ナースが物申す
2020.2.20
もうすぐ新人Nsたちが入社する時期ですね。
新人Nsといえば、プリセプター、プリセプティ。
どちらも経験したわたしから言わせてもらえれば、
教える側のプリセプターにも、
教えられる側のプリセプティにも、
悩みや苦しみは絶えないということ。
この記事では、プリセプ制度ならではの、「プリセプターの悩み」と「 プリセプティの苦しみ」について紹介します。
内服の名前・日にち・時間。点滴間違いに転倒転落・・。
新人さんも入社3か月あたりから、この辺の看護業務でヒヤリハットを書くようになります。
でも、そ、そ、そこだけは
死ぬ気で確認してからいってくれーーー!!!
って本気で思う、ほんと指導者側の寿命が縮まる場面があったりするのよ。
わたしがプリセプターをしていた新人Aちゃんは、ちょっとどんくさくてかわいい新人さん。いつも一生懸命で、心からとても応援していたのだけど。
ある夜勤の日、医師指示で飛んできた注射薬をAちゃんが用意して施行することになった。
Wチェックで薬を準備してAちゃんはスタスタ患者のもとへ。
普段から毎日よく使う薬剤。禁忌とか把握できてると思うけど、でもなんかイヤな予感がしたから、走って追いかけたの。
そしたらAちゃん、その薬剤が入ったシリンジを側管につないだ。
ちょっと待てAちゃん、それはショットでいったら下手すりゃ即死する薬剤!!!
それは筋肉注射でいくやつ!!
つまりそのままシリンジ押したら、患者死ぬやつ!!!
そんで今にもシリンジ押そうとしてる、Aちゃん!!
「ちょ、ちょっとー!!!打ったらあかん!!!あかん!!!」
真夜中叫ぶわたし、慌てて起きる患者、あせるAちゃん。カオス。
薬効とかはしっかり勉強してるんだけど、投与方法の根拠、みたいなとこの勉強が抜けてたみたい。
薬剤を投与するときは基本5R。そのどれを間違っても、条件がそろえば患者を即死させてしまう。
新人ゆえにまだその怖さもわからないし、
新人だからこそ早く仕事しなきゃっていう気持ちが先立って、
つい直前の確認を怠ってしまうのかもしれない。
でも、どれだけ先輩が怖かろうが、忙しかろうが、薬剤投与の5Rは基本の「き」。
仕事が遅くなって怒られてもいいから。患者を死なせるよりマシ。
頼む、薬剤使うときは5Rを理解して死守しておくれよ。
「どういうタイプがキレる先輩か」
「どんなめんどくさいことが起きるのか」、
教科書にも載ってないし、看護学校でも習わないけど、これって、すごく大事なことなの。女の縦社会。
こいつだけはモメごとになるから、距離おいて付き合わないとなってやつは、どこへいってもいるんだよね。
だけどそんな先輩がいることなんて疑いもしないピュアな新人。
素直さゆえに、そういうややこしいやつの地雷を絶対踏むのよね。
トラブルメーカーとか新人いびりするやつのまえで、とんでもない失敗をする新人は毎年いる。そういうひとたちが怖い先輩だから、緊張して失敗するってのもあるんだろうけどね。
新人がちょっと失敗したりして地雷を踏むたび、プリセプターに火の粉が飛んでくるのよ。
「あんたさ、指導者でしょ!なんでそんなことを教えてないのよ!!」
「いつまであの子、見守りにさせる気?さっさと自立させなさいよ」
「まだ一人立ちさせちゃだめでしょ。ちゃんと全部の処置見守りでやらせてよ!!」
うっせーよ!じゃあもうお前が一人でプリセプやれよ、って思いながら。
そういうこともあったりして、わたしが新人指導についたとき、わたしの病院では毎年恒例でプリセプターとプリセプティで行く飲み会をするようになって。
「絶対あの人の前でヘマうったらダメだよ、ややこしいからね。」っていうのを前もって新人に仕込むようにした。
だからね、新人Nsさん。
実はマニュアルがない人間関係を覚えるのは、看護業務を覚えるのと同じくらい大事なの。研修でも教えてくれないことだけど、ややこしい人間関係こそ、がんばって習得しておいてほしい。
ここからは、プリセプティの苦悩。
「いつでも相談してね」
「なんでも話聞くから」
って言ってたじゃない。
プリセプティ時代、実際に困ったことがあって、
相談しにいったときのプリセプターの鬼のような形相。
声には出さないけど「今声かけんじゃねーよ」の顔。
目は口程に物を言うって言うじゃない。
そんな空気でとても相談なんかできたもんじゃないよ。
新人だからこそ、わからないことや聞きたいことがある。
なんでも聞いてって言ったじゃない。
看護っていう仕事だから、あとでじゃなくて今聞きたい。
すぐに相談してって言ったじゃない。
自分に自信はないけど、実際先輩に聞ける環境でもない。
どうしていいかわからない。
新人Nsとして一番辛かったことはここかな。
聞いても怒られる、聞かなくても怒られる。
じゃあどうしたらいいのって聞いてんの!!!
THE・理不尽!!!
新人Ns時代に辛いこと。
それは「みんなの前でプリセプターが言う、新人Nsの悪口」。
聞こえるように悪口なんて言われたら、詰所戻れないし、聞きたかったことも聞けないし。
自分が仕事できないことなんか百も承知。
でも誰だって、できなかったときがあったんじゃないの???
看護師の居場所はナースステーションなのに、
そのナースステーションが地獄すぎて入れない。
新人のとき、これされるのほんと辛かったなー。
自分もプリセプターしたから、プリセプターならではの大変さ、ストレスもわかるんだけど、これをしたら新人Nsはその職場に来たくなくなると思う。
基本、新人はできないもの。
一人として数える対象ではなく、育てるもの。
そう捉えられてない先輩とか、職場環境だとこの事象は往々に起こりうる。わたしがプリセプターになって絶対しないでおこうと思って、守ってたことでもある。
どれだけストレスでも、立場の弱い新人Nsの居場所がなくなるようなことは言っちゃだめ。
プリセプターとしてストレスがあるなら、立場上絶対新人がいない場所で言うべきだと思う。
プリセプターのみなさん、指導の愚痴は指導者だけの場所で言いましょう。
プリセプ間の関係って難しい。
教える側と教えられる側のストレスもあるし、相性もある。
病棟の殺伐加減も影響するし・・。
でも一番大切なのは、
教える側の「成長してほしい」って気持ちと、
教えられる側の「一人前になりたい」っていう相互の気持ちなんだと思う。
「教育なんかしたくねーし」とか、新人でも「勉強とかしたくないし」みたいな気持ちが双方どちらかにでもあったら、教育ってうまくいかない。
したくないっていうのが根底にあったら、意地悪も出ちゃうし、愚痴もでちゃう。
プリセプ間の関係をうまく保つためには、
お互い教える立場、教えられる立場として歩み寄ることが大事だと思うのよね。
マリアンナさんの公式ブログもぜひ読んでみてくださいね。
〈マリアンナさん公式ブログ『看護師になったシングルマザーのブログ』〉
https://nurse-singlemother.jp/?page_id=11
【バックナンバー】
■ナースが物申す【第1回】マリアンナさんのプロフィールを紹介しています。
■ナースが物申す【第2回】~ナースの有給休暇義務化~
■ナースが物申す【第3回】~新人ナース時代を乗り越える~
■ナースが物申す【第4回】~子育て「小1の壁」~
■ナースが物申す【第5回】~児童虐待と向き合う~
■ナースが物申す【第6回】~お局様を大解剖~
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■ナースが物申す【第8回】~医療事故~
■ナースが物申す【第9回】~病院退職~
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■ナースが物申す【第17回】~医者にモテるナースの特徴~
■ナースが物申す【第18回】~忘れられない患者さん~
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〈イラスト:Kaoll〉
https://kaoll0719.wixsite.com/illustrator
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