神戸市の「神出病院」で起きた患者虐待。
すごくショッキングな事件だったけど、医療現場で働くわたしにとっては、正直「氷山の一角だなー」と思いながら報道を見てたの。
実はこういうことって、日常的にどんな病院でも起こりうることだったりするのよ。
〈ニュース記事〉https://this.kiji.is/675682434193556577
わたし自身、働いてきた病院で、看護師等のスタッフから患者への虐待は現場で見てきた。
例えば。
患者を叩く、笑いながら認知症の患者の動画をとる。全身麻酔下で意識のない患者のからだを興味本位で触る。まだ言葉の話せない小児に過剰な罵声を浴びせる。絶対そこまで必要ないのに四肢抑制する。四肢抑制している患者に夜間痰吸引のチューブをいれっぱなしにしておく。
こういうことが、普通に医療現場でありました。
きっと他の病院や施設とかでも、見たことある人もいるんじゃないかな。
いじめをする人っていうのは、自分のいじめがバレない対象を選ぶのが上手い。
本当に助けを必要とするような虐待を受ける患者さんってのは、「SOS」の声を上げられない患者さんであることが多いと思う。
認知症、精神疾患、寝たきり、言葉を話せない小児。発達や病気が原因で、SOSの発信ができない。そういったところに、虐待は、いじめは、集中するし加速する。
本当に助けないといけない人は、助けてって言えない人なんですよね。
そもそも、虐待がなんで起こるんだろう?
患者虐待が起こる病院と、起こらない病院があるもんね。
わたしは、まず患者虐待が起こる土台って「労働者のストレスと過重労働」だと思う。
これが底辺にある。
過度な患者様精神、利益主義とかもそう。
患者様のためにこの仕事ができないのか!?っていう正義感をベースに仕事を押し付けられるから、スタッフたちは無茶苦茶な仕事内容でもなかなかNOが言えない。そういう労働環境が、目には見えないスタッフの働く意識や気持ちに影響を与えてるんじゃないかしら。
それが原因になって、「絶対的な人間関係のヒエラルキー」みたいなのができる。
いわゆる「上の人の言うことが絶対」みたいな世界。
つまり、独裁的な上下関係ができる。
それが倫理に反することでも、無茶苦茶な内容でも、反論することができないような雰囲気を作る。
その人間関係が影響して、いじめや虐待を「誰にも言えない、相談できる先がない」みたいな雰囲気を作りだす。止める人がいないから、いじめがエスカレートする。
わたしも実際そうでした。患者虐待ってわかっていても現場で声をあげられない。
正論ってわかっていても、組織のなかで自分の立場がなくなることが怖い。それは今も同じ。
個人情報の観点から防犯カメラもないから、仮にいじめの加害者を突き出そうとしたって、証拠がなかったりする。加害者はやってないって絶対言うだろう。中途半端にチクったらやり返される。正義感をもって声を上げた人が損をする。そういう考えが先にあって、声をあげられないのは事実なんです。
業界的に形態化した劣悪な労働環境と、そこからくる人間関係。ストレスのはけ口が弱者に向かう。上の者には逆らえない。いじめを見ても誰にも相談できない。こういうことが当たり前になってる職場環境が、弱者にむかういじめや虐待を常習化させてる気がする。
医療や介護業界の底辺にある根本的な問題を解決しないと、どんだけ虐待を法整備や罰則化、監査を強化したって同じことが起こるでしょう。
患者虐待をなくすために見直さないといけないのは、
労働環境の改善と人間関係だと思います。
心理学者のレヴィンが行った集団活動の研究では、集団はリーダー(いわゆる上司や経営者)のタイプによって大きく影響を受け、一方的な指示を出す専制型リーダーのもとではいじめが多発しやすいっていわれてます。そういった組織のなかでは、いじめの対象がいなくなってもすぐ次の対象がすぐできる。スケープゴートっていうやつね。結局こういうことなんですよね。過酷な労働環境って。
いじめの加害者だけを裁くことは根本的解決ではないんですよ。
なぜ倫理モラルの低いスタッフが集まるのか。
なぜその組織が患者虐待を起こす集団心理に陥ったのか。
加害者を裁けばそれがなくなるとは思えない、組織の経営システムにも原因があるんじゃないでしょうか。
雇う側が従業員に対して民主主義でいること。
従業員を大事にすること。
利益第一ではなく、患者やスタッフの声を第一にできること。
そういったことが、長い目で見て患者虐待を防止する環境につながるんじゃないかなーって、思っています。
マリアンナさんの公式ブログもぜひ読んでみてくださいね。
〈マリアンナさん公式ブログ『看護師になったシングルマザーのブログ』〉
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〈イラスト:Kaoll〉
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