仕事
2023.3.14
急性期病院は、急性期にある患者さんの診療とケアを行っているのが特徴です。急性期の看護師は高いアセスメントスキルと看護技術が必須。急性期経験がない看護師が急性期に転職する際の不安は大きいでしょう。
本記事では、急性期病院の役割のほか救急病院・慢性期病院との違いを解説。さらに急性期病院の看護師として働くメリットとデメリットにも触れています。急性期への転職を考えている方は、参考にしてみてください。
急性期病院とは急性期医療を提供している病院のことで、大きな怪我の直後や病気の症状が急激に現れる初期の時期から、症状の進行が止まる、もしくは安定するまでの医療を提供しています。
提供している医療の特性から、重症度や緊急度が高い患者さんの対応が多いのが特徴です。病院が専門とする分野によって異なることはありますが、心臓血管外科や脳神経外科、循環器内科、呼吸器内科といった科目における疾患が多い傾向にあります。
上記で述べたとおり、急性期病院は病気の進行を止めたり、症状を安定させたりすることを目的に治療を行っています。そのため、急性期を抜けた患者さんは退院するか、回復期機能や慢性期機能のある医療機関へ転院するのが一般的で、入院期間は2週間程度と短いのが特徴です。
また、厚生労働省は急性期充実体制加算や総合入院体制加算として、入院から14日を限度に診療報酬の点数を加算するとしています。14日以降の入院は点数が加算されないため、14日以内に退院や転院の手続きをするという急性期病院は多いようです。
医療機関は患者さんの疾患や病態に応じて適切な診療を行うために、病院や病棟ごとに役割を分担しています。
ここでは、急性期病院と急性期病院・慢性期病院との違いを紹介。「それぞれの違いが曖昧」という方は、参考にしてみてください。
救急病院(救急医療機関)は、初期救急・二次救急・三次救急といった救急指定を受けたうえで救急医療を提供している医療機関を指します。事故などによる突発的な外傷や心疾患・脳神経疾患といった急性疾患などにより、早急に治療を開始する必要がある患者さんの対応をしているのが特徴です。
救急病院(救急医療機関)は、救急隊により搬送される患者さんに対して救急医療を提供しているのに対して、急性期病院(急性期病棟)は病気や怪我の発生から14日以内の急性期にある患者さんに医療を提供している、といった違いがあります。
▼関連記事
救急看護師に向いている人の特徴とは?役割や活躍できる職場も紹介
救急看護師はどんな役割を担っている?向いている人の特徴とやりがいも紹介
慢性期病院は急性期を脱して容態は安定したものの、継続的な治療やケアが必要な患者さんの対応をしている病院です。
「病気や怪我の後遺症が残ってしまい、自宅で日常生活を送るのに不安がある」「長期にわたる入院で身体機能が衰えてしまい、自宅での生活が難しい」「一人暮らしのため介護してくれる人がおらず、退院後の生活が不安」といった理由で、急性期病院から慢性期病院へ転院する患者さんが多くいます。急性期病院のような積極的な治療ではなく、在宅復帰を目的とした治療やケアを行っているのが慢性期病院の特徴です。
▼関連記事
慢性期看護の大切なことは?働き方や向いている人を解説
療養病棟で働く看護師の仕事内容とは?メリットや向いている人の特徴を紹介
急性期病院の患者さんは重症度や急変のリスクが高く、病態も刻一刻と変わります。急性期病院の看護師は、患者さんが持つ疾患の急激な悪化や合併症などを予防・早期発見するため、先を見通すアセスメント力とスピード感のある仕事が求められます。
具体的な仕事内容は、シリンジポンプや人工呼吸器、生体情報モニタといった医療機器の管理・ケアなど。手術を受ける患者さんもいるため、周術期看護における看護技術と知識も必要です。
また、急性期病院には怪我や病気によって、以前までの生活が困難になってしまう患者さんもいます。これまでの生活が急激に変わってしまうことや、病気の予後に対して不安に思うのは当然といえるでしょう。患者さんやご家族の気持ちに寄り添い、対応することも急性期看護師の大切な役割といえます。
▼関連記事
病棟看護師の仕事内容とは?1日のスケジュールと種類ごとの特徴も解説
急性期病院の看護師のやりがいとして、「看護スキルと医療知識が身に付けられる」「患者さんの回復を実感できる」が挙げられます。
急性期病院への転職を迷っている方は、自分に向いているかどうかの参考にしてみてください。
先程も述べたとおり、急性期病院の患者さんは疾患の重症度が高いため、慢性期病院や療養病棟と比べて積極的な治療を行っています。急性期病院の看護師は治療に関わる機会が多く、看護技術とアセスメントスキルの向上が期待できるのと同時に、医療機器の扱いに慣れられるでしょう。さらに、規模が大きい病院であれば、高度な医療技術や最新医療、医療機器の知識も得られるはずです。
そのほか、幅広い疾患に対応している救急医療現場とは異なり、急性期病院は配属先の診療科目に関する知識を深められるといった面もあります。「○○の疾患の看護や医療に興味がある」「○○分野の看護を極めたい」といった看護師さんは、やりがいを感じられる職場でしょう。
急性期病院は病気になり始めの急性期の患者さんの対応をしているため、回復時の変化が分かりやすい傾向にあります。治療と患者さんの持つ力によって容態が快方に向かったときには、患者さんやご家族と喜びを共有できるでしょう。
また、急性期は看護の結果が表れやすい面もあります。疼痛や呼吸苦など、看護師のアセスメントやケアによって、患者さんの不快感を減らすことも可能です。責任があると同時に自分の看護の結果が分かりやすいため、「勉強したことを活かして人の役に立ちたい」といった看護師さんは、やりがいを感じられるでしょう。
急性期病院で働く看護師が大変だと感じることとして、「生命に関わる仕事というプレッシャーが大きい」「患者さんと長期的な関係を築くのが難しい」「仕事とプライベートの両立が難しい」といったことが挙げられます。
急性期病院への転職を迷っている方は、「急性期病院で働く看護師のやりがい」と合わせて参考にしてみてください。
急性期病院で働く看護師さんで、「患者さんの命を左右するという責任に押しつぶされそう」という声が多く聞かれます。急性期病院は、患者さんの急変が起こりやすいため、高いアセスメントスキルとスピード感のある対応が求められる職場です。看護師の知識や判断が、患者さんの病態を左右することもあります。
看護師はどの職場においても、「判断ミスが許されない」というプレッシャーがある仕事ですが、急性期病院は特に「自分の判断や行動が患者さんの生命に関わる」といったプレッシャーは大きいでしょう。
「患者さんの入院期間は2週間程度」でも述べたとおり、急性期病院の患者さんの多くは14日前後で退院もしくは転院します。そのため、患者さんと長期的に関わって関係を築くことが難しいでしょう。
「患者さんの性格や特性を探りながら、1人ひとりに寄り添った看護をしたい」という方は、物足りなさを感じる可能性があります。患者さんとじっくり関わり関わってケアをしたい方は、リハビリテーション病院や訪問看護、ホスピスなどが向いているかもしれません。
▼関連記事
訪問看護の仕事内容とは?必要なスキルについても紹介!
職場環境によって差はありますが、急性期病院の多くは業務量が多かったり、急変や緊急入院などで業務が押したりして残業になることが多いようです。
急性期病院に限ったことではないものの、医療の進歩により看護師は常に学び続けることが求められ、休日に勉強会や研修が入ることも多々。そのほか、夜勤や委員会活動などもあり、病棟看護師はプライベートの確保が難しい傾向にあります。
結婚や子育てなどにより、プライベートに重きを置きたい場合には、外来やクリニック、デイサービスなどの介護施設などがおすすめです。日勤のみで働けるので、仕事とプライベートの両立がしやすくなります。どうしても急性期で働きたい場合には、院内託児所や短時間制社員制度があるなど、子育て支援が充実している病院を探すと良いでしょう。
▼関連記事
夜勤なしで働ける看護師の職場はどこ?日勤のみの求人もご紹介
看護師が子育てしやすい病院とは?職場選びのポイントを紹介
急性期病院とは、急性期にある患者さんの診療・ケアをしている病院で、患者さんの病気の進行を止めたり、症状を安定させたりすることを目的に治療を行っています。そのため、病状が安定し回復期や慢性期に入った患者さんは、急性期病院から退院もしくは転院するのが一般的です。
急性期病院の看護師は、患者さんが持つ疾患の急激な悪化や合併症などを予防・早期発見するため、先を見通すアセスメント力と適切な対応力が求められます。また、医療機器の操作に慣れていることや周術期看護の知識も重要です。
急性期の経験のない看護師さんにとって急性期病院への転職は、「仕事についていけるか」といった不安は大きいでしょう。「急性期未経験だけど、急性期に転職をして経験を積みたい」という方は、看護業界の転職に特化したレバウェル看護にご相談ください。
レバウェル看護は、急性期の経験が無くても受け入れてくれる病院や教育制度・フォロー体制が整っている職場など、あなたのスキルや希望条件に添った求人をピックアップしてご提案。求人サイトを使って自分で探すよりも、効率的に条件に合った求人を見つけられるでしょう。
さらに、アドバイザーが直接求人先とやり取りしているため、自分では聞きにくい給料や人間関係など細かい情報も把握したうえで転職先を選べます。面接のスケジュール管理や求人先とのやり取りなども、アドバイザーが代行してくれるので、交代勤務で忙しい看護師さんもスムーズに転職活動が進められるはず。サービスはすべて無料なので、お気軽にお問い合わせください。
ここでは、急性期病院に関するよくある質問を紹介します。
急性期病院は大きなけがの直後や病気の症状が急激に現れる初期の時期といった急性期の患者さんの診療やケアを行っています。患者さんの病態は急変しやすく、重症度が高いのが特徴です。また、心臓血管外科や脳神経外科、循環器内科、呼吸器内科といった科目における疾患が多い傾向にあります。
急性期病院の役割については、「急性期病院とは」でも述べているので参考にしてみてください。「急性期病院の看護師の役割」では、急性期病院で働く看護師の仕事内容を説明しているので、興味のある方は合わせてご覧ください。
急性期からの転院先は、「リハビリテーション病院(病棟)」「療養病院(病棟)」「回復病院(病棟)」「地域包括ケア病院(病棟)」が挙げられます。脳血管疾患や骨髄損傷などでリハビリが必要であれば「リハビリテーション病院(病棟)」、急性期は脱したが継続的な治療が必要であれば「療養病院(病棟)」など。患者さんの病態に合わせて、医師や看護師、医療ソーシャルワーカー、患者さん本人、ご家族で相談をして転院先を決めます。
急性期病院は急性期にある患者さんの治療に重きを置いているため、病状が安定した患者さんは退院もしくは転院するのが一般的で、入院期間は14日程度のことが多いようです。急性期病院の入院期間については、「患者さんの入院期間は2週間程度」で説明しています。
看護師人材サービス「看護のお仕事」は2022年10月26日から「レバウェル看護」に生まれ変わります。「レバウェル看護」を使うと、より詳しく話を聞くことができます。どんな転職先があるのか等も事前に知ることができます。