
「保健師になるにはどうすれば良い?」という看護師もいるのではないでしょうか。地域の人々の健康を支える保健師は、国家試験への合格が必要です。
この記事では、保健師を目指す看護師向けに、免許取得の最短ルートや国家試験の受験資格、学校卒業までに必要な学費などを解説します。保健師の活躍場所や魅力などもご紹介していますので、キャリアチェンジや転職をお考えの看護師はぜひご覧ください。
保健師は、「保健師助産師看護師法」に定められた国家資格です。保健師になるには、看護師免許を保有したうえで保健師国家試験に合格し、保健師免許を取得することが必要とされています。
ここでは、保健師になるための受験資格や国家試験の詳細などを解説していきます。
保健師になるための要件として「保健師助産師看護師法 第7条」では、「保健師になろうとする者は、保健師国家試験および看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない」と定められています。
また、「保健師助産師看護師法 第19条」にある、保健師国家試験の受験に必要な条件は以下のとおりです。
いずれも、保健師国家試験を受けるには指定の保健師養成所を卒業することが必要とされています。
保健師国家試験の試験科目およびスケジュールなどの詳細は、以下の表をご覧ください。
| 実施頻度 | 毎年少なくとも一回(例年2月中旬) | |
| 出願期間 | 試験日の前年11月ごろ | |
| 受験手数料 | 5,400円 | |
| 試験科目 | ・公衆衛生看護学 ・疫学 ・保健統計学 ・保健医療福祉行政論 | |
| 試験スケジュール | 午前:80分 ・一般問題(40問) ・状況設定問題(15問)/2連問または3連問 | |
| 午後:80分 ・一般問題(35問) ・状況設定問題(20問)/2連問または3連問 | ||
| 合格発表日 | 3月中旬以降に厚生労働省ホームページにて発表 | |
参照:厚生労働省「資格・試験情報」
保健師の国家試験は、例年2月ごろに実施されています。看護師国家試験と数日ずらして実施される場合が多く、受験資格を満たしていればダブル受験も可能です。
試験会場は複数ありますが、すべての都道府県で実施される訳ではないため、受験予定の方は近隣の試験会場を事前にチェックしておきましょう。
また、保健師免許に有効期限はなく、氏名や本籍地に変更がなければ更新も不要とされています。ただし、保健師として業務に従事している方は、「保健師助産師看護師法 第33条」の定めにより、2年ごとに就業地の都道府県知事への届け出が必要です。
近年の保健師国家試験の合格率は、以下のようになっています。
| 受験者 | 合格者 | 合格率 | |
| 令和7年度 | 7,658人 | 7,196人 | 94.0% |
| 令和6年度 | 7,795人 | 7,456人 | 95.7% |
| 令和5年度 | 8,085人 | 7,579人 | 93.7% |
参照:厚生労働省「国家試験合格発表」
保健師国家試験の合格率は、いずれの年も90%前半で推移しています。合格率から見ても、突出して難易度が高いという訳ではありませんが、国家試験に向けて計画的に対策を進めることが必要です。
「保健師助産師看護師法」では、保健師とは「厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者」と定めがあります。ここでは、保健師の活躍場所や仕事内容について解説していきます。
保健師の活躍場所は、主に「行政保健師」「産業保健師」「学校保健師」「病院保健師」の4つがあります。それぞれ仕事内容が異なるため、職場の特徴や業務の違いを把握しておきましょう。
行政保健師は、役所や保健所、保健センターなどに勤務し、地域住民の健康維持・促進のサポートや疾病予防に努めます。都道府県か市区町村かに管轄が分かれ、行政保健師になる場合は公務員試験への合格が必要となる場合が多いです。
また、地域包括支援センターは市区町村によって設置されていますが、直営の施設はわずか2割にとどまります。8割は委託を受けた法人が管理・運営しているので、事業所の規定に従って勤務することになるでしょう。
産業保健師は、企業に勤務し、社員の健康管理や相談業務のほか、メンタルヘルス対策や保健指導に取り組みます。各企業の福利厚生を受けられるうえ、日勤メインでデスクワークが中心となるため、身体への負担も少なめです。大企業になるほど高給与に期待できますが、働きやすさや好待遇などの点から競争率は高い傾向にあります。
学校保健師は、私立の小中学校や高校といった教育機関に勤務し、生徒や教職員の健康管理を担います。大学や専門学校などで働くケースもあるようです。公立学校の保健室に勤務する養護教諭とは異なるので注意しましょう。
病院保健師は、病院や診療所、クリニックといった医療機関に勤務し、患者さまや医療機関職員の健康管理や保健指導を行います。入院患者さまは回復して元どおりの生活に戻れる方もいれば、在宅療養が必要な方も少なくありません。そのため、各自治体の保健センターや訪問看護ステーションといった、外部機関と連携を取ることもあるでしょう。
各職場の保健師についてさらに詳しく知りたい方は「保健師とは?仕事内容や看護師との違い、活躍できる職場などを解説」も参考にしてみてください。
保健師は、看護師の上位資格に位置づけられ、看護師として働くのであれば保健師の国家資格は不要です。看護師は、「保健師助産師看護師法 第5条」で「傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする者をいう。」とされており、保健師と仕事内容も異なります。
保健師と看護師との違いをさらに詳しく知りたい方は、「保健師と看護師の違いとは?資格や年収、職場ごとの仕事内容も解説!」をご覧ください。
ここでは、保健師になる方法を保健師免許の保有の有無に分けてご紹介します。最短で保健師になりたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
看護師免許のみを持っており、これから保健師免許を取得する方は、以下の方法で資格取得を目指します。

引用:厚生労働省「職業情報提供サイト」
卒業までにかかる期間は、学校によってそれぞれです。最短ルートでの取得を目指す方は、1年課程の保健師養成所があります。
保健師を目指せる学校一覧は、文部科学省の「保健師学校(大学院)(国立)」でご覧いただけますので、参考にすると良いでしょう。
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看護師として働きながら保健師になれる?資格取得の方法や転職活動のコツも
すでに保健師免許を保有している看護師は、応募先の採用試験を受けましょう。各自治体や企業、病院ごとに募集時期や試験内容はそれぞれです。保健師の求人は、「経験者のみ」の募集が多い傾向にあります。未経験から転職する方は、こまめな求人チェックや情報収集を行い、応募のタイミングを逃さないようにしましょう。
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看護師から保健師へ転職する方法は?資格取得の流れや仕事内容について解説
ここでは、保健師になるのにかかる費用や奨学金制度を解説します。かかる学費は学校別に異なるため、あらかじめ把握しておくことが大切です。学費の負担を抑えたい人は、奨学金制度の活用も検討してみると良いでしょう。
指定の保健師養成所にかかる学費の目安は、以下の表をご覧ください。
| 教育機関の種類 | 学費の目安 |
| 専門学校(1年制) | 約100~250万円 |
| 短期大学(1年制) | 約140万~180万円 |
| 4年制大学(3年次編入した場合) | 約200万円~400万円 |
| 大学院 | 約150万円~400万 |
一般的に、私立よりも国公立の学校の方が費用は安くなる傾向にあります。入学金や授業料、施設利用費のほか、実習費や教材費、白衣代などが別途かかる場合も。学費情報は、学校のWebサイトで公開されている場合もあるため、複数の学校を比較してみると良いでしょう。
保健師を目指す場合、奨学金制度を利用して学費の負担を軽減することが可能です。以下に奨学金制度をいくつか挙げていますので、気になるものがあれば詳しく調べてみてください。
| 学校独自の奨学金 | ・保健師養成学校から貸与される奨学金 ・月額の貸与金や返納期間は学校によって違う |
| 教育訓練給付金制度 | ・厚生労働大臣からの指定を受けた専門実践教育訓練を受けた場合に、費用の一部をハローワークが支給 ・専門実践教育訓練を受講中および修了した場合、教育訓練経費の50%に相当する額(年間上限40万円)を6か月ごとに支給 ・資格取得後に就職した場合、20%に相当する費用を追加支給 |
| 看護師等修学資金貸与制度 | ・修学資金貸与事業を運営する都道府県によって貸与・支給される奨学金 ・免許取得後、県内の医療機関などで一定年数勤務すれば返還が免除される |
| 日本学生支援機構奨学金 | ・貸与型奨学金には第1種(無利子)・第2種(有利子)がある ・世帯収入を満たせば給付型奨学金を受けられる |
| 国の教育ローン | ・貸与の上限額は350万円 ・日本学生支援機構の奨学金との併用も可 ・返済期間は最長20年 |
参照:日本学生支援機構「奨学金」、厚生労働省「教育訓練給付制度」、日本政策金融公庫「国の教育ローンについて」
基本的には貸与型ですが、条件を満たせば返還が不要となる奨学金もあります。返済期間は制度ごとに異なるため、返済可能額や期間をしっかり吟味したうえで利用する制度を選ぶことが必要です。
職業情報サイトjobtag「保健師」によると、保健師の年収は約521万円で、看護師の平均年収を上回っていることが分かります。
| 職種 | 年収 | 平均年齢 |
| 保健師 | 521.2万円 | 38.7歳 |
| 看護師 | 519.7万円 | 41.2歳 |
日勤メインで看護師と同程度の給与が得られるのは、保健師の魅力といえます。自治体や大企業の保健師として転職すれば、好待遇や充実した福利厚生にも期待ができるでしょう。
ただし、上記の看護師の年収は、日勤のみのデータも含まれている可能性があります。交替制勤務の看護師は、保健師よりも年収が高いケースがあるため、看護師から転職する場合は注意が必要です。
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保健師の平均給料を年齢・職場規模別に解説!看護師や助産師との年収比較も
保健師は、キャリアアップをしながら将来を見据えて働ける仕事です。
昨今の超高齢化社会や医療従事者不足、医療費の増大などの背景を受け、予防医療の重要性は高まってきています。日本では、「健康寿命延伸プラン」として、健やかな生活習慣づくりや疾病予防、介護予防などが取り組まれ、保健師の役割はますます重要になっていくでしょう。
また、保健師国家試験に合格すると、申請によって「養護教諭二種免許」「第一種衛生管理者」が取得可能です。保健師免許を取得することで、キャリアや転職先の幅がさらに広がり、より自分に合った職場に転職しやすくなるでしょう。
人々の健康を守る保健師のやりがいには「予防医療に従事できる」「対象者とじっくり関わった支援ができる」などが挙げられます。日勤メインの働き方でも年収が下がりにくく、やりがいと働くメリットどちらにおいても魅力の多い仕事だといえるでしょう。
保健師のやりがいを詳しく知りたい方は「保健師のやりがいとは?職場別の仕事の魅力や向いている人の特徴もご紹介」の記事をご覧ください。
魅力が多い一方で、「成果がすぐに得られずやりがいを感じにくい」「職場によっては孤独を感じやすい」など、人によっては保健師の仕事に大変さやデメリットを感じる場合があります。
「有事の際は出勤が増える」なども、自治体の保健師ならではの大変さだといえるでしょう。保健師として働くデメリットは、「保健師の仕事はきつい?転職を考える理由や辞めたいときの対処法を解説」で詳しくご紹介しています。
転職後のミスマッチを防ぐには、メリットとデメリットのどちらも把握したうえで、自分に合っている仕事がどうか判断することが大切です。
保健師になるには、自分が保健師に向いているかどうかも考えることが必要です。以下に、保健師に向いている特徴をいくつか挙げましたので、自分の性格と照らし合わせてみると良いでしょう。
対象者と積極的なコミュニケーションを求められる仕事であるため、人との関わりを大切にする気持ちや寄り添う姿勢などは必要不可欠です。また、説得力のある保健指導を行うには、豊富な知識や最新の社会動向も取り入れ、自分自身も健康を意識しておくことが望ましいでしょう。
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保健師に向いている人は?職場別の適性や仕事内容、キャリア例も紹介
ここでは、「保健師になるにはどうすれば良い?」という人によくある質問に、Q&A形式で回答していきます。
職業情報サイトjobtagによると、「保健師」の有効求人倍率は1.00で、「看護師」の2.31と比べてみても、保健師の方が転職はやや難しいといえるでしょう。保健師求人は、経験者を募集する傾向にあるのも特徴の一つです。看護師が未経験から転職する場合は、教育制度の整った職場や保健師が複数在籍しているところなどを中心に探すと良いかもしれません。「未経験だけど保健師になりたい!夢を諦めなかったから見つけられた転職先」では、未経験から保健師に転職した看護師の体験談をご紹介していますので、ぜひご覧ください。
現時点で、保健師養成学校に夜間制や通信課程はありません。そのため、社会人として働きながら保健師を目指す看護師は、勤務日程や時間を調整するといった対応が必要になります。できるだけ早く保健師になりたい方は、「看護師が最短ルートで保健師になるには」も参考にしていただくと良いでしょう。
保健師になるには、看護師免許を取得したうえで保健師養成学校に通い、保健師国家試験に合格することが必要です。最短で保健師になりたい方は、1年課程で学べるコースもあります。
すでに保健師免許を持っている看護師の方は、各職場の採用試験に合格することで保健師としての勤務が可能です。ただし、保健師の転職は看護師よりもやや難しく、経験者を募集する場合も多いため、転職活動をする際はしっかり対策を取ることが必要だといえるでしょう。
「保健師は未経験なので1人で転職活動を進めるのが不安…」という看護師の方は、レバウェル看護をご利用してみませんか?レバウェル看護では、保健師の求人も多数取り扱っています。求人のご提案や選考対策、応募先との交渉といったサポートも行っているため、未経験の職種でも安心して転職活動を進められるでしょう。
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