お電話でカンタン登録

0120-963-668

受付時間:9:00-21:00 (土日祝除く)

患者さんの「死にたい」の声にふれた経験から延命治療、緩和ケアを考える。マリアンナの『ナースが物申す』【第40回】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
3179_TOP.jpg

京都で起きたALSの女性の嘱託殺人事件を見ていて、いろいろ思うことはありました。
あの事件を見ていてわたしが一番気にかかったことは「死にたいと思いながら毎日を生き続けた彼女の苦しみ」です。

あの事件の後、関与した医師への批判とALS患者の生きる権利を訴える報道がよく流れていたけど。生きることに苦しみながら生きた彼女の気持ちにはフォーカスされることはなく。それもすごく気になったなぁ。

終末期の倫理って触れちゃいけないような感じもしているけど、臨床で働いてたら明らかになんか間違ってない?って思うことがよくあるんですよね。
参考ニュース記事:https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/314861

目次

「死にたいのに。」望まない延命治療やケアを受ける患者さんたちの声

3179_1.jpg

「本当は死にたいんです。」
「死にたいのに、自分で死ぬこともできないことが辛い。」
「死ぬのを手伝ってほしい」

今まで看護してきた寝たきりの患者さんが何人かそんなことを言っていました。どちらかといえば、若年層のほうが死にたいという思いを強く訴えてくることが多かった気がします。

間近看ている看護師だからこそ、そういう患者の気持ちを聞くたび、その思いは否定できないなって思っていました。まだ人生これからって年齢で、寝たきりになってしまう。長くない余命がわかってしまう。自分が衰弱していくのを理解しながら生きることは、決して精神的に楽なものではないだろうと察します。わたしも同じ立場なら「死にたい」って言うかもしれない。

わたしは、患者が望まない延命や治療は反対派です。経管栄養も、本人がいらないといったらそのときに中止してもいいと思う。健常なひとでも食べることを拒絶するときがあるんだから。生きたいと思うのも自由だけど、生きたくないと思うのも自由じゃないんでしょうか。

延命治療で問題に思うこと

3179_2.jpg

臨床で患者さんをみていると、「終末期」に関して問題に感じることがふたつくらいあって。

ひとつは、患者の延命に対して「家族の意思が一番に尊重される」こと
患者さんは「もう生きたくない!」「もうそっとしといて!」っていうんだけど。「生きててほしい!」と思う家族の意見が尊重される場面はよく見ます。苦しい治療を受けるのは患者なのに、認知症だから、高齢者だからと言って本人の意志は尊重されず、延命治療に至る患者さんを見ていると看護師として正直悲しいものがある。

本人が望んでする分にはいいけど、望んでいない治療をされるって、患者さんからしたら辛いよね。

もうひとつは、たいてい「延命を始めたらやめられない」こと
元気なときは延命を受けて、少しでも生きていたいと思うこともあると思う。でも体が衰弱していくなかで、もう積極的な治療は止めたいって思う患者はたくさんいるんじゃないかな。今回起きた嘱託殺人事件のALS女性も、治療を中止できないことをすごく辛いと言っていたと、記事で読みました。

今の日本では、基本的に延命処置を一度してしまうともう中止できないことは多い。
治療をやめたいときを選べない。治療に苦痛が伴うにしても、それを受け続けなければならない。一度積極的に生きることを選んだあとは、生きることに消極的になることが許されない。それって、すっごい一方通行な選択肢だと思う。選択肢が少なすぎて過酷すぎる。

治療は「本人の意思」のもと、あるべきものだと思う

日本の医療の全体において、「生きること」が目標になりすぎているというか。そんなに死ぬことが悪いことなのか?っていうくらい、死を忌み嫌う感じがすごく気になるよね。生きている限り、いずれ死ぬことは当たり前のはずなのに。

本人が死を受け入れたうえで、ホスピス病棟みたいに、時期がきたら最期を自分らしく過ごせる環境がもっとあったらいいんだけどなって思う。

3179_3.jpg

わたし、ホスピスのケアが結構好きで。
積極的な治療はせず対症療法のみ。患者が感じる最大限の苦痛は取り除いてあげて、あとは「その人らしさ」を尊重した最期の生活を応援する。人の最期にふさわしい環境だなぁと

死ぬことを準備したり、受け入れたりすることは、ダメなことなんだろうか。からだは死を準備していくのだから、心も準備していくのは自然なことでもあると思う。死の受容は終末期にすごく大切な課題。からだは死に向かっているのに、周りに「生きろ」といわれんばかりに望まぬ延命処置をされる患者さんの気持ち。すごく辛いんじゃないかな。

今の医療は、患者が亡くなったあとに残された家族に訴訟されるリスクを恐れて、家族の意志を尊重しがちになってる感じ。患者が迎える死に対して、まず尊重すべきは「患者自身の思い」のはずなんだけどね。

患者さん本人が「積極的な治療されたくない」というのなら、それも意志。これからはもっと、患者さんの気持ちを尊重したケアが提供されるようになっていけばいいなーと思っています。

マリアンナさんの公式ブログもぜひ読んでみてくださいね。

〈マリアンナさん公式ブログ『看護師になったシングルマザーのブログ』〉
https://nurse-singlemother.jp/?page_id=11

『ナースが物申す』バックナンバー
■ナースが物申す【第1回】マリアンナさんのプロフィールを紹介しています。
■ナースが物申す【第2回】~ナースの有給休暇義務化~
■ナースが物申す【第3回】~新人ナース時代を乗り越える~
■ナースが物申す【第4回】~子育て「小1の壁」~
■ナースが物申す【第5回】~児童虐待と向き合う~
■ナースが物申す【第6回】~お局様を大解剖~
■ナースが物申す【第7回】~看護師の老後と年金問題~
■ナースが物申す【第8回】~医療事故~
■ナースが物申す【第9回】~病院退職~
■ナースが物申す【第10回】~困ったドクター対処法~
■ナースが物申す【第11回】~ブラック病院~
■ナースが物申す【第12回】~看護師の良いとこ悪いとこ~
■ナースが物申す【第13回】~困った患者さん~
■ナースが物申す【第14回】~PNSの一長一短~
■ナースが物申す【第15回】~お局言動ワースト4~
■ナースが物申す【第16回】~ここが変だよ!ナースの職場~
■ナースが物申す【第17回】~医者にモテるナースの特徴~
■ナースが物申す【第18回】~忘れられない患者さん~
■ナースが物申す【第19回】~認知症患者さん~
■ナースが物申す【第20回】~プリセプターとプリセプティの苦悩~
■ナースが物申す【第21回】~「私看護師向いてない」~
■ナースが物申す【第22回】~傲慢ドクター&謙虚ドクター~
■ナースが物申す【第23回】~世界中がパニック!新型コロナウイルス感染拡大~
■ナースが物申す【第24回】~ナースの給料上げてほしい!~
■ナースが物申す【第25回】~救急患者さんに物申す~
■ナースが物申す【第26回】~コロナ給付金の追加を~
■ナースが物申す【第27回】~コロナがもたらした看護師の変化とは~
■ナースが物申す【第28回】~申し送りのコツ~
■ナースが物申す【第29回】~働くママの子育て~
■ナースが物申す【第30回】~急変で固まる新人Ns~
■ナースが物申す【第31回】~リーダー業務を上手く回すコツ~
■ナースが物申す【第32回】~転倒・転落を防ぐチェックポイント~
■ナースが物申す【第33回】~新人ナースはここを見られている~
■ナースが物申す【第34回】~点滴トラブルを避けるには~
■ナースが物申す【第35回】~「終末期の患者さんの拘束」反対します~
■ナースが物申す【第36回】~ニュースに物申す「看護師家族もコロナ感染」~
■ナースが物申す【第37回】~患者さんから医療者への暴力~
■ナースが物申す【第38回】~医療者からの患者虐待を考える~
■ナースが物申す【第39回】~看護師だって源氏名で働きたい。本名で働くリスク~

〈イラスト:Kaoll〉
https://kaoll0719.wixsite.com/illustrator

cta_banner_070.jpg

  • このエントリーをはてなブックマークに追加