介護施設で働く看護師の給料は?年収や転職後の給与アップの可能性を解説!

2023.5.24

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介護施設で働く看護師の給料はどれくらい?

介護施設で働く看護師の平均給与を、「月給」「時給」「年収」に分けてご紹介します。給与は介護施設の施設形態や夜勤の有無によっても変わるので、あくまで平均であることを念頭に置きご覧ください。

月給の場合

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.144)」によれば、2021年度における常勤・非常勤の看護師の平均給与とその内訳は下記のとおりです。

勤務形態平均給与額平均基本給額平均手当額平均一時金額
常勤369,210236,64074,32058,250
非常勤204,380163,49024,48016,410

引用:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.144)

資料から、介護施設や事業所で働く看護師の平均給与は、常勤の場合約37万円、非常勤の場合は約20万円でした。その差は約17万円と非常に大きいことが分かるでしょう。内訳を詳しく見ると、平均基本給(給料)、平均手当額、平均一時金額のすべての項目で常勤の看護職員が上回っていることが分かります。

時給の場合

看護師の時給は、同資料(p.146)をもとにご紹介します。2021年度における常勤・非常勤それぞれの看護師の平均時給とともに、平均給与額と実労働時間数から平均時給を算出しているので、あわせて確認してみましょう。

勤務形態平均給与額実労働時間数平均時給
常勤258,780159.7約1,620円
非常勤132,14079.7約1,658円

参考:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.146)

介護施設や事業所に勤務する看護師の平均時給は、1,650円前後と常勤・非常勤で大きな違いはないようです。ただし、常勤の看護職員のほうが実労働時間が多い分、ひと月にもらえる給与額は高くなる傾向があります。

年収の場合

介護施設で働く看護師の年収は、前述した月給の場合時給の場合をそれぞれ12ヶ月分として単純計算すると、下記のような金額になります。

勤務形態平均年収(月給の場合)平均年収(時給の場合)
常勤4,430,5203,105,360
非常勤2,452,5601,585,680

平均年収が最も高いのは常勤・月収の場合の看護師で、約443万円です。次いで、常勤・時給の場合、非常勤・月収の場合となっています。常勤の看護師の給与が高いのは、非常勤よりも勤務時間が長い傾向があるためです。また、月収の看護師が高いのは、基本給(給料)があらかじめ設定されているのに加え、各種手当や賞与などの一時金がプラスされることが影響していると考えられるでしょう。

出典
厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2023年5月15日)

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介護施設で働く看護師の手取り給与額は?

続いて、「介護施設で働く看護師の給料はどれくらい?」でご紹介したデータをもとに、介護施設で働く看護師の手取り給与額を解説します。そもそも手取りとは、額面給与(総支給額)から税金や保険料などを差し引いた後の金額で、実際に受け取れるお金のこと。一般的に、手取り額は額面の8割程度になるといわれています。下記は、手取り額を額面の8割と考えて算出した平均手取り給与額(月収)です。

勤務形態月給の場合時給の場合
常勤295,368207,024
非常勤163,504105,712

求人情報などの記載されている給与モデルから手取りを計算しておくと、実際に受け取れる金額を判断する目安になります。給与モデルだけを見て転職してしまうと、「実際にもらえる給与が少ない…」というギャップを感じる恐れも。
基本給(給料)や総支給額ではなく、手取り給与額をチェックして、「余裕をもって生活できる収入になるか」「貯金はどれくらいしていけそうか」などをイメージしてみるのがおすすめです。

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介護施設の看護師の給料は施設形態ごとに変わる

冒頭でも述べたように、介護施設に勤務する看護師の給料は、施設形態によって変わります。ここでは、主な介護施設をピックアップ。厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査結果」をもとに、2019年度における常勤の看護職員1人当たりの平均給与を表にまとめました。なお、特定施設入居者生活介護は、「有料老人ホーム」や「軽費老人ホーム」など、認知症対応型共同生活介護は「グループホーム」を指します。

施設形態常勤非常勤
介護老人福祉施設(特養)435,753円384,199円
介護老人保健施設(老健)457,388円357,602円
介護医療院448,365円358,796円
訪問入浴介護366,382円335,449円
通所介護(デイサービス)363,618円321,751円
特定施設入居者生活介護423,893円375,343円
認知症対応型共同生活介護377,197円329,719円

参考:厚生労働省の「令和2年度介護事業経営実態調査結果第1表第2表第4表第6表第9表第12表第20表)」

表のとおり、施設形態によって、看護師の給与は36万円~45万円まで幅広いのが特徴です。介護施設と一口にいっても、利用者さまの介護度や疾患、提供するサービス内容、夜勤の有無などは異なります。デイサービスや訪問入浴介護といった通所サービスの場合は、利用者さまの介護度が比較的低く、日中のみの勤務がメインのため、給与は低めです。一方、特養や老健、介護医療院といった入所サービスの場合は、利用者さまの介護度が高めで、夜勤もあるため、給与は比較的高い水準となっています。

介護施設の看護師として転職を希望する場合、給料事情をチェックすることも大切ですが、利用者さまの介護度や求められる看護体制などにも注目するのがポイント。療養の要素が強い老健や介護医療院の場合は病院の看護に近く、日勤がメインのデイサービスや訪問入浴看護はバイタルチェックや急変時の対応などがメインであることも、応募先を考える一つの目安になるでしょう。

出典
厚生労働省「令和2年介護事業経営実態調査結果の概要」(2023年5月15日)

介護施設で働く看護師の給料は高い?低い?

介護施設に勤務する看護師の給与は、病院やクリニック勤務を含む看護師全体と比較して高いのか低いのか気になる人も多いでしょう。ここでは、具体的な数値をもとに、両者を比較してみました。

看護師全体の給料と比較するとやや低め

職業情報提供サイト(日本版O-NET)の「」によると、看護師全体の平均年収は508.1万円です。前述のように、介護施設で働く看護師の平均年収は常勤の場合で約443万円のため、看護師全体と比較するとやや低いといえます。

介護施設の看護師の給料が比較的低い理由

介護施設で働く看護師の給与が比較的低いのは、病院に比べて夜勤が義務付けられている施設が少ないためです。特養や有料老人ホームといった24時間対応の介護施設も、看護師の夜勤は義務付けられていません。残業になることもあまりないので、夜勤手当や時間外手当が付かない分給与も低くなるようです。

准看護師の給料は介護職員を下回ることも

介護職の給料は、資格によって段階的にアップするのが特徴です。厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.182)」によると、月給・常勤の介護職員の平均給与は無資格の場合で約27万円。介護福祉士を取得すると約33万円までアップします。
一方看護師の場合、平均給与は同じ条件で約37万円です。准看護師の場合の給料は看護師に比べてやや低い水準なので、場合によっては介護福祉士の給与と同等かそれを下回ることもあると考えられるでしょう。准看護師の給与について詳しく知りたい場合は、「准看護師の給料の平均はどのくらい?看護師との違いも解説」の記事もご参照ください。

出典
厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2023年5月15日)

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介護施設で働く看護師の給料が今後上がる可能性は?

介護業界には、「介護職員処遇改善加算」という形で職員の処遇を改善した施設に対し介護報酬を支給し、職員給与アップにつなげる仕組みがあります。しかし、この処遇改善の対象となるのは介護職員のみ。看護師は対象外となっています

また、看護業界の場合、新型コロナウイルス感染症に対する一定の役割を担う医療機関で働く看護師に向けて、給料を引き上げる「看護職員等処遇改善事業補助金」や、管理的立場にある看護師の給料アップを推進する動きがみられています。

介護施設で働く看護師に対する特別な処遇改善は今のところないのが現状ですが、さまざまな角度から処遇改善の見直しが検討されているところです。将来的には、介護施設に勤務する看護師の給料が上がる可能性は十分にあるといえるでしょう。

出典
厚生労働省「介護職員の処遇改善」(2023年5月15日)
厚生労働省「看護職員等処遇改善事業」(2023年5月15日)
公益社団法人日本看護協会「看護職員の処遇改善に向けて」(2023年5月15日)

看護師が介護施設に転職して給料アップを狙うには?

看護師が介護施設に転職して給料アップを狙うためには、次のようなコツがあります。「病院勤務から介護施設に転職する際に給料ダウンが心配…」という方は必読です。

複数の介護施設の求人を比較する

介護施設を探す際は、必ず複数の求人募集を比較しましょう。たとえ「夜勤あり」という条件が一緒でも、介護施設の運営母体はもちろん、雇用形態や勤務形態、利用者さまの介護度などが異なれば、給料に差が出るからです。高収入を得やすいのは、24時間体制で看護師が常駐している施設で、正看護師として夜勤に入れる職場。反対に、日勤のみで時給制の非常勤の場合は給与が低い傾向があります。「夜勤がちょっと苦手…」という場合は、オンコール待機に対応している介護施設もおすすめです。

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手当が充実している介護施設を選ぶ

給与アップを図りやすいのは、基本給(給料)が高く手当が充実している介護施設です。特に手当は、夜勤による夜勤手当はもちろん、緊急訪問手当やオンコール手当などもあり、携わる業務によって種類が異なります。さらに、福利厚生として住宅手当や家族手当を用意しているところも。一つの手当の金額は数千円程度かもしれませんが、まとまればそれなりの金額になります。特に、民間企業が運営する有料老人ホームは手当が充実している傾向があるので、チェックしてみると良いでしょう。

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介護施設で働く看護師にありがちなお悩みQ&A

ここでは、介護施設で働く看護師さんや、転職を希望する看護師さんによくあるお悩みをQ&A形式でまとめました。これからの転職にぜひお役立てください。

病棟勤務から有料老人ホームの看護師になるデメリットはありますか?

病棟勤務から介護施設に転職する場合、看護師としてのスキルアップを図るのは難しいため、キャリアアップを目指しにくくなることがデメリットになるかもしれません。とはいえ、病棟勤務に疲れてしまい現場を離れたい気持ちがある場合などは、介護施設への転職がメリットになることも。利用者さま一人ひとりと向き合う時間が増えるのも介護施設で働く魅力の一つです。

有料老人ホームの看護師を辞めたいです…転職できますか?

もちろん転職できます。面接前には、「なぜ有料老人ホームを辞めて転職するのか」という採用担当者の疑問を払拭できるような転職理由を用意しておきましょう。また、面接の場では、これまで有料老人ホームの看護師として培った経験をアピールするのがおすすめです。「転職理由ってどう伝えるのが正解?」「アピールする内容が思いつかない…」と不安な方は、転職エージェントのサポートを受ければ、最適な回答を考えられるはずですよ。

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まとめ

介護施設で働く看護師の給料は、職場の方針や雇用形態、勤務形態、夜勤の有無などによって異なります。平均給与は、常勤の場合で月給約37万円、時給約1,620円、年収(月給の場合)約443万円。非常勤の場合で、月給約20万円、時給約1,658円、年収(月給の場合)約245万円です。病院やクリニックから介護施設へ転職して高収入を得たいなら、常勤の正看護師として働ける施設や夜勤に対応している職場を選びましょう。

「介護施設への転職は初めて」「向いているかどうか分からず決心がつかない…」のように介護施設への転職に不安を感じている方は、看護師専門の転職支援サービスを提供しているレバウェル看護にご相談ください。

レバウェル看護には、看護師転職のプロであるキャリアアドバイザーが丁寧にカウンセリングを行い、看護師さんの適性をチェック。介護施設の看護師に向いているかどうかを、プロならではの視点でアドバイスいたします。介護施設は病院の業務と違いがあるので、向いていない場合は転職後にミスマッチを感じることも。客観的な意見も転職の判断材料になるはずです。万が一向いていない場合は、ほかの道をご提案することも可能。アドバイザーと相談するうちに方向性が定まる場合もあるので、気軽に相談してみてくださいね。

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