
「認定看護管理者とはどのような資格?」「取得するメリットは何?」と気になっている看護師もいるでしょう。認定看護管理者は、マネジメント業務に興味のある人に向いている資格です。本記事では、制度の概要や教育課程、認定看護管理者になる方法について詳しく解説。認定看護師・専門看護師との違いにも触れますので、自分に適した資格が明らかになるはずです。キャリアアップに向けて資格取得を検討している人もぜひ参考にしてください。
認定看護管理者とは、組織を改革・発展させる能力を持つ看護師に与えられる、日本看護協会の認定資格です。英語表記は、Certified Nurse Administrator(CNA)であり、1998年に創設されました。
日本看護協会「データでみる認定看護管理者」によると、2023年12月現在の登録者数は5,258名。認定看護管理者には、「看護管理のスペシャリスト」として、大きな活躍が期待されています。
日本看護協会によると、認定看護管理者制度の目的は下記のとおりです。
認定看護管理者制度は、多様なヘルスケアニーズを持つ個人、家族及び地域住民に対して、質の高い組織的看護サービスを提供することを目指し、 看護管理者の資質と看護の水準の維持及び向上に寄与することにより、保健医療福祉に貢献します。
認定看護管理者
今日、保健・医療・福祉サービスは急速に変化しています。医療および看護の質を向上するためには、組織の進化や発展が必要不可欠です。
認定看護管理者の役割には、以下のような内容が挙げられます。
認定看護管理者の使命は、「管理者として優れた資質を持ち、創造的に組織を発展させることができる能力を有する者」として、適切かつ有効なマネジメントを遂行することです。
以下の表は、看護管理者の種類と役割をまとめたものです。役職名や権限は施設によって異なりますが、看護主任、看護師長、看護部長の順に昇進するのが一般的です。
| 役職 | 役割 |
| 看護部長 | 看護部の最高責任者として、人員の確保および育成や関係部署・関係機関との連携を図る |
| 看護師長 | 各部署の責任者として看護スタッフの勤務・業務の管理や教育、安全管理のほか、他部署との連携、患者さんやご家族への対応などを行う |
| 看護主任 | 看護師長や看護副師長を補佐し、病棟の業務が円滑に進むように整備する |
看護主任は、中間管理職のような立場として、現場のリーダー的存在を務めます。看護主任の臨床経験の目安は10年以上、看護師長の臨床経験は10年〜20年程度が目安です。なお、看護部長になると、副院長として病院の経営に携わることもあります。
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日本看護協会では、看護管理を実践するために必要な能力について、マネジメントラダーで可視化しています。各能力の定義は以下のとおりです。
| 能力 | 定義 |
| 組織管理能力 | 組織の方針を実現するために資源を活用し、看護組織をつくる力 |
| 質管理能力 | 患者の生命と生活、尊厳を尊重し、看護の質を組織として保証する力 |
| 人材育成能力 | 将来を見据えて看護人材を組織的に育成、支援する力 |
| 危機管理能力 | 予測されるリスクを回避し、安全を確保するとともに、危機的状況に陥った際に影響を最小限に抑える力 |
| 政策立案能力 | 看護の質向上のために制度・政策を活用及び立案する力 |
| 創造する能力 | 幅広い視野から組織の方向性を見出し、これまでにない新たなものを創り出そうと挑戦する力 |
引用:病院看護管理者のマネジメントラダー 日本看護協会版(p.6)
今日、看護管理者に求められる役割は、医療・看護を取り巻く状況の変化によって地域にまで拡大しています。認定看護管理者として上記の能力を培うことで、「看護を必要とする人々の健康とQOLの向上に貢献する」「変化する医療・看護のニーズに対応する」といった幅広い活躍が期待できるでしょう。
日本看護協会の認定資格には、認定看護管理者のほかに、認定看護師や専門看護師があります。認定看護管理者がマネジメントに特化した資格であるのに対して、認定看護師や専門看護師は、ケアの専門分野に特化した資格である点が特徴です。
| 資格名 | 制度の目的 | 役割 |
| 認定看護管理者 | 看護管理者の資質と看護の水準の維持および向上 | 組織運営・発展を担う |
| 認定看護師 | 看護ケアの広がりと質の向上 | 特定の看護分野において3つの役割を果たす |
| 専門看護師 | 保健医療福祉の発展と看護学の向上 | 専門性を発揮しながら6 つの役割を果たす |
それぞれの資格によって専門性は異なるため、自分のキャリアパスに合った選択を行いましょう。以下にて、認定看護師と専門看護師の説明を補足します。
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認定看護師とは、「あらゆる場で看護を必要とする人々に対して水準の高い看護実践が可能である」と認められた看護師のことを指します。認定看護師の役割は、「実践・指導・相談」の3つであり、2020年度から教育が開始したB課程の分野数は19分野です。2023年12月現在の登録者数は、現行のA課程と新たなB課程を合計して2万4,095人となっています。
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専門看護師とは、「特定の専門看護分野において技術と知識を深め、卓越した看護実践能力がある」と認められた看護師のことを指します。専門看護師の役割は、「実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究」の6つであり、認定看護師に比べてより包括的なのが特徴です。専門看護分野は14分野で、2023年12月現在の登録者数は3,316人となっています。
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認定看護管理者の資格取得を考える際は、教育課程の種類についても理解を深めておく必要があります。
認定看護管理者の教育課程は、各都道府県の看護協会などで実施されています。「ファースト」「セカンド」「サード」と3つのレベルがあり、基本的には順を追ってステップアップする流れです。認定看護管理者の受験資格を得るための基準は、サードレベルになります。
以下にて、各レベルの詳細を見ていきましょう。
ファーストレベルは、「管理に関する基本的知識・技術・態度の習得」を教育目的としています。受講時間は105時間であり、到達目標は以下のとおりです。
【到達目標】
ファーストレベルの受講対象者になるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
セカンドレベルは、「基本的な責務を遂行するのに必要な知識・技術・態度の習得」を教育目的としています。受講時間は180時間であり、到達目標は以下のとおりです。
【到達目標】
セカンドレベルの受講対象者になるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
※副看護部長相当の職位とは、保健医療福祉に関連した組織において、看護管理を行う立場を指します。
サードレベルは、「質の高い組織的看護サービスを提供するのに必要な知識・技術・態度の習得」を教育目的としています。看護サービスの対象も「多様なヘルスケアニーズをもつ個人や家族、地域住民および社会」と幅広いのが特徴です。受講時間は180時間で、到達目標は以下のとおりとなっています。
【到達目標】
サードレベルの受講対象者になるには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
認定看護管理者の資格を取得するためには、日本看護協会の認定看護管理者認定審査に合格する必要があります。ここでは、押さえておきたいポイントを項目ごとにお伝えしますので、準備・計画の際にお役立てください。
なお、申請の際には必ず手引きを確認し、最新情報を入手するようにしてください。認定審査は2026年度から、また、更新審査・再認定審査は2025年度から、個人審査の変更が予定されています。
認定看護管理者の受験資格は以下のとおりです。
・認定看護管理者教育課程サードレベルを修了している
・看護管理に関連する学問領域の修士以上の学位を取得している
受験資格はすべて満たす必要があるため、申請前にしっかりと確認しておきましょう。
受験条件を満たした後は、年に1度行われる認定審査を受けて合格しなければなりません。2024年度の認定審査は、6月頃に申請、10月頃に筆記試験というスケジュールで行われています。手続きの流れは以下のとおりです。
書類審査に合格したら、下記の筆記試験に進むことができます。
| 出題方式 | 出題数 |
| 客観式一般問題(マークシート方式・四肢択一) | 20問 |
| 論述問題 | 2問 |
審査の合否は「資格認定制度審査・申請システム」で発表され、認定料の振り込みをもって、認定証が送付されます。
認定看護管理者の合格率は70〜80%程度とされています。認定審査の合格率自体は比較的高いものの、受験資格を満たすまでに多くの時間や労力、経済力が必要です。そのため、決して難易度の低い資格ではないといえます。
認定看護管理者の資格を維持するためには、取得後5年ごとに更新を行う必要があります。更新審査には、下記の条件を満たした上で、3万800円の審査料とオンラインおよび郵送での書類提出が求められます。
また、更新審査合格者には、2万900円の認定料振込も必要となります。2024年度の認定更新審査の申請期間は7月〜8月頃であったため、頭の片隅に置いておくと良いでしょう。万が一資格を喪失した場合は、再認定審査を受けることも可能です。
認定看護管理者を取得するきっかけには、どのようなものがあるのでしょう。日本看護協会「2014年認定看護管理者の活動実態に関する調査結果(p.5)」によると、最も多い動機は、「自らの希望(キャリアアップや知識・技術の習得など)」となっています。
| 資格取得の動機 | 割合 |
| 自らの希望 | 64.5% |
| 所属施設(上司)のすすめ | 32.8% |
| 所属施設の昇進の要件 | 0.7% |
| その他 | 2.0% |
引用:2014年認定看護管理者の活動実態に関する調査結果(p.5)
管理業務に関心があり、多角的な視点や問題解決能力を伸ばしたいという看護師には、キャリアの選択肢の一つとなっているようです。マネジメントスキルを学ぶことで、現場での実践に活かせるようになります。
認定看護管理者になると、さまざまなメリットが期待できます。資格取得をためらっている人は、後述するデメリットと天秤にかけてみてください。
認定看護管理者のカリキュラムでは、組織マネジメントや人事・労務管理、安全管理などについて深く学びます。そのため、管理者の視点に立ったマネジメントを展開できるようになるのがメリットの一つです。ジェネラリストとしてより活躍しやすくなるでしょう。
認定看護管理者になると、優れたマネジメントスキルがあることが証明できるため、管理職に昇進するチャンスも増えるでしょう。管理職に昇進すると、役職手当などの支給によって給与が上がる可能性も高まります。
現に、人事院の「2019年(平成31年)職種別民間給与実態調査の結果 (表5)」によると、役職が上がるにつれて支給される給与額も増加しています。
| 役職 | 平均年齢 | 平均支給額 |
| 総看護師長 | 55.0歳 | 53万9,846円 |
| 看護師長 | 47.9歳 | 43万1,007円 |
| 看護師 | 38.1歳 | 35万9,618円 |
管理者の給与が一般看護師よりも高い背景には、勤続年数に応じた昇給もありますが、将来的に高収入を得たい人には魅力的に映るはずです。
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認定看護管理者は、病院を中心にクリニックや介護保険施設、訪問看護ステーションなど幅広い職場で活躍することが可能です。
現に、日本看護協会の「データでみる認定看護管理者」によると、2023年12月時点における認定看護管理者の所属施設のうち、約2割が「病院以外」となっています。
| 所属施設 | 割合 |
| 学校・大学 | 3.9% |
| 看護協会 | 3.4% |
| 介護保険施設など | 1.9% |
| 訪問看護ステーション | 1.0% |
| クリニック・診療所 | 0.8% |
| 認定看護師教育機関 | 0.3% |
| 会社 | 0.2% |
| その他 | 3.4% |
| 離職中 | 4.2% |
近年では、「病院中心から在宅中心の医療」への移行が推進されているため、今後はさらに病院外での活躍も見込まれるでしょう。
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認定看護管理者の資格取得には、メリットが多い反面、いくつか注意しなければならないポイントもあります。事前に把握することで後悔を防げるでしょう。
前述のとおり、認定看護管理者になるためには時間や費用がかかります。教育課程を受講する場合は、受講料以外に図書代や交通費なども考慮しておかなければなりません。また、資格取得時だけではなく、維持にかかる更新費用も見越しておく必要があります。そのため、希望通りの給料アップが実現しない場合、割に合わないと感じる可能性があるでしょう。
管理職を目指すのに認定看護管理者の取得は効果的ですが、ポストに空きが出なければ役職に就くことはできません。現に、日本看護協会「2014年認定看護管理者の活動実態に関する調査結果(p.18)」によると、資格取得前後の職位や処遇の変化に関して、約7割の看護師が「変化なし」と回答しています。
資格取得によって、活躍の場が広がったり上司からの評価が上がったりと、さまざまな変化は期待できますが、昇進や昇給に直接的な影響を与えるとは限らないため注意が必要です。なお、本調査は10年前のデータのため、あくまで参考程度にご覧ください。
管理職を目指すには、認定看護管理者の資格取得以外に2つの方法があります。複数の選択肢の中から、自分に最適な手段を選ぶことが大切です。
認定看護管理者は管理職に必須の資格ではありません。そのため、今の職場で経験を積みながら管理職のポストが空くタイミングを待つのも選択肢の一つです。管理職には各役職に応じて、一定以上の臨床経験を積んだ看護師が推薦されます。一般的には、看護主任は勤続10年目以降、看護師長は勤続17年目以降に任命される傾向にあるといえるでしょう。
「今の職場ではなかなか管理職の空きが出ない」という場合は、管理者の求人を探して転職するのも手です。管理職候補として入職すれば、スムーズに役職に就けるでしょう。とくに、小規模の医療機関・施設であれば、臨床経験が10年以下でも管理者になれる可能性があるようです。
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ここでは、「認定看護管理者とは?」と疑問を持つ人によくある質問を紹介します。
認定看護管理者には、「ファースト」「セカンド」「サード」とレベルごとに教育課程が設けられており、受講要件に応じて研修を受けることが可能です。各教科目の評価や出席率の修了要件を満たすと、修了証が交付されます。詳細は、本記事の「認定看護管理者の教育課程」で解説しています。
ファーストレベルの受講に主任経験は不要です。「日本国の看護師免許を有する」「実務経験が通算5年以上ある」「管理業務に関心がある」の3点を満たせば、受講できます。
日本看護協会「教育機関別開講状況・定員数一覧」によると、2024年4月1日現在の教育機関数は75となっています(ファーストレベル70、セカンドレベル62、サードレベル33)。
認定看護管理者とは、日本看護協会の認定資格の一つです。管理職の観点からマネジメントを学べたり、活躍の場が広がったりする利点があるため、キャリアアップを目指す看護師におすすめの資格といえます。資格取得を検討する際は、かかる時間や費用も考慮した上で、総合的に判断するようにしてください。
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