
救急外来で働いていると、実際にくる患者層にびっくりすることがあるの。
え、それで救急車使うの!?とか、
救急外来受診する必要ある!?みたいなんとか。
看護師としては、できるだけ重症のひとを優先したいから、いわゆる「コンビニ受診」はやめてほしいっていうのが本音。
わたしが救急外来で遭遇した衝撃的な患者さんたちのお話です。
救急車が呼ばれると、病院に電話がかかってくる。
ある日、救急隊から電話があって救急要請があった。
いつも「こんな患者さんいるんですけど、お願いできますかー?」みたいな電話があるんだけど。
でもその日の電話先の救急隊員、なんか気まずそう。
で、「どんな患者さんなんですか?」って聞いたら、
「・・あのーー・・、口内炎なんです。」
って言われて。
「は?」
って聞き返して。
「いや、口内炎が痛いそうなんです。70代女性です。」
って言い返されて。
「はぁ?」
って思って。
ピーポーピーポー派手な音で、渋滞かき分けてきた救急車の担架にのせられてきたおばあちゃん。口内炎が痛いから救急車を呼んだそう。
ぜんぜん喋れるし、歩ける。意識ある。
くちのなかに小さな口内炎がひとつ。
病院でできるのは、痛み止めの処方くらい。
いや薬局で売っとるがな、ってレベルの薬。
「いやー、口内炎で痛くてね、このままじゃごはん食べられへんわと思って」
って言ってたけど。
いやいや、明日までごはん我慢せーよって思って。
そんなんで死ねへんわおもて。小学生でも我慢するレベル。
おばあちゃん、救急車は緊急のときにだけ使うものなんだよ。
明日薬局で痛み止め買ってちょうだい。

業界用語でいう、「社会的入院」ってあるんだけど。
ほんとは治療を要さないのに何らかの理由で家にいられない、あるいは本人の希望が強いとか、いわゆる「社会的」な理由で入院する人がいて。
救急車を呼んで、救急外来に来たおばあちゃん。
ここがしんどい、どこどこが痛いなど、ほんとにそんな症状あるのか?
って疑いたくなる不定愁訴の連発で・・・。
あちこち検査してまったくけど、どこも「異常なし」。
だから医師からも「もう帰っても大丈夫ですよ」ってなったのね。
要はどこも悪くないんだから。
でもおばあちゃん、
「わたしは歩けない!それやのに帰らす気か ! ! 」「鬼 ! ! 」って怒り出して帰らない。
医者と看護師はすぐ気づきます。
あ、社会的入院したいんだなって。
どこもわるくないってのに救急外来に居座ること2時間。
わたしとふたりっきりになったときにおばあちゃんがぽろって言ったの。
「家は一人やから、寂しい」って。
そうか。わかる。わかるよ。その気持ち。
でもここは死ぬか生きるかの人が医療を受ける場所なの。
デイサービスでも通って、お友達でもつくってちょうだいな。って思ったけど、
無理やり帰すわけにもいかず、結局そのおばあちゃんに病院が折れるかたちで、社会的入院になりました。結構こういう感じで救急外来受診する人、いるのよね。
でも、本当に救急外来がパンクしそうなときにこういうひとが来たら、本当に困る。

看護師ならわかってくれるはず。
金曜日によく来る「アルコール中毒」の患者さん。
飲みすぎて、歩けなくなって、まわりに救急車よばれて運ばれてくる的な。
もうそういう患者さんには慣れてるんだけど、
アルコール中毒のひとが救急外来使うたび、
そういうひとたちが救急車を使うっていうことがそもそも間違いだと思ってしまう。
命に係わる病気ではなくアルコールを自制できなかっただけだし・・・。
そこに救急車を使ってる間に、本当に必要なひとに救急車使えなかったらすごく問題じゃない??
特に忘年会シーズンの飲みすぎ救急車要請はやめてくれー。
脳血管疾患の救急とか、肺炎が多い時期だから困る。
自分が飲めるだけのお酒を飲むようにしましょう。
すごくぽっちゃりした50代くらいの女の人。テクテク徒歩20分くらいの家から、歩いて救急外来にやってきた。
で、医師に
「わたし心臓悪いと思うんです。みてもらえませんか?」
って言ってきたんだけど、
見るからに健康的で、むしろ20分もウォーキングできるくらい体力ある。
なんなら医者と看護師のほうが顔色悪い。
誰がみても絶対どこも悪くない感じだったけど、一応心電図だけとったの。心電図の結果は、まるで教科書にでてくるような理想的な波形。なんて理想的な心臓。
医者も「ぜんぜんどこも悪くないから今日は帰っていいですよ」って言ったんだけど、「心臓が悪い気がする。」って言って帰らない。結局検査がおわってからも1時間くらいはずっと同じこと言ってって。
でも結局歩いて帰ったの。歩けるんかいって感じ。
いわゆる「心気妄想」ってやつですかね。
身体のどこも悪くないんだけど、病気な気がして不安になる。救急外来にいるとときどき来るんです。でも本人は、本当に身体のどこかに不調を感じているから、検査結果が良好でも、不安も強くてなかなか帰ってくれない。
救急外来にいると、実は緊迫した患者ばかりじゃなかったりする。
なんかお給料もらっちゃいるけど、そんな緊迫した仕事してないのに医療費使ってごめんなさいってなる。
コロナが流行り出して、「医療崩壊」って言葉もよく聞かれるようになったけど。医療崩壊の背景ってそういったはやりの感染症だけじゃない気もするのよね。
日本って医療保険制度が充実している。でも、医療がカンタンに受けられすぎて、医療ケアがすぐ必要じゃないひとにも、救急医療が受けられる状態になってるって感じることがあるな。
救急外来が忙しくなると、本当に医療が必要な人への対応が遅れることがある。これは一番避けないといけなくて。
救急外来はいつも殺伐。救急車や救急外来はぜひ慎重に使ってほしいなーって思います。
マリアンナさんの公式ブログもぜひ読んでみてくださいね。
〈マリアンナさん公式ブログ『看護師になったシングルマザーのブログ』〉
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〈イラスト:Kaoll〉
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