
本記事では、脈拍異常値について脈拍の基準値や異常の種類、観察ポイントなどをイラストでわかりやすくまとめています。日々のバイタルサイン測定やアセスメントをする際の参考にしてください。
以下について解説します。

絵を描くことが好きな看護師。 役立つ知識がぎゅっと詰まったゆるいタッチのイラストが魅力。 初の著書『臨床で困ったときに助かった 看護師はやのゆるっと看護ノート 』発売中!
Instagram:@hayao_kam
X(Twitter):@hayao_kam
脈拍数とは、心臓が血液を送り出す際に全身の動脈に生じる拍動の数のことを指します。橈骨動脈で触知することが多いですが、上腕動脈、総頸動脈、大腿動脈、足背動脈でも触知可能です。脈拍の基準値は年齢などによって異なります。
なお、心拍数は心臓自体が1分間に収縮する回数のことです。

成人の脈拍の基準値は60〜100回/分です。
高齢者の脈拍の基準値は50〜70回/分程度と、成人に比べてやや少なくなる傾向があります。理由として、心臓の司令塔である洞結節の加齢にともなう機能変化や、自律神経機能の低下、さらに、薬剤の影響を受けやすいことが挙げられます。そのため、個人差が大きいのが特徴です。
新生児の脈拍の基準値は120〜160回/分、幼児の基準値は65〜120回/分程度です。心臓のサイズが小さく、1回あたりの血液拍出量が限られているため、拍動の回数を増やすことで循環を維持しています。
脈拍の異常は、大きく「徐脈」「頻脈」「不整脈」に分けられます。

1分間の拍動が60回に満たない、通常よりも脈がゆっくり打つ状態です。これにより、全身へ必要な血液を届ける能力が低下してしまいます。
洞性徐脈のほか、洞不全症候群や房室ブロックなどがあります。
めまい、立ちくらみ、意識消失などが現れます。不整脈の影響で心拍出量が急激に減少し、失神に至る病態は「アダムス・ストークス発作」と呼ばれます。
頻脈とは、安静時の脈拍数が100回/分以上の状態です。
洞性頻脈のほか、心房細動(Af)や発作性上室性頻拍(PSVT)、さらには命に直結する心室頻拍(VT)などがあります。
動悸や胸の不快感、息苦しさなどが現れます。無症状の場合もあります。
不整脈は、心拍のリズムや速さ、あるいは電気信号が発生する部位に何らかの異常が起きることで発生します。
リズムが不規則、脈に強弱がある、触知できない拍があるなどが挙げられます。
なお、心臓は収縮していても、末梢動脈まで十分な血液が伝わらず脈拍として感知できない現象を「脈拍欠損」と呼びます。また、洞結節とは別の場所からやや早いタイミングで心臓に電気が流れる状態を「期外収縮」と呼びます。
徐脈、頻脈、不整脈にはそれぞれ生理的要因と病理的要因があります。

生理的要因として、睡眠中や安静時が挙げられます。心身の安静を保っているときは自然と脈が遅くなるのです。また、長期間のトレーニングによって心機能が発達した状態は「スポーツ心臓」と呼ばれ、1回の拍出量が多くなるため、安静時の脈拍が少なくなります。
病理的要因としては、迷走神経反射や体温の低下、頭蓋内圧亢進、甲状腺機能低下症、薬剤の影響などが挙げられます。
生理的要因として、運動をしたときや、精神的な緊張・興奮を感じているとき、疼痛があるときに自然と脈が速くなります。さらに発熱も大きな要因であり、体温が1℃上昇すると、脈拍数は1分間に10〜15回程度増加すると言われています。
病理的要因としては、脱水や循環血液量減少、敗血症やショックの初期段階、さらには貧血、心不全、甲状腺機能亢進症などによっても頻脈が引き起こされることがあります。
生理的要因として、加齢やストレス、もともとの体質に加え、睡眠不足や疲労といった日常的な負担などが挙げられます。
病理的要因としては、虚血性心疾患である狭心症や心筋梗塞、心不全、高血圧などが挙げられます。そのほか、甲状腺疾患や糖尿病、電解質異常や、薬剤の影響(抗不整脈薬、降圧薬、抗うつ薬など)によっても引き起こされることがあります。
脈拍異常を見つけたら、次に何を観察するべきか解説します。

脈拍の異常を見つけた際は、ショックの5徴候「蒼白・冷汗・虚脱・呼吸不全・脈拍触知不能」、血圧の低下や意識レベルの低下がないか注意深く観察します。
また、脈拍の異常に加えて胸痛を伴う場合は、心筋梗塞や心不全を起こしている可能性があります。そのほか、徐脈に加えて失神がみられる場合は、房室ブロックや洞不全症候群の可能性があります。
これらの症状が見られた場合は大変危険な状態です。放置せずすぐに医師に報告し、心電図を装着したり検査の準備を進めるなど、迅速に対応しましょう。
脈拍の異常を見つけた際は、自動血圧計などの自動測定器の数値だけを見て判断するのではなく、自分の指で直接患者さんの脈に触れて測定することが重要です。デジタル機器では数値を知ることはできても、実際の脈の強さやリズムの強弱まではわかりません。異常のサインを正確に把握するためにも、自分の指先の感覚でしっかりと脈の状態を確認するようにしましょう。
上記で学んだ内容から、クイズを出題します!イラストでインプットできたら、クイズに挑戦してみてください。
【クイズ①】レベル★
成人の脈拍の基準値は、1分間に60〜100回である。〇か✖か。
【クイズ②】レベル★★
心臓は収縮していても、末梢動脈まで十分な血液が伝わらず、脈拍として感知できない現象を何と呼ぶでしょうか。
【クイズ③】レベル★★★
自動測定器で数値が正常に出ていれば、脈の強さやリズムの強弱まで正確に把握できる。〇か✖か。
【クイズ①答え】〇
解説:成人の脈拍の基準値は60〜100回/分です。なお、高齢者は50〜70回/分、新生児は120〜160回/分など、年齢によって異なります。
【クイズ②答え】脈拍欠損
解説:不整脈などにより、心拍はあっても末梢まで血液が届かず、脈として触れられない状態を「脈拍欠損」と呼びます。
【クイズ③答え】✖
解説:デジタル機器では数値を知ることはできても、実際の脈の強さやリズムの強弱まではわかりません。異常のサインを正確に把握するためにも、必ず自分の指で直接患者さんに触れて測定することが重要です。
今回は脈拍異常値について、基準値や徐脈・頻脈・不整脈の特徴、なりやすい原因、異常を見つけたときの観察ポイントなどをイラストで解説しました。この内容が、患者さんの日々のバイタルサイン測定や適切なアセスメントを深める一助となれば幸いです。
▼連載はバナーをTAP!【バックナンバー】
看護師はやの勉強ノートvol.1 ~化学療法の副作用~
看護師はやの勉強ノートvol.2 ~化学療法の基礎知識~
看護師はやの勉強ノートvol.3 ~血管外漏出~
看護師はやの勉強ノートvol.4 ~レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系~
看護師はやの勉強ノートvol.5 ~三大栄養素と消化酵素~
看護師はやの勉強ノートvol.6~胃がんの転移~
看護師はやの勉強ノートvol.7 ~スタンダードプリコーション~
看護師はやの勉強ノートvol.8 ~輸血の副作用~
看護師はやの勉強ノートvol.9 ~身体の部位の名称~
看護師はやの勉強ノートvol.10 ~医療用語~
看護師はやの勉強ノートvol.11 ~医療用語の略語~
看護師はやの勉強ノートvol.12 ~NSAIDsとアセトアミノフェン~
看護師はやの勉強ノートvol.13 ~三方活栓~
看護師はやの勉強ノートvol.14 ~高血糖~
看護師はやの勉強ノートvol.15 ~GI療法~
看護師はやの勉強ノートvol.16 ~消化管穿孔~
看護師はやの勉強ノートvol.17 ~採血の基準値~
看護師はやの勉強ノートvol.18 ~腫瘍マーカー~
看護師はやの勉強ノートvol.19 ~フィジカルアセスメント 腹部の視診・聴診~
看護師はやの勉強ノートvol.20 ~フィジカルアセスメント 腹部の打診・触診~
看護師はやの勉強ノートvol.21 ~アナフィラキシーショック~
看護師はやの勉強ノートvol.22 ~交感神経と副交感神経~
看護師はやの勉強ノートvol.23 ~カルテの略語・用語~
看護師はやの勉強ノートvol.24 ~医療用語・診療科編~
看護師はやの勉強ノートvol.25 ~会話で使う医療用語~
看護師はやの勉強ノートvol.26 ~シバリング~
看護師はやの勉強ノートvol.27 ~インスリン製剤の注射器具~
看護師はやの勉強ノートvol.28 ~胃ろうカテーテル4種類の長所・短所って?~
看護師はやの勉強ノートvol.29 ~脂肪乳剤の投与理由と投与速度って?~
看護師はやの勉強ノートvol.30 ~ストーママーキングの手順~
看護師はやの勉強ノートvol.31 ~血ガスのキットについて~
看護師はやの勉強ノートvol.32~血ガスの基準値について~
看護師はやの勉強ノートvol.33~鎮静薬について~
看護師はやの勉強ノートVol.34~鎮静薬の種類について~
看護師はやの勉強ノートvol.35〜食事介助について~
看護師はやの勉強ノートvol.36~痛みの評価スケールについて~
看護師はやの勉強ノートvol.37~熱中症について~
看護師はやの勉強ノートvol.38~KYT(危機予知トレーニング)について~
看護師はやの勉強ノートvol.39~浮腫の種類について~
看護師はやの勉強ノートvol.40~心電図の基本について~
看護師はやの勉強ノートvul.41~不整脈波形PVCとPSVTについて~
看護師はやの勉強ノートvol.42~不整脈波形心房細動と心房粗動について~
看護師はやの勉強ノートvul.43~看護記録SOAPについて~
看護師はやの勉強ノートvul.44~DVT(深部静脈血栓症)について~
看護師はやの勉強ノートvol.45~褥瘡の滲出液について~
看護師はやの勉強ノートvol.46~血尿について~
看護師はやの勉強ノートvol.47~血液透析について~
看護師はやの勉強ノートvol.48~腹膜透析について~
看護師はやの勉強ノートvol.49~チアノーゼについて
看護師はやの勉強ノートvol.50~褥瘡の分類について~
看護師はやの勉強ノートvol.51~腸蠕動音について~
看護師はやの勉強ノートvol.52~呼吸困難の分類について~

絵を描くことが好きな看護師。 役立つ知識がぎゅっと詰まったゆるいタッチのイラストが魅力。 初の著書『臨床で困ったときに助かった 看護師はやのゆるっと看護ノート 』発売中!
Instagram:@hayao_kam
X(Twitter):@hayao_kam
記事の制作について
「レバウェル看護 看護師さん向けお役立ち情報」では、
記事の制作・公開にあたってのポリシーを定めています。
詳細は下記よりご確認いただけます。
看護師から寄せられる“よくある質問”
Q. 現役看護師が一番稼げる科はどこ?
一般的に、高度な医療を提供する診療科や収益の多い診療科・クリニックは、高収入を得られる傾向にあります。病院だと救急救命科やICU(集中治療室)など、クリニックでは美容クリニックや人工透析クリニックなどが挙げられます。「看護師が一番稼げる科はどこ?高年収のクリニック・病院や転職のポイント」では、看護師が稼げる科を、詳しく解説しています。規模別の平均給与や、高収入な職場へ転職する際のポイントも紹介しているので、求人探しの参考にしてください。
Q. 看護師がのんびり働ける勤務先は?
病院であれば緊急対応や体力を消耗する業務が少ない外来や回復期・慢性期病棟。病院の外来やクリニックであれば重症患者の処置が少ない診療科は比較的落ち着いた環境といえるでしょう。自身のペースを大事に働きたい方は、現職の悩みを解決できるような環境・働き方を選ぶことがポイントです。「のんびり働きたい看護師向け!おすすめの職場や病院以外の仕事を紹介」では、のんびり働ける勤務先の条件や、おすすめの職場・診療科、のんびり働ける仕事のメリットやデメリットも解説しています。職場探しの参考にしてください。
Q. 看護師1年目で転職しても大丈夫?
1年目であっても転職は可能です。新卒として入職後3年以内に転職する「第ニ新卒」を歓迎する求人も多数出ている状況です。心身に不調がある場合や、職場でハラスメント・法律違反が横行している場合は、無理せず環境を変えたほうが安心です。「看護師1年目で転職しても大丈夫。病院以外の職場や好印象の退職理由を紹介」では1年目の看護師が転職したくなる理由や、仕事が辛いときの対処法、 おすすめの職場などをまとめています。新人看護師が転職に成功するコツや退職の際の注意点も解説しているので、参考にしてみてください。
Q. お礼奉公中でも転職は可能?
お礼奉公の途中でも、看護師が仕事を辞めることは可能ですが、途中で退職してトラブルに繋がるケースもあるので、辞める場合は注意が必要です。「お礼奉公中だけど辞めたい看護師へ!奨学金に関する疑問に答えます」では、「お礼奉公中の看護師は仕事を辞めても良いか」「途中で辞めると奨学金の支払いはどうなるのか」といった疑問や不安にお答えしています。また、奨学金の一括返済を求められたときや、退職を拒まれたときの対処法についてもご紹介しているので、お礼奉公がネックで前に進めずにいる方は、ぜひ参考にしてください。
キャリア
働く場所
選考対策
資格
その他
読みもの
連載
夜勤明けのアイス
2026年6月22日 08:53
イラストがとても分かりやすかったです。新人指導の際の参考にさせていただきます!