
時短勤務の制度について知りたい看護師さんも多いのではないでしょうか。時短勤務は法律で定められた労働者の権利で、条件に当てはまれば子育て中の看護師も利用できます。この記事では、時短勤務の制度や申請の際の注意点、収入面の変化について解説します。看護師が時短勤務を利用するメリット・デメリットや、子育てと仕事を両立して働き続けるコツも紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
時短勤務とは、「短時間勤務制度」という「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律・第23条の3」で定められる制度に基づき、どの職場にも導入が義務付けられている勤務形態です。条件に当てはまれば看護師にも適用されます。
なお、短時間勤務制度は介護の場合も適用されますが、この記事では便宜上、育児の場合に限って紹介します。
フルタイム勤務の看護師が短時間勤務制度を利用すると、所定労働時間は原則6時間に短縮されます。職場によっては「1日8時間・週3日勤務」など、勤務日数による時短勤務の申請も可能にしている場合があります。制度の運用方法は各職場によって異なるため、確認が必要です。
看護師が短時間勤務制度を利用するには、以下のような条件を満たす必要があります。
上記の条件を満たせば、パートや派遣勤務の看護師も時短勤務を利用できます。条件の1つにある労使協定の適用除外例は、「1週間の所定労働日数が2日以下」「入社から1年未満」「短時間勤務制度の適用が困難な業務に従事する労働者」などに当てはまる場合です。
▼関連記事
看護師が子育てと仕事を両立するには?働き方や夜勤事情、転職のコツも解説
ここでは、時短勤務で働く子育て中の看護師の、1日のスケジュール例を紹介します。時短勤務の看護師は、育児と仕事をどのように両立させているのか知る参考にしてみてください。

上記の例は、9時〜16時(休憩1時間)の6時間勤務の場合です。看護師は時短勤務を利用することで、子どもの保育園の送り迎えや家事・育児に時間をあてられるといえます。
▼関連記事
看護師ママのタイムスケジュールを紹介!仕事と育児を両立させる秘訣6選
短時間勤務制度の利用を職場に申請する際は、気をつけるべきポイントがあります。ここでは、看護師が時短勤務を申請するときの注意点を紹介しますので、確認してみてください。
看護師が時短勤務の申請をする際は、事前に以下のような点について決めておくとスムーズです。
保育園の送り迎えや朝夕の育児体制を踏まえて、パートナーや育児をサポートしてくれる家族と相談して決めましょう。
看護師から時短勤務の申請があれば、病院側はシフトや担当業務の調整をする必要があります。そのため、短時間勤務制度を利用すると決めたら、なるべく早めに上司へ申し出るようにしましょう。期間に余裕をもって相談することで、トラブルなく時短勤務に移行できます。
看護師が時短勤務を申請する際には、社会保険料関連の手続きを行ったほうが良い場合があります。一例を挙げると、「育児休業等終了時報酬月額変更届」は、時短勤務期間中の年金保険料の納付額を給与に見合った額に改定するのに必要な書類です。
また、「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」を申請すると、時短勤務の利用で一時的に保険料の納付額が減っても、将来受け取る年金額が減少しないようにできます。厚生年金に加入している場合、いずれの手続きも職場が窓口になるため、時短勤務の申請とあわせて確認しましょう。
厚生労働省の「働きながらお母さんになるあなたへ(p.10)」によると、事業主が労働者に対して、時短勤務の申請を理由に正職員からパートタイムへの転換を強要することは法律違反です。制度の利用を不当に拒否されたり、時短勤務の申請を理由に雇用形態の転換を強要されたりした場合、都道府県の労働局へ相談しましょう。都道府県労働局に相談すると、事業主との間のトラブルを解決するサポートを受けられる場合があります。
▼関連記事
マタハラを乗り越え、時短勤務で子育ても楽しむ!ママナースになって世界が変わった話
看護師が時短勤務で働くメリットには、子どもの生活スケジュールに合わせて働けることや、雇用形態を変えずに働き続けやすいことが挙げられます。
保育園ごとに違いはあるものの、保育時間は8時〜18時くらいが一般的です。フルタイム勤務で職場と保育園の距離が遠いと、送り迎えの時間に間に合わない場合もあるかもしれません。時短勤務にすれば、保育園の送迎時間に合わせて出勤・退勤の時間をある程度調整することも可能です。
出勤時間によっても変わりますが、6時間勤務であれば16時ごろには退勤して保育園に預けている子どもを迎えに行けるはずです。退勤後の時間が増えるため、家事や育児をこなすほかに、子どもと遊ぶ時間も作りやすくなります。子どもとの生活はスケジュール通りに進まないものですが、余裕をもって食事や入浴、寝かしつけができるのはメリットです。
幼い子どもの育児をしながら働くとなると、フルタイム勤務では無理がかかりやすいといえます。短時間勤務制度を活用すれば、労働時間を短縮しつつ正職員として働き続けて経験を積める点が大きなメリットです。家庭の状況が変われば、フルタイムに戻すこともできます。
▼関連記事
ママナースの働き方とは?復職のポイントや子育てがしやすい職場を紹介
看護師が時短勤務する際のデメリットには、以下のような点が挙げられます。メリットとあわせて押さえておきましょう。
時短勤務にしている間の給料は、フルタイム勤務のときの75%程度に減るといわれています。たとえば、基本給が20万円だった場合は15万円程度になるでしょう。時短勤務の期間中に夜勤や残業をしない場合、その分の手当支給額も減ります。長い期間を時短勤務にした場合、賞与額や年収にも影響が出る点は念頭に置いておくことが必要です。
時短勤務の看護師のなかには、早く帰ることに対して「周りのスタッフに申し訳ない」と悩む人もいるかもしれません。自らの勤務時間が減る分の業務は、ほかの看護師が代わって担うことになります。周囲が忙しく仕事をする中で、早く退勤することに居心地の悪さを感じる場合もあるでしょう。
時短勤務にしている間は勤務時間が短く、残業もできないことを想定して任される仕事内容の幅は狭まりやすくなります。フルタイムで働き続けている看護師に比べて、スキルアップ・キャリアアップの機会が減る可能性は否定できません。将来、役職に就きたいと考えている人は、積みたい経験とキャリアを見据えた働き方の選択も大切です。
時短勤務する間の給料は、短縮した労働時間に応じて減ります。この項では、看護師が時短勤務で働く際の給与事情や受け取れる給付金について紹介するので、参考にしてみてください。
時短勤務期間の給料は、以下の計算式で算出できます。
(基本給)×(時短勤務時間)÷(所定労働時間)=「時短勤務期間中の給料」
基本給を20万円だと仮定して計算式に当てはめると、「20×(月20日×6時間勤務)÷(月20日×8時間勤務)=15」となり、時短勤務中の給料が15万円ほどになることが分かります。普段の基本給をもとに計算して、時短勤務中の給料がどれくらいになるか把握しておくのがおすすめです。
看護師が時短勤務で働く期間に、条件を満たしていれば受け取れる「育児時短就業給付金」があります。厚生労働省の「教えて!育児時短就業給付金の話 制度利用ガイド(p.2)」によると、育児時短就業給付金は、時短勤務によって収入が減少する人への経済的支援として支給される給付金です。給付される金額は、「原則、時短勤務中に支払われた給与の10%」と定められています。
同資料(p.5~7)より、育児時短就業給付金の支給対象になるのは、「2歳になる前の子どもの育児のために所定労働時間を短くしていること」に加えて、以下のどちらかに当てはまる人です。
1日の勤務時間だけでなく、週の勤務日数を減らす方法でも時短勤務の要件に当てはまります。ただし、所定内労働時間が週20時間未満になると、支給の対象外になるので注意しましょう。
▼関連記事
看護師は産休中に給料をもらえる?受け取れる手当と支給の条件を解説
この項では、時短勤務をする看護師が無理なく働き続けるためのコツを紹介します。仕事も、子どもと過ごす時間も両方を大切にできる自分に合う働き方を探してみてください。
時短勤務中は、同僚の看護師に協力してもらうことが不可欠です。普段から周囲の看護師とコミュニケーションをとり、信頼関係を築けるように心がけましょう。助け合いの気持ちを持ち、ほかの人が困っているときはできる範囲で協力する姿勢も大切です。
労働時間を短縮する分、担当できる業務量はフルタイム勤務のときより少なくなります。限られた時間の中で、最大限の業務をこなせるよう意識することが必要です。生産性を高めるために、PCスキルを上げたり、タスク管理を徹底したりして作業効率を高めましょう。
育児中の看護師は、短時間勤務制度のほかにも「残業を免除・制限する制度」や「夜勤を免除する制度」などを活用できます。以下に、育児・介護休業法に基づく、育児と仕事の両立を支援するための制度を紹介するので、参考にしてみてください。
小学校に入学する前までの子どもを養育する労働者は、所定労働時間外の残業の免除を職場に申請できます。1回で1ヵ月以上1年以内の期間について、何回でも申請が可能です。
小学校に入学する前までの子どもを養育する労働者は、夜勤(午後10時〜午前5時の間の労働)の免除を申請できます。1回の請求につき1ヵ月以上6ヵ月以内の期間を、何回でも申請することが可能です。
子育て中の看護師の夜勤免除について、詳しくは「看護師は育休明けの夜勤を免除できる?職場に伝えるときのポイント」の記事で解説しています。
小学校3年生を修了するまでの子どもを養育する労働者は、1年度のうち5日(小学校3年生修了までの子どもが2人以上の場合は10日)を上限に、1日単位・時間単位で「子の看護等休暇」として休暇を請求できます。
子の看護休暇は、以下のような理由で取得が可能です。
「子の看護休暇」という名称ですが、子どもの入園・入学式や予防接種、学級閉鎖で休みになった場合にも取得を申請できるため、積極的に活用しましょう。
▼関連記事
子どものいる看護師の夜勤事情とは?子育てと仕事を両立するポイント
制度を利用できる権利があっても、忙しい職場や人手不足の職場では時短勤務が現実的に難しい場合もあります。時短勤務中であっても、少しだけ残業して帰る看護師も実際に少なくないようです。
そうした悩みがある場合、家庭の状況に合わせた雇用形態の転換や、育児と両立しやすい環境の職場への転職も選択肢として考えてみてください。経験を活かして、無理なく家庭生活も大切にできる自分に合った働き方を検討することが重要です。
▶職場インタビューありの看護師求人一覧
▶非常勤の看護師求人一覧
▼関連記事
非常勤看護師とは?常勤との違いや働き方のメリット、求人を探すコツを解説
この項では、看護師が仕事と育児を両立しやすい環境の職場について紹介します。働きながら子育てをする看護師さんは、転職先を探すヒントにしてみてください。
クリニックや病院の外来、保育園看護師など、基本的に土日祝が休みで日勤の職場は、子育て中の看護師に向いているといえます。子どもを預ける保育園は、日曜・祝日が休みの所がほとんどです。子どもが小学校に入ってからも、土日祝休みで日勤の職場のほうが、家族のスケジュールを合わせやすくなります。
幼い子育て中の看護師は、看護体制に余裕がある職場だと働きやすい可能性が高いです。転職先を選ぶときは、患者さんの数や忙しさに対して、看護師の人数に余裕があるかどうかをチェックしましょう。子どもが体調を崩して、急な早退・欠勤が必要になる日もあることを想定してください。
たとえば、介護施設の看護師は比較的穏やかな業務スケジュールですが、看護配置が1〜2人の職場が多く、時短勤務や急な休みが取りにくい場合があります。
子育て中の看護師が多く活躍している職場は、育児と両立しやすい環境が整っているかもしれません。お互いに育児の事情を理解しやすいため、助け合いながら仕事ができることも期待できます。また、院内託児所があると、送り迎えや子どもの急病の際に便利です。
訪問看護ステーションは日勤のみで働きやすいことから、事業所によっては子育て中の看護師も活躍している職場だといわれています。
▼関連記事
看護師が子育てしやすい病院とは?職場選びのポイントを紹介
看護師の履歴書での産休の書き方は?職務経歴書に記載する例文も解説
ここでは、実際にレバウェル看護へ相談し、転職された子育て中の看護師さんの体験談を紹介します。
看護師Mさんは、急性期で6年間働いたのちに出産し、産休から復帰した後は子育てをしながら時短勤務で働いています。まもなく時短勤務の期間が終了し、21時までの残業が再開してしまうということで、転職について「レバウェル看護」に相談してくださいました。
キャリアアップや子育てとの両立、給与など希望条件が多く、なにを転職で重視すべきか分からないと悩むMさん。そこでキャリアアドバイザーは、悩みや希望条件を箇条書きにして洗い出すことを提案します。考えが整理されて優先順位が明確になり、方向性が定まったMさんは、子育てしながら働きやすい職場を見つけて転職を成功させました。
▼詳しくはこちらから
育児・キャリア・生活…自分に合った職場を見つける希望条件の整理法とは
看護師Mさんはシングルマザーで、子育てと仕事を両立するために日勤のみの非常勤職員として働いていました。両親から経済的援助を受けている状況から自立したいと考え、転職先を探すために「レバウェル看護」へ相談されます。希望条件は「日勤のみの常勤で給与が高め」でしたが、求人を探すと「月に数回の夜勤ができる方を優遇」「オンコール対応が必要」という条件付きがほとんどです。そこでキャリアアドバイザーは、Mさんの両親の手が空いている日曜日に子どもを預かってもらい、その日だけ夜勤に入ることを提案します。月に2回のみ夜勤に入るという条件で、Mさんは病院の常勤看護師として残業が少ない外来に転職し、収入アップも叶えました。
▼詳しくはこちらから
子育てと両立しながら常勤職員は無理なの?シングルマザーが出した答えとは
子育てをしながら働く看護師が転職先を探す場合、希望条件に合う求人を自分で見つけるのが難しいと感じるかもしれません。子育てと両立しやすい環境の職場を探したい方は、看護師専門の転職エージェントを活用するのがおすすめです。
転職エージェントでは、求人提案だけでなく、育児と仕事の両立に関する制度の活用方法や内定後の条件交渉も受けられる場合があります。時短勤務の状態から入職したいという希望がある方も、転職先との調整をキャリアアドバイザーにサポートしてもらえるでしょう。
転職を検討する方は、産休直前や育休中に退職してしまうと、休業中の手当が受け取れなくなる可能性があるので注意が必要です。退職・転職のタイミングも踏まえて、転職エージェントに相談してみてください。
▼関連記事
レバウェル看護の登録方法は?利用開始の流れから退会方法まで簡単に解説!
ここでは、時短勤務について知りたい看護師によくある質問に、Q&A形式で回答します。
時短勤務制度は、子どもが3歳の誕生日を迎える前日まで利用できます。「1日の労働時間が6時間以下でないこと」「労使協定の適用除外に該当していないこと」などの一定の条件を満たしていれば、正職員以外でも申請可能です。詳しくは本記事の「看護師が使える時短勤務とは?」をご覧ください。
看護師が時短勤務で辛いと感じる場面には、「時短勤務にしたのに業務が終わらず帰れない」「周りに迷惑をかけていそうで気を使う」などがあるでしょう。育児へのサポート体制は職場ごとに異なるため、実際に利用しても家庭と仕事の両立に悩むケースは少なくないようです。周囲の看護師に感謝し、助け合いの気持ちを持って働くことが大切といえます。
時短勤務の制度は、入職してすぐには使えない場合もあります。事前に、転職先へ制度の利用について確認することは可能です。時短勤務で入職したい場合は、転職エージェントを活用して応募先への相談や交渉のサポートを受けると良いかもしれません。
時短勤務制度とは、育児・介護休業法が定める「短時間勤務制度」を指し、育児と両立するために所定労働時間を「原則6時間」に短縮するものです。時短勤務には家庭と仕事の両立がしやすく、フルタイム勤務に戻りやすいなどのメリットがある反面、収入面やキャリアアップに影響するデメリットもあります。夜勤・残業の免除制度も活用しつつ、子育てと両立しやすい働き方を検討してみてください。
「育休から復帰後の働き方が不安」「育児しながら仕事を続けられるか心配」という看護師さんは、レバウェル看護へ相談してみませんか?
転職エージェントであるレバウェル看護では、キャリアアドバイザーが仕事への悩みや不安を丁寧にヒアリングし、育児と仕事を無理なく両立する働き方を一緒に考えます。ライフスタイルにあった勤務形態や希望に合う職場の提案もいたしますので、スムーズに転職活動を進めて頂けるでしょう。
ご相談のみの利用も可能でサービスはすべて無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載