回復期リハビリテーション病棟で働く看護師とは?仕事内容やメリットを解説

2023.12.4

患者のリハビリをサポートしている看護師のイメージ

「回復期リハビリテーション病棟に興味がある」「看護師の仕事内容や役割について知りたい」と気になっている看護師は多いのではないでしょうか。
本記事では、回復期リハビリテーション病棟で働く看護師の仕事内容や役割、スケジュール例などについて詳しくご紹介していきます。
この記事を最後まで読み終えたら、回復期リハビリテーション病棟で働く姿を想像できるようになるでしょう。
回復期リハビリテーション病棟への転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。

回復期リハビリテーション病棟とは

「そもそも回復期リハビリテーション病棟とはどのような病棟なの?」と気になっている方は少なくありません。
ここでは、回復期リハビリテーション病棟の特徴や地域包括ケア病棟との違いについて、詳しく解説していきます。

回復期リハビリテーション病棟の特徴

回復期リハビリテーション病棟は、急性期治療後に容体が落ち着いた患者様が入院し、日常生活全般のサポートやリハビリを受けながら在宅復帰を目指す病棟です。
病院によって受け入れる患者様の層が異なるのが特徴です。たとえば、下記のようにメインとなる患者様が異なる場合があります。

  • 整形外科の疾患の患者様をメインで受け入れる病棟
  • 脳神経外科の疾患の患者様をメインで受け入れる病棟
  • 整形外科・脳神経外科の混合型の病棟

回復期リハビリテーション病棟では最長180日まで入院可能ですが、厚生労働省によって対象疾患ごとに最長の入院期間が定められています。
回復期から慢性期にかけて患者様の容体が安定していくように、回復期でのリハビリテーションやケアが大切です。

出典
厚生労働省「参考 令和4年度診療報酬改定項目の概要」(2023年11月20日参照)

地域包括ケア病棟との違い

回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟は、入院している患者様の自立した生活や在宅・職場復帰を目指す点は共通しています。
しかし、対象疾患や入院日数などは以下のように異なります。

回復期リハビリテーション病棟

  • 対象疾患が限られている
  • 最長180日まで入院可能

地域包括ケア病棟

  • 急性期や在宅・介護施設からの緊急時の受け入れにも対応
  • 対象疾患が幅広い
  • 最長60日まで入院可能

地域包括ケア病棟ではレスパイト目的で、施設入居者様が入院するケースもあります。
より幅広い疾患の患者様のケアにあたりたい看護師や、さまざまな背景を抱えた患者様をサポートしたい看護師は、地域包括ケア病棟の方が向いていると言えるでしょう。

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回復期リハビリテーション病棟で働く看護師の役割

回復期リハビリテーション病棟で働く看護師は、患者様が自立した生活を送れるようにケア・サポートを行います。
ただし、生活の仕方や身体の状態、必要なケアは人によって異なるでしょう。
回復期リハビリテーション病棟の看護師は、患者様の思いや個別性を重視しながら、患者様一人一人に合ったサポートを提供していく必要があります。

また、ケアの質を高めるためには、医師やリハビリスタッフ、薬剤師など多職種の連携も欠かせません。
患者様やご家族の意思を反映させながら、多職種の連携を調整していくのも回復期リハビリテーション病棟の看護師の大切な役割です。

回復期リハビリテーション病棟で働く看護師の仕事内容

ここでは、回復期リハビリテーション病棟で働く看護師の仕事内容をご紹介します。
一般病棟とはどのような違いがあるのか比較してみましょう。

入院患者の身体状態の把握

急性期を脱して比較的容体が安定している患者様であっても、急変や二次合併症のリスクはゼロではありません。
そのため、受け持ち患者様のもとを訪室し、バイタルサイン測定や問診によって、身体状態の把握に努めます。
異常の早期発見・早期対処のためにも、普段から身体状態の変化に気を配りましょう。

リハビリや日常生活における身体介助

回復期の患者様は食事介助や排泄介助、移動介助といったサポートを必要としている方が多いです。
また、リハビリ室で取り組むリハビリだけでなく、日常生活動作もリハビリの一環となります。
したがって、患者様の残存能力を見極めることも重要です。
患者様自身で行えることはできるだけ行ってもらうように、声掛けや見守りをします。
自分で行うのが難しい場合は、適宜サポートしながら自立を促すような関わり方を心がけましょう。

多職種連携のサポート

入院患者様が安心して自宅に帰るためには、医師や看護師、リハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカーといったコメディカルが、同じ目標に向かって連携していくことが大切です。
特に看護師は患者様にとって最も身近な医療スタッフであり、患者様やご家族の思いを尊重しやすい立場にあります。
各職種や患者様・ご家族の橋渡しとなり、調整や管理といったサポートを担いましょう。

患者・家族のメンタルケア

長期入院を余儀なくされた患者様やそのご家族は、目まぐるしい環境の変化へ戸惑いを感じているケースは珍しくありません。
特に、疾患再発・後遺症や長期入院に対して、不安や悩みを抱えやすいです。
中には、疾患による身体の変化を悲観し、リハビリに対して消極的になる方もいるでしょう。
患者様やご家族の気持ちに寄り添い、向き合いながらケアしていくことも重要な仕事の1つです。

回復期リハビリテーション病棟で働く看護師のスケジュール例

回復期リハビリテーション病棟に勤務する常勤の看護師は、二交替制もしくは三交替制で夜勤に対応する必要があります。
日勤帯の看護師のスケジュール例は以下のとおりです。

8:00

  • 出勤

8:30

  • 夜勤帯スタッフより申し送りを受ける
  • 看護師同士だけでなく、医師やリハビリ職員など、多職種で患者様の情報を共有する

9:00

  • 入院や退院の対応
  • 入浴介助やおむつ交換・清潔援助を行う

11:30

  • 患者様によっては食前薬や血糖測定・インシュリン注射などを行う
  • 昼食を配膳し、必要に応じて食事介助に対応する
  • 看護師は交代で休憩に入る

13:00

  • 服薬介助や口腔ケアを行う
  • 患者様のスケジュールに合わせて日常生活をサポートする

16:00

  • 看護記録を作成する

16:30

  • 夜勤帯のスタッフへ申し送りを行う

17:00

  • 退勤

日勤帯では、看護師1名あたり5~10名の患者様を受け持ちます。
入院患者様はリハビリテーションを中心とした療養生活を送るため、患者様のスケジュールに合わせて看護業務を進めていきます。
基本的に緊急入院は受け入れておらず、患者様の急変も滅多にないため、定時で退勤しやすいでしょう。
プライベートな時間をしっかり確保したい方にぴったりの職場と言えます。

回復期リハビリテーション病棟に勤務する看護師の給料

厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均給与は「344,000円」、平均賞与は「854,600円」、平均的な年収はおよそ「4982,600円」となっています。
ただし、回復期リハビリテーション病棟は残業が少ないため、残業手当もつきにくいでしょう。
そのため、一般病棟に比べて給与が低くなることが見込まれます。
ただし、プライベートな時間をしっかり確保して働けるため、給料面よりワークライフバランスを重視したい方におすすめです。

出典
厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」(2023年11月20日参照)

回復期リハビリテーション病棟で働く看護師のメリット・やりがい

ここでは、回復期リハビリテーション病棟で働く看護師のメリット・やりがいをご紹介していきます。

患者が回復していく姿を見守れる

急性期病棟における入院期間は、数日から数週間程度と比較的短期です。
一方、回復期リハビリテーション病棟では、疾患や身体の状態に応じて最長180日まで入院できるため、入院生活が長期化する傾向にあります。
時間をかけて患者様と信頼関係を築き、回復していく姿を見守れるのは、回復期リハビリテーション病棟の看護師ならではの魅力です。
笑顔で退院していく患者様の姿や、ご家族からかけられる労いの言葉は、大きなやりがいを感じられるでしょう。

リハビリや身体介助について学べる

回復期リハビリテーション病棟で専門的なリハビリを担当するのは、看護師ではなくリハビリスタッフです。
しかし、日常生活動作を通じたリハビリの方法や、身体に負担のかかりにくい身体介助などについて、リハビリスタッフから学ぶ機会が得られます。
一般病棟では学びにくい分野について知識・スキルを深められることで、幅広い視点での看護の提供が目指せるでしょう。

ワークライフバランスを保ちやすい

回復期リハビリテーション病棟では、患者様の容体が落ち着いている場合が多いため、出勤後に収集する情報量は多くありません。
そのため、出勤後に情報収集にかける時間は、一般病棟に比べて少なく済みます。
また、患者様の急変が少なく、救急搬送も受け入れていないため、回復期リハビリテーション病棟の看護師は定時で退勤しやすいです。
急性期の一般病棟に比べて、プライベートを重視した働き方を目指せます。

回復期リハビリテーション病棟で働く看護師のデメリットや注意点

回復期リハビリテーション病棟にはやりがいやメリットが多い反面、デメリットがいくつかあります。

先程ご紹介したメリットと比較しながら、自分に合っている職場なのかチェックしてみましょう。

身体介助が多いので肉体的負担につながる

身体介助に関するナースコールが多く、頻繁に対応しなければなりません。
しかし、ボディメカニクスを活用していない身体介助は腰や膝に負担がかかり、痛めてしまうこともあるでしょう。
肉体的な負担が原因で「回復期リハビリテーション病棟を続けるのは辛い」と感じる看護師は少なくありません。
普段からリハビリスタッフに、身体への負担の少ない介助の仕方について教わるなど、積極的に学ぶ姿勢が大切です。

看護師としてのやりがいを感じにくい

回復期リハビリテーション病棟で行う医療行為は採血や経管栄養などで、高い専門性は求められない傾向にあります。
点滴や検査といった医療行為が少ないため、看護師としてのやりがいを重視する方は物足りなさを感じるかもしれません。
高い医療スキルを求められない代わりに、ゆったりと働くことができます。
急性期病棟の忙しさが合わない看護師や、ゆったりと働きたい看護師からは人気が高い職場でしょう。

回復期リハビリテーション病棟に向いている看護師

回復期リハビリテーション病棟に向いている看護師の特徴は以下のとおりです。

  • 患者様一人一人とじっくり向き合いたい
  • 患者様の在宅復帰を支援したい
  • コミュニケーション能力が高い
  • リハビリや身体介助のスキルアップを目指したい

回復期リハビリテーション病棟では、長期間にわたって患者様やご家族のサポートを行い、社会復帰を目指していきます。
そのため、患者様の身体機能の回復に向けて、患者様・ご家族やコメディカルとチームワークを築けるコミュニケーション能力が求められるでしょう。
また、スキルアップのために積極的に学ぼうとする姿勢も欠かせません。

回復期リハビリテーション病棟の看護師についてよくある質問

回復期リハビリテーション病棟の看護師についてよくある質問をご紹介していきます。
それぞれの質問に詳しくお答えしていくので、疑問の解消にお役立てください。

回復期リハビリテーション病棟の看護師の配置基準は?

厚生労働省の「令和4年度診療報酬改定の概要(P21)」によると、回復期リハビリテーション病棟の看護師の配置基準は以下のとおりです。

  • 入院料1・2に区分されている病院:患者様13名につき看護職員1名以上
  • 入院料3・4・5に区分されている病院:患者様15名につき看護師1名1以上

「入院料1」の病院は言語聴覚士(ST)と社会福祉士の配置が義務付けられており、看護師の人数も手厚いです。
できるだけ人員がそろっている病棟に転職したいなら、転職希望先の区分を確認しておくとよいでしょう。

出典
厚生労働省の「令和4年度診療報酬改定の概要(P21)」(2023年11月1日)

回復期リハビリテーション病棟の経験を活かしたキャリアパスは?

回復期リハビリテーション病棟では、脳神経外科や神経内科、整形外科といった診療科目の知識・スキルが身に付くだけでなく、高齢者看護について学べます。
したがって、回復期リハビリテーション病棟の経験を活かして、以下のようなキャリアパスを目指せるでしょう。

転職先への希望おすすめのキャリアパス
急性期病院に転職したい場合整形外科や神経内科、脳神経外科病棟
高齢者看護を学びたい場合介護老人保健施設、デイケア
在宅看護に興味がある場合訪問看護ステーション
専門性を高めたい場合回復期リハビリテーション看護師の取得

中でも、回復期リハビリテーション病棟協会の認定資格である「回復期リハビリテーション看護師」を取得することで、知識やスキルを深められます。
「専門性を高めて回復期リハビリテーション病棟で働きたい」という方にぴったりでしょう。

まとめ

回復期リハビリテーション病棟で働く看護師は、患者様の自立した生活や在宅復帰を目指して、身体状態の把握や身体介助、多職種連携などに努める必要があります。
受け持ちの患者様が回復していく姿を見守ったり、リハビリや身体介助について学んだり、看護師としてのやりがいを感じられるでしょう。
また、残業が少なく、ワークライフバランスを保ちやすいのも魅力的な職場です。
患者様とじっくり関わりたい看護師や、リハビリ・身体介助のスキルアップを目指したい看護師は、回復期リハビリテーション病棟への転職を検討してみましょう。

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この記事を書いた人
村山 夕梨恵
看護師ライター
看護学校卒業後、公立病院の循環器内科・脳神経内科の混合病棟に配属。特別養護老人ホームやデイサービス・訪問看護の事業所への転職を経験する。 現在はフリーランスの看護師ライター/Webディレクターに転向。看護師転職/美容医療/審美歯科/介護分野に関するコンテンツ作成に従事。

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