PNSの相棒見て「あー今日は終わったな…」。理解不能な組み合わせにクラクラする日もあれば、ときに得る物もあるPNSの一長一短【ナースが物申す第14回】

2019.11.21

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PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)が導入されて数年。

最初は戸惑いもあったけど、だいぶ慣れてはきたよね。

実際にPNSをやってみて、一人で看護をしているときと比べて、PNS制度の良し悪しの差がすごいのなんのって。

わたしが感じたPNSのメリットデメリットについて紹介します。

PNSのデメリット

苦手な同僚とペアになったときの絶望感、仕事のやりにくさ

PNSで一番ストレスに思うこと。

それは、「合わない同僚とのペア」

嫌いな相手と1日の仕事をともにしなければならない拷問のような強制感があるんです。

朝出勤したらあいさつよりなにより、まず目にするのは部屋割りとメンバー。

今日一日苦労するか否かは、この部屋割りメンバーによって決まる!

PNSの最大のデメリットは、まさにこれだと思う。

ペアになる相手によっては、一日の仕事がすごくストレスになること。

もうさ、顔も合わせたくないくらい相性の悪い相手と、1日べったりくっついて、一緒に仕事をしないといけないストレス。

相手によっちゃ頭ハゲそうになるのよ。

わたしはすごく意地悪な先輩とPNSの日、普通の日の3倍くらい疲れた

イライラもすごい。

この期に及んでなんでお前の顔8時間も見なあかんねんと思って。

相性の悪い相手と二人で仕事をしても、リズムが狂うだけ。

PNSするなら、相性をしっかり見極めてペアを作らないと、ストレスで医療事故増えると思うのよね。

1人に数えられない新人とペアという、無茶ぶり

新人看護師がきたばかりの時期は、まだ採血もアセスメントも、報告も、すべて見守りから始める病院って多いんじゃないでしょうか。わたしの病院もそうでした。

人手不足の病院では、まだ処置も観察も一人でできない新人NsをPNSのペアナースの一人としてカウントしたりします。

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つまり、新人とペアになったNsが見守りと指導をしつつ部屋全体の看護も行うって感じ。

ペアという名のもとで、

結局先輩ナースが指導、見守り、看護全部しないといけない

だけど業務量は変わらず。新人とペアのナースは、責任も、業務も2倍

なんて無茶ぶりを絵にかいたようなPNS。

上司からは、新人にひとりで処置やら看護やらをさせないでといわれ、でもPNSの二人でこなす量の部屋割りをふられる。

新人とペアの日は、新人がなにをしでかすかわからないスリルにさいなまれつつ、とてもスリリングでストレスフルな一日を過ごします。

新人ナースは悪くないんだけども、忙しい病院だと新人とのPNSは大変だったりします。

ペアの相性によって起こる負の連鎖

PNSのデメリットのなかで、これが一番ネックなデメリットになるんじゃないだろうか。

ペアの相性によっては、あってはならない組み合わせが出来上がることがある。

新人と意地悪な先輩

・・・新人いびりがエスカレート。

仕事がゆっくりな人同士

・・・仕事が永遠に終わらない。

手抜き同士

・・・仕事抜けまくり。

観察力が乏しい同士

・・・医療事故多発。

本来は、2人の看護師が力をあわせてよりよい看護を提供するのがPNSの目的。だけど、ペアのナース同士のタイプによっては、負の連鎖みたいな逆の効果が起きる。

PNS研修は、ここ想定して「PNSではペアの組み合わせ大事よ」って説明しとくべきやと思う。

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なんでこの看護師とこの看護師をペアにするねーん!

って言いたくなるようなPNSが組まれてる日にリーダーとかだったら最悪。

チームがうまくまわらない。

トラブル多発。残業確定。ストレスMAX。

でも、実際人手が足りなくて、うまくペアを組めない日もあったりするから、仕方ない日もあったりするんだけど。

こういうことが起こると、PNSも考えもんだなーなんて思ったりもする。

忙しすぎてペアが成り立ってない

PNSって、結局ペアを組んで部屋持ちとかをするんだけど、忙しい病院とかだと緊急入院や急変、緊急OPとかで毎日ドタバタ。

ペアとか途中から成り立ってないことなんて多々ある。

緊急入院とOPをとったら、ほぼ部屋のことなんて対応できず。

PNSのペア相手にまかせっきりに。

え、わたしあなたと今日ペアだったっけ?って途中から思うくらい、一緒に行動してない。

一回、師長に「PNSなんだから、部屋のことをタイムリーに共有しなさい!」って怒られたことがあったの。

こんなに忙しいのに、

まったり共有してる時間なんかあるかいボケー!

って思った。

PNSが成り立たないくらい忙しいなら、そういう日はPNSを無理に取り入れなくてもいいと思うのよね。

 
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PNSで感じるメリット

知識を共有しあえる・学びになる

PNSが始まるまでは一人で部屋周りをしてたの。

そん時はよくわからん患者の症状に戸惑ったり、どう看護していいのかわからないことも多々あった。聞ける先輩も近くにいなかったり。

PNSが開始されて、いざ同僚とペアで動くようになってからは、同僚から学ぶことがとてもたくさんありました。

アセスメントの仕方、フィジカル面の評価の仕方、声かけとか。

今まで自分一人で、自分流で看護をしてきたのが、

あ、そういうやり方もあったのか!

って思うことがいっぱい。

これはPNSになってから、本当によかったなーと思う点。

看護のスキルは絶対上がる。

自分ひとりで看護していたら知らなかったことも、

みんなで知識を共有しあえる、学びになるのはPNSの強みだと思う。

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助け合える・相談しあえる

看護師って、

え、ちょっとこれどう判断したらいいの?

って思う場面ってよく遭遇する。

でも、PNSが始まってから、トラブルが起こっても、

自然とペアの子と話し合ったり、協力しあったり。

急変とかあったときは、一人で慌てるんじゃなく、分担して急変対応できる。状態が悪くなった時は、知識を出し合いながら一緒にアセスメントする。

責任に対する不安も、少し分散されるような感じで気も楽になった。

タイムリーに助け合える、相談しあえる相手がいることは、責任の重い仕事である看護師にとっていいことだと思う。

部屋持ちの仕事をマルチに進行できる

例えば担当の部屋に、検査出しとか、処置があるとか。

一人で部屋回りをしながら他のことに対応するのは難しいけど、ペアで動いてたら、一人が部屋回りして、もう一人が処置についたりとマルチに仕事を進められる。

看護のしごとって、手術やら検査やらいろんな業務が同時進行で進むこともあったりして、一人だけで対応するのは大変なこともあるのが正直なところ。

でもPNSは絶対二人で看護を展開していくので、そういった看護師特有の多忙な業務を、マルチタスクにさばけるのがPNSのメリット。

PNSができたことで、以前していたような無駄な残業はだいぶ減ったなーって印象。

結論:PNSは相性次第、ペアのパワーバランスが大事

PNSは看護師という忙しい仕事を、ペアで協力できる素晴らしい制度。

でも見方を変えれば、目には見えない人間関係や看護師同士の相性などは無視した無茶ぶりな仕組みでもあるなーと思う。

PNSをこれからすすめるのなら、ペアを組む際に

看護師同士の相性やパワーバランスをしっかり考えて組まないと、PNSが逆にストレスになったり、効果が半減したりすると思うんだよね。

PNSってとりあえずペアにしたらいいってもんでもないから、そういった盲点的なPNSのデメリットもふまえて、PNS研修してほしいなーとも思うよね。

二人で密着して働くんだもの。相性とか相互作用をちゃんと考えてペア組んでおくのはほんと大事。

メリットも多いんだけど、目には見えないデメリットも存在するPNS。

いろんな病院で導入されてきているけど、今後定着するのかどうかって感じですね。

マリアンナさんの公式ブログもぜひ読んでみてくださいね。
〈マリアンナさん公式ブログ『看護師になったシングルマザーのブログ』〉
https://nurse-singlemother.jp/?page_id=11

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〈イラスト:Kaoll〉
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プロフィール
ライター:マリアンナ
20歳で未婚の母になり、子育てしながら看護学校入学。看護師になったシングルマザーのマリアンナのコラムです。
反抗期息子の子育てと看護の仕事に奮闘中。
イラストレーター:Kaoll
美学美術史学科を専攻。博物館学芸員資格取得後、イラストレーター・DJとして活動。ユニークな視点とタッチで医療・保育などからファッション雑誌、カルチャーコンテンツなど多様な分野でイラストを制作。
サイト:Kaoll
Instagram:@djkaoll
X(旧Twitter):@djkaoll

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