
看護師のなかには、「新卒でクリニックに就職できる?」「転職する際に不利になる?」と不安な方もいるでしょう。クリニックは新卒や第二新卒の方も働け、転職時に臨床経験とみなされる場合もあります。この記事では、クリニックと病院の違い、新卒看護師がクリニックに就職するメリット・デメリットを解説。クリニックへの就職・転職方法や求人傾向、求人選びのポイントも紹介しますので、ぜひご一読ください。
新卒の方であってもクリニックで働くことは不可能ではありません。ただし、厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況(P3)」によると、看護師の勤務先の割合は病院が多いので、新卒の看護師も看護経験を積むために病院に就職することが一般的といえるでしょう。クリニックから再度転職する際に病棟経験を求められることがありますが、求人票に「病棟勤務〇年」などの指定がない場合、クリニック勤務を臨床経験とみなす病院もあります。
▼関連記事
看護師の臨床経験とは?少ないと転職に不利?病棟以外の勤務についても解説
ここでは。病院とクリニックの具体的な違いについて解説していきます。
病院とクリニックの基本的な仕事内容は、外来の診療補助業務に限ればそれほど変わりませんが、病棟の場合は以下のような違いがあります。
| クリニック | 病院(病棟) |
| ・外来患者への医師の診療補助 ・バイタルサイン測定 ・心電図やレントゲンなどの検査業務 ・医療器具の洗浄 ・薬品や器具の発注 ・掃除、受付、電話対応 ・事務作業 | ・入院患者の療養上のケア、医師の診療補助 ・バイタルサイン測定 ・ナースコール対応 ・病室の巡回 ・救急患者や重症患者の対応 |
病院では、新卒看護師は一般に病棟に配属されることが多いのが特徴です。クリニックも病棟も基本的に医師の診療補助業務として、問診や採血、点滴業務、バイタルサイン測定は必須といえるでしょう。病院が入院患者さまに処置するのに対し、クリニックは外来患者さまに対応します。クリニックでは、施設内の掃除やカルテ整理といった事務作業など幅広い業務を担当することも。
▼関連記事
クリニック看護師の仕事内容は?平均給料・年収や転職するメリットも解説
クリニックと病院の教育制度の違いには、以下があるでしょう。
| クリニック | 病院 |
| 外部研修で勉強する必要があることが多い | 院内研修や新人指導が手厚い傾向にある |
クリニックは小規模でスタッフの人数も少ないため、研修制度が整っていない職場が多い傾向があります。技能を習得するのではなく、看護師として培ってきた技能を活かす場が多いといえるでしょう。しかし、新卒の看護師を受け入れているクリニックもあります。未経験で看護技術の習得に不安がある場合は先輩看護師に積極的に質問したり、外部研修や資格取得を通じて知識を補ったりすることも可能です。
病院は院内研修が充実していることが多い傾向があります。マンツーマンで指導を行うプリセプター制度は、病院などの多数の看護師が在籍している環境だからこそ導入可能な制度といえるでしょう。基本的に病院は一度に多くの人員を採用するため、同期が多く、新人研修会などでお互いの意見や情報交換もしやすい環境です。病院は未経験からのスキルアップやキャリアアップを目指している方におすすめといえるでしょう
クリニックと病院には、福利厚生の違いもあります。一般的に、以下のような違いがあるので確認しておきましょう。
| クリニック | 病院 |
| 小規模の場合は求人を要確認 | 比較的充実している傾向にある |
クリニックは病院と比較すると福利厚生はあまり充実していない傾向にあるかもしれません。美容クリニックなど大きな法人が運営しているクリニックでは、病院と変わらない福利厚生を備えているところもあるので、応募前にしっかりと情報を確認しましょう。
病院は、クリニックよりも福利厚生が充実している傾向です。「託児所・保育所、寮を完備している病院」「資格取得の支援をしてくれる病院」などが多数あり、社会保険も完備しているのが一般的です。保養所やレクリエーション施設を保有している病院もあります。
休日休暇に関する、クリニックと病院の違いは以下のとおりです。
| クリニック | 病院 |
| 規則的な休みを取りやすい | 大規模な職場では急な休みを取りやすい |
クリニックは土曜日は午前診療のみであったり、日曜は休診であったりするので、病院よりも規則的に休みを取りやすい環境といえるでしょう。中抜けと呼ばれる、午前と午後の診療のあいだに休憩を取れる場合もあります。
看護師の数が少ないクリニックでは、急用や体調不良などでの休みは取りづらいかもしれません。病院は連休や決まった曜日の休みは取りづらいといえるでしょう。しかし、多数の看護師が在籍している病院なら、カバーに回れる人員も多いので、急用や体調不良などでの休みは取りやすい環境といえます。
▼関連記事
クリニックの看護師は休みが少ないって本当?休日数の平均や実際の事情も
クリニックと病院は、夜勤の有無の点でも異なります。
| クリニック | 病院 |
| 夜勤なし | 病棟は夜勤あり |
クリニックは基本的に日勤の求人となり、夜勤はありません。比較的、ワーク・ライフ・バランスを確保しやすい職場だといえるでしょう。病院の病棟の場合は、入院設備があり24時間の看護が必要なので夜勤があります。
クリニックと病院は給与面にも違いが見られます。レバウェル看護の独自調査(2024年3月時点)によると、月給・賞与・年収は以下のとおりです。なお、年収は月給×12+賞与で計算しています。
| クリニック | 病院 | |
| 月給 | 31万4,448円 | 33万2,482円 |
| 年間賞与 | 50万5,450円 | 77万6,162円 |
| 年収 | 427万8,826円 | 476万5,946円 |
クリニックは病院より月給が2万円ほど、年間賞与は20万円ほど低いので年収にも50万程度の差があります。全体的に、夜勤がない分、病院の給料より低くなっているのが分かります。「将来のために給与を上げたい」などの希望がある方は、応募先の給与の内訳も調べておくと安心です。なお、月給や賞与は入社月によっても異なる点にご注意ください。
▼関連記事
クリニック看護師の給料相場は?病院勤務との違いや年収アップの方法も解説
ここでは、新卒・第二新卒の看護師がクリニックで働く際のメリット・デメリットについて解説していきます。
新卒でクリニックを選ぶメリットには、以下があります。
クリニックは命を左右するような症状の方が来ることは少ないので、精神的なプレッシャーを感じることは病院勤務よりは少ないでしょう。病院よりも規則的な勤務時間・休日で働けることが多いので、プライベートな時間を充実させたい方に合った職場といえます。
新卒でクリニックを選ぶデメリットは以下のとおりです。
クリニックは病棟に比べ、総合的な技術は身につきにくいといえます。高度な看護スキルを習得していきたいなら、自身で積極的に学ぶ必要があるといえるでしょう。同じクリニックで働くスタッフに苦手な人がいる場合、スタッフの人数が少ないのでシフトが被ることが多くなってしまう可能性もあります。職場によっては退職金がない場合もあるので、応募前に確認しておきましょう。
▼関連記事
クリニックで働く看護師の退職金の相場とは?勤続年数の違いや病院との比較
新卒や第二新卒の看護師がクリニックに就職・転職する方法には、以下があります。
クリニックや看護学校に求人が貼ってあったり、公式Webサイトに求人情報が記載されていたりする場合も。実際に行ったことのあるクリニックは、医師や看護師の人柄を知っている場合もあり、安心して応募しやすいかもしれません。就職・転職エージェントサイトでは、アドバイザーがアドバイスや条件に合う求人を紹介してくれるので、一度相談してみるのもおすすめです。
ここでは、クリニックの求人傾向を診療科目ごとに紹介していきます。新卒の就職や、就職後に転職をする際の参考にしてください。
新卒で働ける求人の一つが、内科クリニックです。内科クリニックは施設数が多い傾向にあるため、多くの求人が期待できます。その分、別のクリニックへ転職するときの選択肢も多いので、「実務未経験の状態からクリニックで看護師としてのキャリアを始めたい」といった方に適しているでしょう。
新卒で働けるクリニック求人には、皮膚科も挙げられます。皮膚科は乳幼児から高齢者まで幅広い年代の患者さんが来院する診療科目。老若男女問わず、さまざまな世代の患者さんと関わりたい人に向いているでしょう。皮膚疾患のできる場所や症状によっては、処置の際に羞恥心や痛みを感じることがあるので、患者さんへの配慮が必要です。丁寧なコミュニケーションをとりながら、ケアをしたい方に適しています。
▼関連記事
皮膚科看護師とは?仕事内容や美容皮膚科の特徴、転職のコツも詳しく解説
整形外科クリニックも、新卒で働ける求人の一つです。整形外科特有の業務は入職後に指導されることが多い傾向にあります。「整形外科が未経験で不安がある」といった転職者も活躍しやすいといえるかもしれません。整形外科は「スポーツ医療」「高齢者の治療」などメインとする分野がある場合も。クリニックごとの特色を踏まえて、興味のある分野のクリニックの求人を探しましょう。
美容外科・美容皮膚科も新卒で働ける職場です。美容外科や美容皮膚科は未経験で始めるスタッフが多いので、研修制度が充実している傾向にあります。予約診療制のクリニックが多く、時間管理がしやすいので自習しやすい環境ともいえるでしょう。看護師にも営業ノルマが課せられるクリニックもあるので、事前に求人募集の要項をよく読み、業務内容を確認してみてください。
▶美容皮膚科クリニックの求人一覧
▶美容外科クリニックの求人一覧
新卒の方が働ける職場には、耳鼻咽喉科クリニックも挙げられます。耳鼻咽喉科は検査の種類が多く、比較的専門性の高い診療科目です。しかし、基本的な看護スキルがあれば就職可能な職場もあるので、条件に合う求人を探してみましょう。なお、未経験で就職・転職した場合、専門的なスキルは入職後に覚えていくことになります。専門的な知識は今後、転職を考えた際に有利になるでしょう。
▼関連記事
耳鼻科看護師とは?病棟・クリニックの仕事内容は?向いている人や関連資格
新卒・第二新卒がクリニックの求人を選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
看護師が担う業務範囲を確認しておきましょう。クリニックは事務作業や電話対応など、看護業務以外の仕事を覚えなくてはいけない場合があります。クリニックによっては、病院での勤務より忙しい可能性もあるので、しっかりと下調べを行ってから応募しましょう。
新卒・第二新卒がクリニックの求人を選ぶ際は、看護師を含めたスタッフの人数も調べておきましょう。人数が少ないクリニックでは、医療的ケア以外にも任される作業が多い可能性があります。小規模なクリニックでは代わりに出勤してくれる看護師が少ないので、体調管理に努めることも重要です。
クリニックの求人を選ぶ際、研修や教育体制の充実度も確認するのがおすすめです。求人票に「未経験可」「新卒・第二新卒可」といった記載がある場合は、比較的サポート体制が充実している傾向にあるかもしれません。研修が豊富な環境であれば、新人看護師でも業務に慣れやすく、長く働きやすいでしょう。
新卒や第二新卒でクリニック勤務を考えている場合は、社会保険の加入についても確認しておくのがポイントです。5人以下の人数がすくないクリニックでは、厚生年金の加入は義務ではないので、職場によっては加入できない場合があります。厚生年金の加入有無によって、将来受け取れる年金額に差が生まれるため、求人票や公式Webサイトを確認しておきましょう。
ここでは、クリニックの就職を検討する新卒看護師によくある質問をQ&A形式で回答します。
クリニックは、緊急対応や手術が少ない環境の職場が多いため、新卒で就職すると安心感から楽しいと感じやすいかもしれません。処置への重圧が少ないことに加えて、平日に固定の休診日がある場合が多く、仕事の復習がしやすい点も魅力といえるでしょう。
難しくはありませんが、働きたい職場によっては臨床経験が足りないとみなされる場合があるので、求人を確認しましょう。ただし、必ずしも要件を満たしていないと応募できないわけではありません。応募条件に合わない要素があっても転職エージェント経由で交渉することで内定に至る可能性もあるので、活用するのも手です。
「新卒の看護師がクリニックに就職したい」といったケースや、「看護師免許はあるけど実務経験がない」というケースでもクリニックで働くことは不可能ではありません。また、求人票に「病棟勤務〇年」などの指定がない場合、クリニック勤務を臨床経験とみなす病院もあるので、将来的にクリニックから別の医療機関への転職も可能です。
クリニックと病院には仕事内容のほかにも、教育制度や福利厚生、休日休暇、夜勤などの違いがあります。クリニックには「突発的な業務が少ない」「夜勤がない」などのメリットがある反面、「高度な看護スキルの習得が難しい」といったデメリットも。
新卒で働けるクリニックの求人には、「内科」「皮膚科」「整形外科」「美容外科・美容皮膚科」「耳鼻咽喉科」などがあります。新卒・第二新卒がクリニックの求人を選ぶ際は、業務範囲やスタッフの人数、教育体制、社会保険などを確認するのがポイントです。
「1人ではクリニックの詳細が調べられない」「自分に合う求人を客観的に判断できない」とお困りの方は、「レバウェル看護」にご相談ください。キャリアアドバイザーが、希望に沿ったクリニック選びのアドバイスから転職活動まで総合的にサポートいたします。丁寧なヒアリングで、クリニックをはじめとする条件に合った求人を紹介可能です。相談や求人情報の取得は無料ですので、ぜひご利用ください。
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載