認知症ケアに携わる看護師のストレス…その現状と患者さんへの対応方法とは

認知症ケアがストレス… 看護師の適切な対応方法とはのイメージ

看護師の中には、認知症患者さんの対応に苦慮し、ストレスを抱えている方もいるでしょう。また、看護師に向いていないのではと自己嫌悪に陥っている方もいるかもしれません。看護師が認知症患者さんへ適切な対応を取るためには、必要な知識・技能を習得し、接し方を工夫することが大切です。本記事では、認知症ケアに携わる看護師を取り巻く現状や対処法について詳しく解説します。ぜひ負担軽減に向けてお役立てください。

※調査方法:インターネット調査/調査期間:2024年2月7日~2月13日/調査概要:「看護師転職サイト」を対象としたユーザー満足度調査/調査対象:男女、全国、看護師・准看護師資格保有者かつ対象看護師転職サイト利用経験者、20~29歳 107s/調査実施:株式会社エクスクリエ/比較対象サービス:「看護師転職サイト」主要10サービス(専用サイトのあるサービスのみ・求人結果の表示ページは除く)

認知症との関わり方にストレスを抱える看護師はいる

認知症看護では、疾患の知識を深めて、患者さんの行動の意味を理解する必要があります。そのため、特に急性期といった忙しい職場に勤務する看護師の場合は、ゆっくりと関わる時間がなく「イライラして優しくできない自分に落ち込む」「どのように看護をすれば良いのかわからず疲弊してしまう」というような困難さを感じることも少なくありません。

認知症は、患者さん一人ひとりによって症状が異なるため、多岐にわたるケアが求められます。それゆえに、認知症看護の専門的な知識や実務経験が浅い看護師にとっては、適切な対応を取ることが難しく、ストレスを抱えることもあるでしょう。

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認知症の症状で見られる患者さんの行動例

認知症の症状には、大きく分けて「中核症状」と「行動・心理症状」の2つがあります。これらの症状が影響を与える行動の例としては「暴言暴力」「徘徊」「ケアの拒否」などが挙げられます。また、同じことを何度も言ったり、頻繁にナースコールをしたりすることもあるでしょう。特に、暴力は身の危険を感じることから、看護師が困惑する行動の一つです。

これらの行動に対しては、患者さんを十分に観察・理解し、柔軟に受け止める必要があります。生活背景を知り、環境を整えることも大切な要素です。

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認知症患者さんの対応で看護師がストレスを抱える理由

認知症看護における看護師のストレスには「意思疎通ができない」「点滴のルートを自己抜去してしまう」というように、ケアを通じて生じるものもあれば、身体拘束といった人権上の問題や、ご家族との関係性などに頭を悩ます場合もあります。

また、人材不足で組織やチームの体制に余裕がない状況もその一つ。「ほかの患者さんへ十分な看護を提供できない」「平等に時間を割けない」といった悩みから、ストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。

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高齢者看護に携わる看護師を取り巻く現状

高齢者の暴言・暴力と看護師のストレスに関して、魚住郁子「【研究ノート】高齢者施設における看護職のストレスに関する研究の動向」では、下記の現状が示されています。

高齢者の暴言・暴力へのケアに関して長畑ら(2003)は、方法がわからないまま手探りで対応し、その結果、無気力を抱くことを指摘している。さらに、松田ら(2006)は、高齢者施設の看護師の傾向として、高齢者からの暴言・暴力に対して、看護師がネガティブな感情を有することを良くないことと捉えていること、それがストレスになっていることを指摘している。すなわち、高齢者からの暴言暴力を受けた際に看護師自身に生じた高齢者に対するネガティブな感情に向き合うための教育支援が必要であり、その過程で、高齢者の暴言・暴力へのケアを検討する必要があると考える。

魚住郁子「【研究ノート】高齢者施設における看護職のストレスに関する研究の動向」(2017年3月18日)

上記の内容からも、高齢者看護に携わる看護師のストレスには「手探りでの対応」や「ネガティブな感情を抱くことへのジレンマ」が背景にあることがわかります。看護師がストレスを軽減しながら認知症患者さんへ正しいケアを行うためには、十分な知識や技術を身につけることが必要です。それゆえに、専門スタッフとの連携や、教育研修プログラムの実施といったサポートの重要性が高まっているといえるでしょう。

政府では認知症施策推進大綱に沿った施策を実行中

高齢化が進む日本において、認知症への取り組みは大きな課題となっています。そこで、2019年6月に関係閣僚会議にて「認知症施策推進大綱」が取りまとめられました(対象期間は2025年まで)。本大綱は「共生」と「予防」を車の両輪としており、下記の5つの柱に沿って策定されています。

  • 普及啓発・本人発信支援
  • 予防
  • 医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
  • 認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
  • 研究開発・産業促進・国際展開

このうち「医療・ケア・介護サービス・介護者への支援」には「医療従事者等の認知症対応力向上の促進」が組み込まれており、基本的な考え方として下記の内容が示されています。

このような本人主体の医療・介護の原則は、その提供に携わるすべての者が、認知症の人が置かれた環境の下で、認知症の類型や進行段階を十分理解し、容態の変化に応じた全ての期間を通じて共有すべき基本理念であることを改めて徹底し、医療・介護等の質の向上を図っていく。

厚生労働省「認知症施策推進大綱【本文】(p.10)」(2024年7月19日参照)

なお、認知症に関わる看護師についても下記の見解が示されています。

急性期病院をはじめとして、入院、外来、訪問等を通じて認知症の人と関わる看護師等は、医療における認知症への対応力を高める鍵となる。既存の関係団体の研修に加え、広く看護師等が認知症への対応に必要な知識・技能を修得することができるよう、関係団体の協力を得ながら研修を実施する。

厚生労働省「認知症施策推進大綱【本文】(p.15)」(2024年7月19日参照)

また、2024年1月1日には、共生社会の実現を推進するための認知症基本法も施行され、現在、認知症施策推進基本計画の策定が進められています。このように、今後施策が活発化していけば、看護困難感の緩和およびストレスの軽減について、好影響が期待できるかもしれません。

出典
厚生労働省「認知症施策推進大綱について」(2024年7月19日参照)
厚生労働省「2.共生社会の実現を推進するための認知症基本法について」(2024年7月19日参照)

認知症患者さんに看護師がイライラするときの対処法

認知症ケアは自分一人で悩まずにスタッフ一丸となって取り組むことが大切です。冷静さを保てないときは、ほかの看護師と共有したり、チームに相談したりして、協力を依頼しましょう。また、下記にて具体的な対処法を4つ紹介しますので、参考にしてみてください。

認知症患者さんへの理解を深めて対応を工夫する

認知症患者さんはいくつもの不安や恐怖を抱えています。それゆえに、対応する看護師は、安心感を与えられるような姿勢や態度を意識することが大切です。具体的には「落ち着いて丁寧に接する」「否定しない」「目を見て話す」などが挙げられます。また「自宅の生活環境に近づける」「静かな環境を整える」といった点も不安のケアに繋がる要素です。

認知症患者さんへ説明する際は、相手のペースに合わせながらシンプルでわかりやすい文章を1つずつ伝えるように心がけましょう。その際、視覚的な手がかりや非言語コミュニケーションを用いることも重要なポイントです。「暴言や暴力がある認知症の患者さんにどのように対応したら良いか」では「ユマニチュード」という手法を通じてより具体的な認知症ケアを解説していますので、チェックしてみてください。

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認知症看護認定看護師の資格を取得し知識をつける

「認知症看護認定看護師」の資格を通して知識を身につけ、スキルアップを目指すという方法もあります。認知症看護認定看護師になると、実践だけではなく、スペシャリストとして指導や相談の役割も担えるようになるため、院内全体における認知症ケアの質の向上に貢献することが可能です。

日本看護協会「データで見る認定看護師」によると、2023年12月現在の登録者数はA課程で2,007名、B課程で309名(合計2,316名)となっています。資格取得の詳細については、「認知症看護認定看護師とは?求められている役割やなり方を解説」で解説していますので、気になる方はご覧ください。

出典
公益社団法人日本看護協会「認定看護師」(2024年7月19日参照)
一般社団法人日本老年看護学会「認知症看護認定看護師の教育課程」(2024年7月19日参照)

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アンガーマネジメントを取り入れる

看護師がイライラをはじめとする感情をコントロールするには、アンガーマネジメントを取り入れるのも一つの手です。アンガーマネジメントとは、昨今、医療・介護・福祉の分野のメンタルヘルス対策で取り入れられることも多いトレーニングのことをいいます。

アンガーマネジメントの鍵は、怒りを無理に封じるのではなく、振り回されないようにすること。認知症ケアに携わる看護師がストレスを溜めないようにするには、自分の感情を上手く扱い、怒りに対処することが大切です。我慢し続けると、悪循環に陥り心身ともに疲弊してしまう可能性もあるため、マイナスな感情に支配されないように心がけましょう。

出典
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会「アンガーマネジメントとは?」(2024年7月19日参照)

仕事のストレスが解消されない場合は転職も1つの手

上記の対処法を試してもストレスが解消されない場合は、転職をするのも手です。看護師の活躍の場は幅広いため、医療機関以外を視野に入れることもできます。たとえば、一般企業であれば医務室や医療機器メーカー、また、採血スキルに自信がある場合は健診センター、子どもが好きな場合は保育園・幼稚園などの選択肢があるでしょう。いずれにしても医療行為が少なく、規則正しい生活が送れるため、心身の負担軽減に繋がるかもしれません。

▶検診センターの看護師求人一覧
▶保育園の看護師求人一覧

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認知症への対応でストレスを抱える看護師によくある質問

ここでは、認知症への対応でストレスを抱える看護師によくある質問を紹介します。

認知症病棟がきついと感じる場合の対処法はありますか?

認知症ケアがきついと感じる場合は「認知症患者さんへの理解を深めて対応を工夫する」「認知症看護認定看護師の資格を取得し知識をつける」「アンガーマネジメントを取り入れる」などを試すと良いかもしれません。また、部署異動や転職も手です。詳しくは「認知症患者さんに看護師がイライラするときの対処法」を参考にしてみてください。

認知症患者さんやご家族に安心してもらうためのポイントは?

認知症患者さんに安心してもらうためには、否定せずに丁寧に接したり、目を見て話したりすることが大切です。また「自宅の生活環境に近づける」「静かな環境を整える」のもポイント。戸惑いや悩みを抱えているご家族に対しては、傾聴・共感し、寄り添う姿勢を心がけると良いでしょう。

入院している認知症患者さんのケアで気を付けるべきことは?

入院している認知症患者さんの場合は、慣れ親しんだ生活環境に少しでも近づくように、落ち着ける居場所を作ることが大切です。アルツハイマー型認知症の環境整備に関しては「認知症患者さんの環境整備の留意点について知りたい」で解説しています。

認知症の代表的な疾患や生活機能障害について教えてください

認知症の代表的な疾患には「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」があります。また、生活機能障害の内容や対応に関しては「認知症患者の看護のポイントについて知りたい」で詳しくご説明しています。

まとめ

認知症ケアに携わる看護師がストレスを抱える背景には、専門的な知識や実務経験が浅く適切な対応を取ることが難しかったり、組織やチームの体制に余裕がなくゆっくりと関わる時間がなかったりする点が挙げられます。看護師がストレスを軽減するためには、認知症患者さんへの理解を深めながら、自分一人で悩まずにスタッフと協力し合うことが大切です。認知症患者さんと接する際は、一人の生活者として自尊心に配慮した対応を心がけましょう。

なお「認知症ケアから別の分野に移りたい」「現在の職場で働き続けるべきか、転職すべきか客観視できない」とお悩みの方は、レバウェル看護に相談してみませんか?レバウェル看護は看護師専門の転職支援サービス。希望条件をヒアリングした上で、あなたにマッチした求人をご紹介するため、自分の強みを活かせる職場に出会うチャンスが広がります。情報収集のみの利用も可能なため、今後の方向性を明確にするためにも、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人
「レバウェル看護」編集部
「レバウェル看護」は累計利用者数47万人(※)を超える看護師専門の転職支援サービス。 編集部の制作体制には看護師経験者や現役看護師を交え、これまでに1,000記事以上(※)を執筆。看護師にとっての悩み・不安・疑問を一番に相談する"相談窓口"になることを目指し、医療・介護の現場で尽力している方々をサポートするためのコンテンツを発信中。 (※)2023年6月時点
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