者さんのストレス解消のためのアロマセラピーや、糖尿病足病変のフットケアを行ったことがある看護師は、アロママッサージサロンを開業する道もあります。知識や技術を活かすだけでなく、自身の趣味として楽しみながら働くのも良いでしょう。利用者側も、看護師という肩書に安心感を持ちやすくなることが考えられます。

コミュニティカフェ

看護師の知識や経験を活かした、コミュニティカフェを開業する人も多いようです。看護のプロに気軽に健康相談ができるカフェは、地域の人々にとって憩いと情報収取の場になるでしょう。
デイサービスにカフェを併設し、デイサービスの利用者と地域の人々の交流の場を提供する道も考えられます。

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看護師が起業をする流れ

ここでは、看護師が起業するまでの流れを解説します。起業には、十分な計画・準備が欠かせません。必要事項を押さえて、できるだけスムーズに事業が開始できるようにしましょう。

1.ビジネスプランを考える

まずは、具体的なビジネスプランを考えましょう。起業したくても、漠然とイメージしているだけでは実現は難しいものです。ターゲットや提供するサービス、料金設定などを細かく決めておく必要があります。また、ライバルとなる施設や店舗を分析し、どのように差別化を図るのか、自分の強みやビジネスの軸はどのようなものかを明確にするのも重要です。
なお、事業内容によっては許可や審査が必要な場合もあります。飲食業やサロンなどの開業を考えている場合は、事前に必要な手続きを調べておきましょう。

2.事業計画書を作成する

ビジネスプランを考えたら、それをさらに具体的な事業計画書に落とし込みます。年間の売上予測や事業を行うための費用、開業資金などを、大まかなイメージでなく数値化して検討しましょう。金融機関からお金を借りたり、補助金を申請したりする場合は、より詳細な事業計画書を作成する必要があります。事業計画書の作り方が分からない場合や正しく作れるか不安な場合は、税理士などの専門家に相談するのも手です。

3.起業資金を調達する

事業計画書を作成し、必要な費用が算出できたら資金調達を行います。起業準備の資金が必要なのはもちろん、運転資金も余裕をもって準備ておくことが重要です。とくに訪問看護や介護施設の起業は、介護保険からの報酬の支払いが数カ月後になることもあります。また、同業他社のサービスや技術を上回るには、優秀な技術や機材が必要になることもあるでしょう。
なお、何人体制でスタートするかによっても、人件費や社会保険料などは変化します。事業計画書を作成する段階できちんと把握しておくことが大切です。

4.開業に必要なものを準備する

資金が確保できたら、開業に必要なものを準備しましょう。
たとえば、医療関係の施設を開業する場合は、賠償責任保険への加入が義務付けられています。また、訪問看護ステーションであれば、法人格を有することが都道府県や市町村から指定を受けるための要件の一つです。そのため、株式会社やNPO法人の設立が必要になります。さらに開業の事前協議や訪問看護事業の指定なども行う必要があり、すべての手続きを終えるには1カ月から数カ月を要するのが一般的です。
また、場所や物品、人員の確保も同時に進めなければなりません。特に人員の確保に苦労する開業者は多く、人員不足のまま事業を開始し、開業後の運営に疲弊してしまうケースも見受けられます。施設の宣伝を行いながら人材を募集したり、交友関係から一緒に働いてくれる人を探したりする必要があるでしょう。

5.開業手続きをする

すべての開業準備が完了したら、開業手続きを行います。個人事業主の場合は、税務署に開業届出書を提出しましょう。必要に応じて青色申告承認申請書の提出や労働基準監督署などへの手続きも行いますが、基本的には開業届出書の提出のみで手続きは完了します。
法人経営者の場合は、個人事業主よりも手続きが多く複雑です。まずは、定款の作成・認証や法務局への設立登記を行いましょう。登記後も、国税・地方税についての届出や社会保険の加入手続き、会社の口座開設など対応すべきことが多いので、漏れがないよう十分注意します。
法人の開業手続きは手間がかかりますが、その分、個人事業主よりも高い社会的信用が得られるのがメリットといえるでしょう。

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看護師が起業する際に受けられる支援

起業にあたり資金に不安がある場合は、事業を支援する制度があります。該当するものがあれば、活用してみましょう。

厚生労働省の支援

厚生労働省では、雇用創出や離職率の低下に取り組んだ事業者への「人材確保等支援助成金」や、非正規雇用者のキャリアアップを促進した事業者への「キャリアアップ助成金」など、さまざまな助成金を支給しています。計画書の提出や労働局の認定などが必要ですが、労働環境を整えるとともに、助成が受けられれば、離職率の低下や事業の安定が図れるでしょう。

参照元
厚生労働省
雇用・労働分野の助成金のご案内[詳細版]

クラウドファンディング

近年は、クラウドファンディングで起業資金を集める人も増えています。クラウドファンディングサイトにビジネスモデルを公開し、共感した不特定多数の人から資金を調達する方法が一般的です。
多くのクラウドファンディングサイトは無料で利用でき、また、ビジネスモデルを公開することで施設やサービスの宣伝にもつながるのがメリットといえます。ただし、資金を集めるにはある程度時間がかかるうえ、期限までに目標金額が集まるとも限りません。また、成功した場合も融資金に税金がかかるので、専門家のアドバイスを仰ぎながら利用するのが無難でしょう。

日本政策金融公庫の融資

金融公庫でも多くの融資制度を揃えているため、起業を考えている人はチェックしておくのがおすすめ。「新規開業資金」や「女性、若者/シニア起業家支援資金」、「再挑戦支援資金」などがあり、融資限度額も大きいのが魅力です。起業資金や運転資金に不安がある場合には、自分に合った融資があるかどうか検討しておきましょう。

参照元
日本政策金融公庫
融資のご案内

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