
「乳児院で働く看護師が気になる!」「仕事内容や役割について知りたい」と考えている方もいるかもしれません。乳児院看護師は、入所する子どもの健康を守りながら養育する役割を担います。
この記事では、乳児院に勤務する看護師の仕事内容・役割や1日のスケジュールについて詳しく紹介します。働くメリット・デメリットや向いている看護師の特徴にも触れますので、
乳児院への転職を視野に入れている方は参考にしてみてください。
乳児院とは、保護者の入院や出産、離別や死別などの事情により、家庭での養育が受けられない乳幼児が入所する施設です。子どもの年齢は主に0~2歳までで、24時間を施設内で過ごします。中には、病気を抱えていたり、家庭で虐待を受けていた経験があったりする入所児も。また、2~3歳ごろを過ぎて、家庭に戻らない場合は児童養護施設に移るケースもあります。
乳児院を運営しているのは基本的に社会福祉法人ですが、児童福祉法に基づいて国や自治体から補助金を受けているのが特徴です。
乳児院は、児童福祉法によって看護師の配置が義務付けられています。以下の表は、児童福祉法で定められている養育に従事する職員・看護師の配置基準をまとめたものです。
|
入所している子どもの数 |
おもに養育に従事する職員の配置基準(看護師・保育士・児童指導員など) |
看護師の最低配置基準 |
|
10人以上の施設 |
1歳児以下 子1.6人:職員1人以上 |
子ども10人に看護師2人以上 (子ども10人増につき看護師1人以上増が必要) |
|
2歳児 子2人:職員1人以上 |
||
|
3歳児以上 子4人:職員1人以上 |
||
|
10人未満の施設 |
7人以上 |
1人以上 |
参照:e-GOV法令検索「児童福祉法 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第三章乳児院」
入所する子どもの数や年齢比によって、職員の配置数は異なります。乳児院の規模に応じて看護師の最低配置人数も異なるため、看護師1名体制に不安を感じるのであれば、比較的規模の大きな施設を選ぶと良いでしょう。
▼関連記事
看護師が働ける病院以外のおすすめの職場19選!転職時の注意点も解説
保育園は、保護者が仕事をしているといった理由で保育を必要とする0歳~就学前までの子どもを預かる通所施設です。保育時間が終了すれば、園児は帰宅し、家庭で養育されることとなります。
一方、乳児院は、入所児にとって一時的な「家」となり、周囲の大人とのかかわりから愛着を形成していく場です。子どもの安心・安全に配慮するだけでなく、丁寧なメンタルケアも重視されます。
▼関連記事
保育園看護師の仕事内容を解説!必要なスキルや働くメリット、給料事情も
乳児院で働く看護師の役割は、一時的に預かった乳幼児を、チームで連携し24時間365日、家庭に代わって健康に養育することです。入所している子どもたちが、健康かつ安全に過ごせるように配慮しながら業務にあたります。また、相談対応による子育て支援を行うのも大切な役割です。以下で、乳児院に勤務する看護師の業務を詳しく紹介していきます。
乳児院に入所しているのは0~2歳までの乳児であり、自身の体調不良を的確に周囲に伝えられません。そのため、乳児院の看護師は医師と連携しながら、毎朝の検温や体調チェックを行い、子どもの健康状態の把握に務めます。
小児看護の経験や知識があれば、便や尿の状態、表情や機嫌、声の様子などから乳児の不調を察知できるでしょう。
乳児は身の回りのことを自分1人では行えないため、周囲の大人のサポートを必要としています。ほかのスタッフと共に乳児の日常生活を世話し、子どもの年齢や成長・発達に応じた介助を行うのも、乳児院で働く看護師の業務です。子どもが安全に施設内で過ごせるように配慮し、遊びの見守りも行います。
こども家庭庁の「令和4年度児童養護施設児童等調査の概要 (7p)」によると、「乳児院の入所児のうち27.0%に何らかの心身の不調を抱えている」といいます。乳児院に入所している子どもの具体的な心身状況は下記のとおりです。
| 心身の状況 | 割合(%) |
| 身体虚弱 | 10.9% |
| 肢体不自由 | 1.7% |
| 重度心身障害 | 0.7% |
| 視覚障害 | 1.4% |
| 聴覚障害 | 1.1% |
| 言語障害 | 2.2% |
| 知的障害 | 4.6% |
| てんかん | 1.6% |
| 外傷後ストレス障害(PTSD) | 0.2% |
| 反応性愛着障害 | 0.3% |
| 注意欠陥多動性障害(ADHD) | 0.7% |
| 広汎性発達障害(自閉症スペクトラム) | 1.7% |
| 吃音症 | 0.1% |
| 発達性協調運動障害 | 0.4% |
| 高次脳機能障害 | 0.2% |
参照:こども家庭庁「令和4年度児童養護施設児童等調査の概要」
疾患や障害があるほか、ご家族との離別による心の傷を抱えている乳児も少なくないことがうかがえます。そのため、それぞれの子どもに必要な医療的ケアや与薬といった個別対応は、乳児院で働く看護師の重要な業務の一つです。
乳児院におけるケアの対象は乳児だけでなく、その保護者も含まれます。さまざまな事情から保護者は乳児院に子どもを預けている背景があるためです。乳児院の看護師を始めとした職員は、ほかの専門職と連携しながら子どもが家庭に戻れるように保護者と面談を重ね、それぞれの不安や悩みの解消を目指します。
また、地域の育児相談や子育てサロン、一時預かり、里親のサポートも乳児院で行っている支援事業です。
乳児院に勤務する看護師は、保育士を始めとした他職員に対して、健康管理に関するアドバイスや感染症対策といった指導を行います。
なかでも保育士は、乳児に関わる機会が多い職種のため、乳児の健康に関する知識が重要です。そのため、看護師が不在でも適切な対応ができるように、保育士への知識の普及を目指します。
また、施設内でクラスターが発生しないように、感染症の予防や衛生的な環境づくりも看護師の欠かせない役割です。ほかの職員の健康サポートも行います。
▼関連記事
元気な乳幼児と過ごせる乳児院「急変や感染もあるので些細な変化に気づくことが重要です」施設看護師インタビュー
乳児院は24時間体制で乳児を預かっているため、シフト制が採用されています。職員は早番・日勤・夜勤があるのが一般的。以下は、乳児院で勤務する看護師の日勤帯・早番のスケジュールと業務内容です。
| 時間 | 業務内容 |
| 7:00 | ・出勤 ・夜勤スタッフから申し送りを受ける |
| 7:30 | ・朝食、排泄の介助 ・必要に応じて与薬 |
| 8:00 | ・子どもの遊びをサポート、活動の引率 ・必要に応じて医療的なケア |
| 11:30 | ・昼食、排泄の介助 ・必要に応じて与薬 |
| 12:30 | ・午睡、入眠を促す |
| 13:00 | ・交替で昼休憩 |
| 14:00 | ・記録、事務作業 |
| 15:00 | ・おやつの食事介助 ・排泄介助 |
| 16:00 | ・夜勤スタッフに申し送り ・退勤 |
担当する子どもの生活に合わせて1日の業務を行っていくため、その日の機嫌や体調に仕事の進み具合が左右されることもあります。ただ、乳児院で働く看護師の残業時間は少なめの傾向にあるようです。退勤後のプライベートも重視したい看護師には、働きやすい職場といえます。
乳児院で勤務する看護師の月給は、およそ20~25万円が相場といわれています。基本的に社会福祉法人が運営しているため、運営母体の規模が大きいと福利厚生が充実している傾向にあるようです。
「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師全体の「きまって支給する現金給与額」の平均は36万3,500円。病棟の夜勤ありという働き方の看護師が、乳児院に転職した場合は給与が減ったと感じる可能性もあります。
乳児院の看護師は、難易度や専門性の高い処置を行うことは少なく、子どもの健康管理や保育的な業務がメインのため、病院看護師の給与相場よりは低めです。夜勤手当がつく乳児院であれば、もう少し給与は高くなるかもしれません。
▼関連記事
看護師の平均年収はいくら?ボーナスや手取り額、給料アップの方法も解説
この項では、看護師が乳児院へ転職するために必要な資格やスキルについて解説します。乳児院で働くことを検討している方は、おさえておきましょう。
看護師免許を持っていれば、乳児院で働けます。乳児院では看護師のほかにも、さまざまな職種が働いているため連携が必要です。以下に、乳児院に勤務する専門職の例をまとめました。
乳児院で働いているのは、看護師・保育士の資格保有者のほかに、社会福祉士や精神保健福祉士、教員免許を持っている人などです。それぞれの専門性を発揮しながら連携し、乳児の生活を支援します。
乳児院看護師は求人数が少ない傾向にあります。そのため、臨床経験・小児看護の経験がある看護師の方が、乳児院の求人に採用されやすい可能性が高いでしょう。
未経験可・新卒採用を行っている施設もなかにはあります。ただし、乳児院に配置される看護師の人数は少なめのため、小児看護の経験があるとより安心かもしれません。小児領域が未経験の場合、まずは小児科の病棟・クリニックや小児科を含む混合病棟などで勤務経験を積むのがおすすめです。
▶【未経験可】の看護師求人一覧はこちら
▶【研修充実】の看護師求人一覧はこちら
▼関連記事
看護師資格が使える珍しい求人は?経験を活かせる病院以外の転職先をご紹介
乳児院における看護師の仕事には、一般の病院勤務とは異なった魅力があります。この項では、看護師が乳児院で働くメリットについて解説するのでチェックしてみましょう。
乳児院で預かるのは、保護者による養育が受けられない子どもたちです。そのため、乳児院に勤務する看護師は子どもの養育に従事するだけでなく、児童福祉の観点から家庭支援を行うのが重要な役割となります。
子どもたちが、社会のなかで健やかに成長できるようサポートしたいと考えている方におすすめの仕事です。小児科勤務や保健師の経験がある人は、それを活かして専門性を発揮できるでしょう。
乳児院に入所するのは、0~2歳の乳幼児です。乳児院で働く看護師は、幼い子どもたちが成長していく様子を見守り、サポートすることができます。
入所児が周囲の大人と関わりながら成長していけるように、乳児院では、季節ごとのイベントや誕生日会を開催したり、外食・外出などの経験を得られる機会を用意したりすることも。保護者に代わって、入所している子どもたちに愛情を注ぎながら関わることで、看護師としてのやりがいや喜びを感じられるかもしれません。
乳児院に入所しているのは基本的に健康な乳児で、怪我や体調不良といったトラブルが生じなければ、看護師が緊急の措置をする機会は少なめです。病気や障害を抱えている乳児もいますが、容体は落ち着いています。急性期病棟のように急変リスクが高くないため、急変対応に自信のない看護師でも安心して働けるでしょう。
メリットがある一方で、乳児院ならではの難しさを感じる看護師もいるかもしれません。
この項では、乳児院で働く看護師のデメリット・注意点を紹介します。入職後のミスマッチにつながらないように、メリットと比較したうえで慎重に転職を検討してみましょう。
子どもによって、成長・発達の度合いや性格、乳児院に入所することになった理由などは異なります。健康な子どももいれば、虚弱児や病気・障害、心の傷を抱えている子もおり、必要なサポートはそれぞれです。入所児に合わせて柔軟に対応する必要があり、乳幼児を看護・ケアした経験が少ない看護師は戸惑ってしまうこともあるかもしれません。
乳児院では、24時間体制で子どもを養育するため、職員は交代で夜勤にあたります。ただし、看護師は夜間オンコール対応のみとしている職場もまれにあり、その場合、夜勤は保育士や夜勤専従スタッフが対応するようです。職場によって、看護師の夜勤やオンコールの有無が異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
乳児院は施設数の少なさから、看護師求人はあまり頻繁に出されません。さらに、病院に比べてゆったり働ける点や、乳幼児の成長にやりがいを感じられる点などにより、看護師から人気が高い職場です。応募者が多く、倍率が高くなる傾向にあります。
この項では、乳児院で働くのに向いている看護師の特徴を紹介します。自分に当てはまる特徴はあるか、チェックしながら読み進めてみましょう。
子どもに対して愛情深く接することができる優しい人柄の看護師は、乳児院勤務に向いているといえます。
乳児院に入所している子どものなかには、保護者との別離でつらい経験をしている子も少なくありません。精神的に不安定になってしまったり、周囲の大人に対して愛着形成がスムーズに行われなかったりする入所児もいるでしょう。子どもと関わるのが好きな看護師なら、入所児が抱える不安や淋しさに忍耐強く寄り添えるかもしれません。
乳児院は乳児の看護やケアを行うため、小児科や乳児院での勤務経験がある看護師は転職時に有利になりやすいです。培ってきた小児看護や園児の健康管理のスキルを活かせるでしょう。子どもを対象にした看護は未経験で、「どうしても乳児院で働きたいけれどなかなか採用されない」という場合は、一度小児科に勤務してスキルや知識を磨くのも選択肢の一つです。
乳児院で働く看護師の仕事内容は、入所している子どもの見守りや日常生活の介助が中心です。子どもの食事から排泄、睡眠までをサポートし、外で遊ぶことも多いため体力は必要ですが、医療現場のように強いプレッシャーを感じる場面は少ないでしょう。
乳児院では、最新の医療に携わる機会が滅多になく、医療行為の回数も多くはありません。比較的穏やかに働ける一方で、「忙しい職場でやりがいを感じたい」という看護師は物足りなさを感じてしまう可能性もあります。
▼関連記事
看護師が活躍できる仕事の種類は?自分に合った仕事を選ぶ方法も紹介
先述したとおり、乳児院の求人件数は少なく、採用倍率が高いため、なかなか転職活動がスムーズに進まないケースもあります。この項では、看護師が乳児院に転職する方法について解説しますので、乳児院で働きたい方は参考にしてみましょう。
乳児院に転職したい方は、まず自宅近くの乳児院で求人が出ていないかをチェックしてみましょう。施設の公式Webサイトがあれば、採用情報の掲載ページを見てみてください。近隣の乳児院について情報収集するには、全国乳児福祉協議会の公式サイトで検索することがおすすめです。
また、乳児院の看護師求人は転職サイトに掲載されることもあるため、同時に確認してみると良いでしょう。
看護師向けの転職エージェントでは、乳児院を始めとした豊富な求人情報を保有しており、専任のキャリアコンサルタントに担当してもらえるのが一般的です。勤務距離や休日数、給与など、希望する条件を伝えることで、理想の職場を効率的に探せます。
履歴書の添削や面接対策など、フォロー体制が整っている転職エージェントなら、採用倍率の高い乳児院への応募時も安心です。
▼関連記事
看護師の転職方法を紹介!具体的な求人探しの流れや成功ポイントも解説
ここでは、乳児院の看護師に関するよくある疑問について、Q&A形式でお答えします。
乳児院によっては、パート看護師の求人をしている所もあります。日勤のほか、夜勤専従パートの場合もあるようです。難しい処置を行うことはほとんどないため、ブランクありの看護師でも働きやすいかもしれません。子育て経験があればそれを活かして働くこともできるでしょう。
乳児院で働く看護師は、保育的な業務に大変さを感じる場合もあります。1人以上の子どもに対して日常生活の援助全般を行うため、忙しなく1日が過ぎていくように思う人もいるでしょう。子どもと一緒に外遊びや活動をするのは、想像以上に体力が必要です。乳児院看護師の大変な点については、「乳児院看護師を辞めたい!仕事の大変さや経験を活かせる転職先を紹介します」もご覧ください。
乳児院は、さまざまな事情によって、家庭での養育を受けられない乳幼児が入所する施設です。乳児院に勤務する看護師は、他職種と連携しながら、入所する子どもの健康管理や日常生活のお世話、必要に応じた与薬・看護ケアなどを担います。子どもが成長していく姿にやりがいを感じられるだけでなく、病院に比べて心身に余裕を持って働けるのも魅力です。ただし、求人件数が少なく、採用倍率が高い傾向にあるため、サポート体制が整っている転職エージェントの活用も検討してみましょう。
「希望に合う乳児院の求人が見つからない」「乳児院になかなか採用されない」とお悩みの方は、「レバウェル看護」に相談してみませんか?「レバウェル看護」は、看護師に特化した転職支援サービスです。
キャリアアドバイザーが、非公開のものも含めた幅広い求人のなかから、あなたの希望条件に合う職場を提案。応募したい求人が見つかった後も、応募書類の添削や面接対策で採用までのサポートを受けられます。初回の電話相談後は、LINEやメールで好きなときにやり取りが可能です。
「乳児院で働いてみたい!」とお考えの看護師さんは、「レバウェル看護」にぜひご相談ください。
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載
「レバウェル看護」転職サポート
Q.現状はどちらに近いですか?